BNPL(後払い決済)で事業者が得られるメリットとは?導入時の注意点も解説

創業手帳

BNPL(後払い決済)の導入で顧客層の拡大を狙える


BNPL(後払い決済)は、ECサイト利用者からの需要が高まっている支払方法です。
需要の増加にともない、クレジットカード決済だけではなく、BNPL(後払い決済)を導入するケースが増えています。

今回は、BNPL(後払い決済)の概要や仕組み、市場規模と動向、導入によってアプローチできる顧客層、導入することで事業者が得られるメリットについて解説します。
導入時の注意点やサービスを選ぶ時のポイントについてもご紹介するので、導入を考えている方は参考にしてください。

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BNPL(後払い決済)とは?


BNPL(後払い決済)がどのようなものかよくわからない方もいるでしょう。まずは、BNPLの特徴から解説していきます。

1.口座やクレジットカードがなくても買い物ができる

BNPL(後払い決済)を利用すると、クレジットカードや銀行口座がなくてもインターネットショッピングが可能となります。
例えば専業主婦(主夫)や学生といったクレジットカードを持っていない方でも、気軽にインターネットショッピングを楽しめます。

個人情報漏えいのリスクを恐れてクレジットカードの情報を登録するのが不安な場合にも、おすすめです。
インターネットで買い物をするのに慣れていない方でも、情報を入力する必要がないため、安心して買い物ができます。

2.コンビニや銀行などいろいろな場所で支払い可能

BNPL(後払い決済)は、商品を購入し、自宅に届いてから支払いをする仕組みです。
決済に必要となる請求書は、商品に同梱されている場合や後日郵送で届く場合があります。
また、紙ではなくスマートフォンに請求書が届き、ペーパーレスで支払いができるといったパターンもあります。

購入者は、指定された日までに商品の代金を支払いますが、コンビニや銀行など任意の場所を選択可能です。利便性の高さにも定評がある支払方法となっています。

BNPL(後払い決済)の仕組み


BNPL(後払い決済)は、クレジットカード決済と同じように店舗側が手数料を負担します。利用者はその場で支払いを行うことなく、商品の購入ができます。
その際、BNPL事業者が決済金額の建て替えを行い、店舗側に支払うという流れです。

商品を受け取った利用者は、BNPL事業者から提示された金額を支払えば取引きは終了です。
手数料を店舗側が支払わなければいけないので、導入を迷ってしまうケースも多く見られます。
しかし、この支払方法は若い世代を中心に需要が高まると予想されるため、前向きに検討する価値は大いにあります。

BNPL(後払い決済)の市場規模と動向


BNPL(後払い決済)の市場規模は、海外だと大きくなっています。
勢いが出てきたのは2020年頃です。新型コロナウイルスの感染拡大により、外出の自粛を求められるようになったことがきっかけだと考えられます。

世界各地の消費者がインターネットショッピングへ移行していきました。
クレジットカードが必要なく、手数料をかけずに分割払いができるというメリットが利用者層の拡大につながったと言えます。
利用方法は、利用を考えているサービスのアプリをダウンロードし、アカウントを作るだけなのでとても簡単です。

2021年8月には、Affirmが米Amazonとの提携、同年10月には米PayPalが日本発の後払い決済Paidyの買収をしたと発表しています。
このことから、世界的な市場規模はさらに大きくなると予想できます。

日本国内においては、まだまだ認知度が低いのが現状ですが、国内で最も早く取り入れているのがPaidyです。
Paidyは、2021年6月からペイディあと払いプランApple専用というサービスを提供し、AppleのWebサイトやAppleストアでも手数料0円の分割払いが可能となりました。

日本国内ではまだまだ利用できる場所は限られています。しかし、利用率は右肩上がりとなっているので、需要があると見込めます。
今後は、さらなる普及が期待できるでしょう。

BNPL(後払い決済)を導入するとどのような顧客層にアプローチできる?


