空き店舗を活用したビジネス事例10選│成功のポイントや注意点も解説
空き店舗を活用して新たなビジネスを始めよう

近年、空き店舗やテナント数が増加傾向にあります。それは人口の減少に加えて商業エリアの再編、消費行動の変化など、様々な要因が重なって起こっているからです。
そんな中、空きスペースに注目して再活用をする動きが増えてきましたが、空き店舗を利用するとどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
この記事では、空き店舗の活用方法に加えて向いているビジネスなども解説します。
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この記事の目次
空き店舗活用ビジネスが注目される背景と市場動向

近年、社会全体の高齢化、人口減少が著しくなってきたことで、至るところでシャッターの閉まった空き店舗を見かける機会が増えてきました。
そんな中、このような空き店舗を活用したビジネスが注目されています。
ここでは、空き店舗活用ビジネスが注目されている背景に加えて、市場の動向について紹介します。
空き店舗が増えている社会的背景
街を歩いたり車で通ったりすると、シャッターが下ろされている空き店舗を見かける機会が増えています。
特に地方都市では、通り全体の店舗がシャッターで閉まっている場所もあり、かつては中心となっていた地域の活気さえも感じられないところが存在しているのです。
このような現象の背景には地域全体の人口減少、都市部への流出、高齢化、後継者不足、ECサイトの普及、消費行動の変化や多様化、地域経済の衰退などいくつもの社会課題が重なっていることがわかります。
現在は、空き店舗を新たに有効活用する動きが全国で活発化しているだけでなく、活用しやすいように低リスクなスタートアップ手法も機能してきました。
空き店舗を活用するメリットとデメリット
空き店舗を活用すると、どのような点でメリットやデメリットがあるのでしょうか。
メリットは、既にある店舗の空き部屋や空間を借りられるので小規模なスペースから新たな事業が始められることです。
また、空きスペースを持っている側からすれば新たな収益を得られるため、コストをかけずに収益化が期待できます。
しかし、デメリットとして盗難や物損、不法侵入などのトラブルが起こるリスクが考えられるだけでなく、利用者との契約違反やマナートラブルが起こらないとも限りません。
少しでもデメリットを減らすには契約書の整備や保険加入などを事前に検討しておくと安心です。
空き店舗を活用したビジネス事例10選

