サブスク管理システムにはどのような機能がある?メリットや選び方、注意点をまとめて解説
サブスクの管理業務に特化したシステムを活用しよう
近年、法人向けサービスやソフトウェアの多くがサブスクリプション型に移行しており、契約数や利用状況の管理に課題を抱える企業が増えています。
複数の契約をExcelや紙で管理していると、更新漏れやコストの見落としが発生しやすく、業務効率や予算管理に大きな影響を与えかねません。
そこで注目されているのが「サブスク管理システム」です。
今回は、サブスク管理システムに搭載されている主な機能や導入メリットをはじめ、システムの選び方や導入時の注意点などをわかりやすく解説します。
効率的かつ正確にサブスクリプションを運用したい方は、ぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
サブスク管理システムとは?
サブスク管理システムとは、サブスクリプションサービスを提供するにあたって、顧客の契約情報などを一元管理するためのシステムです。
サブスクサービスを運営していると、通常の営業活動とは異なり特有の管理業務が発生します。
サブスク管理システムは、特有の管理業務にも対応でき、適切な予算管理を実現することも可能です。
業務効率化につながることはもちろん、顧客と継続した関係構築にも貢献してくれます。
サブスク運営にありがちな課題と、導入による改善例
サブスク運営ではそのサービスや料金形態の特性から、管理上の問題が発覚することも少なくありません。
ここで、サブスク運営にありがちな課題に加え、システム導入による改善例を解説します。
サブスク管理における課題 | サブスク管理システム導入における改善例 |
担当者ごとに管理方法が異なり、属人化や引き継ぎミスが多発 | 顧客や契約情報をクラウドで一元管理し、誰でも最新情報にアクセス可能に |
複雑な料金体系やプラン変更を手動で対応し、ミスや確認漏れが起こりやすい | プランごとに自動ルール設定ができ、変更履歴も残るため運用ミスを削減 |
請求書の発行や入金確認を手作業で管理し、請求漏れが発生 | 自動で請求書を発行・送付し、入金状況もリアルタイムに確認・通知できる |
契約数や解約率などを都度集計しており、分析や意思決定が遅れる | ダッシュボードで主要KPIを可視化し、プラン改善や顧客対応に即活用可能 |
課題例1:アナログ管理で属人化や人的ミスを招く
サブスク運営でアナログ管理を行っていると、属人化や人的ミスが発生する可能性が高まります。
例えば、顧客情報をすべて手作業で記録していると、途中で入力・記載ミスが発生する恐れがあるでしょう。
また、複数の担当者がサブスク運営に携わっている場合、やり方などで属人化が進んでしまい、情報の一貫性が保てなくなってしまいます。
サブスク管理システムを導入すれば、顧客情報から契約情報までクラウド上で一元管理することが可能です。
最新情報に誰でもアクセスできることから、属人化や人的ミスも防げるようになります。
課題例2:複雑な料金体系やプランで管理が煩雑化
顧客の多様なニーズに対応するために、新たなプランの提供や料金体系を見直すこともあるかもしれません。
しかし、その結果として料金体系やプランが複雑になっていき、管理も煩雑化してしまいます。
顧客も新プランの提供にともないプラン変更やサービスの追加などを頻繁に行うようになれば、契約・請求管理も複雑化していき、ミスにつながる可能性が高いです。
サブスク管理システムを導入すれば、各プランに自動ルールを設定でき、さらに変更履歴も残せます。この履歴をもとに管理を行えば、運用ミスも軽減されるでしょう。
課題例3:請求漏れや入金確認の手間
サブスクサービスは、顧客一人ひとりで契約内容や期間、請求日、請求金額などが異なります。その結果、請求漏れが起きてしまう可能性もあるので注意が必要です。
特に割引サービスの適用や無料キャンペーン期間中など、普段とは異なる対応が必要になった場合、管理も煩雑化してしまいます。
また、サブスク運営では期日前に支払いがされているか、入金確認が必要です。
入金を確認できない場合や請求額と一致しない場合は、その時の状況に合わせて請求書の再発行や追加請求、返金処理などが必要です。
このような入金確認は非常に手間のかかる作業でもあります。
サブスク管理システムを導入すれば、自動的に請求書を発行・送付することができ、入金状況もリアルタイムで確認できます。
入金確認の手間も軽減されるため、業務効率につながるでしょう。
課題例4:契約データを活かした分析ができない
サブスク運営では、毎月の請求・契約管理に追われてしまい、解約率やLTVの算出、営業活動に活かすための分析業務まで手が回らない場合もあるかもしれません。