BNPL(後払い決済)を導入すると、今までとは異なる顧客層へのアプローチが可能となります。
具体的には、クレジットカードを持っていない層とクレジットカードを持っているもののなるべく使いたくない層です。

クレジットカードを持っていない層は、18歳以下の学生や年収といった要因でクレジットカードを持てない方などが該当します。
クレジットカードを利用しなくても分割払いができるようになるため、支払方法の幅が広がります。

クレジットカードを持っているもののなるべく使いたくない層にも、BNPL(後払い決済)の需要はあるでしょう。
前述したようなセキュリティ面に不安だけではなく、使い過ぎないためにクレジットカードを使わないといったパターンもあります。
そのような層にとっても、この支払方法は魅力的です。

BNPL(後払い決済)を導入する事業者のメリット


BNPL(後払い決済)を導入することのよって、事業者は様々なメリットを享受できます。ここでは、BNPLのメリットをピックアップして紹介していきます。

1.販売機会の損失回避

事業者にとって、販売機会の損失を回避できることは大きなメリットです。
クレジットカードを持っていなくてもインターネットショッピングができるようになるため、買い物を諦める利用者も少なくなります。

これまでは、インターネットショップだとクレジットカードがないと買い物ができないケースが多く見られました。
そのような層の購買につながれば、売上げアップも期待できます。

幅広い顧客にアプローチできるようになれば、買い物しやすい環境が整います。さらに、新規顧客の獲得にもつながるので一石二鳥です。

2.受け取り拒否が起こりにくくなる

受け取り拒否が起こりにくくなることも、事業者にとってのメリットです。
現金払いの代引きもありますが、商品を受け取る時にお金を支払うことになり、手元にお金がないと受け取り拒否が発生するリスクも考えられます。

一方BNPL(後払い決済)の場合は、商品の受け取りから支払いまで猶予があるので、代引きよりもそのリスクが低くなります。
受け取り拒否が発生してしまうと、送料などは事業者負担です。負担軽減のためにも、受け取り拒否が起こりにくくなるというメリットは大きいでしょう。

3.代金未回収のリスクを軽減できる

BNPL(後払い決済)を導入すると、代金未回収のリスクを軽減できます。
なぜかというと、後払い決済代行業者がインターネットショップで買った商品の代金を立替えてくれるからです。

購入者が商品を買う際は、決済代行業者が与信枠の審査を行います。審査結果が事業者に通知される仕組みになっているので、安心して商品を発送できます。

代金未回収だと督促業務も発生しますが、BNPL(後払い決済)を導入すればそのような不安も生まれません。
業務の効率化や売上げのアップといった、嬉しい相乗効果も期待できます。

4.高額な商品も販売しやすくなる

高額な商品を販売しやすくなることも、事業者にとって大きなメリットになります。
クレジットカードを持っていない方の場合、高額な商品の購入は躊躇ってしまうケースが大半です。
そのような方に対して無理に販売できないので、機会損失となってしまいます。

しかしBNPL(後払い決済)が使えれば、クレジットカードがなくても分割払いが可能です。そのため、高額な商品でも無理なく購入へつなげられます。
分割払いができるのであれば高額な商品を買っても良いと考えるケースも多いので、事業者にとってはメリットとなるでしょう。

5.利用者の幅が広がる

これまでにも触れたように、BNPL(後払い決済)はクレジットカードを持っていない若い世代からの注目度が高まっています。
アメリカのThe Ascentが2022年6月に実施した調査によると、18歳~24歳は61%、25歳~34歳は59%、35歳~44歳は60%、45歳~54歳は45%、55歳以上は25%がBNPL(後払い決済)を利用しているという結果が出ました。
若い世代の方が多く利用しているのは、クレジットカートがなくても分割払いできるといったメリットがあるためです。

クレジットカードがなくても支払いしやすくなるので、利用者の幅が確実に広がります。
クレジットカードの使い過ぎで支払いが厳しくなってしまうリスクもありません。
支払いのタイミングを調整したり、利用金額を把握しやすかったりするといったメリットを利用者は享受できるので、導入前後で利用者の幅に差が生まれるのは当然です。

