【2026年最新】少額減価償却資産の特例が40万円に?個人事業主の書き方を解説
特例を正しく使うための実践ガイド

税法では、高額の備品や設備に対して、時間の経過とともに経費計上する減価償却を行うように定めています。
このことで高額な備品はすべて分割計上が必要だと誤解されがちです。しかし、一定条件を満たせば一括で経費計上できる特例が存在します。
少額減価償却資産の特例は個人事業主の節税に有効な制度です。正しく理解しておけば経理での手続きもスムーズに進められます。
令和8年度税制改正大綱では限度額引上げが検討されており、制度を理解しておくことが、今後さらに重要になります。
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この記事の目次
少額減価償却資産の特例とは?

少額減価償却資産の特例は、一定要件を満たすことで30万円未満の資産を取得年度に全額経費計上できる制度です。
この特例を利用しない場合は、通常の減価償却になるので、耐用年数に応じた期間で減価償却しなければいけません。
一方で、この制度を活用すれば耐用年数に応じた分割計上を行わず即時費用化が可能です。少額減価償却資産の特例について基本的な部分からまとめました。
制度の概要
少額減価償却資産の特例の正式名称は「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」です。取得価額が30万円未満の資産を一括で必要経費に算入できます。
この制度は租税特別措置法に基づくものであり、年間合計300万円までという上限が設定されています。
特例を適用した資産は損金計上して固定資産台帳での管理が必要です。また、帳簿保存が実務上の前提となります。
さらに確定申告書には、少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16(7))を添付して申告しなければいけません。
適用事業者と条件
少額減価償却資産の特例は、青色申告を行う個人事業主または中小企業者のみが対象となる制度です。 つまり、白色申告者はこの特例を利用できません。
制度を利用する前提として青色申告承認申請書を期限内に提出していることが求められます。
個人事業者の場合
個人事業者は、青色申告を行っていることが求められます。青色申告をするには、青色申告承認申請書が必要です。
今後、少額減価償却資産の特例を利用する可能性がある白色申告者は青色申告に切り替えるようにおすすめします。
中小企業者の場合
中小企業者が、少額減価償却資産の特例を利用するためには、個人事業主と同様に青色申告を選択しなければいけません。
また、資本金や出資金の額が1億円以下であることや大規模法人から一定割合上の出資を受けていないことなどが条件です。
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少額減価償却資産の特例|個人事業主の書き方

少額減価償却資産の特例は、青色申告を選択して帳簿と決算書、申告書類に会計を正しく反映して初めて適用が認められる制度です。
少額減価償却資産の特例の手続き、記載方法自体は難しくありません。
しかし、勘定科目や摘要欄の書き方を間違えば後から税務上の確認をする時に困難になってしまいます。
国税庁のサイトでは、青色の決算書の書き方を紹介しています。記載ルールに沿って処理することが、特例をスムーズに活用するために大切です。
帳簿での記載方法
少額減価償却資産の特例を利用した場合の仕訳を紹介します。
【例】パソコン30万円を購入し少額減価償却資産の特例を利用した。
【購入時】
| 借方 | 貸方 | 適用 | ||
| 備品 | 30万円 | 普通預金 | 30万円 | |
【事業年度末】
事業年度末に、少額減価償却資産の特例により取得価額の全額を減価償却費として計上します。
| 借方 | 貸方 | 適用 | ||
| 減価償却費 | 30万円 | 備品 | 30万円 | 少額減価償却資産の特例を利用した |
青色申告決算書への反映
個人事業主の場合、特例を使うには青色決算申告書の「減価償却費の計算」の摘要欄に「措法28の2」と記載しなければいけません。
以下で書き方の例を挙げるので確認しておいてください。
確定申告書等作成コーナーを使用する場合

画像出典:中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例制度とは|国税庁 確定申告書等作成コーナー
確定申告書等作成コーナーで青色決算申告書を作成する場合は、「減価償却資産の種類等」で「中小企業者の特例対象資産」を選択すると、帳票表示で摘要欄に「措置法28の2」と自動表示されます。
手書きで記入する場合

