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年商と売上高の違いとは?

違いは期間にあり

年商と売上高のそれぞれの定義や違い、使い方についてわかりやすく説明します。
年商とは、企業における年度の全ての売上を意味します。一方の売上高とは、その企業が一定期間で得た売上の総額を意味します。

どちらも企業が商品やサービスを売って得た金額を表していますが、それらが対象とする期間に違いがあります。
年商の期間は企業の年度単位ですが、売上高の期間はその時定めた単位となります。企業が期間を自由に定めることができますので、日ごとや月ごとに区切ることも可能です。1カ月ごとの売上高を出したり、上場企業では四半期決算で公表する売上高などがあります。
年商と売上高の説明をまとめると次の通りです。
・年商は1年度分の売上を意味する。
・売上高は1カ月間や1年間など、一定期間分の売上を意味する。

「年商」と「売上高」の使い方

それでは、年商と売上高はどのような使い方をするのでしょうか?
「年商」は主に企業の規模をはかる目安となります。ある企業を説明するときに、「年商〇億円」のように使われます。広告宣伝やメディアでも良く使われる表現で、年商が大きいほど企業の営業活動が大きいことになり、一般的に信用力につながります。

一方で、「売上高」は企業の内外問わず使われる具体的な指標と言えます。企業が本業となる商品やサービスで得た収益の総額が、売上高です。そして、日々の売上が積み重なることで月間、四半期、年間といったそれぞれの売上高が表されます。
企業内では月間や年間の売上高の目標を定めて、営業活動に取り組みます。企業の外部の金融機関や投資家としては、各期間の売上高をもとに融資や投資などを行います。このように、企業の売上高の予測や実績、増減などは、企業の内外の関係者にとって活動を判断する基準に使われます。

ここで、実際に年商と売上高が使われるケースを考えてみましょう。
年商の例としては、次のような場面があげられます。口頭やニュースでも聞く表現で、商材や営業活動の規模を示す目安であることがイメージできると思います。
・年商1,000億円の人気商品。
・年商1,000億円のレジャー施設。
・年商1,000億円の新規事業。

売上高の例は、次のような場面があります。企業内の報告や決算発表で使われることも多く、営業活動の具体的な計画や実績を示す指標となります。
・今月の目標の売上高100億円。
・今月の売上高110億円。
・本年度の売上高1,200億円。

会計における年商と売上高とは?

企業の会計では「年商」と「売上高」を明確に分けて使います。
企業の営業活動で日々記録する簿記の勘定科目として、収益が発生するごとに計上するのが売上です。一般的には、代金の支払いが後日の場合でも、売買が成立したときに売上が生じるものとしています。
そして、年度末に作成する決算書では、全ての売上を合わせた「売上高」を計上します。より詳しく表すと、「売上高」には「総売上高」と「純売上高」の2つがあります。「総売上高」は売上高控除項目の「売上戻り(返品)」、「売上値引き」、「売上割戻り(リベート)」を考慮しない売上高のことで、「純売上高」はこれらを差し引いた売上高を指しています。
決算書の損益計算書での「売上高」は「純売上高」です。収益の部に分類され、「費用」と「利益」の対になるものとして計上されます。損益計算書で示される「売上高」、つまり「純売上高」が「年商」と言われます。
会計上でのそれぞれの用語の関係は次の通りです。
・日々の売上×1年度分=年間売上高
・年間売上高=純売上高=総売上高―(売上戻り+売上値引き+売上割戻り)
・純売上高=費用+利益=年商

創業・起業における年商と売上高とは?

最後に、創業や起業に関わる年商と売上高について説明します。
創業にあたって収益を予測し、創業計画書を作成する場面などでは売上高を使います。事業の見込みや資金調達のために、日々や年間の売上高はとても重要な指標となります。ただし、売上高の予測は難しいものですので、その業種での経験や実績が必要となります。

また、創業して1年が経過すると、その1年間の売上高から年商が定まります。年商によって創業からの営業活動の規模が分かりますので、事業の成功や信用を表す目安としても活用されます。このように、創業や起業の前後においても、年商と売上高は使い分けられます。

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