開業時の物件探しで失敗しないために!前もってできることをまとめました

創業手帳

事業計画と並行して物件探しを始めよう


気に入った物件があればすぐにでも開業したいと考えている起業家は数多くいます。
良い物件を確保するためには、できるだけ早くに物件探しをスタートするようにおすすめします。
したがって、事業計画を立てるときには、物件探しも同時にスタートしてください。

そこで、物件探しの前にできることをまとめました。

起業を決めると、さまざまな申請や手続きなどが必要になり「何から手をつけたらよいかわからない」となりがち。「事業の成功は事前の準備で決まる」たくさんの起業家にインタビューを実施してきた中でそのような声を多くいただきます。なので創業手帳では、より多くの起業家たちの事業成功のために「創業カレンダー」をリリースいたしました。起業日を起点とし、前後1年でのやることリストをカレンダー形式にまとめています。無料でお利用いただけますので、是非ご活用ください。


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物件を契約するために事前に決めておくこと


開業して初めて物件探しは、何から始めればいいのかわからないかもしれません。一方、同じ物件探しでも、住居の物件探しをした経験がある方は多いでしょう。

開業時の物件探しも個人の物件探しと同じように、自分が物件に求める条件をまとめる事から始まります
物件を契約するまでに決めておくべき点をまとめました。

物件の種類を考えておく

物件を探す前に、自分のビジネスを成り立たせるためにどのような物件が最適なのか条件をピックアップしてください。

例えば、カフェを開く場合を考えます。
事業計画から逆算してどのような層をターゲットにするのか、客単価はどれだけでどのくらい集客があれば利益になるのか、出店コストはどこまでかけられるかといった条件をひとつひとつ考えてみましょう。

物件はそれぞれにメリットデメリットがあります。
その物件が自分が求める条件と合致するかどうか照らし合わせて戦略を立ててください。

物件契約までにかかる費用の予算

物件取得にかかる費用についても、予算を立てておくようにしてください。
物件を取得するまでには、敷金や保証金のほか、工事やインテリア費用といった多くの費用が発生します。
コストを抑えるのであれば内装や設備が残っている居抜き物件を探す方法もあります。

レイアウトを自由にしたいと考えるのであれば構造躯体だけのスケルトン物件のほうが適していますが、居抜き物件を使えば開業までにかかる費用を抑えることが可能です。
また、設備は中古やレンタル品で対応する方法もあります。

前もって予算を決めておかないと、どんどん費用が膨れ上がってビジネス本体に使えるお金が少なくなってしまいます。
そのため、予算を立てて、コストが大きくなる場合には別の項目で妥協したり、代替案を探すなどの工夫してください。

賃料の予算

賃料の予算に応じて、物件を探せるエリアも変わります。基本的には、好立地であればあるほど坪あたりの賃料は高くなります。
エリアごとの相場はある程度は決まっているため、物件サイトで希望するエリアの賃料相場をチェックしてください。

予算と希望エリアの賃料相場を照らし合わせて、出店すべきかどうかの基準にできます。
賃料が予算を大幅にオーバーしてしまう場合には、事業計画自体に無理があるのかもしれません。

店舗の広さ

店舗の広さは、営業形態や客数だけでなく運営するためのコストにも関わる要素です。
広ければ広いほど良いと思われがちですが、広い店舗はそれだけコストも大きくなります
同じ客数の飲食店でもフロアが広ければ、賃料や人件費が大きくなるため利益が出にくくなってしまうかもしれません。

そのため広すぎる物件は避けて、目指す売上や客数に応じて適正な規模の店舗を選択してください。

出店エリア

出店エリアは、物件探しの中でも特に重要な要素です。
ターゲットごとに適したエリアが異なるため、物件を探すときには出店エリアがコンセプトやニーズ、事業計画に合うかどうかを考えます。

出店エリアにはそれぞれ特徴があります。
例えば、繁華街は人通りが多くて集客しやすいものの、競合が多く家賃もかさんでしまいがちです。
また、駅前や駅近の物件も宣伝効果が高くて人を呼び込みやすいものの、家賃が高くなってしまいます。
ビジネス街はランチ需要が期待できるものの、競合が多く土日の集客が課題です。

物件は投下資金が大きくなるため、想定とは異なる状況になっても簡単に変更できません。
事業計画を見直して計画が希望する出店エリアに適しているかどうか検討してください。