画像出典:令和7年分 青色申告決算書(一般用)の書き方(国税庁)をもとに加工
手書きの場合も同様に、減価償却費の計算の摘要欄に「措法28の2」と記入してください。
また、合計額のほか償却の基礎になる金額欄に「明細は別途管理している旨」の記入が必要です。
年間300万円の上限管理は事業者自身が行います。決算時に上限を超えていないか再度確認してください。
会計ソフトでの処理イメージ
会計ソフトでは固定資産登録時に償却方法を「即時償却」や「少額償却」を選択することで処理できます。
会計ソフトによって入力方法が異なるので、入力する前に必ず確認してください。
多くのケースでは、耐用年数設定を行わず、取得年度に全額費用計上される仕様です。
ただし、税制要件に合致しているかどうかを確認するのは利用者です。不安がある時には、国税庁資料で確認しておくようにおすすめします。
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【最新】40万円に引き上げ?令和8年度税制改正大綱の内容

令和8年度税制改正大綱では、少額減価償却資産の特例の限度額引上げが検討事項として明記されました。
現行制度との違いを正確に把握することで、設備投資計画への影響を判断しやすくなります。
ただし、改正内容はまだ確定事項ではありません。実際に実務に反映するには今後の法改正を待ってください。
改正大綱で示された変更点
令和8年度税制改正大綱では、少額減価償却資産の取得価額上限を40万円に引き上げる案が示されました。
制度が創設された2003年からの物価動向や対象資産の価格上昇を踏まえて、より市場の実態に即した見直しを行う目的です。
また、少額減価償却資産の特例の適用期限も2029年3月31日まで、つまり3年間延長される見込みです。
この変更は中小事業者の設備投資促進を目的とした制度見直しの一環として位置付けられています。
加えて、適用対象となる中小企業者として対象から除外される法人の基準が、常時使用する従業員数「500人超」から 「400人超」 への引き下げられる見込みです。
これらの変更が実現すれば、より多くの企業で少額減価償却資産の特例を利用しやすくなります。
ただし、現時点では「検討事項」であり、確定した制度改正ではない点に注意が必要です。
いつから適用される可能性があるか
令和8年度税制改正大綱に基づく制度改正は、早ければ2026年4月以降の施行が想定されています。
税制改正の実際の適用時期は関連法令の成立と公布を経て正式に決定される仕組みです。
税制改正は企業の経理、実務に直接かかわります。
税制改正大綱発表を受けて、どういった影響があるかを分析し、施行されるまでに社内規定やシステムの対応を完了させておくのが理想的です。
また、実際に実務で関わる従業員に周知徹底しておいてください。
実務への影響
令和8年度税制改正によって、少額減価償却資産の特例が適用される限度額が40万円に引き上げられれば、高性能PCや専門機器の一括経費計上が可能となる範囲が広がります。
これにより初期投資負担の軽減とキャッシュフロー改善が期待できます。
ただし、法改正が確定する前に新しい限度額を前提に購入予定を進めてしまうのはおすすめできません。
実際に成立した要件と食い違う可能性があり、適用されないリスクがあります。
実務では改正案を前提に購入や経理判断を進めず、確定した法律に基づいて判断するようにしてください。
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少額減価償却資産の特例とほかの償却方法の違い

減価償却が関わる資産は多く、業務に使用する建物や機械設備、自動車などが挙げられます。これらの減価償却資産は一般的に時が経過すれば価値が減っていきます。
減価償却資産の取得に要した金額は、取得時に全額経費にするのではなく、資産の使用可能期間全期間で分割して経費にしていくのが減価償却の基本的な考え方です。
ここでは、少額減価償却資産の特例とほかの償却方法の違いをまとめました。
通常の減価償却との違い
減価償却とは、固定資産の取得に要した支出(取得価額)を、その資産が使用できる期間(耐用年数)に応じて分割し、毎年の費用として経費計上を行います。
減価償却の目的は、資産の価値減少を費用として反映させることです。資産がもたらす収益に対応した取得コストを計画的に配分する仕組みです。
減価償却は、実際に現金を支払うことがないのでキャッシュフローに影響を与えずに費用計上できるメリットがあります。
一括償却資産との違い
少額減価償却資産の特例と混同されやすい制度に一括償却資産があります。
一括償却資産は、すべての企業が対象であり、取得価額が20万円未満の減価償却資産について、3年間で均等償却できる制度です。
一括償却資産には事業年度ごとの上限もありません。
また、償却資産を150万円以上分保有していると償却資産税が課せられてしまいます。しかし、一括償却資産として会計処理したものは償却資産税の課税対象にはなりません。
制度を利用している企業の規模や固定資産の金額、今後のキャッシュフローなどを総合的に考えて利用する制度を選択してください。
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少額減価償却資産の特例のよくあるミス・注意点