空き店舗は実際にどのような方法で活用されているのでしょうか。ここでは、空き店舗を活用したビジネスについて紹介します。
小規模で始めやすい事例
空き店舗が狭小で比較的小さなスペースでも始めやすいのが無人販売所、カプセルトイ専門店、荷物の預かりサービスです。これらについて詳しく説明していきます。
無人販売所
急速に広がっているのが無人販売所や自動販売機に関するビジネスです。人気店の味が24時間いつでも購入できる冷凍自販機は、小スペースでも収益化しやすいです。
無人販売ということで常に販売員を設置することがないので、オーナーの負担も軽減できます。
冷凍であることを活用して売れ筋の商品を見極めたり、定期的に商品の入れ替えを行ったりすると新鮮さが感じられます。
一定の人通りがある環境となる駅前や商業施設周辺なら回転率についても維持しやすいです。
カプセルトイ専門店
全国で増えてきているのがカプセルトイ専門店です。人気のカプセルトイは、一般的な自動販売機などと比べてランニングコストや手間がかからないと言われています。
そのため、空きスペースをカプセルトイ専門店に変えるところが増えてきました。
ターゲット層も幅広く、現在は大人向けのトイも増えていることから、どのような小スペースからでもスタートしやすいです。
設置するだけですぐ運営でき、人件費もほとんどかかりません。話題性のあるアイテムを入れれば、リピーターも増えるしょう。
荷物の預かりサービス
都市部を中心に人気なのが荷物の預かりサービスです。住宅の事情によって収納スペースが限られる環境となった場合に、荷物の預かりサービスは重宝されます。
できるだけ、駅から近い立地や住宅街の空きスペースに注目すると収益化しやすいです。
ただし、荷物を安心して預けてもらうにはセキュリティ対策や防犯面で安心できる環境作りがポイントです。
無人運営ができるシステムの導入で、常に管理する体制や手間が省けます。
サービス業としての活用事例
続いて、サービス業として空き店舗を活用できる方法を紹介します。
コワーキングスペース・シェアオフィス
テレワークやフリーランスとして働く人が増加しています。このような人を対象として空き店舗を活用できるのが、コワーキングスペースやシェアオフィスです。
空き店舗や空きビルの一室を使い、短時間から利用できるスペースを提供することで自宅では集中できない人に利用してもらえます。
ただし、運営する際にはWi-Fiや電源設備などを整えて少しでも快適な環境にすることが大切です。
スペースを活用しやすいように、カフェやレンタルオフィスなど用途によって変えられる仕組みがあると成功しやすいです。
シェアキッチン
空き店舗で飲食店を開業するとなるとハードルの高さを感じますが、比較的コストを抑えて始めやすいのがシェアキッチンです。
低コストで始めやすいビジネスで、飲食店の跡地が空き店舗になっている場合に適しています。
開店時間によって飲食店が変わるシェアキッチンや、デリバリー専門のゴーストキッチンなどとして活用しやすいです。
他にも、フードトラックの調理拠点にも活用できます。デリバリーの一定需要があるエリアでの展開が向いています。
シェアサロン
フリーランスで働くエステティシャン、ネイリスト、美容師、整体師などが活用しやすいのがシェアサロンです。
シェアサロンもシェアキッチン同様、他の個人事業主と時間や空間をシェアしてサロン運営することになります。
サロン運営に必要なベッドや備品などが揃っているので、過去にサロン運営していた空き店舗などでは費用をかけずに利用しやすいです。
個人でサロンを運営する場合と比べて初期投資や固定費が軽減できるだけでなく、自由な働き方に対応しやすいのが特徴です。
イベントスペース・撮影スタジオ
空き店舗やスペースは、撮影スタジオやイベントスペースとしての活用も可能です。
自由な空間を利用目的に合わせて変えることができるだけでなく、短時間からの利用もできるので柔軟な要望にも応えやすいです。
記念撮影の他にも動画撮影、誕生日会、ワークショップなどの目的に合わせた内装に変えればSNS映えも期待できます。
ただし、周囲の環境や目的によって騒音などが気にならないような時間帯に限定するなどの対応も必要です。
ポップアップストア(期間限定店舗)
空き店舗は、期間限定や短期間のみの営業をするポップアップストアにも適しています。
最近は、オンラインショップのリアルショップとしてポップアップストアが開店するケースも増えています。
ブランドの新サービスのプロモーション、テストマーケティングなどに活用できるので、空き店舗やスペースの有効活用にも最適です。
短い期間での利用がしやすいので、固定費をかけずに利用できる点が出店者には大きなメリットに感じます。
投資型・大型活用事例
空き店舗は、投資型や大型の活用も可能です。ここでは、投資型・大型活用事例について紹介します。
トランクルーム・コンテナ収納
空き店舗が広い場合は、トランクルームやコンテナ収納などが活用しやすいです。
住宅事情によっては収納スペースが不十分なケースも多く、主に都心部などでは利用者が増えている業態です。
季節用品の他に趣味などを保管する場所としても、トランクルームやコンテナ収納は一定の需要が見込めます。
ただし、顧客の荷物を預かる以上は防犯カメラやセキュリティ対策などを徹底すると安心です。
簡易宿泊施設・民泊
空き店舗なら簡易宿泊施設や民泊としても利用できます。簡易宿泊施設は、旅館業法に基づいた宿泊施設であり、カプセルホテルなども同じ分類です。
そのため、建築基準法や消防法に基づいた建物であれば利用できます。
一方の民泊は、住宅宿泊事業法に基づいていて、自宅や空き家の一部を使って宿泊させるものです。
年間180日以内の営業しか認められていないので、空き店舗などの環境を確認してから行ってください。
空き店舗活用ビジネスの始め方・手順