リアルタイムで得た情報を分析しないと、顧客ニーズに合ったサービスの提供が難しくなり、ユーザーの満足度が低下する可能性もあります。
サブスク管理システムには、分析機能が搭載されているものもあり、リアルタイムで得た情報をもとに分析してくれます。
契約データを活かした分析情報を得ることで、より戦略的な営業活動も可能です。
サブスク管理システムの主な機能
サブスク管理システムには様々な機能が搭載されています。ここで、主な機能を紹介します。
主な機能 | 特徴 |
請求管理 | 顧客情報に基づいた自動請求が可能になる。また、未払いに対するリマインドや追跡機能なども備わっている |
顧客情報管理 | 顧客ごとに契約内容や支払い履歴、利用状況の管理が行える |
プラン管理 | 定額制や従量課金制、ハイブリッド型など、プラン内容を設定・管理する |
収益管理 | 収益や解約率をモニタリングし、分析に活用する |
顧客分析 | 顧客がサービスを利用した情報をもとに分析を行う |
請求管理
各顧客の契約情報に基づいて、毎月自動で請求書を作成します。定額制ではなく従量課金制にも対応しているシステムは多いです。
また、未払いになっている顧客に対するリマインド通知や追跡機能なども備わっています。
請求業務のほとんどが自動化されるため、業務効率化につながります。また、自動化により人の手で作業することがほとんどなくなるため、人的ミスを防ぐことも可能です。
顧客情報管理
顧客ごとの契約内容や支払い履歴、利用状況などを一元管理できる機能です。
顧客情報を一元管理することによって、顧客対応の迅速化やアップセル・クロスセルの機会を創出できるようになります。
さらに、顧客からの問い合わせを記録できるシステムであれば、問い合わせ内容を担当者間でスムーズに共有でき、素早く対応することによってパーソナライズドされた顧客体験の提供にもつながります。
プラン管理
定額制や従量課金制、ハイブリッド型など、サブスクサービスにおける様々なプランの設定・管理をするための機能です。
また、初月のみ割引や複数購入による割引サービスなど、イレギュラーなプラン・キャンペーンも柔軟に設定できるようになります。
プランのアップグレード、またはダウングレードにも自動で対応することが可能です。
収益管理
実際の収益や解約率などをモニタリングできる機能です。収益や解約率などを常にモニタリングし、売上げの予測や適切な顧客単価を設定できているか分析できます。
また、リアルタイムで収益の動向を把握することで、データに基づいた戦略を立てることも可能です。
顧客分析
登録された顧客情報を分析し、ユーザーの共通点やニーズなどを把握していきます。
サブスク管理システムによってはデータを自動的にレポートする機能も備わっており、既存の分析ツールと連携させることで、より深堀した顧客分析も可能です。
新規顧客の獲得に向けてどのような施策を打ち出すべきか検討したり、解約につながる原因を探って改善に努めたりするなど、サブスク運営を成功させるためにも顧客分析機能は必須といえます。
サブスク管理システムを導入するメリット
サブスク管理システムを導入することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここで、管理システムを導入した場合のメリットを解説します。
顧客情報の一元化
顧客管理機能が備わったサブスク管理システムを導入した場合、顧客ごとの契約情報を一元管理できるようになります。
顧客情報の一元化が可能になると、顧客分析がしやすくなるだけでなく、顧客情報に基づいて営業活動を行う際の効率化につながったり、精度向上に役立ったりします。
また、契約情報や利用状況などに合わせて顧客が求めるサービスを提供できれば、クロスセル販売による売上げアップも期待できるかもしれません。
管理業務の効率化
サブスク管理システムは、請求業務や集計作業の自動化や入金処理の簡素化など、サブスク運営における様々な業務の手間を省けるようになります。
また、単に管理業務の効率化が図れるだけでなく、計算ミスや請求漏れなどの人的ミスや滞納などのトラブルを未然に防ぐことも可能です。
管理業務の自動化によって担当者の手間が省ければ、新しい企画の立案や顧客分析など、付加価値の高い業務に集中できるようになります。
顧客満足度の向上
サブスク管理システムは顧客情報の一元管理や業務の効率化に加え、顧客情報や利用状況に関するデータをもとに、分析・レポートを作成できます。
この機能を活用すれば、顧客が今どのようなものを求めているのか、何を解決したいのかなどのニーズを把握でき、新たな商品・サービス、サブスクプランの開発にも活用できます。
