【11/4公募開始】小規模事業者持続化補助金の書き方や採択率を解説|平成28年度実施版
平成28年度補正「小規模事業者持続化補助金」の書き方ガイド
(2016/11/07更新)
【2016/11/08 速報!】
- 要チェック!
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- 2016/11/04 第2次補正予算「小規模事業者持続化補助金」の公募開始
- 一般型の補助上限額は50万円、特定の条件は上限100万円
- 今回の予算規模は前回より20億円増額され120億円となる
- IT活用を実施する事業者を集中的に支援
平成28年度第2次補正予算の「小規模事業者持続化補助金」の公募が11月4日に開始された。
一般型の補助上限額は50万円で、賃上げ・雇用対策・海外展開・買物弱者対策等の特定の条件に該当する場合は上限が100万円となる。また、今回の公募では災害の影響を受けた事業者については補助金上限を増額した別枠の補助金が用意されている。
審査は加点審査であり、総合的な評価が高いものから順に採択がされる。今回の予算規模は前回より20億円増額され120億円となっているため、より多くの事業者にチャンスがありそうだ。
なお今回は、ITを活用した取組みを実施する事業者を集中的に支援するということで、事業計画にはその旨をぜひ盛り込んでいただきたい。
一般型の締め切りは平成29年1月27日となっていますので、今から準備をはじめ、ぜひ補助金を最大限に活用しよう。
さて、ここからは小規模事業者持続化補助金の採択率やより詳細な概要、申請書作成のポイントなどについて解説する。
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この記事の目次
小規模事業者持続化補助金の採択率はどれくらい?
小規模事業者持続化補助金の採択率は、正式な公表は無いものの、例年50%前後だと言われています。
しかし、前回の公募では、予算が減額となり、競争率が上がったため、採択率が30%台になった都道府県もあるとのことでした。
しかし、今回の公募では、前回と比較し予算規模は20億円増額され120億円となりました。そのため例年通り50%前後の採択率に落ち着くことが予想されます。何にせよ、使い勝手がよい補助金であり競争率が高いことには変わりないので、気を引き締めて対策に取り組みましょう。
この補助金以外に使える補助金・助成金をまとめたので、そちらも併せて御覧ください。
小規模事業者持続化補助金の概要
まずは、小規模事業者持続化補助金の概要について見ていきます。
1)対象者
- 小規模事業者である商工事業者(個人事業主含む)
※小規模事業者
・製造業:常時使用する従業員の数が20人以下
・卸売業、小売業、サービス業:常時使用する従業員の数が5人以下の事業者(宿泊業・娯楽業は20人以下)
※従業員5名以下は優先的に採用
2)補助金額
- 使用した費用の3分の2、最大は50万円まで。つまり、最大の50万円を狙う場合は、75万円以上使用することが必要(雇用を増加させる取り組み、買い物弱者対策の取り組み、海外事業の取り組みは、最大100万円まで)
3)対象となる費用
- 広告宣伝費、外注費や委託費、店舗改装費、士業などの専門家への謝礼など
※人件費や汎用性の高い備品購入費(パソコン等)は対象とならない
4)申請の手順、留意点
- 商工会、商工会議所との連携が必須の条件となりますので、早めの事前相談を行いましょう。
- 補助金として採択された後、すぐにお金が振り込まれるわけではありません。補助対象事業を行い、経費を支払った後に、適切な書類がそろえて審査が完了した後で初めて補助金が振り込まれます。そのため、事前に補助金の対象経費の運転資金を準備する必要があります。
- 申請対象期間内に使用した費用、のみが対象となります。例えば、申請対象期間が4月~11月の場合は、開始前の3月や終了後の12月に使用した費用は対象外となりますので、使用する時期には注意が必要です。対象外の時期に使用すると、せっかく使用した費用が補助金の対象外となる場合があります。
申請書作成のポイント
申請書の様式や補助対象の内容・費目だけではなく、審査基準や記入例も公開されております。申請される場合は、まず、公開情報をしっかりと熟読しましょう。
※1:日本商工会議所H27(外部リンク)
※2:全国商工連合会H27(外部リンク)
※3:公募要領(外部リンク)
では、評価される申請書を作成するための具体的なポイントについて記載してきます。
また、それぞれで記載している具体例は、主に全国商工連合会で公開されている申請書の記載例(※3)を参考しておりますので、そちらも参照するとより理解が深まると思います。
1)経営計画書
自社の概要を紹介します。自社の提供する商品・サービスの説明に加えて、顧客の視点(顧客はどのようなニーズがあるのか?)、競合の視点(競合相手にどのような特徴があるのか?)、自社の視点(どのような強みがあるのか?)といういわゆる「3C」の視点で記載すると漏れがなくなります。
端的に言うと、「顧客の××というニーズを自社の〇〇という強みで捉えており、この〇〇は競合よりも優れている」というメッセージを伝えるということです。
1-1)顧客の視点
市場動向、自社の顧客という2点で捉えるとよいでしょう。
