税理士とは 仕事の内容をわかりやすく解説。良い税理士を探すポイントは
税理士の仕事内容、依頼の際のポイントについてご説明します。
(2020/08/31更新)
経営者や個人事業主にとって、税金に関する疑問や悩みは切っても切れないものではないでしょうか。その悩みを解決してくれるのが税理士です。
この記事では税理士とはどのような職業なのか、経営者にとってどのような有用性があるのかをわかりやすく解説していきます。
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この記事の目次
税理士とはどんな職業なの?
税理士とは、その名のとおり「税」の専門家です。専門知識を駆使して、納税に必要な書類の作成や、節税のアドバイスなどを行います。毎年の確定申告を思い浮かべてみてください。確定申告は原則として「本人が行うもの」とされていますが、これを代行できるのが税理士なのです。
どのような人が税理士になっているのか
税理士になるためには、大きく分けて3つの方法があります。
・税理士試験に合格、および2年以上の実務経験(租税または会計に関する事務)を積む
・国税従事者として税務署に一定期間以上勤務し、税理士試験に合格する(特定科目の免除あり)
・公認会計士または弁護士の資格を取得する
公認会計士や弁護士の資格があれば、税理士として仕事をすることができますが、最も一般的な方法が、2年以上の実務経験を積み、税理士試験を受験する方法です。
どのルートから税理士になったのかによって、得意分野に違いが出ることもあります。
税理士の仕事内容
税理士は、どのような業務を行っているのでしょうか。税理士には3つの独占業務があります。
・税務代理
・税務相談
・税務書類作成代行
これらは税理士にしかできない業務で、資格のない素人が他者の手続きを行うと罰則が科せられます。
税務代理
税務署に申告をして税金を納付する、税務調査に対応するなどのやりとりを代理で行います。確定申告などは納税者自身で行うこともできますが、事業の規模が大きい場合や税務調査が入った際は素人では対応しきれないことがあります。
税理士は税法を駆使して陳述や主張を行い、クライアントの立場を守ります。また、税務署の更正・決定に不服がある場合には、代理人として申立てすることも可能なのです。
税務相談
税金に関するさまざまな疑問を解決することも税理士の仕事です。相談だけなら無料という税理士もいます。税務相談で信頼関係を築き、税務代理や書類作成代行といった仕事につなげていくようです。
税務書類作成代行
税務署に提出する決算書や申告書などを、経営者に代わって作成する業務です。確定申告を行う際、経費の項目や複雑な計算方法も、税理士であれば間違いなく処理してくれるという安心感があります。
このような独占業務は、税理士という資格があってこそ行うことができるものです。得意だからといって素人が他者の書類を作成したり、税に関する相談サイトを立ち上げたりすることは、罰則を科せられる可能性があります。その点には充分気をつけましょう。
また、税理士の仕事は上記に限らず、コンサルティング業務や起業する際のアドバイスなどをおこなっている場合もあります。企業がいかに利益を高めるかを考えてくれる、心強い存在が税理士なのです。
税理士に依頼する際のポイント
税理士に仕事を依頼する際、気をつけておくべき点をいくつかご紹介します。
・依頼のタイミングと内容
・良い税理士かどうか
・税理士への依頼コスト
それぞれ、個別に解説していきます。
税理士に依頼すべきタイミングや仕事内容
会社を設立する際、なるべく早く税理士への依頼を考えたほうが良いでしょう。その理由は3つあります。
まずは資金調達について、融資に関するアドバイスが得られることです。必要な書類や事業計画の作成方法、融資額など、さまざまな視点からのサポートが受けられます。
資金調達ができたら、経理や会計を正しく身につける必要があります。会計ソフトへの入力が負担になるような場合は、記帳代行として税理士に依頼することもできます。
また、節税についてのアドバイスを受けながら、中長期的な目標設定について考えるきっかけにもなるでしょう。
このように、設立時の融資についてはもちろん、各種補助金や助成金の申請方法など、さまざまなサポートを行っている税理士も多いようです。
起業を考えた時、お金に関することは専門家である税理士に相談することで、難しい手続きや準備がスピーディーに進行し、自社の経営に集中できるというメリットもあるのではないでしょうか。
公認会計士と担当業務が似ている?
税理士と公認会計士は、どちらもお金の流れを明確にするための業務であり、混同されやすい職業ですが、それぞれに独占業務があります。また、クライアントにも大きな違いがあるのです。
税理士の独占業務は、「税務代理」「税務書類作成代行」「税務相談」の3つがあげられます。「税務」に特化した業務を行うのが税理士であり、相談のほとんどが税金の支払いに関するものです。それらの業務を主に中小企業や個人事業主を中心として行います。
一方、公認会計士は「監査」の専門家で、独占業務は企業の経営成績やお金の流れが適正かどうかを評価する「監査・証明業務」です。監査は、上場している大企業などに要求されるものなので、会計士のクライアントは大企業ということになります。
税理士は経営者(納税者)の立場で、公認会計士は中立の立場で業務を行う職業であると言えるでしょう。
良い税理士と出会うために
税理士を探す際、何を重視するかを明確にすることが大切です。
税務や会計に関する相談、銀行との交渉など、どの税理士にも得意とする分野があるはずです。税理士に何を求めるのかを明確にすると、税理士選びがスムーズに進みます。
そして人間的に信頼できる人物か、といった相性も大切です。お金のことばかりでなく、事業について親身になって話を聞いてくれるか、レスポンスは迅速かなど、コミュニケーションが円滑であることも重要なポイントとなります。
また、求めている分野について多くの実績を積んでいるかどうかも、しっかりと確認しておきましょう。
税理士への依頼でコストを抑える方法
税理士の業務は多岐にわたりますが、会社設立時にすべてをまかせなければならないというわけではありません。税理士に支払う費用を最低限に抑えたい場合には、依頼する業務内容をよく考えることが大切です。
社内で対応可能なことは自社で行い、どこから税理士に依頼するかを決めておくと良いでしょう。
たとえば、会計ソフトを導入して、ある程度のことは社内で管理できるようにし、不明な点があった場合のみ税理士からのアドバイスをもらうという体制を作ることができれば、コスト削減につながります。
まとめ
税理士という仕事についてお伝えしてきました。難しい税金に関するお悩み、会社経営に関する不安を税理士に解決してもらうことで、心と時間に余裕が生まれます。
心から信頼できる税理士と出会えることは、会社にとって大変重要な要素ですので、状況にあった税理士を是非探してみてください。
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(編集:創業手帳編集部)