合弁会社とは?立ち上げ方やメリット・デメリットなどを詳しく解説!

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合弁会社とは複数の企業が共同で事業に取り組む「共同出資会社」


会社には株式会社や有限会社、合弁会社といったものがあります。
株式会社や有限会社についてなんとなく知っていても、合弁会社とはどのような会社なのかよくわからないという方も少なくありません。
合弁会社は、複数の企業が共同でひとつの事業に取り組むために立ち上げられる共同出資会社です。

今回は、合弁会社とはどのような会社なのか理解を深めるため、特徴やメリット・デメリット、設立の流れ、合弁会社の事例について解説します。合弁会社の立ち上げを検討している方はぜひ参考にしてください。

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合弁会社とは?特徴を詳しく解説


はじめに、合弁会社とはどのような会社なのか特徴から解説していきます。株式出資比率や他の法人形態との相違点についてもご紹介するので、ぜひ目を通してみてください。

合弁会社とはどのような会社なのか?

合弁会社とは、2つ以上の企業が共通の利益を求めて必要な事業を行うために設立される会社です。
公正取引委員会による企業統合ガイドラインでは、「共同出資会社」と呼ばれています。
設立される目的は、特定の事業を行うためには新たな会社を設立したほうがスムーズに進められる、コストやリスクを分散しながら新会社を設立できる、外資会社のノウハウ・技術・知識を吸収したいなどです。

外資系企業が日本に進出するようになったことをきっかけに注目度が高まり、導入されるケースが増えています。
以前は、外資が100%出資する会社を新たに設立することは認められていませんでした。

つまり、外資系企業が日本に進出するためには、日本国内の企業と手を組んで合弁会社を設立しなければいけませんでした。

合弁会社の株式出資比率はどのくらい?

2社で設立する場合、合弁会社の基本的な株式出資比率は50%ずつです。
しかし、設立する前にどちらかがメインで、もう一方がサポートに回るといった話し合いをしている場合もあります。
そのようなケースだと、メインとなる企業が多めに出資する場合も考えられます。

新会社に提供できる人員やノウハウなどの貢献度、製造機械などの現物出資の有無によって出資比率が変わるケースもあるため、均等に出資するとは一概に言い切れません。
株式出資比率に差が出た場合は、拒否権付株式の発行によって意思決定に参加できるようになります。

他の法人形態との相違点

合弁会社は、会社法に基づいて設立されている株式会社・合同会社・合名会社・合資会社とは概念が異なります。
あくまでも共同出資によって生まれた会社を合弁会社と呼んでいるだけです。そのため、他の法人形態との大きな違いは会社法に基づいているか否かという点です。

合弁会社を構成するのは会社法に基づく4つの法人形態のいずれかとなっています。
しかし、多くの場合は、実務上の有責任を負う者で構成される株式会社または合同会社で成り立っているケースが大半です。
合弁会社も株式会社などと同じような法人だと思っている方も少なくありません。
しかし、設立を考えているのであれば、基本となる他の法人との相違点は把握しておく必要があります。

合弁会社を設立するメリット


合弁会社の設立を検討する企業の数を見れば、それだけメリットがあるといえます。
続いては、合弁会社を設立して得られるメリットにはどのような点が挙げられるのか、ピックアップしてご紹介します。

海外へ進出しやすくなる

海外で事業展開しようと考えている場合、外資企業の会社設立が制限されている場合があることを知っておいてください。
現地の法律やビジネスマナーなどをゼロから学び、人脈作りや販路開拓するためには、莫大なコストや時間がかかります。

合弁会社であれば、現地企業と共同で会社を設立するので外資規制の対象にならずに済み、ビジネスマナーなどに関する不安も払拭できます。
中国では2020年1月1日に外商投資法が施行されるなど、海外でも法改正は行われているので詳しくないと違法になるリスクも高いです。

コストやリスクの低減・分散ができる

合同会社は単独出資ではなく、共同出資によって設立されます。そのため、新たな事業を行う際にかかるコストやリスクを低減・分散できます。
万が一事業がうまくいかずに経営が難しい状況に陥ったとしても企業の損失は出資金だけに限定されるので、新規事業に参入するハードルが低くなることも大きなメリットです。