少額減価償却資産の特例は細かな要件が多く、制度内容を正確に把握しないと誤った処理となるリスクがあります。
基本的なルールを押さえることで不要な否認リスクを回避してください。
償却資産税の対象になる?
少額減価償却資産の特例は、償却資産税の対象です。償却資産税は、事業のために保有している機械や備品などの固定資産に対して課せられる税金です。
土地や建物に課せられる固定資産税と区別して償却資産税と呼ばれています。
少額減価償却資産の特例は国税(法人税・所得税)に関する制度であり、固定資産税(償却資産)においては、ほかの償却資産と併せて市区町村に申告しなければいけません。
毎年1月1日現在所有している償却資産の内容(取得年月、取得価額、耐用年数等)について、1月31日までに市町村に申告します。
一方で、使用可能期間1年未満または取得価額10万円未満の固定資産や一括償却資産は対象外です。
白色申告では特例を使える?
少額減価償却資産の特例は白色申告者は適用されません。白色申告の場合、10万円未満の消耗品費処理や通常の減価償却のみが選択肢です。
申告方法の違いは、経費処理に直結します。事前に確認して必要があれば青色申告を選択することも検討してください。
事業と関係ない資産は適用外になる?
事業に必要ない資産は適用外です。趣味など事業に関係なく購入した費用を節税目的で経費計上することは認められていません。
あくまで事業用として購入した物品や設備機器が対象の制度です。
上限300万円まで使えないケースとは?
購入した資産の金額によっては上限まで制度を使えない可能性があります。
例えば40万円の資産を8個購入して取得価額の合計320万円となった場合制度の対象にできるのは、取得価額合計が300万円に達するまでの資産です。
制度の対象になるのは、取得価額合計が300万円に達するまでの資産です。つまりこの場合、上限300万円ではなく7個分の280万円までが対象になります。
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少額減価償却資産の特例を使ったほうが良いケースは?

少額減価償却資産の特例は、すべての個人事業主に最適とは限りません。事業状況や利益水準に応じた判断が求められます。
自社の経営状態を踏まえて使い分けてください。どういったケースで使ったほうが良いのかをまとめました。
利益が出ている年
利益が大きく出ている年は、一括経費計上による所得圧縮効果が高くなります。制度を使って課税所得を抑えられれば、所得税や住民税の負担を軽減可能です。
ただし、一括経費計上は節税効果が高い反面、翌年以降の経費が減少する点に注意が必要です。資金繰りと税負担のバランスを踏まえた上で判断してください。
高額設備を導入した年
業務効率化や売上拡大を目的に高額設備を導入した年は特例活用を検討してください。初期投資の回収を早める効果があり、資金繰り改善にも寄与します。
実務上は設備の耐用年数に対しての比較検討が欠かせません。短期的な税負担軽減と中長期的な利益計画を両立させる視点が求められます。
どちらの節税効果が高いかをシミュレーションして判断してください。
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まとめ|制度改正を見据えて正しく活用しよう
少額減価償却資産の特例は、現行制度を正確に理解した上で活用しましょう。40万円への引上げは改正予定であり、確定情報ではないので準備して続報を待ってください。
この記事は令和7年度時点の制度および令和8年度税制改正大綱をもとに解説しています。実際の適用可否は、必ず最新の法令・国税庁公表資料をご確認ください。
最終的な判断は国税庁や財務省の最新公式情報を必ず確認するようにおすすめします。
情報に踊らされることなく、自社にとって有益であるかどうか、将来を見据えて妥当かどうかを考えましょう。
(編集:創業手帳編集部)







