IEOとは?日本で開始される新たな資金調達のメリット・デメリット

資金調達手帳

IEOの目的やICOやSTOとの違いを知り、今後の資金調達方法の動向を把握しよう


IEOとは、仮想通貨を用いた新たな資金調達方法のひとつです。資金調達方法は、起業家にとって重要な知識であり、企業としては事業を伸ばすための足がかりとなります。

仮想通貨による資金調達はこれまでもありましたが、以前から行われてきたICOとの違いを知り、新たな資金調達方法の今後の展開を予想してみましょう。
IEOが資金調達方法として浸透するかどうか、メリットとデメリットなども解説します。

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IEOとは


IEOは、イニシャル・エクスチェンジ・オファリング(Initial Exchange Offering)の略で、ブロックチェーンプロジェクトが発行するトークンを仮想通貨取引所が販売する仕組み、サービスを指す言葉です。
これまでもブロックチェーン技術を用いたトークンの発行はありましたが、IEOは利便性や信頼性などの面で期待と注目度が高まっています。

IEOの特徴には、仮想通貨交換業者が金融当局と折衝しながら数カ月~1年かけて審査を行う、トークンの発行者と直接取引しない、取引所を通して投資できるなどがあります。
特に、取引所が間に入り、審査で選ばれた銘柄のみが上場できる点が注目度を高めているようです。

IEOの目的

IEOができた目的は、これまでのトークン販売の欠点を改善し、もう一度トークンによる資金調達や投資を活発化することです。

IEOの生まれた背景には、ICOというトークンの販売方法がありました。
ICOはトークン発行元と投資家が直接つながって取引する方法で、仲介業者がいないことで信頼性が保てませんでした。
ICOは詐欺が横行し、信頼性の低さによってほとんど使われなくなった仕組みです。
ICOの仕組みを改善して生まれたのがIEOですが、IEOは取引の利便性と信頼性によって注目されています。

IEOの仕組み

IEOは、投資家が発行元と直接ではなく、取引所が仲介して取引を行う方法・仕組みです。まず、新しいトークンが作られたら、取引所がプロジェクトを審査します。
審査で選ばれた銘柄は新規上場し、取引所で自由に取引できるようになります。

IEOは株式の上場と少し似た仕組みになっており、企業は自分で買い手を探すことなく、取引所を利用して資金調達が可能です。
また、投資家も取引所にアカウントを持っていれば、企業とダイレクトにつながらなくても取引できます。

ICOとの違い

ICOとはイニシャル・コイン・オファリング(Initial Coin Offering)の略で、IEOの前に流行ったトークンの販売方法です。
ICOは、プロジェクトをインターネット上で公開し、賛同する投資家がトークンを既存の仮想通貨で購入するというものです。

発行体は資金を調達でき、投資家は発行体が行うサービスの利用や仮想通貨の価値上昇などでメリットを得られました。
しかし、ICOはその投機性によって詐欺の温床へと変わっていきます。
発行体が信頼性の低いトークンで勝手に資金調達するなど信頼性も損なわれ、衰退の一途をたどることになりました。

IEOでは、発行体が資金を手に入れて逃げる詐欺行為を排除する仕組みが作られています。
取引所を介した取引や念入りな審査によって、不正が行いにくい環境が整えられました。
また、発行元と投資家が直接やり取りすることなくトークンを購入できる点が、購入しやすさにもつながっています。

STOとの違い

STOは、セキュリティ・トークン・オファリング(Security Token Offering)の略称です。
株式や不動産などを裏付けにした「証券(Security)」と定められるトークンを利用した仕組みです。
IEOやICOと同様に資金調達方法として利用できるもので、有価証券に適用される法律に準拠していなければならず、信頼性の高いトークンとなっています。

IEOとの違いは、利用者が認定された投資家に限られ、流動性がそれほど高くない点です。
また、IEOにない証券性を持つことで、有価証券をブロックチェーン上で扱えるようになっています。