共同出資の性質的に、パートナーシップの解消も起こりにくい傾向にあります。
複数の企業が資金を持ち寄ってリスクを共有し合うため、相互の協力関係が破綻するような意思決定は基本的に実行されないためです。
合弁会社を経営する中で生まれるミスコミュニケーションが原因の失敗は、ビジネスを成功させるために乗り越えなければいけない課題でもあります。

各企業の強みで相乗効果が生まれる

合弁会社に参加している企業が持つ強みで相乗効果が生まれるケースもあります。
1社で新たな事業を立ち上げるには、人員や資金などのリソースを揃えるために多額の投資をしなければいけません。

しかし、複数の企業で立ち上げる合弁会社であれば、各企業が持つブランド力や技術力、知財、ノウハウ、経験を有効活用できます。
シナジー効果をうまく活用できれば、単独で行うよりもスピーディーかつ効率的に製品・サービスの開発を実現しやすくなります。
各企業が得意としている分野や強みを理解した上で合弁会社を設立することが、相乗効果を高めるポイントです。

また、これまでにはなかった新たな視点で物事を見られるようになるので、よりよい製品やサービスを生み出すきっかけになるかもしれません。

新規分野への参入や新規事業の立ち上げがしやすくなる

合弁会社を設立することで、自社が保有していなかった経営リソースを保管・活用できます。
新規分野へ参入したり新規事業を立ち上げたりするハードルも低くなるため、事業拡大が目指しやすいです。

新しいことを始めようとすると、資金や人材、ノウハウ、技術などを一から用意しなければいけません。そのためには莫大なコストと時間がかかります。
しかし、同じ課題や目的を持つ企業同士が手を組んだ合弁会社であれば、双方が持つ資産(資金や人材、ノウハウ、技術など)を活用できるため、単独で行うよりもコストや時間がかからずに済みます。

合弁会社を設立するデメリット


合弁会社の設立によって数多くのメリットが得られます。しかし、メリットだけではなくデメリットがあることも忘れてはいけません。
続いては、合弁会社を設立するデメリットをピックアップして解説していきます。

意思決定に時間がかかってしまう

合弁会社は複数の企業が手を組んでいるので、双方の意向や方針を汲みながら経営を行うことになります。
経営方針が違えば、対立の原因になる可能性もゼロではありません。話し合いをしても平行線のままになってしまい、意思決定に時間がかかる場合も考えられます。

複数の企業が協力し合って事業を行う場合、出資比率で差をつけていても利害関係が複雑になってしまうという事態は避けられません。
企業間で細かい調整を行ったり、コミュニケーションを密に取ったりしなければ、意思決定のスピードはどんどん遅くなってしまいます。

スピーディーな判断が求められる場面では、焦ってしまい余計にこじれてしまうこともあるかもしれません。

お互いの社会的信用がネガティブに作用するリスクがある

それぞれの社会的信用がネガティブな方向に作用してしまうリスクがあることも、デメリットのひとつです。
提携先となる企業の選定を間違えてしまうと、社会的信用を失う結果になりかねません。
新規分野や海外進出に向けて合弁会社の設立を考えているのであれば、提携先となる企業の正確な情報が得にくいケースもあるため注意が必要です。

リスクを回避するためには、相手企業の実態調査を念入りに行う必要があります。調査を行い、本当に信頼できる企業をパートナーとして選ぶようにしてください。
自分たちもパートナーとなる企業に迷惑をかけないように、社会的信用を失う行為をしてはいけません。

積み上げてきたノウハウや技術が流出してしまうリスクがある

合弁会社は、お互いの強みを活かした事業を展開できるというメリットがあります。しかし、これはデメリットと表裏一体です。
強みや技術を共有することによって、それらが外部に流出したり、盗用されたりするリスクもはらんでいます。

機密情報の漏えいを防ぐためには、秘密保持契約などのリスクマネジメントが必要不可欠です。また、知的財産権を守るための管理体制の整備も忘れてはいけないポイントです。

合弁会社を設立する流れ


合弁会社の設立を検討しているなら、どのような流れで設立されるのかも知っておく必要があります。具体的な流れは以下のとおりです。

パートナーとなる企業を選定する

まずは、パートナーとなる企業の選定が合弁会社設立の第一歩です。パートナーを選定する前に目的や企業戦略を明確にしておくと、適切な提携先を選びやすくなります。
そして、パートナー候補となる企業をピックアップし、市場調査や競合関係などの調査といったリサーチを進めていきます。