開業時の物件探しのSTEP


開業時の物件探しは、これからのビジネスの成否に関わる重要な仕事です。開業が近づいて慌てて物件を探すのではなく、計画的に物件探しをスタートしてください。

開業時の物件探しをステップごとに開設します。

STEP1 物件の条件をまとめる

物件を探すためには、物件の条件を決めなければなりません。物件の条件は、開業のコンセプトによっても違います。
多くの人が行き交う大通りが良いのか、または落ちついた環境のエリアが良いのかなど、求める物件のコンセプトを設計します。

それに合わせて立地や酒類、広さ、賃料といった条件をまとめます。
例えば、以下のような条件です。

  • 立地:駅から徒歩15分以内
  • 種類:スケルトン物件 駐車場有
  • 広さ:20坪以上
  • 賃料:30万円以内

上記に加えて、営業できる時間帯や周辺環境といった細かい希望もまとめておくと物件を絞りやすくなります。

ただし、全ての希望に合致するような物件が見つかることはそうありません。
そのため、絶対に譲れない条件とそうでない条件に分けて優先順位をつけておきましょう。
条件を書き出したら、この条件でどんな物件があるのかを調査します。どのような物件があるかを見て相場がどの程度なのか情報収集してください。

STEP2 物件を探す

条件が明確になったら、いよいよ物件探しです。物件を探す方法はいくつかあり、それぞれ長所短所があります。
物件探しに時間の余裕があるのであれば、複数の探し方を試してみてください。

物件の探し方①不動産屋に問い合わせる

物件の探し方としてポピュラーな方法のひとつが不動産屋への問い合わせです。不動産屋への問い合わせは、該当エリアを絞って探しているときにおすすめです。
地場の不動産業者は、該当エリアの物件情報に強く、幅広い情報を持っています。

検索しても見つからないような地元の生の声を聞いて探すことができるほか、インターネットに掲載されていない物件を扱っていることもあります。
情報収集もできるため、該当エリアの不動産屋を利用してみてください。

物件の探し方②インターネット

物件を探そうと思い立ったら、まずインターネットで検索してみてください。物件を扱うサイトは種類が多く、得意分野も違います。

飲食店の店舗物件をメインで紹介しているサイトもあれば、一般的な物件の中で店舗や事務所を扱っているサイトもあります。
物件の中には特定のサイトだけで扱われているものもあるので、複数のサイトを見てチェックしてください。
新着物件が掲載された際に通知されるサイトもあります。希望条件を満たした物件が出たときにすぐに確認できるようにサイトに登録しておきましょう。

物件の探し方③紹介してもらう

インターネットが普及した現代においても侮れないのが知人からの紹介です。
周囲に開業するために物件を探していることや、希望の条件を伝えておくと、知り合いからのつてで思わぬ好物件に出会えることがあります。

例えば、オーナーが高齢化で店舗を引き継ぐ人を探していたケースやSNSで物件を紹介してもらったケースもあります。
物件情報は収集するだけではなく、自ら発信して情報を呼び込むようにしてください。

物件の探し方④出店エリアを歩いて探す

物件の中には、インターネットで情報を掲載していないものもあります。立て看板やチラシで入居者を募集しているようなケースです。
出店するエリアを決めたら実際に自分で周囲を散策し、物件を探してみてください。空き店舗があれば連絡してみましょう。

STEP3 内覧する

気になる物件が見つかったら物件を実際に見てみましょう。内覧するときには、以下のようなチェックポイントを基準にします。

  • 周辺の環境・交通
  • 時間帯ごとの人通り
  • 設備の状態
  • 引き渡し時期

内覧は確実におこなったつもりでも、後から見落としがあるケースが多いので、事前にチェックポイントをリストにして持参すると良いでしょう。

STEP4 入居を申し込む

内覧をして納得すれば、入居申し込みに進みます。物件に関して、交渉したい、条件を伝えたい場合には申込のタイミングで伝えます。
賃料減額のような条件交渉が可能かどうかは、貸主によっても異なります。どの程度の交渉が可能か不安に感じるのであれば不動産屋に相談してください。

じっくりと検討したいかもしれませんが、良い物件は基本的に早いもの順です。
迷っているうちにライバルが先に手を挙げるリスクもあるので、スピーディーに意思決定をしてください。
物件を探し始めた時点で、いつでも入居申し込みできるように書類や資金の準備は事前に済ませておきましょう。