顧客ニーズに寄り添った商品が開発されれば、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。
また、顧客満足度が高まればサブスクの解約率も減少し、売上アップにつながります。
サブスク管理システムの選び方
自社の環境やサブスクサービスに合わせて、適切な管理システムを選ぶ際には以下のポイントを押さえることが大切です。
必要な機能が搭載されているか
サブスク管理システムにも様々な種類があり、それぞれ搭載されている機能も異なります。
もし適当にシステムを選んでしまった場合、本来自社に必要な機能が搭載されておらず、うまく活用できなくなってしまう可能性もあるので、注意が必要です。
例えば、請求業務の効率化を図るために、システムの導入を検討している場合には、請求書の自動計算・作成機能が搭載されたものが適しています。
また、サブスク管理だけでなく販売管理も行いたい場合は、顧客管理から受注や見積り、契約、請求までを一元管理できる機能が備わったシステムを選びます。
外部のシステムと連携できるか
サブスク管理システムを選ぶ際に、外部のシステムと連携できるかどうかもチェックすべきポイントです。
例えば、既存の顧客管理システムをサブスク運営にも活用していた場合、サブスク管理システムと連携できれば、データをそのまま移行することも可能です。
自社が扱っているシステムの中でどのシステム連携させたいのかを整理し、それらと連携できるサブスク管理システムを選ぶようにしてください。
操作がしやすいか
サブスク管理システムを導入することで、業務の属人化も防げるようになります。
しかし、限られた人しか使えないような複雑なシステムを導入してしまうと、属人化を招く可能性が高いです。
このような事態を防ぐためにも、管理システムを選ぶ際には誰が見てもわかるシステムになっているか、優れた操作性かどうかも確認する必要があります。
操作性やUIを試すなら、無料トライアルを提供している管理システムを選ぶのがおすすめです。
予算内で収まるか
サブスク管理システムを導入する場合、コスト面も必ずチェックしておきたいポイントの1つです。
いくら優れた機能が搭載されていても、予算をオーバーしてしまっては意味がありません。必要な機能が搭載されつつ、予算内に収まるシステムがあるか探してみてください。
また、管理システムによっては月額制や従量課金制などの料金体系も異なってきます。自社にとってどの料金体系が合っているかも確認しつつ、選択してください。
サポート体制は万全か
万が一の事態が発生した時のことを考えて、サポート体制が万全に整っているサブスク管理システムを選ぶことも重要です。
もしもトラブルが発生した場合、業務が停滞するどころかサービス提供にまで影響がおよんでしまうと、顧客からの信頼が失われてしまう可能性もあります。
自社で対応しきれない場合どこまでサポートしてもらえるのか、問い合わせは24時間365日体制で対応しているのか、電話以外にチャットなどでも問い合わせできるかなど、トラブルが発生した時も想定しながらサポート体制の充実度を測ってみてください。
セキュリティレベルは担保されているか
サブスク管理システムには大量の顧客情報・決済情報を取り扱うことになります。
もし管理システムから情報が流出してしまった場合、顧客からの信頼が大きく損ねてしまう可能性が高いです。
情報漏洩を防ぐためには、セキュリティレベルが担保されているかどうかもチェックすることが大切です。
例えば、通信データの暗号化やアクセス制御機能、セキュリティ面の脆弱性を定期的にチェックするなど、ベンダーによって様々な対策が講じられています。
セキュリティ体制に合わせて運用年数や実績などもチェックすると、信頼度の高い管理システムが選べます。
サブスク管理システムを導入する際の注意点
サブスク管理システムを導入する上で、いくつか注意しておきたいポイントもあります。導入前にぜひチェックしてみてください。
初期費用がかかる
サブスク管理システムを導入する場合、基本的には月額費用に加え、初期費用もかかってきます。
プランによっては初期費用が無料になる管理システムもありますが、基本的には数万円~数十万円程度はかかってきます。
そのため、サブスクの顧客・契約数が少ないとコストが見合わなくなってしまい、費用対効果が低くなる可能性もあるかもしれません。
導入してから十分に収益を上げられるのか、慎重に検討した上で導入するか決めることが大切です。
本格的な運用まで時間がかかる
多機能のサブスク管理システムは、利便性に優れている反面、操作方法は複雑になりやすいです。
サブスク管理システムは担当者だけでなく、ほかの従業員も利用できるようにしておく必要があるため、運用に慣れるまでは時間もかかってしまいます。
