ベンチャーが活用したい6つの人材募集方法
ベンチャーにオススメしたい人材募集方法のメリット・デメリットまとめ
ベンチャー企業が成長・発展し、事業を拡大するには有能な人材の確保が必須である。人材の募集方法はたくさんあるが、それぞれのメリット・デメリットはどのようなものであろうか?
最低限の投資で時間をかけず、自分の会社に必要な人材を確実に確保する為には、まずは各募集方法の特性を知っておく必要がある。今回は起業直後の創業期のベンチャー企業がぜひ利用したい6つの人材募集方法についてメリット・デメリットをまとめた。
1.無料のハローワークで人材募集する
募集をかける場合にまず最初に思いつくのが、ハローワークの利用ではないだろうか。費用はかからず、多くの求職者に求人情報が出すことができ、応募人数を揃えることに主眼が置かれているのであれば有効的である。
ただし、専門の知識や技能を持ったスタッフを採用したくても、そういった人材にピンポイントでアクセスできるわけではない。採用基準に該当しないような求職者ばかりが多数応募してくるというケースも少なくない。この場合、書類選考で不採用とするにしても、採用にかかるコストや時間が無駄にかかってしまう。そのため、求人票には、求める人材像や採用基準を明確にしておくことが重要だ。
また、求人票に記載する内容だけでは自分の会社の特徴や経営者の「想い」を伝えることはほぼ不可能であり、雇用のミスマッチが起きやすい。この問題を完全に解決するのは難しいが、自社のホームページのURLを記載するなどの対応が考えられる。
- 「ハローワークで人材募集」のまとめ
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- 無料である。
- 広くたくさんの求職者に募集をかけることができる。
- 登録している求職者は必ずしも高度なスキルを有している人材ばかりではない。
- 求職者に自社を知ってもらうことが困難で、雇用のミスマッチに陥ることもある。
2.読者層次第の求人誌で人材募集する
次に人材募集の方法として、求人誌で募集するという方法が挙げられる。最近ではフリーの求人誌も多く出版されており、駅やコンビニで目にすることも多いだろう。
求人媒体全てに言えることだが、全ての求職者に知らせることは不可能であり、どこまで手広く利用するかは予算と採用予定人数次第である。
費用は広告サイズにより異なるが、一番小さいサイズで3万円程度からだ。特別なスキルや技能経験を必要としない人材を数多く採用したい場合は有効であるが、反面、特殊なスキルや技能経験を必要とする場合は、一般の求人誌に広告を出しても反応は薄くなってしまうことも多い。専門のスキルをもった人材を採用したい場合は、その業界の業界紙や専門誌を求人媒体として使うのも一つだろう。
- 「求人誌で人材募集」のまとめ
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- 予算と採用人数次第で考える。
- 特別なスキルを必要としない職種に数多く採用したい場合は有効。
- 特殊なスキルを必要とする職種ならば、業界紙や専門誌を活用する方が近道。
3.絶対必要な自社ホームページで人材募集する
メリット・デメリットを考える以前に、自社ホームページは絶対に必要である。現在、自社ホームページを持たないベンチャー企業はほとんど無いと思われるが、起業したらなるべく早くホームページを用意したい。もし現時点でホームページを持っていないのであれば、多少の費用はかけてでも直ぐにホームページを作るべきだ。
求職者は、自分が就職しようと考えている企業のホームページは必ずといってよいほどチェックする。求職者の立場に立って考えたときに、今時ホームページがない会社(あるいは手作り感満載のホームページだった場合)にどのような印象を抱くか想像してみて欲しい。
さらに、ホームページに求人情報を掲載するのであれば、紙の媒体のように物理的なスペースの制約がないため、会社の雰囲気や雇用条件、先輩社員の声、企業理念等、求職者に伝えたい内容を全て掲載することができる。
また、再度募集を行う場合にも、同じ内容(あるいは最小限の手直し)をホームページにアップロードするだけでよく、運用も非常に簡単である。
費用面については、ホームページ自体の製作・メンテナンス費用はもちろん必要であるが、求人専用サイトでも作らない限りは最小限に抑えられる。通常は、自社のコーポレートページのカテゴリに「採用情報」のカテゴリを作ればよいだろう。
ただし、求職者にまずは自社ホームページを訪問してもらう必要があり、最低限のネット集客の対応が必要になる。例えば、SEO対策として望ましいプログラムコードでホームページをつくる、「採用情報」のカテゴリへのリンク導線をわかりやすくデザインする、などである。
また、他の媒体もホームページへの集客に有効に使いたい。例えば、他の求人媒体に「詳細は弊社ホームページ(http:xxxx.jp)をご覧ください」と記載しておく、等だ。