IEOのメリット・デメリット


IEOはICOの教訓を受けて、欠点をカバーする形でスタートしました。そのため、良い点が多いですが、まだまだ注意しなければいけない点もあります。
メリットとデメリットを比較し、安全な活用ができるか検討しておきましょう。

IEOのメリット

IEOは、ICOにはないメリットがあり、トークンによる資金調達をさらにやりやすくしました。IEOのメリットを明確に理解し、資金調達に生かしてください。

信頼性が高い

IEOは、発行元企業と直接取引を行うICOとは異なり、取引所がプロジェクトを審査し、発行可能なトークンを選びます。
取引所は自社の信頼性がかかっており、信頼のおけないトークンは販売できません。そのため、IEOはICOよりも信頼性が高く、安心して取引できます。

投資家からの信頼は、発行元企業にとっても非常にありがたいものです。
市場全体の安全性と信頼性が高まれば、より多くの投資家が注目し、市場が活発になることで資金調達をさらにしやすくなる可能性が高まります。

確実に取引できるという安心感がある

IEOは、上場までのスケジュールがあらかじめ決まっており、トークンが発行されたら確実に取引ができる安心感があります。
ICOでは、トークンを発行し資金調達をしたものの、その後で上場が中止されたり、上場する取引所が変更されたりといったケースがありました。
ICOでの不確実性が排除されたため、IEOは安心して取引を検討できます。

ユーザーなら誰でも参加可能

IEOは、取引所を利用するユーザーであれば誰でも参加可能で、非常に流動性が高くなっています。
発行元は、その取引所に口座を持っているユーザーに対し募集をかけられるため、自社で購入者を募る必要がありません
多くの参加希望者が集まった場合には、抽選で参加を決定します。

IEOのデメリット

IEOは、多くのメリットを有しており、ICOと比較すると大変優れたトークン販売方法であることがわかります。
しかし一方では、いまだ多少の問題を残しており、デメリットを知らないままで資金調達に利用するのはおすすめできません。
IEOを活用したい場合には、メリットだけでなくデメリットについてもチェックしておいてください。

上場後の暴落リスク

IEOのデメリットとしては、上場後の価格暴落リスクが上げられます。IEOは取引所が審査を行っており、投資家にとって中止や詐欺などのリスクが少ない良質な仕組みです。
しかし、株式などと同じく、トークンの価格は下がる可能性もあります。

多くのIEOでは、販売されたトークンは上場後に価格が上昇、投資家は値上がりによる利益確定もなされています。
しかし、IEOの市場はまだ成熟しておらず、上場後の暴落のリスクも高めです。
企業としても資金調達できればOKではなく、何も知らない投資家が大きな損をしてIEOに悪い印象を持つのは避けたいものです。

審査が厳しい

審査が厳しいこともIEOのデメリットと言えるかもしれません。IEOはICOとは異なり、取引所が自社の信頼性をかけて審査を行っています。
そのため、IEOのプロジェクトは慎重に厳しく見定められます。事業の将来性なども見られるため、安易な計画ではそもそも発行できるかわかりません
また、発行元企業についても十分な調査が行われます。

規制強化の可能性がある

IEOは、日本でもこれから発展していこうかという仮想通貨取引方法のひとつです。
これまでも、ICOの盛り上がりと横行する詐欺まがいのトークンによる衰退などがありましたが、このIEOも今後スムーズに発展を遂げるとは限りません。

特に、関連する法律やルールはこれから徐々に整えられていくものであり、今後、規制が強化される可能性もあります。
IEOはICOより安全性は高いとされていますが、抜け道を使った悪質なプロジェクトなどが出れば、新たな規制が生まれる可能性も考えられます。

IEOでの資金調達例


IEOはまだ日本国内では例が少ないですが、今後は多くの企業などが資金調達に使い始める可能性があります。
実際の資金調達の事例を見て、自社の資金調達方法として適しているか、判断のヒントにしてください。
2021年7月に行われた日本初のIEOによるトークン販売について紹介します。

