営業で個人としての信用を獲得する方法
あなたはお客様と「ラポール」を築けていますか?
前回、営業において信用が大事であるというテーマを取り上げた。
【関連記事】 > あなたの営業には3つの「信用」がありますか? -営業活動の第一歩「3つの信用」が売上のバロメーター-
特に、起業直後の創業期にあるスタートアップベンチャーの場合、一般的な大企業に比べても信用の獲得が重要だ。
- 営業における3つの信用
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- 個人としての信用
- 仕事スキルとしての信用
- 商品・サービスの信用
実際に信用を得るために何をすべきだろうか?
やるべき行動は営業における3つの信用ごとに異なる。では、どの部分から信用を獲得すべきかだろうか?
順序については営業開始時の状況や経緯(テレアポ、紹介、引継、前職つながり・・・)次第なので一概には言えないが、一般的には「個人としての信用」からだろう。
個人としての信用を得るために意識すること
「個人としての信用」が獲得できている状態のことを「ラポールが築けている」と呼んでいる。「ラポール」という言葉は元々臨床心理学の言葉で「セラピストとクライアントの間に相互信頼が成立している状態」を指す言葉である。
営業の世界では、これは顧客との関係性を測る際の用語だ。顧客との関係性では「お客さんとラポールは築けているか?」「なぜそう判断したか?」は常に意識しておくべきポイントである。
「褒める」か「共通の話題をつくる」
「個人としての信用」を築く方法は単純で「褒める」または「共通の話題」である。
褒めて信用を築く
「褒めることができる」ということは「相手の良いところを見つけることができた」ということだ。「褒め方本」などというものが存在するように、実際にやろうとすると決して簡単なものではない。
しかし、「個人としての信用」を獲得しようとするならば、これを会ってすぐに出来なければならない。軽薄な褒め言葉だけを投げかけても、むしろ信用を失うばかりである。
相手が大事にしているもの、自分の特長であると思っていることに素早く気付いて指摘することが求められる。相手が「自分は理解されている」と感じられるまでがゴールである。
軽薄な褒め言葉は真逆の効果をもたらすので注意が必要だ。
共通の話題をつくって信用を築く
「共通の話題」に関しては相性の問題もあるので一般化は難しいが、基本は「褒める」場合と同じである。
「共通の話題」が見つかった場合は「褒める」方法よりも営業自身が自分のフィールドで話せるので難易度は下がる。
ただし、大事なことはあくまでも相手を理解するための会話だということである。持論を延々に展開するようなことは避けるべきであり、基本的なスタンスは傾聴である。
より具体的に手法を言うと「相手の特長を見つけて5W1Hを聞く」というのが簡単にできる方法だと思う。
例えば、「相手が特徴的な腕時計をしていた」ことに気付くことができたとする。そうしたら「その時計素敵ですね。どこで買ったんですか?」「いつ買ったんですか?」「なぜそれを選んだんですか?」といった形で質問をしていく。相手は特に不快なことがなければ答えてくれるだろう。
その回答の中にまた質問をぶつけていく。「その店にはよく行くのですか?」「店選びの基準はありますか?」そういった質問の中でその人なりの価値観が出てくるまで聞いていく。
ここまで聞ければ相手は自分のことを多少は理解してもらっていると感じるだろう。こちらの質問に対しても嫌な顔せずに回答してもらえるだろうし、好意的なジェスチャーや表情で応対してもらっているはずだ。
この状態がラポールが築けている状態であり、商談に入れるようになったサインでも有る。
スムーズに質問を続ける力は営業の基礎体力
「褒める」場合も「共通の話題をつくる」場合も、「質問をする」→「相手が回答する」→「回答内容について再度質問をする」のサイクルは同じである。
しかし、初めてこれをやる人は、大抵最初の質問に対する回答が返ってきた段階で次の質問が思いつかないで終わってしまうことが多いだろう。スムーズに質問し続けられる能力を身に着ける必要があり、これをやるにはそれ相応の練習が必要だ。
これは営業として基礎体力のようなもので、スポーツであれば走力に当たる能力であり、信用獲得にかぎらず営業には必要な能力だと思う。
字数が尽きてきたので、残り二つの信用(「仕事スキルとしての信用」「商品・サービスの信用」)を得るための方法については次回詳しく説明していこう。
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(監修: 本気ファクトリー代表 畠山 和也)
(創業手帳編集部)
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