クレーマーよりも要注意!サイレントクレーマーとは?放置できない理由とその対応策

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リピーター獲得と同じくらい重要なサイレントクレーマー対策。商品やサービスを提供するなら必ず知っておきたい対策法を紹介

サイレントクレーマーとは、通常のクレーマーとは違い、不満内容を会社側に伝えることのない顧客のことです。一見、会社側にとっては不利益がないように思われますが、サイレントクレーマーが抱える不満を可視化できないことは、様々なリスクを含んでいます。

サイレントクレーマーが会社に与える不利益や、サイレントクレーマーに対する対策にはどのようなものがあるのでしょうか。

・会社の脅威となりうるクレーマーやサイレントクレーマーはどのくらい存在するのか
・それらを放置したり、対応を間違えたりするとどのようなリスクがあるのか
といった実態をふまえながら、その対策をみていきます。

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サイレントクレーマーとは~クレーマーとの違いやその脅威について~

サイレントクレーマーとは、サービスや商品などに対して不満があるにもかかわらず、それを直接会社に訴えることなく、その会社やサービスの利用をやめる顧客のことです。
直接会社に不満を伝えてくれるクレーマーであれば、直接やり取りができるため、対応が適切であればその不満は解消することができます。
しかし、サイレントクレーマーの場合、会社側には名誉挽回のチャンスが与えられないのです。

サイレントクレーマーが秘める会社への脅威がどれほどのものであるか、実験に基づくデータ分析によって打ち出された『グッドマンの法則』から引用します。

【グッドマンの第一法則】 「不満を持った顧客のうち、苦情を申し立て、その解決に満足した顧客の当該商品サービスの再入決定率は、不満を持ちながら苦情を申し立てない顧客のそれに比べて高い」

【グッドマンの第二法則】 「苦情処理(対応)に不満を抱いた顧客の非好意的な口コミは、満足した顧客の好意的な口コミに比較して、二倍も強く影響を与える」

【グッドマンの第三法則】 「企業の行う消費者教育によって、その企業に対する消費者の信頼度が高まり好意的な口コミの波及効果が期待されるばかりか、商品購入意図が高まり、かつ市場拡大に貢献する」

参照:http://www.customer-loyalty.jp/goodman.html(顧客ロイヤルティ協会・佐藤知恭)

不満を直接会社に訴えるクレーマーの場合、その対応を間違わなければ不満を秘めていた顧客の満足度は一気に上がり、逆に対応を間違えてしまえば不満はさらに爆発して、満足していた顧客にまで影響を及ぼすということがわかります。
つまり、クレームに対して適切に処理できる従業員を育てることが、経営者にとって必須であるといえます。

サイレントクレーマーに関しては、そのチャンスすら与えてもらえないうえに、直接苦情を申し出るクレーマーに比べて多数存在していることが、会社にとって脅威となります。

不満を持った顧客の96%はクレームを言わない

商品やサービスに不満を持った顧客のうち、実際に苦情を申し立てる顧客の割合はごく僅かです。
顧客ロイヤリティ協会が発表したデータによると、商品やサービスに不満を抱いた人のうち、実際に苦情申し立てをした顧客の割合は4%ほどであることが判明しています。

つまり、不満を持った顧客の96%はサイレントクレーマーだといえます。

サイレントクレーマーを放置するとどうなるのか


潜在数が多いサイレントクレーマー。サイレントクレーマーを放置することで起こりうるリスクにはどのようなことがあるのでしょうか。

経営者にとって最も脅威となるリスクは2つあります。
・口コミでクレームを拡散される
・自社の問題点に気づくことができない

これらについて詳しく見ていきます。

直接ではなくネット上でクレームを言われる

サイレントクレーマーを放置した場合、直接的に不満内容を言わずに口コミへのクレームの書き込みや、SNSによるクレーム拡散などが考えられます。

書き込む人数はごく僅かであったとしても、掲載先がレビューサイトなどのようにずっと残る媒体であったり、フォロワーを多数持つインフルエンサーだったりすれば、多くのユーザーが目にすることになります。

