店長の役割とは?業務内容・必要スキル・向いている人の特徴など徹底解説

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店長の役割とは?基本から実務までのまとめ


店舗運営において、店長は売上や利益の管理だけでなく、スタッフの育成やシフト調整、接客品質の向上、さらには集客や販促施策の企画まで、多岐にわたる業務を担います。
また、現場で発生する様々なトラブルへの対応や本部との連携など、経営と現場をつなぐ重要なポジションです。

今回は、店長の具体的な業務内容や求められるスキルと、店長の業務に向いている人の特徴をわかりやすく解説します。
これから店長を目指す人や、職場の業務改善を考えている人はぜひ参考にしてください。

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店長の主な役割・業務内容と求められるスキル


店長の主な役割は店舗運営を取りまとめることにありますが、ほかにも多岐にわたる業務をこなしています。
ここでは、店長の主な役割と業務内容に加え、各業務に求められるスキルを紹介します。

売上管理

店長の役割として、店舗の売上管理が挙げられます。
日々の売上データを集計したり、前年や売上予算と比較したりすることで、改善が必要な部分がないか見極めていきます。

売上管理を行っていくためには、以下の能力が求められます。

  • 数字を正確に読み取る数字感覚
  • 売上が低迷している要因をはじめ、売上が伸びている商品の傾向をつかむための分析力
  • 売上目標に合わせて計画を立てるために予算管理の基礎知識など

ただ売上目標を立てるのではなく、分析したデータをもとに的確な販売戦略や施策を考えて実行することが求められます。

人員配置・シフト管理

店舗によって、ピークタイムや曜日ごとに来客数は変動します。飲食店であれば、平日が混雑するところもあれば休日のほうが混雑する店舗もあります。
こうした来客数の変動にも対応できるよう、適切な人員配置・シフト管理が必要です。適切なシフト管理によって、接客の品質向上や売上アップにも直結します。

店長はスタッフ一人ひとりの特性や経験を踏まえた上で、最適なシフトを組むための人材配置力が求められます。
また、急な欠員が出た時や繁忙期にも柔軟に対応できる計画力も必要不可欠です。
さらに、スタッフ間の業務バランスを取りながら、仕事へのモチベーションを保てるようサポートするマネジメント力も必要です。

人材育成・チームビルディング

店長はスタッフ一人ひとりの育成に努め、チームビルディングに注力することも重要な役割のひとつといえます。
業務や接客方法を教える教育力や、スタッフの仕事ぶりを評価し改善点を伝えるフィードバック力、スタッフの悩みに寄り添いつつ成長をサポートするメンタリングが必要です。

優秀なスタッフを育てて、スタッフ同士が協力し合える前向きに働ける環境をつくることで、チーム全体のモチベーションと生産性は向上します。

仕入れ・在庫管理

店舗運営では、適切な仕入れと在庫管理が売上の確保とコスト削減の両方に影響します。商品を不良在庫にすると、売上の低下・コスト増加につながる恐れがあります。
また、仕入れを少なくしすぎると、顧客の需要を満たせないことがあるかもしれません。このような事態にならないように、適切な仕入れ・在庫管理を行う必要があります。

求められるスキルは、商品の発注量を需要に合わせて調整する発注調整力に加え、在庫ロスを最小限に抑える在庫適正化、価格交渉や納期の調整などを行うのに交渉力です。

業務の効率化・現場改善

店長は生産性を高めるために、業務の中でムダになっている箇所や非効率な部分を見つけ、改善しなければなりません。
業務を効率化したりスタッフにとって働きやすい現場に改善できたりすれば、スタッフの満足度と仕事に対するモチベーションが高まり、より良いサービスの提供につながります。
また、業務の効率化によってコストの削減も可能です。

店長が業務の効率化や現場改善を行うためには、課題を的確に見極めるための改善提案力や、業務の流れを把握してムダな工程を減らすオペレーションの最適化が必要です。
スタッフの提案を取り入れていくことで、より良い店舗づくりができます。

