翌年度の事業計画と予算編成は年内に!経営者が押さえるべきポイント

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翌年度の事業計画と予算編成は年内に


「翌年の準備は新年に入ってからでいい」と考えていませんか?翌年になってから準備してしまうと、スタートダッシュの時点で出遅れてしまうかもしれません。
年内に事業計画と予算を固めることで、資金繰り・採用・投資判断が明確になり、新年をスムーズに迎えることができます。

本記事では、なぜ年内に翌年度の事業計画と予算編成をやるべきなのか、どのように取り組むべきかを整理しました。

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なぜ翌年度の事業計画と予算を年内に立てるべきか


年末になるとどうしても処理しなければならない業務が増えます。業務に追われていると翌年度のことなど考えられないと思ってしまうかもしれません。
しかし、年内に事業計画と予算を立てることには大きな意味があります。どのような意味があるのかここで紹介します。

新年からすぐに行動できる

年内に計画と予算を固めることで、新年初日から具体的な行動を開始できる体制を整えられます
計画未策定の状態で新年を迎えると、そこからビジネス判断をすることになり意思決定が遅延します。
意思決定の遅れによってせっかくのビジネスチャンスを逃してしまうかもしれません。
また、意思決定だけしていたとしても準備や指示が万全ではなければ、業務にすぐにとりかかれないことがあります。

早期に方針を決めておけば、上記のようなロスがなく従業員や取引先への指示が明確になるので業務効率も良くなります。
新年度を効率的にスタートするには年内の計画が重要です。

金融機関や投資家への説明に活用できる

年始から取引先、金融機関との打ち合わせを予定するのであれば、準備は年内にしておくようにしてください。
年内に作成した事業計画と予算は、金融機関への融資申請や投資家への説明資料として活用できます。
余裕をもって準備しておけば、面談や書類提出、審査などの時に質問を受けても迅速かつ正確に回答できます。

具体的な数値目標や資金繰り計画を示すためには、早い段階で客観的なデータをまとめておかなければいけません。
年内に準備しておくことで、信頼性の高い経営判断をアピールしてください。

採用や投資の意思決定を早められる

事業計画は、どのようにお金を使うかの計画でもあります。計画と予算を事前に固めることで、人材採用や設備投資などの戦略的判断を新年早々に実行可能です。

年始に資金計画が明確になっていれば、余裕を持った採用計画や投資配分が可能です。
遅れた意思決定による機会損失を防ぐだけでなく、競合他社に先行できるメリットがあるのでその効果は決して短期的ではありません。

年末の税務対応と合わせて効率化できる

年内に計画と予算を固めることで、年末調整や法人税申告などの税務対応と一緒に整理できます。
計画作成と税務処理を同時進行できれば、経営者の作業負担を軽減でき、年始からは安心してビジネスに集中する環境が整います

税務対応の準備が早く進んでスケジュールに余裕が生まれるので、必要書類の漏れや申告ミスを防ぐ効果が期待できるでしょう。

補助金・助成金の申請準備を早められる

補助金や助成金の申請には事業計画や予算の数値資料が必要です。年内に計画を固めておけば、募集期間に余裕を持って準備ができます。

採択率を上げるためには、申請時の書類作成や根拠説明を円滑に進めてください。補助金や助成金は申請スケジュールが厳密に定められています。
申請する補助金や助成金がある時にはどのようなスケジュールで進めればいいのか、採択後に何の手続きが発生するのかまで確認しておくようにしてください。

翌年度の事業計画作成のポイント


翌年度以降の事業計画を立てたことがない、そもそも事業計画自体を作成しないといった企業は少なくありません。
また、事業計画を作成していても役に立つものになっていないというケースもあります。

ここでは、翌年度の事業計画を作成する時のポイントをまとめました。

1. 今年の振返りから始める

事業計画を作り始める時には、現状の把握からスタートします。
今年の外部環境と内部環境を分析して、前年の売上や利益の達成度を分析し、達成できた要因と課題を明確化してください。