本来なら集客の導線となり得る口コミサイトや流行の火付けとなるSNSが、逆に自社にとってマイナスに働いてしまいます。

自社サービスの問題点に気づくことができない

サイレントクレーマーは企業側の目が届かないところで商品やサービスに対するネガティブな口コミを発信するため、企業側が自社の問題点に気づかないというデメリットがあります。
迅速な問題改善ができないため、継続的に同じような不満を抱えた顧客を生み出し続けることになるのです。

さらに、対応が遅れることで書き込まれたクレーム内容に対して「改善がなされていない」と顧客側が判断してしまうことも大きなリスクとなります。
これは、「誠意のない企業」との印象を与えかねず、企業イメージのダウンにつながります。

顧客の不満を解決すれば高確率でリピーターに


顧客ロイヤリティ協会の発表しているデータによると、不満を持った顧客でも問題に迅速に対処すればするほどリピーターになる確率が高まると判明しています。

直接不満を訴えてくるクレーマーが全体の4%程度で、この中で「迅速に問題が解決した」と感じた顧客は、低額商品で95%、高額商品で82%のリピート率を誇っているのです。
同じデータ内では、苦情を直接申し立てないサイレントクレーマーのリピート率は低額商品で37%、高額商品で9%と低い数値となっています。

つまり、いち早く顧客の不満に気付き、迅速に解決するための仕組みを作ることが、自社のサービスや商品のリピーターを増やすために重要だと言えます。

サイレントクレーマーを生まない仕組みとは


クレーマーだけでなく、サイレントクレーマーも、不満内容を適切に解決することができればリピーターになる可能性があります。
しかし、問題解決の機会を与えてくれないサイレントクレーマー。
表面化しにくいサイレントクレーマーの不満を察知し、いち早く問題解決につなげるためにはどうしたらいいのでしょうか。

サイレントクレーマーを減少させるための対策としては、以下のようなものが挙げられます。

・問い合わせフォームやFAQの設置
・顧客のニーズを正しく把握する
・顧客に対し情報発信をする

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

問い合わせフォームやFAQサイトを設置する

サイレントクレーマー対策のひとつとして、顧客側が自分で問題を解決するための問い合わせフォームやFAQサイトを自社のホームページ内に作成しましょう。
この際、問い合わせフォームやFAQサイトまですぐに辿り着けるように、なるべく見やすい場所に配置することが大切です。

ハーバード大学の心理学者ショーン・エイカーによると、人は取りかかるまでに20秒以上を要する事柄は先延ばしする習性があると言われています。
そのため、問い合わせまでのハードルを下げることが、サイレントクレーマー対策としては重要です。

サイレントクレーマーのニーズを分析する

サイレントクレーマーは直接苦情を発することはありませんが、先述のFAQページなどと組み合わせることで不満内容が解決したかどうかを分析することができます。
FAQサイトの利用後に「問題は解決しましたか?」という内容のアンケートが出て、それに回答した経験がある方も多いのではないでしょうか。
これがまさに顧客のニーズを知るための仕組みで、顧客の求めている情報を分析し、FAQサイトに掲載する情報をニーズに合わせて更新し続けることが大切です。

積極的に顧客に情報発信をする

グッドマンの第三法則によると、顧客に対し積極的に情報を発信することは、顧客の企業への信頼感が増し、好意的な口コミの拡散や購買意欲の促進に繋がるとされています。

企業イメージアップへの取り組みは、サイレントクレーマーを生むリスクを下げるだけでなく、アクティブな顧客の獲得にもつながるため、積極的に行うのが企業にとってプラスになるでしょう。

実態を知り、ピンチをチャンスに!

サイレントクレーマーは放置してしまうと、気づかないうちに自社にとって大きないダメージを与える存在になってしまいます。

サイレントクレーマー対策には、問い合わせまでのハードルを下げ、問い合わせ後の顧客満足度を高めることが大事です。

適切に顧客の求めている情報発信を続けていけば、リピーターの確保にも繋がるので、長期的に取り組んでいきましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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