BNPLを導入する前に知っておきたい注意点


BNPL(後払い決済)を導入することにより、様々なメリットを事業者も享受できます。しかし、メリットがあればデメリットもあります。
続いては、導入する前に知っておきたい注意点についてご紹介します。

1.手数料が高くなってしまう場合がある

利用するプランにもよりますが、手数料が高くなってしまう場合があることは事業者にとってデメリットです。
後払い決済代行業者のサービスを利用する場合、プランを選択しなければいけません。

プランによって月額料金や1回ごとの手数料などが異なります。そのため、数々のプランから適切なプランを選択することが重要です。
プランの選択を誤ってしまうと手数料が割高になってしまい、売上げに良くない影響を及ぼす可能性も出てきます。

2.日本ではまだ利用者が少ない

日本ではまだ利用者が少ないことも、あらかじめ把握しておくべき注意点です。BNPL(後払い決済)というサービスは日本国内だとまだ浸透しきっていません。
そのため、利益の面でメリットを感じにくい可能性も考えられます。

しかし、将来的に普及する可能性も大いにあります。利用者が少ないうちから導入しノウハウを取得できるのであれば、デメリットをメリットに転換できるでしょう。
そのような運用が可能であれば、認知度が低くても導入する価値は高いです。

BNPL(後払い決済)サービスを選ぶ時のポイント


BNPL(後払い決済)サービスは複数あります。その中から自社に適したものを選ぶことが重要です。
最後に、サービスを選ぶ時のポイントを紹介します。

1.利用料金はいくらか

利用するサービスによって料金は異なるため、料金が自社に合っているか確認しておくことが大切です。利用料金は、月額料金と決済手数料を足した金額となるのが一般的です。

BNPL(後払い決済)サービスでは、複数のプランを用意しているケースが多く見られます。
プランによってサービスの内容と利用料金が異なるので、細かい部分までチェックしてから契約してください。
請求書を同梱するサービスはオプション料金が必要になる場合もあるため、ペーパーレスを選択したほうがコスト削減につながります。

金額だけではなく、必要なサービスが含まれているかどうかも重要です。その2つを加味した上でプランを選択すれば、後悔する可能性は低くなるでしょう。

2.後払い可能な上限金額はいくらか

利用するサービスによって、後払い可能な上限金額も異なります。与信枠の上限に差があるため、利用できる金額も変わります。
つまり、取り扱っている商品が高額だと与信枠を超えてしまう可能性があり、購入できなくなってしまうという事態になりかねません。

後払い決済でも支払いができない状況になってしまい、販売機会の損失につながります。
そうなることを防ぐためには、あらかじめサービスの与信枠を確認しておく必要があります。
条件が、取り扱っている商品の金額よりも高いサービスを選択しておけば問題ありません。

契約する時に与信枠を確認しておけば、後悔せずに済みます。忘れずにチェックしてください。

3.既存システムとの連携ができるか

既存システムとの連携ができるかもあらかじめチェックしておくべきポイントです。利用しているシステムと連携ができなければ、導入しても意味がありません。
利用料金も発生するので、しっかりと連携できるサービスを選びましょう。

BNPL(後払い決済)サービスの中には、顧客管理システムなどと連携ができないものもあります。
サービスの質を落とさないためにも顧客管理システムは重要になるので、連携できるタイプを選ぶのがおすすめです。

また、連携を自動でできるタイプと自分でデータの書き出しなどを行わなければいけないタイプがあることにも、注意が必要です。
新たなシステムの導入はただでさえ労力が必要になるので、できるだけ負担が少ないサービスを選ぶようにするとスムーズに移行できます。

まとめ

BNPL(後払い決済)とは、クレジットカードなどがなくても分割払いができる便利なサービスです。
クレジットカードを持っていない、使い過ぎが怖くて利用していないといった不安を抱える方が高額な買い物をする際に役立つでしょう。
インターネットショップでの買い物にも利用できるので、若い世代を中心に需要が高まっています。

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(編集:創業手帳編集部)

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