STEP5 家主審査

入居を申し込むと、不動産業者が貸主に報告して審査に進みます。申込者の属性や支払い能力を調査するために、事業計画書などの提出が求められる可能性もあります。
審査の結果がわかるまでにかかる時間は不動産業者や貸主によって異なります。
早ければ即日ですが、複数の申込者がいるケースであれば審査自体が長引くかもしれません。

物件の貸し手は、借り手側が問題なく家賃を払い続けられるかどうか、その支払い能力を確認しています。
貸主の懸念を軽減するために、補足資料として経歴書や今までの実績をまとめた資料を提示することも検討してください。

STEP6 物件契約

貸主の審査を通過したら、いよいよ物件の賃貸借契約に進みます。契約書に署名と捺印をすれば契約が成立するため、契約書は隅々までチェックしてください。
契約形態や年数、賃料や保証金のほか、原状回復の内容や保証金の取り決めといった確認事項は多岐にわたります。

内容に不安がある場合には、事前に預かって弁護士のような専門家に確認してもらう方法も検討しましょう。
わからない文言等が使用されていることもあるため、前もって契約書を受け取って確認するようことそおすすめします。

契約する際に必要な精算金は、不動産業者から精算書として案内されます。期日までに振り込むとともに、契約時に提出する書類を揃えてください。
物件や不動産業者によって違いはありますが、法人であれば登記簿謄本が必要なほか、連帯保証人に関わる書類も用意します。
火災保険や店舗総合保険が指定されている場合には、契約時に同時加入になるケースがあるので手続きをおこなってください。

STEP7 物件引き渡し

鍵を渡されると物件の引き渡しは完了です。引き渡し時になって、トラブルが発生することもあります。
具体的には、予想していた機器や設備が足りなかったり、残されたゴミが処分できなかったりといった内容が多いようです。

トラブルを防ぐには、事前に造作売買契約を結んだり、引き渡し時の状態を確認することをおすすめします。
建物や器具についてはリスト化してお互いの認識が一致できるようにしてください。

番外編 融資を受ける

物件契約に必要な費用が手元にない場合には金融機関からの融資が必要になります。
申込書類を提出する段階で、融資を受けることと融資実行までのスケジュールを伝えるようにしてください。
入居申込書提出と同時に金融機関に報告して融資を受ける手配も進めておくと、慌てる心配がありません。

物件探しでよくある質問


初めての物件探しは、不安になることも多いかもしれません。そこで、開業時の物件探しでよくある質問に回答します。

いつくらいから物件探しをしたらいいの?

物件探しのタイミングは、事業の内容や規模によって異なります。短期間で準備するのであれば開店予定日の3ヵ月前までに決めるようにします。

物件は事業を営むにあたって重要な要素になるため、急いで決めるようなものではありません。
しかし、すべての条件を満たす物件を探そうとするとなかなか決められなくなってしまいます。ある程度期限を設定して物件探しをするようにしてください

物件契約時に必要な書類は?

契約時に必要な書類は、法人の場合と個人の場合で異なります。

法人の場合は、以下のものを準備します。

  • 印鑑証明
  • 連帯保証人分の住民票・印鑑証明書・身分証明書・収入証明など
  • 連帯保証人承諾書

個人の場合には以下のものを準備しましょう。

  • 契約者の住民票や印鑑証明書、身分証明書、収入証明
  • 連帯保証人分の住民票や印鑑証明書・身分証明書・収入証明
  • 連帯保証人承諾書

場合によっては上記以外の書類も求められるので、申込の段階までに必要書類を確認しておくようにしてください。

事務所だった店舗を飲食店開業に検討することは可能?

もともと事務所だった区画を飲食店として利用することは、不可能ではありません。ただし、貸主の了承が必要なほか、多くは内装や設備の工事が必要です。

物件によっては、不動産登記法や建築基準法などの各種法規制で用途が定められていることがあります。
法的な問題がクリアできるかどうかは不動産業者に相談するほか、役所に問い合わせてみてください。
法的に問題がなくても、事務所用の物件は床の耐荷重や空調設備などが飲食店向けなっていません。
工事や設備にいくらかかるか見積もりをとって検討してください。

まとめ

店舗の物件探しは、住居を探すのとは違ってビジネスとしての視点が求められます。
周辺環境や商圏、競合他社なども確認してビジネスが成立するかどうかを検討してください。
開業時の物件探しはチェックする項目が多いので、あらかじめリストを作成しておくことをおすすめします。


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(編集:創業手帳編集部)

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