空き店舗を活用したビジネスを始めたい場合、どのような流れや手順で始めるのでしょう。ここでは、ビジネスの始め方と手順を見ていきます。
物件探しと契約の流れ
空き店舗を活用する目的に合わせて物件を探してください。不動産屋に行く前にある程度の予算や物件の条件を決めておき、問い合わせてから行くと効率よく探せます。
条件に合った物件を見つけたら実際に内見してみましょう。確認したいのは周囲の雰囲気、内装、設備、人通りなどです。
シェア店舗にする際には営業したい時間周辺に内見を行い、周りの環境を確認します。物件を決めたら契約し、問題がなければ賃貸契約書にサインと捺印をして終了です。
改装・設備投資のポイント
空き店舗の改装や設備などの相場は、物件の状態や業種によって変わってきます。
居抜き物件で同じ業種として開業するなら、一定の設備を引き継げるので費用はあまりかかりません。
費用を抑えたいなら居抜き物件をチェックしてみてください。
一部店舗改装などを検討している場合は、国や自治体が提供している助成金や補助金の活用でお得に環境が整えられます。
営業許可や法規制への対応
空き店舗で営業する場合は、規制や法律について理解するだけでなく、条件が満たされているかについても確認します。
法律でチェックしておきたいのは消防法、建築基準法、特定商取引法です。
建物の避難経路や設備が基準を満たしているか、建物の用途変更が必要かどうか、キャンセルポリシーが明確かなどをチェックしてください。
飲食提供を行う際には、保健所に営業許可申請を済ませて食品取扱者資格の保持があるかを確認します。調理場の衛生基準についても満たしていることが条件です。
空き店舗を活用したビジネスで成功するためのポイント

空き店舗でのビジネスを成功させるには、以下のポイントをチェックしてください。
初期費用は極力抑える
初期費用はできるだけ抑えるようにします。できるだけ同じ業種の空き店舗を探し、以前使っていた設備をそのまま利用すると改修費が大幅に削減できます。
居抜き物件が見つからない場合は、中古設備を探したり、公的な支援制度を活用したりしましょう。
地域・ターゲットの需要を調査する
空き店舗利用の際には、周辺の地域やターゲットの需要などを調査してからスタートします。
日常的に利用してもらいたいか、特定の目的で来店してほしいのかなどで営業する地域やターゲット層が変わります。
また、内装や空間の使い方などもターゲット層に合わせなくてはならないでの、市場についての調査は事前に済ませておくことが大切です。
SNSや広告などを活用して集客戦略を立てる
継続的な運営のためには、SNSや広告などを活用して集客を行うようにしてください。
ターゲットの特性に合わせた広告やプロモーションを選ぶと、顧客基盤が構築されてリピーターの獲得にもつながります。
情報発信の方法や地域コミュニティとの連携なども視野に入れると、安定した顧客基盤が築きやすいです。
補助金制度を活用する
空き店舗の多い地域では、地域経済の発展などを目的として空き店舗を活用した事業に対して補助金を支給することもあります。
補助金を交付して新しい事業が参入してくれることで、その地域の活気や経済停滞が解消するからです。
空き店舗を活用する際には、地域でどのような補助金制度があるかを確認してみてください。
空き店舗を活用したビジネスで注意すべきこと

空き店舗であるということは、過去に何かしらの事業が失敗している可能性があります。ここでは、空き店舗を活用したビジネスでの注意点について解説します。
想定より利益が出ない可能性がある
空き店舗で新たな事業を開業したとしても周辺の環境や立地が適していなかったり、想定したような集客が見込めなかったりするケースがあります。
事前にいくつかの仮説を立てていたとしても、人通りや周囲の環境とのズレや時間帯による集客傾向などが変わることもあります。
このようなズレが生じた場合は、想定よりも利益が見込めなくなるでしょう。
トラブルに見舞われる可能性がある
空き店舗を利用した場合、契約の条件や近隣とのトラブルなどが起こるかもしれません。
利用者のマナーによるトラブルもありますが、それ以外にも契約内容の見落としなどでビジネスの維持や展開が困難になる可能性もあります。
まとめ・空き店舗を活用したビジネスには計画的な準備が欠かせない!
空き店舗は全国的に増えている状態ですが、環境やスペースを有効活用すれば小規模から事業がスタートできます。
小売りからサービス業と幅広い事業が可能なので、この機会に空き店舗の活用についても検討してみてください。
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(編集:創業手帳編集部)





