【募集開始】平成28年度創業補助金 基礎〜申請のポイントまで、まるごと解説
専門家・濱口誠一が基礎から徹底解説
(2016/04/05更新)
平成28年度の創業・第二創業促進補助金の募集が開始されました。今回は、予算縮小に伴い相当に狭き門となることが予想されます。また、特定創業支援事業を受けることが必須となり、従来よりも準備等の面でもハードルが上がっておりますので、十分に検討のうえ応募することをお勧めします。
しかし、返済不要な補助金は創業希望者には大きな魅力であることは確かです。そこで、以下に補助金の概要と申請にあたってのポイントを記載致しますので、ご活用ください。
1.概要
1)対象者
以下の2つが対象となります。
①新たに創業するもの
・平成28年4月1日以降に創業する者であって、補助事業期間完了日までに個人開業又は会社(以下、会社法上の株式会社、合同会社、合名会社、合資会社を指す。)
・企業組合・協業組合・特定非営利活動法人の設立を行い、その代表となる者が対象となります。
・つまり、平成28年3月31日までに創業している場合は対象外となるので注意が必要です。また、NPOなど特定非営利活動法人が対象であることも特徴といえます(ただし、中小企業との連携・支援が必要等の条件があります)。
②第二創業するもの
・個人事業主、会社又は特定非営利活動法人であって、平成27年10月1日から平成28年10月1日かつ補助事業期間完了日までの間に事業承継を行った者又は行う予定の者が対象となります。
また、平成28年4月1日から補助事業期間完了日までに既存事業以外の新事業を開始することが必要です。なお、代表者の承継は親族に限りません。
・言い換えると、事業承継後に行う新規事業が対象となります。事業承継が要件であるため、単に新規事業を行うだけでは対象となりません。
*上記①②における「会社」及び「個人事業主」とは、以下の定義に該当する「中小企業者」を指します。
・製造業その他:
資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人事業主(注1)
・卸売業:
資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主
・小売業:
資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人事業主
・サービス業:
資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主(注2)
注1 ゴム製品製造業(一部を除く)は資本金3億円以下又は従業員900人以下
注2 旅館業は資本金5千万円以下又は従業員200人以下、ソフトウエア業・情報処理サービス業は資本金3億円以下又は従業員300人以下
2)産業競争力強化法に基づく要件
以下の2つの要件を満たすことが必須となります。
①産業競争力強化法に基づく認定市区町村における創業であること
②特定創業支援事業を受けるものであること(受ける見込みでも可)
①により、創業する地域も要件となりますので、事前に確認が必要です
*申請対象となる創業地域(認定市区町村等)
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/chiiki/2016/160325ninteijichi.pdf
②は今回より新しく追加された要件です。特定創業支援事業における経営相談やセミナー等の受講が必須となります。
また、今後受ける見込みでも対象となりますが、その場合は、「確認書」が必要となります。
該当地域により内容や実施時期が異なるので、創業補助金を検討される場合は、早急に確認する必要があるでしょう。
*認定特定創業支援事業に関する情報
https://www.mirasapo.jp/starting/specialist/chiikimadoguchi.html
*東京都中野区の特定創業支援事業
http://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/162000/d020990.html
3)補助金額
新たに創業するもの、第二創業するもの共に100万円〜200万円、補助率は2/3です。
つまり、300万円使用した場合に、その2/3である200万円が補助されます。
また、補助金は対象費用を支払った後に支給されます。そのため、補助金の分の資金を事前に確保しておくことが必要です。
*第二創業で、既存事業を廃止する場合は、廃止費用として800万円まで補助。
4)対象経費
人件費、店舗借入費、広報費等、幅広い費用が対象となりますが、「使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費」が対象となります。
そのため、車両費用やパソコン購入費用など、特定が困難な費用は対象経費とならない場合があり、注意が必要です。
また、支払った証憑が必要となるだけではなく、事前に見積もりや発注などの証憑も必要となり、発注や支払いの期間も指定されることがあります。
2.申請におけるポイント
申請後は、審査員による審査により採択の可否が決定されます。審査員は大量の申請書を審査し、かつ、申請事業の詳しい知見を持つ審査員が審査するとは限りません。
さらに、書類のみで審査され、口頭での補足説明等を行うことができません。したがって、
- 誰が見ても一目でわかるように記載する(図表等も活用する)
- 専門用語の使用は避ける(使用する場合は注記をつける)
ことが必要です。また、申請にあたっては選考のポイントを必ず満たすようにしましょう。
募集要項には下記のポイントが明記されております。
- 事業の独創性
- 事業の実現可能性
- 事業の収益性
- 事業の継続性
- 資金調達の見込み
さらにそれぞれの項目について、詳細なポイントが明記されています。
例えば、事業の収益性については、「ターゲットとする顧客や市場が明確で、商品、サービス、又はそれらの提供方法に対するニーズを的確に捉えており、事業全体の収益性の見通しについて、より妥当性と信頼性があること」とあります。つまり
- ターゲットとする顧客や市場は〜である。ニーズは〜である。
- 提供する商品・サービスは〜、提供方法は〜で、これは顧客のニーズを〜という理由で捉えることができる。
- 売上高は〜の理由で○%の成長が見込まれ、費用は〜や〜の費用が〜の理由で必要となり、○年後に単年度で黒字になる。
という視点が求められるということです。これはあくまで一例ですが、募集要項の選考のポイントに書かれていることについては、丁寧に一つ一つ回答してくことが重要です。
事業計画書の作り込みに加えて、特定創業支援事業の確認など、事前準備が重要にも関わらず、募集期間が短いのが特徴です。さらに、今回は予算規模の縮小等により採択率が下がることも予想されます。
申請される際は、早めに準備をはじめ、かつ、第3者に内容の妥当性やわかりやすさを確認してもらう等、採択の可能性を上げるために最善の努力が必要と考えます。
(監修:中小企業診断士 濱口誠一(はまぐち せいいち))
(編集:創業手帳編集部)