顧客動向や市場変化は定量・定性データで確認し、次年度の戦略立案に活用します。 課題抽出により、改善点と優先順位を整理して実行可能な計画の土台を作り上げます。
自社の既存事業の内容はもちろん、これからの事業のコンセプトやビジョンまで設定してください。

2. 翌年度の目標を具体化する

前年度の分析と翌年以降のビジョンをベースにして、いよいよ目標を具体化していきます。売上・利益目標を具体的な数値で設定して、事業戦略の方向性を明確化します。
ターゲット顧客層や営業チャネルを明確にしていくことで計画の実行可能性を高めていくようにしてください。

翌年以降の新規事業や商品改善、市場開拓の施策を具体的に定めたら、次はKPIに落とし込む工程に進んでください。
KPIは、Key Performance Indicatorの略称です。重要業績評価指標と呼ばれ、ゴールに向かうまでの目標数字です。
KPIがあることによって、目標達成に向けて適切に業務が遂行されているかを定量的に把握できます。

3. 行動計画に落とし込む

事業計画の作成は、ビジョンに向かってそれを実現するためのフローを策定する作業です。事業計画が経営陣の頭の中にだけあっても周りには伝わりません。

目標を共有するためには、「誰が」「いつまでに」「何をやるか」を具体的に設定し、責任と期限を明確化してください。
KPIやマイルストーンを設定することで、進捗管理と達成度評価がしやすくなります。
事業計画を机上のものではなく、現実的かつ実行可能なレベルに分解し、現場での実務に反映させるように意識して作成してください。

翌年度の予算編成のポイント


自社の経営方針やビジョンの売上目標、利益目標を設定し、予算編成もしなければいけません。
予算編成は、単純な資金管理だけでなく翌年度以降のリスクを想定して備える意味もあります。

翌年度の予算編成を作成するポイントをまとめました。

1. 売上予測の精度を高める

売上予測の段階では、客観的なデータに基づき詳細に将来の売上を予測します。既存顧客の購入履歴や契約状況をもとに売上見込みを数値化して精度を高めてください。

売上予測のためには、過去の見込み顧客数と実績成約率、成約までの進捗率やリードタイムも調べておきます。
予測の前提条件を明確にすることで、計画の信頼性と修正時の判断材料を確保できます。
さらに、新規顧客獲得の可能性や市場動向を加味しなければいけません。これらの要素は不確定である要素も関係します。今までのデータから根拠のある予測を立ててください。

2. 費用計画を立てる

費用計画は経費の現状を正確に把握するために固定費と変動費を分けて考えます。
人件費、広告費、設備投資、外注費などの固定費と変動費を分けると整理しやすく課題も見つけやすくなります。

費用計画では、過去実績と翌年度計画を比較し、コスト削減の余地や投資優先度を判断しなければいけません。
費用計画は細かい数字も調べるため手間がかかりますが、明確化することで、資金繰りの安定化と経営判断の迅速化が可能になります。

3. 資金繰りの見通しを立てる

資金繰りの見通しは、わかる範囲の入出金を整理するところから始めます。月別キャッシュフローを作成し、入出金のタイミングを把握してください。
資金繰りの見通しが立たないと、売上が好調なのに入金がなく資金不足になってしまうリスクがあります。

資金不足を防ぐには、必要に応じて借入れや補助金活用を計画し、短期・長期の資金需要に備えてください。
また、資金繰りのシミュレーションにより、計画実行時の安全性と柔軟性を確保することも大切です。

事業計画と予算をリンクさせるメリット


事業計画と予算は必ずリンクさせなければいけません。これらがつながっていないと事業の途中で齟齬が生じることもあります。

事業計画と予算をリンクさせるメリットをまとめました。

実行可能性が高まる

予算は事業計画や経営戦略と紐づいていなければいけません。
企業の目標達成に向けてどのようにリソースを配分するかを計画するのが予算です。計画と予算を結びつけることで、戦略が現実的かつ実行可能なものとして機能します。

実行段階になってはじめて予算を検討しているようだと、決定に迷いや齟齬が生まれてしまいます。
事業推進のスピードを高めるためにも事業計画と予算がリンクしていることが大前提です。