コンプライアンス・トラブル対応

コンプライアンスの遵守やトラブルへの対応も、店長の重要な仕事です。健全な店舗を運営するためには、コンプライアンスの遵守が欠かせません。
また、スタッフにコンプライアンスの遵守を徹底させることも、店長の役割といえます。
現場で発生したクレームやトラブルに対して、店長が冷静に対処しなければ問題解決にはつながりません。

コンプライアンスの遵守に必要なものは、労働基準法や景品表示法などの法律に関する知識です。
また、トラブル対応には問題発生時に被害を最小限に抑えるリスクマネジメント力、さらに感情に流されず適切な対応を取るために、冷静な判断力なども必要です。

店長の1日のスケジュール(例)


ここからは、飲食店を経営する店長のスケジュール例を紹介します。

・開店準備(10:00~)
営業を開始する1~2時間前には出勤し、開店準備を進めます。具体的には、清掃や在庫・消耗品のチェックなどを行います。

・朝礼(10:45~10:55)
スタッフが集合したら朝礼を行い、伝達事項を伝えます。

・ランチ営業・事務作業(11:00~)
基本的に店長は裏方の業務をこなすことが多く、営業開始後は事務作業を行います。SNSやホームページの更新作業、シフト管理、発注業務などが一例です。
スタッフに当日の欠員が出た場合は、店長が代わりに現場へ入ることもあります。

・現場のサポート(ピークタイムなど)
飲食店の場合、ランチタイムやディナータイムはピークタイムとなり、多くの人が訪れます。スタッフをサポートするために店長が現場に入る場合も少なくありません。
いつでもサポートに入れるよう準備しておきます。

・ランチの片付け・ディナーの準備など(14:00~15:00)
ランチのピークタイムが終了して客入りが落ち着いてきたら、ランチの片付けと、ディナーの仕込み・準備を進めます。
スタッフが対応する場合がありますが、店長が行う場合もあります。

・食事、休憩(15:00~16:00)
一時閉店し、食事と休憩を取ります。ディナーに向けてしっかりと体を休ませます。

・ディナー準備・夕礼(16:00~17:00)
休憩時間が終わったらディナーの仕込みや清掃作業を行います。スタッフと夕礼を行い、スタッフに共有したい事項を伝えます。

・ディナー営業・事務作業(17:00~)
現場のサポートに入りつつ、事務作業を行います。クレームやトラブルが発生した際は、すぐに駆け付けて対応することも仕事のひとつです。

・在庫確認・売上確認(23:00~)
営業時間が終了したら、片付けや掃除をスタッフに任せて、在庫確認とレジ締めを行います。1日の売上を確認したら営業日報を作成します。

・退店(0:00)
店舗の戸締まり・火の元をしっかりと確認してから退店します。

店長に向いている人の特徴


店長になるために、資格取得やスキルは基本的には不要ですが、店長に向いている人にはいくつか特徴がみられます。ここで、店長に向いている人の特徴を解説します。

皆を引っ張ってくれる

店長に向いている人の特徴として、皆をまとめ上げて引っ張ってくれることが挙げられます。
円滑な店舗運営を行うためには、スタッフ同士で協力し合うことが重要で。
店長がリーダーシップを発揮して皆を引っ張ってくれることで、質の高いサービスの提供につながります。

コミュニケーション能力が高い

スタッフへの的確な指示出しや相談しやすい雰囲気づくりは、スタッフの働きやすさにも直結してきます。
店長のコミュニケーション能力が高ければ、スタッフとの連携も円滑になり生産性の向上に期待できます。
顧客との良好な関係性を構築する上でも、コミュニケーション能力は必要です。

自分から積極的に行動できる

自分から積極的に行動できる人も、店長に向いているといえます。店舗を運営していると、様々な場面で壁にぶつかってしまうこともあります。
しかし、積極的に取り組んでいけば問題解決にもつながるでしょう。

店舗運営に対して熱意を持っている

店長は様々な業務を担うだけでなく、責任を問われる場合もあります。トラブルやクレームへの対応に追われることもあります。
そのため、店舗を運営していくための熱意を持っていることが重要です。熱意があることで活気が生まれ、スタッフの士気も高まります。