パレットトークンIEO

国内初のIEOとして実施されたのは、Coincheckによる「パレットトークン」です。
「パレットトークン」は、ブロックチェーン(分散型台帳)開発を手掛ける株式会社Hashpalette(東京・文京)とマンガアプリ運営の株式会社Link-Uが共同出資し、国内のIEO第1号として実施されました。
同7月29日には取引所のCoincheckへの上場が完了しています。

今回のIEOでは、2億3000万枚のパレットトークンが売り出されました。
価格は1枚あたり4.05円、総額9億3150万円の売り出し価格に対して申し込まれた金額は224億5500万円と24.11倍の抽選になりました。
上場直後の価格は急騰し、一時46.129円まで上昇。その後も一時94.8円まで高騰、反動で43.6円担った後、78.5円まで戻すなど、乱高下しています。

今後も価格の大きな変動が起こる可能性もありますが、発行から上場後短期間では高く評価されているようです。
国内第一段のIEOの成功によって、これからのIEOへの注目度はさらに高まる可能性があります。

IEOの参加方法


IEOは、資金調達としても有効ですが、投資対象としても今後は注目となっていきそうです。
ここでは、投資家としてIEOに参加するために知っておきたい流れを紹介します。

IEOは取引所を介して参加できるため、まずは取引所を選び、口座開設が必要です。
IEOは限られた取引所しか行っていないため、実施しているかどうかをはじめ、手数料なども見ながら選んでください。

アカウント作成

取引所が決まったら、まずは取引所のユーザーになるためにアカウントを作成、口座を開設する必要があります。

新規アカウントを作成したら、本人確認書類を提出してください。次に審査が行われ、終了すると利用できるようになります。
本人確認はアプリなどで完結するものもあり、はがきなどで行う場合もあります。利便性の高いほうを選ぶと良いでしょう。

確認用書類としては、運転免許証・パスポート・在留カード・住民基本台帳カード・個人番号カードなどがあります。

コイン購入

口座を開設したら、取引所で使う仮想通貨を購入します。IEOではこの仮想通貨を用いるため、無理のない範囲でできるだけ多く保有しておくと安心です。
仮想通貨の購入も、インターネットで完結できます。

まずは、取引所で指定されている口座に日本円を振込み、自分のアカウントへの入金を可能な状態にします。
アカウントに反映されるまでは時間がかかることもあるため、早めに行ってください。アカウントに反映されたら、必要な量を指定して、仮想通貨を購入します。

抽選と交換

IEOはいつでも行われているわけではありませんので、抽選期間が始まったら申し込みを行います。
当選した場合のみ、そのプロジェクトのトークンを購入する権利が得られるので、抽選まで待ってください。

当選したら、自動的に保有している仮想通貨がトークンに交換されます。

参加方法3種の条件

IEOに参加するには、以下の3種類の方法があります。3つのプラットフォームはそれぞれにIEOで使われているものです。

Binanceでの参加

Binanceのリリースしたプラットフォームとしては、Binance Launchpadがあります。
もともとICOのためのプラットフォームでしたが、2019年からIEOのために改めて使用がスタートされました。
参加条件は、決められた期間中のBNB(バイナンスコイン)の平均保有量が50BNB以上となっていることです。

OKExでの参加

中国三大取引所のひとつとして知られる人気の取引所です。
日本人の利用も増えており、日本語や日本円の入出金未対応など不便もありますが、手数料が国内取引所より安価でメリットもあります。
IEO参加条件は、15日間の保有量の規定を満たしていることです。

Huobiでの参加

Huobi Japanは、2018年にビットトレード株式会社とHuobiが資本業務提携して作られた仮想通貨取引所です。
日本語対応もしており、グローバル企業としてのブランド力もあります。参加条件は、期間内の独自トークンの保有量です。

まとめ

IEOは、信頼性の高い資金調達の方法として注目が集まっています。
ただし、日本ではまだ浸透しておらず、今後の既存トークンの値動きや第2弾のプロジェクトの様子など、見通しに不透明さが感じられます。
今後の規制など、注意して見守るべき点もあり、安心して活用するまでにはまだ時間がかかりそうです。

資産運用として選択肢にする際にも、投機的な面が強くなるため注意も必要です。

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(編集:創業手帳編集部)

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