社員のモチベーションアップのための朝礼術!心を前向きにする「Good and New」とは?

創業手帳

朝の10分で脳がやる気モードに!

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(2017/01/25更新)

会社を創業して、創業時のやる気たっぷりのメンバーだけで事業を動かしている間はあまり問題がなかったものの、人が増えてくると全社員のモチベーションを保つのは難しいな、と感じる経営者の方は多いのではないでしょうか。

私はキャリアコンサルタントという仕事柄、働く人の悩みや、人を採用し、育てようとする経営者の悩みに触れる機会が多いのですが、「働く人」と「雇う人」との「すき間」は、両者が考えているよりも大きいと感じています。そのすき間を埋めるのに、朝礼が役に立つのです。

なぜ社員のモチベーションは上がらないのか

実際に、社員が増加中だという会社の社長が、少人数の頃にはあった社員の「一体感」や「密なコミュニケーション」を、保つのが難しくなり、困っているという相談を受けたことがあります。そこで私はそちらの会社の社員研修をさせてもらいながら、研修の中で「仕事の悩みをお互いに伝えあう」というグループワークを取り入れました。悩みを共有することで気持ちが軽くなりますし、私もその場にいることで社員の気持ちを聞くことができるからです。(その場には社長はいらっしゃいません)。

そうすると出てきた悩みは・・・

「自分が任されている仕事は荷が重いと感じている」
「会議でなかなか発言ができない」
「仕事の量がその日によって違うので、自分のペースで仕事をしにくい」
「事務の量が多すぎて、思うように外出できない」
「外出が多すぎて事務ができずに残業になってしまう」
「仕事の進め方があっているのか不安」

そうです。社員の悩みの多くは「自分の仕事」のことなのです。当たり前と言えば当たり前なのですが、社長が日々考えていること、

「顧客満足のためにできることは何か」
「前年度比120%の売り上げを上げるには」
「新規開拓を伸ばすには」
「5年後のビジョンは」
「社員が快適な環境で働けているか」

このような「会社を良くすること」という視点で、社員は仕事をとらえていないのです。まずはこのギャップがあるということに気付かなくてはいけません。

ハーズバーグのモチベーション理論

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次に考えたいのは、モチベーションを上げるために必要な要素についてです。フレデリック・ハーズバーグというアメリカの臨床心理学者の理論を紹介します。
彼は、人間には2種類の欲求があり、一つ目は「苦痛を避けたい」という動物的な欲求、二つ目は「成長したい、達成したい」という人間的な欲求であると仮定しました。
前者のことを「衛生欲求」後者のことを「動機付け欲求」と呼び、その関係性を調べたところ、「衛生欲求」は不満の要因になりやすく、「動機付け欲求」は満足の要因になりやすいという傾向に気付きました。

「衛生要因」
  • 職場での監督の仕方
  • 会社の政策と経営
  • 作業条件
  • 対人関係
  • 賃金など
「動機付け要因」
  • 仕事の達成感
  • 達成の承認
  • 仕事そのもの
  • 責任
  • 成長の可能性など

「衛生要因」の改善は、職場の不満を軽減させますが、職務満足は「動機付け要因」によってはじめてもたらされるということがわかりました。

つまり、職務の不満を軽減させ、社員のモチベーションを上げるには、「衛生要因(会社の政策と経営など)」を改善させることも大切ですが、それと同時に「動機付け要因(達成感や達成の承認など)」を取り上げ、その改善を行うことが重要なのだということがわかったのです。

社員の心を前向きにさせる朝礼とは

そこで、私が提案したいのは「朝礼」です。え?今さら?と思われるかもしれませんが、あなどることなかれ。「朝礼」をうまく活用することで、社員の心を明るくし、やる気スイッチを入れることができるのです。
私は大学でキャリアに関わる講義を行っているのですが、学生のやる気は一人一人違いますし、同じ学生でも季節やその時の気分によっても違います。みんなをやる気にさせるには、どうすればいいのか、試行錯誤していました。

そんな時に出会ったのがアメリカの教育学者ピーター・クラインの「GOOD AND NEW」というワークです。
学校のクラスで毎朝、その前の24時間で起きた「良いこと」、「新しく発見したこと」を発表するのです。それを続けるうちに、一日中「良いこと」「新しい発見」に意識が向くようになり、クラス内が明るくなり、モチベーションアップにつながったというのです。

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早速大学のクラスで試してみました。最初、学生たちは戸惑い、何を言えばいいのかわからず、「そんな良いことなんてありません」という学生もいましたが、毎週続けることで「お年寄りに席を譲りました」とか「朝起きたら寒かったので、ランニングをしたらとても気持ちよかったです」とか、何気ない瞬間の「良いこと」に気付ける学生が続出。クラスのメンバーのお互いのことが、毎回の発表でよくわかるようになり、コミュニケーションもうまく取れるようになってきます。年間授業が終わるころにはみな楽しそうに話せるようになるのです。

それをもう3年続けています。今では昨年担当した学生が学内ですれ違った時に「GOOD AND NEWが懐かしいです。」と声を掛けてくれたりします。

これを企業の朝礼で使っても、同じ効果が期待できます。社員同士がお互いのことをよくわかるようになり、コミュニケーションが円滑になることから、「衛生要因」の「対人関係」を改善させることができます。さらに、一人の発表が終わる度にみなで盛大な拍手をしてください。「動機付け要因」の「達成の承認」をくすぐることになります。それを毎日毎日続けるうちに、明るい気持ちで仕事に取り組めるようになり、「仕事そのもの」を楽しめるようになります。そうすると「責任」のある仕事にも積極的に取り組むようになり、「仕事の達成感」につながっていきます。またそれが「成長への期待感」にもつながるのです。

前述の社長にこれをおすすめしたところ、まず社員同士の仲が良くなり、仕事中のコミュニケーションを取りやすくなったようだとのこと。まだ始めて2か月弱なので、劇的な変化というわけではありませんが、効果はあったと感じてもらえています。

まとめ

「朝礼をしましょう」と言うと、何をすれば良いのかわからない、話すネタに困る、とおっしゃる経営者の方が多いのですが、これなら明日からでも簡単にできますよ。ぜひ取り入れていただき、毎朝気持ちよく仕事を始められる職場づくりにお役立てください。

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(監修:綺羅女アリュール 山本桂子
(編集:創業手帳編集部)

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