資金の使い道が明確になる

予算配分を計画と連動させることで、投資すべき領域や優先順位が明確になります。資金は限られているため、どこに集中させていくかを明確にしなければいけません。

どのように資金が流れていくのかが整理できれば、不要な支出や重複投資の防止にもなります。
無駄を省き、効率的に資金を活用して限られたリソースでも最大の成果につなげられるようにするのが理想的です。

KPI管理がしやすくなる

事業計画は目標達成までの道のりを示すものです。KPIは戦略の進捗と成果のモニタリングに使われています。
予算とKPIを連動させることで、目標達成度を定量的に把握できます。

KPIと予算が連動していれば資源を適切に配分可能です。進捗確認が数値ベースで行えるため、改善点を早期に発見できる点もメリットです。
事業計画の修正もスピーディに実行可能になるので、途中経過をチェックするための目印として活用してください。

金融機関や投資家の信頼を得られる

計画と予算が整合していなければ、金融機関や投資家から不安視されてしまうことがあります。
経営の信頼性を対外的に示すには、事業計画と予算がリンクしていて矛盾が生じないようにしてください。

整合性が高い事業計画と予算は、融資申請や資金調達の際に、説得力のある根拠資料として活用可能です。
また、不備がないことによって透明性の高い経営姿勢を示せます。取引先や従業員からの評価に直結する部分なので、ごまかしがないように作成してください。

事業計画と予算編成を社内に共有する方法


事業計画と予算編成は、ただ経営陣が把握していればいいわけではありません。社内で共有して全員で同じゴールに進まなければ達成は不可能です。
事業計画と予算編成を社内に共有する方法を紹介します。

社内説明会や資料で周知する

事業計画と予算編成は、会議やミーティングで伝える方法があります。作成した計画と予算を社内説明会で共有して、全社員の理解と協力を得ます。

社内説明会では、資料やチャートを活用して部門ごとの目標と役割を具体的に示してください。
共有することにより社員の行動指針が明確になり、組織全体で計画の実行性が向上します。

社内ツールを活用して情報を可視化する

事業計画と予算編成は、社内ツールで共有する方法も使われます。クラウドや社内管理ツールにスライドやグラフを使って可視化することで、社員全員が状況を把握できます。
また、進捗や予算消化状況はリアルタイムで確認できるようにするのが理想的です。リアルタイムで把握できれば経営判断を下すときのスピードが向上します。

情報の可視化は従業員の信頼を得ることができます。社員の理解と協力を得るためには、情報を透明化して誰でも把握できるようにしてください。

役割分担と責任を明確にする

事業計画と予算編成は部門別、グループ別に落としこまれます。部門別に担当業務と責任を明確化し、実行計画の責任所在を明確にしておいてください。

KPIや期限を設定することで、進捗管理と評価が容易になります。
それぞれが果たすべき責任を可視化して自分の行動が目標達成につながっていることを意識できるようにしてください。
業務遂行の遅延や不明確さを防ぐためにも有効な施策です。

定期的な進捗確認を行う

事業計画と予算の進捗は、モニタリングして定期的にレビューします。必要があれば修正を加えるようにしてください。

進捗報告を全体に共有することで、部門間の連携と問題点の早期発見がしやすくなります。
定期確認により計画通りの実行を維持し、新年からの事業推進力を高めることが目標です。

社員の意見を反映してエンゲージメントを高める

計画や予算案を共有する際には、現場の従業員からも意見を募集してください。これは現場目線の改善を行うためです。

また、社員参加型のプロセスがあれば、目標への納得感とコミットメントが向上します。
意見に応じたフィードバックを反映することで、会社のことが自分事であると意識できます。計画実行時の協力体制を強化するためにもエンゲージメントを高めておきましょう。

まとめ|年内に準備して新年をスムーズにスタート

翌年度の事業計画と予算編成は計画的に策定してください。年内に事業計画と予算を固めることで、新年から即行動できる体制を整えられます。
計画と予算をリンクさせ社内で共有すれば、経営判断の精度とスピード感の向上にも貢献します。
今年の振返りを活かして翌年度の戦略を具体化し、競争力のある事業運営を目指しましょう。

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