業務に支障をきたさないようにするためには、社内で情報共有を行うことはもちろん、運用開始前のトレーニングやマニュアル整備なども必要です。
代表的なサブスク管理ツールタイプ別比較表
サブスク管理ツールにはどのようなタイプのものがあるのか、表にまとめました。
タイプ | 代表ツール例 | 主な特徴 | 対応課題・目的 |
---|---|---|---|
バックオフィス業務効率化型 | Scalebase、請求管理ロボ、CollaboOne | 請求書の自動発行、契約管理、入金消込、収益/KPI管理など業務効率化に特化 | Excelやスプレッドシートによる属人管理・請求漏れ・手作業の削減に対応 |
解約防止・LTV最大化支援型 | Scalebase・ソアスク・その他LTV重視システム | 顧客利用傾向の分析、解約リスク予測、メール配信・アラート機能、ダッシュボード機能 | 解約抑制、継続率改善、アップセル促進 |
販売管理統合型 | 楽楽販売、クラウドK、SMILE Vなど | 顧客管理、受注・見積・契約・請求まで一元管理。代理店対応や柔軟な業務設計も可能 | サブスク+他販売管理を連動させつつ柔軟に運用したい企業向け |
決済・サブスク決済一体型 | Stripe Billing、Squareサブスクリプション、Paid | 課金・サブスク処理+決済処理が一体。多通貨、日割り・無料トライアル対応。導入コストが低め | 決済処理機能重視、小規模スタート/EC中心/海外展開 |
会員管理中心型(学び・スクール・サロンなど) | 月額パンダ、MOSH、会費ペイ | 会員申し込みから契約・継続決済・催促まで一括管理。ノーコード運用可、無料トライアル多し | 月謝・継続会費などの管理に特化した業種向け |
業務を効率化したい
業務の効率化を目的としている場合は、請求管理・契約処理などバックオフィス業務に特化したツールが最適です。例えば、Scalebaseや請求書管理ロボなどが該当します。
バックオフィス業務の効率化に貢献する機能が揃っており、手動での管理が煩雑になってきている企業には特におすすめです。
解約防止や収益最大化を目指したい
提供するサブスクサービスの解約を少しでも防ぎ、収益の最大化を目指している場合には、解約防止・LTV最大化支援型がおすすめです。
このタイプは顧客分析機能から利用傾向や解約リスクを分析し、アラートや通知機能を通してリアルタイムに顧客へのアプローチが可能になります。
解約防止・LTV最大化支援型のシステムは、主にScalebaseやソアスクなどが該当します。
販売管理と統合したい
サブスクの請求管理や売上管理を行うだけでなく、顧客管理や案件管理、見積管理などの販売管理もまとめて統合させたい場合には、販売管理統合型がおすすめです。
販売管理統合型の場合、代理店・パートナー企業といった取引先や各契約によって、柔軟に価格設定ができるという利点があります。
主に楽楽販売やクラウドK、SMILE、Vなどが販売管理統合型に該当します。
決済機能が主目標
サブスクサービスにおける決済システムの構築や、収益向上を目指して幅広い決済方法を取り入れたシステムを組み込みたい場合に適しているのが、決済・サブスク決済一体型です。
ほかのタイプに比べて導入コストは低めで、課金・サブスク処理と決済処理が一体となっています。柔軟な料金設定に対応しているのも1つのポイントです。
Stripe BillingやSquareサブスクリプション、Paidなどが決済・サブスク決済一体型に該当します。
会員制サービス運営に特化したい
スクールやオンラインサロンなどの会員制サービス運営に特化させたい場合は、会員管理中心型がおすすめです。
会員管理中心型の場合、会員の申し込み手続きから契約、継続決済、催促に至るまで一括で管理できるシステムです。
月額パンダやMOSH、会費ペイなどが会員管理中心型に当てはまります。
まとめ・サブスクサービスを提供するならサブスク管理システムの導入も検討しよう
サブスクサービスを提供する中で、様々な課題が発生してしまいますが、管理システムを取り入れることで解決につながる場合もあります。
また、管理システムに搭載されている分析機能を活用することで、より良いサブスクサービスを提供できるようになり、顧客満足度の向上も目指せるでしょう。
これからサブスクサービスの提供を考えている人は、ぜひ管理システムの導入も検討してみてください。
創業手帳(冊子版)は、職種・業態を問わず経営者・個人事業主にとって役立つ情報をお届けしています。経営に関する知識や最新のビジネス情報も掲載しているので、ぜひお役立てください。
(編集:創業手帳編集部)