候補がある程度絞られてきたら面談や交渉を行い、双方が納得できるパートナーの選定を行うフェーズへと進んでください。
お互いに合意できた場合は、合弁契約を結ぶための協議を行います。

相手企業のリサーチを行う時は、以下の条件を満たしているか確認することがポイントです。

  • 企業理念や価値観に相違がないか
  • 事業の領域や専門性は合っているか
  • 実績や財務状況などに問題はないか
  • コミュニケーションなどを円滑に行えるか など

根本的な理念や価値観、方針が合わないと、合弁会社設立後の経営に支障をきたす恐れがあります。出資比率や経営権限の配分についても、契約前に確認しておいてください。

基本合意の締結を行う

パートナーとなる企業が決まったら、基本合意の締結を行います。この時に交わすのが基本合意書です。
基本合意署は合弁会社の設立や運営、経営などに関する内容が盛り込まれた文書で、設立するために必要となります。

基本合意署に盛り込まれているのは、合弁企業の名称、組織構造、事業内容、事業目的、株式比率、経営管理権限、収益の分配方法、財務管理の方法、退会の方法、紛争の解決方法などです。
これらが記載された基本合意書で基本的な方針が決まります。さらに、事業を行う際のガイドラインとしての役割も果たすため、合弁会社の運営における重要な書類です。

基本条件の確認をする

次は、基本条件を確認するというステップです。
合弁会社の設立では、事業の目的や内容、配分比率、経営方針、経営戦略、リスク管理の方法、監査制度、決算管理の方法などの基本的な条件を確認していきます。
これらの基本条件は、合弁合意書にも記載されるのが一般的です。

法人形態や出資比率、撤退の条件に関しても確認する必要があります。既存の株式を取得して合弁会社にするのか、新たな法人を設立するのかは共有すべき事項です。
新たな会社に従事できる比率を踏まえた出資比率や、うまくいかなかった時に撤退するタイミングもあらかじめ決めておいてください。

合弁契約の締結を行う

これまでに紹介してきた条件を確認し、共同出資する企業すべての合意が取れたら、合弁契約の締結を行いましょう。
協議した内容は合弁契約の内容に反映され、法的な拘束力を持つようになります。

合弁契約の内容によって法人形態などが異なります。
そのため、契約を締結する前に双方の考え方に相違点がないか再度確認しておくとトラブルを回避しやすくなるので、意識してみてください。

合弁会社の事例紹介


合弁会社はこれまでにいくつも設立されてきました。最後に、具体的な事例を2つピックアップしてご紹介します。

ソフトバンク株式会社とトヨタ自動車株式会社の事例

ソフトバンク株式会社とトヨタ自動車株式会社は、共同出資によって2018年10月にMONET Technologiesを設立しました。
そして、2018年中にMONETプラットフォームという共同事業をスタートさせています。

MONETプラットフォームは、トヨタが構築したコネクティッドカーの情報基盤・モビリティサービスプラットフォームと、ソフトバンクのIoTプラットフォームを連携させたサービスです。
車のIoT化を進めるために開発され、実現に向けた取組みを行っています。

エイベックス・マネジメント株式会社と株式会社COOL JAPAN TVの事例

エイベックス・マネジメント株式会社と株式会社COOL JAPAN TVは、2019年2月に合弁会社としてエイベックス&CJTV INFLUENCER株式会社を設立しました。

近年、個人クリエイターとタレントの垣根がなくなりつつあり、消費者も気軽にクリエイターとして楽しめるようになっています。
そのような状況下で、インフルエンサーのマネジメントまで総合的に行える会社が設立されました。
動画広告市場やインバウンド広告市場、インフルエンサー広告市場などにおけるシェア獲得を目指す会社です。

まとめ

合弁会社を設立すると、海外進出や新規事業のスタートなどを目指しやすくなります。コストやリスクの低減・分散ができることも、合弁会社を設立する大きなメリットです。
企業を成長させるために役立ちますが、デメリットがあることも理解しておかないと後悔してしまう恐れもあります。
実際の事例を参考にしながら、合同会社の設立について慎重に検討してみてください。

創業手帳(冊子版)」では、合弁会社設立に関する情報も提供しています。合弁会社を設立して事業規模の拡大などを目指したい方も、ぜひご利用ください。
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(編集:創業手帳編集部)

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