臨機応変な対応もできる

店舗を運営していると、予期せぬトラブルに見舞われたり、突然の変更を余儀なくされたりすることがあります。
店長に柔軟性があり、臨機応変な対応ができれば、突発的に起きた問題を解決できるでしょう。

店長に向いていない人の特徴


店長の役割や業務内容などから、店長に向いていない人もいます。ここで、店長に向いていない人の特徴を解説します。

数字を意識できない

店長の主な役割に「売上管理」があることから、店長は常に数字を意識することが重要となってきます。
例えば今月の売上目標を設定し、どうすればその目標を達成できるのかを考えることで、売上を伸ばしていくことができます。
また、運営会社からの評価も売上などを考慮して判断されるケースが多くみられます。こうした背景もあり、数字を意識できない人は店長に向いていない可能性が高いです。

他の人に責任を転嫁する

スタッフがミスをしてクレームやトラブルに発展した場合、「トラブルになったのはスタッフがミスをしたから」「スタッフのせいだ」と考えてしまう人は、店長に向いていません。
店長はその店舗の運営を担う重要な役割であり、大きな責任も担うことになります。
スタッフがミスをしても「十分に管理できなかった自分のせい」と感じ、スタッフと一緒にどうすれば改善できるかを考えられる人が、店長に向いていると言えます。

一人で何でもやろうとする

積極的に行動するのは良いことですが、一人で何でもやろうとする人は店長に向いていないと言えます。
店長が一人で何でもやろうとすると、スタッフはいつまで経っても仕事を覚えられず、指示待ち人間になる可能性が高いです。

店長の悩みとよくある相談Q&A


店舗運営において重要な役割を担う店長は、悩みを抱えてしまうことも少なくありません。
そこで、店長の悩みとよくある相談について紹介します。ぜひチェックしてみてください。

Q. スタッフが思うように動いてくれません

A.スタッフが思うように動いてくれない原因として、以下のようなことが挙げられます。

  • 目的がわからない
  • 具体的に何をすればいいのかがわからない
  • 自分にとって動きやすいやり方がある

採用したばかりのスタッフは、業務に対する目的が共有できていなかったり、具体的な業務に対する理解が浅かったりするため、店長の思うように動かないケースが多くあります。
これを改善するためには、何のために行う業務かを一から説明し、手順を示しながら具体的に指示を出すことがポイントです。

また、マニュアルと大きく異なっても、効率的でリスクをともなう行動を取らなければならないケースもあります。
そのような行動に対して生じるリスクや、マニュアルについて丁寧に説明することが大切です。

Q. 売上が目標に届かない時はどうする?

A.店舗の売上が目標に届かない場合、様々な原因が複雑に絡みあっている可能性があります。問題解決を図るためには、原因をひとつずつ分解してください。
売上が伸び悩んでいる原因として、「客単価が低い」「回転率が悪い」「来客数が増えない」などが挙げられます。
具体的なデータを確認して、問題を解決するための施策を考えましょう。そして社員に共有し、一人ひとりの意識を高めることも必要です。

Q. 店長のプレッシャーに耐えられない場合は?

A.店舗の最高責任者でもある店長は、すべての業務に対して責任が生じます。そのため、プレッシャーに耐えられず、逃げ出したいと思う人もいるかもしれません。

また、孤独感を抱く人もいます。孤独感があったりプレッシャーを感じたりする場合は、他人に話を聞いてもらうことや他人と悩みを共有することが大切です。
先輩の店長や本部の上司など、経験豊富な人からアドバイスをもらうことで解決できる場合があります。

一方、スタッフと悩みを共有し、一緒に課題解決に取り組むことも重要です。
完璧な業務を求める人は、チーム全体で支え合うことを意識して、スタッフと悩みを共有してみてください。

まとめ・店長の役割に必須のスキルを磨き、店舗運営を成功に導こう

店長は店舗の運営を担う重要な職務であり、業務内容は営業の準備から管理、スタッフの育成やシフト管理など、多岐にわたります。
店長の役割をこなすためにスキルを磨いて、店舗運営を成功に導いてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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