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2023年1月4日株式会社クロス・オペレーショングループ 田中亮大 | DX実現のための業務改革のためのSaaSとコンサルティングが注目の企業
DX実現のための業務改革における伴走支援事業で注目なのが、田中亮大さんが2016年9月に創業した株式会社クロス・オペレーショングループです。
近年、働き方改革や新しい働き方というキーワードの出現とともに、デジタルシフトやDX推進といったキーワードも取りざたされるようになりました。
多くの企業では主にバックオフィス部門において、自動化やデジタル導入を進め、人が出社しなくてもその場にいなくても業務が完結する、書類配送をせずとも決済・契約等が完結する、といった『業務効率化』のためのオペレーション導入を目的としたものが多いのではないでしょうか。
これからは、『攻めのDX化』で企業力を最大化していくという視点に立った、適正なオペレーションの構築を実践してくことも大事です。
例えば、最前線で活躍する営業部隊の成果を最大化させるために高品質のMAツールを導入したものの、適正な業務オペレーションの構築がうまくいっていないがゆえに、ツールを使いこなせなかったり、そもそも必要のないツールを導入してしまっていたり、結局、営業成果が属人的になっていたり、成果の上がり方にばらつきがあったり、最悪の場合は顧客に迷惑をかけてしまったりといった不祥事も発生します。
特に現在では転職が当たり前となり、様々なバックグラウンドを持つ人たちが集まってチームを組み業務にあたるといったことも珍しくはなくなりました。多方面から集まったメンバーがそれぞれチームとして最大の成果を上げていくためにも、これからは「オペレーションの最適化」と「DX化」の両輪を回し続けることで、企業の成長を加速させていくことに繋がると考えられます。
各社の競争力を高め、ひいては日本の経済成長を実現していくために、xTechだけではなくxOperationという両視点から、各企業の成長を加速させる伴走者として奮闘するある企業の取り組みに、今大きな注目が集まっています。
コンサルティングを行いながら、自社で開発している業務改善SaaS「オペレーションクラウド」にも一層期待が寄せられています。
株式会社クロス・オペレーショングループの田中亮大さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。
・この事業の特徴は何ですか?
オペレーションクラウドは、「属人的な働き方を脱し、業務オペレーションを改善する」ためのクラウドサービスです。
オペレーション状態を診断し、診断結果に基づく改善、改善後のオペレーションの定着を一連のサイクルで確認し、営業の仕組み化、オペレーション化を支援します。BizOps(ビジネスオペレーション)を昇華させるために必須のプロダクトです。
オペレーションクラウドは、大きくわけて、診断・改善・定着という3つの機能があります。
(機能①)
まずは、診断。
仕事の成果物や行動指標としてのKPIを管理している会社はあっても、そのアクションの中身であるオペレーションの実態まで把握できている会社は多くありません。なので、売れる人と売れない人が生じます。現場の社員が実際に日々行っている業務オペレーションの理解度、習熟度、バラつきを、数値化・可視化します。
会社全体、部署ごと、個人単位で診断結果を把握できるので、働く社員の方々が、どの業務オペレーションでつまずき、どこが仕組化が弱いのかを浮き彫りにすることができます。
(機能②)
診断結果でオペレーション課題が明確になった次は、改善です。
オペレーションクラウド内で自動的に、業務改善の方向性や打ち手が提示されます。
今まで培ってきたオペレーションの知見、そして現在進行形で支援に入っているクライアントへの支援を元に、課題に適切な施策をレコメンドします。より深い改善活動を行う場合には、当社のコンサルタントが伴走し、各社の詳細課題の特定から、オペレーション化の推進、定着までの支援を、アウトプットベースで実行する、プロフェッショナルサービスも提供しています。
(機能③)
3つ目が、改善事項が定着しているかを定点観測するためのパルスサーベイ機能です。
たった3問、正味10秒程度で、その日の状態を勤怠と一緒に記録することで、個人単位での、オペレーションへの取組み度合い、習熟度合いを記録し、変化があれば、瞬時にマネージャーにアラートが飛ぶ仕組みです。
・どういう方にこの事業を知ってもらい、活用してもらいたいですか?