市場動向では自社に影響を及ぼす外部要因、例えば、地域の人口の増減などを考えます。
プラスの要因だけではなく、マイナスの要因も合わせて考えることで申請書の妥当性が増すので、両面から捉えるようにする方がよいでしょう。
顧客ニーズは、ニーズそのものに留まらず、顧客の「属性」にも注目しましょう。
代表的な属性としては年代・性別などありますが、例えば飲食店であれば、ランチ・夕食、平日・土日などと時間帯、に分けるという視点もあります。
このように顧客を一律ではなく、属性に分けて記載することで、申請書がより妥当なものとなります。
1-2)競合の視点
「競合のないサービス」はほとんど存在しません。前述の1-1で考えた顧客のニーズを満たす競合先はどこなのか?どのような特徴を持っているのか?を考えます。
考えるコツとしては、顧客のニーズを起点するとよいでしょう。例えばマクドナルドの競合はモスバーガーではなく、コンビニや吉野家、と言われることがあります。
これは顧客のニーズを「安く手軽に食事を済ませたい」と捉えることができるからです。
申請書の記載例でも海鮮居酒屋の競合として回転ずしが取り上げられていますね。
1-3)自社の視点
自社の強みを考えます。強みというと、圧倒的な製品力や技術力がなければならないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、もっとシンプルに「顧客が自社を選んでくれる理由は何か?」、「なぜ自社の商品・サービスを使ってくれるのか?」と考えると自社の強みが浮かびやすくなります。
また、ここでは4Pの切り口を使うと考えやすくなります。
4Pとは、Product(商品・サービス)、Price(価格)、Place(場所、立地)、Promotion(宣伝や顧客とのコミュニケーション)のことです。
4Pのどの観点が強みなのか?さらになぜ、その強みを自社が提供できるのか?を切り口に考えます。
【4Pの切り口(例)】
4Pの切り口 | 自社の強み | 強みを提供できる理由 |
---|---|---|
商品・サービス | 品質、ブランド、アフターフォロー | 技術力、仕入ルート、社長の経験 |
価格 | 低価格 | |
場所、立地 | 駅近く、商店街 | 出店戦略 |
宣伝、コミュニケーション | 知名度、接客、雰囲気 | 老舗、教育、デザイン・内装 |
申請書の記載例では、商品を強みとして「寿司や刺身のネタの鮮度」という品質、提供できる理由として「地元漁師との専属契約」という仕入ルート、を取り上げていますね。
さらに、品質の高さを証明するために「雑誌に取り上げられた」、「競合と比較して2倍の単価」というエビデンスを強調しています。
当然、商品・サービス以外の接客、雰囲気なども強みとなりますので、4Pの切り口を参考に検討されてはいかがでしょうか?
2)補助事業計画書
事業の具体的な内容、効果が必要です。特に「販路をどう開拓するのか」、「本当に効果が得られるのか?」という観点が重要となります。
2-1)事業の具体的内容
下記の「事業ドメイン」の切り口を使うとまとめやすくなります。
- 誰に:どのような顧客をターゲットとするのか?
- 何を:どのような商品・サービスを提供するのか?
- どのように:どのような形態で、どのような強みを活かすのか?
申請書の記載例では、
- 誰に:バイクで 20 分以内の配送が可能な範囲に居住のシニア世代
- 何を:鱈のすり身フライのバーガー
- どのように:デリバリー方式
と、まとめられております。
さらに、どのように販路を開拓するのか?という部分でも具体性も必要です。申請書では、「○○市マッチングフェアへの出展・顧客へのDM発送・地域住民へのポスティング」や「口頭でのPR」が記載されています。このように多彩な取り組みが計画されていると申請書の説得力が増します。
どうすれば認知度が向上するのか?どうすれば興味を持ってもらえるのか?どういう行動を取れば買う気になってもらえるのか?という観点で施策を考えていきましょう。
2-2)効果の考え方
効果については、売上高が向上する、という結論を出しましょう。
売上高は、客数×来店頻度×客単価、と分解できます。つまり、
- 新規顧客の来店数が増加する
- 既存顧客の来店頻度、リピートが増加する
- 客単価が増加する
という結論までしっかり記載することが重要です。
そのうえで、この補助事業にかかった投資金額、期待できる利益額を算定して、回収記載できると評価が高まるでしょう。
最後に、申請書を書いたら一度、第3者に見せることをお勧めします。
どうしても自社の事業やサービスには思い入れが強くなりがちなので、初見の審査員にはわかりづらくなる傾向があります。
補助金は、書面のみで審査され口頭での補足説明などはないため、事前に第3者に意見をもらう方がよいでしょう。
その際に、専門家を活用すると、文章や構成をわかりやすくしたり、根拠の妥当性を増すためのアドバイスも受けられるので、そちらも合わせて検討してみてはいかがでしょうか?
この補助金以外に使える補助金・助成金をまとめたので、そちらも併せて御覧ください。
参考資料
・実際に採択された企業の紹介(外部リンク)
・より詳細な申請書の記載例(外部リンク)
(監修:中小企業診断士 濱口誠一(はまぐち せいいち))
(編集:創業手帳編集部)