【関連記事】ホームページは“安く・正しく・柔軟に”| スタートアップ・中小企業のための集客できるホームページの作り方
- 「自社ホームページで人材募集」のまとめ
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- 会社が伝えたいことを全て網羅できる。
- 再度募集する場合にも簡単。
- 求人専用サイトでもない限り、自社ホームページ管理コストの範疇。
- 求職者にまずは自社ホームページに来てもらう必要があり、最小限のSEO対策と他の求人媒体とコラボが必要である。
4.必要なスキルをもつ人材を探してくれる人材紹介会社を使って人材募集する
一定のスキルや知識技能を求める場合に活用したいのが、人材紹介会社である。人材を採用した場合に費用が発生するのが一般的で、おおよそ採用者の年収の30%程度を紹介報酬として支払うのが相場である。
人材紹介会社は、あなたの会社が必要とするスキルや知識技能を持った求職者を紹介してくれるので効率的である。もちろん、本当に自社に必要な人材なのか判断できるのは経営者である「あなた」だけである。紹介手数料を払って、「変な人材を掴まされた!」なんということにならないように、紹介された人材は選考時にしっかりと見極めたい。
- 「人材紹介会社を使って人材募集」のまとめ
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- 採用条件にあった人材を探してきてくれる。
- 年収の30%程度の費用がかかってしまう。
5.大手転職サイトで人材募集する
大手転職サイトに求人情報を掲載して人材募集する方法は、多くの求職者の目に触れるというのが最大のメリットである。また、紙の求人媒体と比べて職場風景などの写真(場合によっては動画も)なども掲載でき、ウェブの特性を活かして文章もより多く掲載することができる。スカウト機能があるサイトであれば、求人情報へのアクセスを待つだけでなく、条件にあった人材に企業の方からアプローチすることも可能だ。
問題はコストだ。費用は20万円程度~であるが、掲載期間やスカウトなどのオプション機能次第であり、最大で100万円を超えることもありうる。
- 「大手転職サイトで人材募集」のまとめ
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- 多くの求職者の目に触れる。
- 他の媒体と比べて自社をPRできるスペースが大きい。
- 掲載期間やオプション機能によって高額になる場合もあり、予算次第である。
6.転職フェアへの出展して人材募集する
最後に、転職フェアなどにブースを出展して人材募集をする方法がある。その場で会社のPRから面接まで行うことができるのでとても効率的である。さらに、その業界に特化したフェア(IT技術者、看護師など)であれば、来場する求職者も業界の人間が多いので、効率よく自社に必要な人材を発掘することができる。
ただし、知名度の低い企業のブースには立ち寄ってもらえないことがある。さらに、出展費用はイベントにもよるが、一日あたり50万円程度~のコストがかかり、創業間もないスタートアップベンチャーには敷居が高い。
- 「転職フェアへの出展して人材募集」のまとめ
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- 一度に会社のPRから面接までを実施できるので効率的。
- 知名度が低い企業だとブースに立ち寄ってもらえないことがある。
- 費用は高め。
ベンチャー企業が自社に必要な人材を確保する最良の方法は
ここまで様々な角度から人材募集の方法について述べてきたが、一番よい方法はどのような方法だろうか?
ベンチャー企業の場合、「単純作業をただ指示された通りにこなしてくれる従業員を多数必要としている」というケースは少ないだろう。おそらく「自社の企業理念に共感してくれる、ある程度のスキルや専門知識を持った人材を、少数でよいので獲得したい」ということになるのではないだろうか?
そしてベンチャー企業の場合、大手企業と違って、充実した福利厚生や給与水準、快適な労働環境を売りにしづらい反面、「従業員の自主性を尊重しなんでもトライできる」「経営層と距離が近く風通しの良い社風である」「実力次第で大きなプロジェクトを任せる」などといった部分に訴えかける必要がある。
その場合、求職者に自分の会社をよく知ってもらう必要がある。その観点で考えるとハローワークの求人票や求人誌、人材紹介会社の紹介だけではどうしても不十分と言わざるをえない。
一方で、ホームページでは必要な情報を不足なく伝えることができる。ただ、前述の通り、自社ホームページによる募集だけでは、誰の目にもとまらない。そのため、まずは自社ホームページを整備してメインとして利用しつつつ、補完的に他の媒体を効果的に利用するのがベストな方法になるだろう。
(監修:東京北社会保険労務士事務所 代表 堀 拓磨 社労士)
(創業手帳編集部)