・行動指標は管理しているが、成果が人によってバラバラ
・社長自身がいまだに現場のハイパフォーマーとなっている
・業務を仕組み化し、再現性をもって事業・組織運営をしたい
このような企業は、まさに、Operation Cloudを活用することにより、改善の第一歩を踏み出すことができます。
企業規模としては、大手中堅企業や成長ベンチャーにとどまらず、上場企業などの大企業にもご活用いただいています。
・この事業の解決する社会課題はなんですか?
「オペレーション改善」と聞くと、多くの人は、バックオフィス部門や製造・開発物流部門を対象とした「コスト削減」を想起すると思います。
それに対して、事業成長の役割を担う、営業やCS等のフロント部門には、「オペレーション」という概念は存在しないため、当然のことながら「オペレーション改善」を意識していないことが多いでしょうし、自部門には必要のないことだと考えている方もいらっしゃると思います。
しかし、オペレーションが定まっていないフロント部門は、投資した資金も、採用した人材も、活かすことができていないのが実情です。多大なコストや時間をかけて営業研修を実施しても、成果にはつながりません。膨大な採用費用をかけて採用した人材も、活躍・定着することなく退職していってしまいます。
フロント部門には、「ハイパフォーマー依存」「営業手法の属人化」が慢性化していることが多く、これらの改善に着手できている企業はほぼ無いのではないでしょうか?
オペレーションを単なるコスト削減ではなく、事業成長のために磨き上げる「オペレーショナルエクセレンス」な会社が増えることで、各社の競争力が高まり、この国の経済成長が実現していくと思います。
つまりオペレーションクラウドは、務を仕組化、オペレーション化していくことで、働き方改革が推進されることは当然として、日本経済の発展に大きく寄与できるものと考えています。
・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?
当社は2018年にMA(マーケティングオートメーション)事業を開始しましたが、2022年10月に上場企業にM&Aにて事業売却しました。社名もMarketing-Robotics / アイセールスから現社名クロス・オペレーショングループに変更し、現事業である「オペレーションクラウド」を開始しました。
まさに、文字通り第二創業となりました。第一創業期は前職のキャリアもあり正直仕事に困ることはなく、一人で開始しましたので、リスクも無く、悠々自適に働いていました。一方で、事業売却に伴う第二創業期は、組織もあり、既存株主もいて、多方面からの意見もあり、一筋縄ではいきませんでした。そこはしっかり話し合えば解決したのですが、一番、大変だったことは、自分自身の経営に対する価値観の変容です。
それまでは、困難も自分がやれば何とかなると思っていました。第二創業期の計画を立案する際に、これから本気で組織を大きくしていくのであれば、自分がやっている限り大きく成長することはなく、何よりも「自分がやれば」という思考自体が成長を止めるボトルネックになっていることに気づきました。
それからは、経営をチームで行うようになり、共同経営者(COO)と自分たちの強みと弱みを補完し合って事業・組織運営を行っています。自分が成長を阻害する要因だったことも、一人では気づかないことでしたので、COOに感謝するとともに、ドラッカーも言っている通りトップマネジメントは社長一人では行うことは困難であり、チームで行うことの偉大さを体感しています。
・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?
