弥生株式会社記者会見|新ブランド「弥生 Next」発表!業務効率化だけではなく「業績向上」へ

創業手帳

中小企業も会計データを分析・活用し、業績改善できる世界を目指す


会計ソフト「弥生シリーズ」などを展開する弥生株式会社が、2023年10月11日事業戦略説明会を開催しました。

説明会では代表取締役の前山貴弘(まえやま たかひろ)氏が登壇。業績とあわせ、インボイスへの対応状況について説明しました。また今回は新しいブランド「弥生 Next」の立ち上げを発表。「従来は業務効率化に留まっていたが、今後はAIやクラウドを駆使して中小企業の業績向上をサポートしたい」と語りました。

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業績は順調に伸びており、売上は過去最高

説明会の冒頭では、前山氏から業績について発表がありました。今年度の売上は過去最高となる251.4億円を達成(22年度の売上は221.1億円)。弥生シリーズのユーザー数についても、22年度の284万に対し今年度は310万以上と大きく伸びています。

シェアについても、「クラウド」「デスクトップソフト」ともに会計ソフトのシェアNo.1を維持。さらに弥生の会計事務所向けパートナープログラムであるPAP会員数は12,000を突破しており、業界最大規模の会計事務所ネットワークを構築していることを強調しました。

既存製品アップデートのポイントは、業務効率化と法令改正対応


次に前山氏は既存製品のアップデートについて言及し、デスクトップソフト「弥生 24 シリーズ」の最新版を10月20日に一斉発売することを発表しました。今回のアップデートのポイントは業務効率化と法令改正対応。インボイス制度(仕訳・集計)や電子帳簿保存法への対応について解説しました。

あわせて既存デスクトップソフトの名称変更を発表。製品名の後ろに「+(プラス)クラウド」を付け加えたと言います。

「デスクトップソフトでクラウド機能が利用できるということが、ユーザーの皆様に伝えきれていませんでした。今回の名称変更をきっかけに、デスクトップソフトウェアを使いながらクラウドの良さも体感していただきたいと思います。」(前山氏)

10月には「デジタルインボイス」に対応予定

注目を集めるインボイス対応についても、前山氏は言及しました。弥生シリーズでは、2023年6月時点でインボイスに対応済みとのことです。

このインボイス対応の軸に据えているのが「スマート証憑管理」というサービス。「スマート証憑管理」は、紙やPDFなど形式が混在している証憑管理を一元化できる仕組みです。

前山氏は「スマート証憑管理」の活用事例として、千葉県でイベントプロデュースなどを手掛ける中小企業の株式会社レインカラーズを紹介しました。レインカラーズ社では、取引先によって異なる証憑を「スマート証憑管理」ですべてスキャンして一元管理。その結果、すぐにソートできる状態になり、仕訳時に二度手間が無くなったと言います。「インボイス導入前より作業が楽になったかもしれない」というユーザーの声を紹介し、インボイス対応により業務効率化が実現されていることを強調しました。

さらに前山氏は「インボイス制度において今後圧倒的に効率化するには、紙やデータが混在する状態ではなく、規格を統合して証憑を直接デジタルでやり取りする『デジタルインボイス』が不可欠」と語りました。弥生においても10月24日から、「スマート証憑管理」でのデジタルインボイスに対応した機能を追加するとのことです。

新ブランド「弥生 Next」を発表、その意図とは


説明会の後半では、新たなブランドの発表が行われました。新ブランド発表にあたり、まず前山氏は会計の歴史やこれまでの弥生の歩みについて触れました。

「1987年に会計ソフトを発売してから、弥生は常にスモールビジネスの皆様に向けたサービスを提供してきました。弥生の歴史は、中小企業会計そのものの歴史と言っても過言ではありません。かつて数百万円して大企業しか利用できなかった「会計ソフトの民主化」を目指し、皆様のビジネスに寄り添ってまいりました。」(前山氏)

大企業と違い、中小企業は会計データを活用できていない

中小企業や個人事業主の業務を理解して効率化を支援してきた一方、中小企業にはまだ大企業のようなデータ活用ができていない課題がある点を指摘しました。

「大企業には経理部や財務部がありますし、データを分析して経営に生かす専門部隊を置くところもあります。しかしそういった専門家がいる中小企業はほとんどなく、外部へ依頼するケースも少ないのが実状です。つまり弥生として取り組んで来た会計ソフトの民主化は、まだ本当の機能を提供できていませんでした。これは大きく反省するところです。

効率化とあわせて、会計データを分析して、理解して、納得して、次のアクションにつなげる。アクションによって売上が向上するかもしれないし、負債が減るかもしれない。コストが下がって結果的に利益が上がるかもしれない。こういう世界を目指したいと考えています。会計ソフトは業務効率化というイメージがありますが、会計が持つ可能性はもっと広いのです。」(前山氏)

つまりこれまでの業務効率化だけではなく、業績向上につなげるソリューションを目指す。これが新ブランド立ち上げの背景にあるというわけです。

業務効率化だけではなく、業績向上につなげるソリューションを目指す

新ブランド「弥生 Next」はAIやクラウドを使い、会計データを活用して業績向上につなげるソリューション。主なターゲットは、起業初期の企業や小規模から中堅企業としています。また新ブランドにおいては「社内外のバックオフィス業務がゼロ」「会社の状況がわかる」「経営の意思決定ができるパートナー」という3つのバリューを提供するということです。

「弥生シリーズは310万以上のユーザーを誇り、今後さらに増えていくと思います。我々はこうした膨大なユーザーの皆様のデータを分析できます。もちろんこれは匿名です。

分析で得たデータをユーザーの皆様それぞれに有用なデータに転換して、次のアクションを提案したいと考えています。つまりポストERPを目指しています。」(前山氏)

新ブランドの第1弾として給与関連ソフトを10月に発売


新ブランドの第1弾製品として、2023年10月20日に「弥生給与 Next」と「やよいの給与明細 Next」を発売することも発表されました。新製品は、年末調整において従業員と会社側のやり取りが全てデジタルで完結する点が大きな特徴です。

なお「弥生給与 Next」の料金体系は、「セルフプラン」(3万1000円・税抜)、「ベーシックプラン」(5万4200円・税抜)、「トータルプラン」(7万5000円・税抜)の3プランとなっています。なお「セルフプラン」と「ベーシックプラン」は初年度無料、「トータルプラン」は初年度半額(3万7500円・税抜)で利用できます。

今後も新ブランドのラインナップを拡充する予定で、2024年以降には会計分野や商取引分野で新製品がリリースされるとのことです。

新しいソリューションを通じて、中小企業を元気にしたい

説明会の最後には、取締役会長である平野拓也氏が登壇。今後中小企業をさらに元気にしていきたいと語りました。

「業績向上には主に4つあると思っています。1つ目はお客様とどれだけ近くなることができるか。2つ目は社員にどれだけ力を与えられるか。3つ目は、どれだけ業務プロセスを改善できるか。 そして4つ目は、新しいサービスや製品を作るためのインサイトを提供できるか。

こうしたソリューションは大企業向けにはありましたが、スモールビジネス向けにはなかったと思います。一方で日本企業の99%は中小企業と言われています。弥生として引き続き中小企業の皆様に寄り添いながら、今後は新たなソリューションでお客様を元気にしていきたいと考えています。」(平野氏)

※本記事で紹介している機能や料金などは2023年10月時点のものです。

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(編集:創業手帳編集部)

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