当社は、「オペレーションの価値を最大化させる」というミッションを掲げていますが、現状の日本企業のオペレーションに対する認識は、コスト削減程度に留まっています。オペレーションこそ企業成長の最重要事項と考えている会社は、まだまだ少ないです。オペレーションの価値を最大化させるために、まずは、「オペレーションの価値を認識してもらう」ことが求められていると考えています。
その実現のために、オペレーションクラウド無料解放を行っています。1社でも多くの会社に業務オペレーションの仕組化を実現する一歩を踏み出していただければ幸いです。
会社としての展開は、社名に込めています。当社の社名の由来は、xTech(クロス・テック)のオペレーション版です。
ご存じxTechは、既存ビジネスをテクノロジーで進化させることで、その領域の会社をテック系企業と言います。
しかし、導入企業がテクノロジーを使いこなすためにはオペレーション構築が必須です。そこが壁になる会社が多いです。今後益々テクノロジーとオペレーションの融合、xTechだけではなくxOperation / xOps(クロス・オプス)という視点が重要視されます。それを見通して、業界を牽引していく覚悟と共にクロス・オペレーショングループとしました。オペレーショナルエクセレンスを支援する専門企業として、日々真摯に顧客の成果、オペレーションの知見の蓄積に努めていきます。
・今の課題はなんですか?
1社でも多くの企業に、オペレーションの価値を認識してもらい、その価値を最大化してもらうために組織拡大を行うことです。
オペレーションを事業成長に活用する職の経験者は国内には少ないので、採用において、彼らとどのように出会い、未経験の求職者には、どのように訴求すれば興味をもってもらえるのかを日々ブラッシュアップしています。未経験でも、IT企業でザ・モデル型の業務に従事していたり、法人営業や経営企画の仕事を行っている方は直ぐに活躍できると思います。
・読者にメッセージをお願いします。
事業成長させるための経営戦略となると、「革新的なプロダクト」「画期的なビジネスモデル」「優秀な人材採用」といった選択肢があがると思いますが、「洗練されたオペレーション」を掲げる経営者は稀なのが、日本の現状です。どれだけ革新的なプロダクトを有し、画期的なビジネスモデルを優秀な人材で展開しようとも、現場のオペレーションが弱ければ、負けます。望むべきことではないですが、多少プロダクトが劣っていても、ビジネスモデルが単純でも、スターとなる人材が居なくても、現場のオペレーションが洗練されていれば、事業は伸びます。
そして何より、伝えたいのは、本来、日本人にとってオペレーションは専売特許ということです。世界で最も優れたオペレーション民族といっても過言ではありません。日本の「道」こそオペレーションの最たるものです。茶道・華道・柔道・剣道・書道・・。全てに型があり、それを何百年も律儀に守り続けています。
当社は、オペレーションこそ、日本企業が成長し、世界で戦える鍵だと信じています。最先端の技術革新を求め海外企業の背中を追うのも良いですが、オペレーションを磨き、オペレーショナルエクセレンスを実現することで勝ち筋を見出す会社を増やしたいと思っています。ぜひ、自社のオペレーションの伸びしろはどこかに目を向けていただければ幸いです。
会社名 | 株式会社クロス・オペレーショングループ |
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代表者名 | 田中亮大(たなか りょうだい) |
創業年 | 2016年9月 |
資本金 | 1億1800万円(準備金含む) |
社員数 | 18名 |
事業内容 | SaaS事業(業務改善クラウド「オペレーションクラウド」の開発・運営)・ xOperations事業(DX実現のための業務改革コンサルティング) |
サービス名 | Operation Cloud(オペレーションクラウド) |
所在地 | 102-0083 東京都千代田区麹町5-3-23 |
代表者プロフィール | 1985年山口県萩市生まれ。大学卒業後、外資系製薬会社に入社。翌年、コンサルタントとして独立。 2011年日本最大の経営者動画メディア「社長.tv」を運営する福岡のベンチャー企業の取締役として全国展開を指揮。MA(マーケティングオートメーション)とIS(インサイドセールス)を駆使し、わずか2年半で5000社の新規法人開拓を行う。 2015年オンライン商談システムを開発するベルフェイス株式会社を設立し副社長、その後、販売会社の社長に就任。 2016年タクセル株式会社(現クロス・オペレーショングループ)を設立しCEOに就任。 |
カテゴリ | 有望企業 |
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関連タグ | クロス・オペレーショングループ タクセル 田中亮大 |
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