ウィズコロナ、アフターコロナのニューノーマルなオフィスの在り方
コロナウイルス流行におけるオフィスの在り方を探る!ウィズコロナ・アフターコロナで知りたい企業のオフィス設計のポイント
新型コロナウイルスの影響で、2020年は働き方やオフィス環境について深く考えさせられました。
また、感染予防対策のため、これからはウィズコロナ、アフターコロナのためのニューノーマルなオフィスの在り方を検討していくことが求められています。
リモートワークの浸透により、オフィスが次々解約されていますが、これから企業はオフィスをどう捉え、扱っていくことが必要なのでしょうか。
オフィスは必要か、オフィスを残すとしたら、どうあるべきか、安全性や効率化について解説します。
フレックス、リモートワークなどとの兼ね合い、連携の仕方を考えてみましょう。
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コロナウイルス流行でオフィスは消える?
コロナウイルス流行により、「新しい生活様式」に対応した働き方が求められるとともに、在宅によるリモートワークを余儀なくされた方が増え、オフィスから人が減りました。
2020年5月以降の緊急事態宣言解除後も、リモートワーク、テレワークを推奨、実施している企業は多いです。
コロナウイルスによって変わる生活様式と働き方は、オフィスの在り方・考え方に対しても変容を求めています。では、これからのオフィスはどのようにあるべきなのでしょう。
リモートは増えてもオフィスの役割は消えない
リモートワーク、テレワークの増加により起こった動きが、オフィス需要の縮小です。
しかし一方では、リモートワークやテレワークはオフィスのメリットを浮き彫りにし、オフィスの必要性、役割をかえって強く印象付けもしています。
活発なコミュニケーションの場として、メンタルの切り替えや集中して仕事をこなせる場として、オフィスを再認識する企業も増えました。
そのため、これからもオフィスが完全になくなることはないでしょう。
コミュニケーションによる知的生産性の向上、価値観の共有、帰属意識の醸成など、オフィスならではの効果を期待したオフィス戦略が始まっています。
今後もオフィスの価値・役割を生かしつつも、コロナウイルスによるリスクを減らす、ニューノーマルなオフィスのあり方を目指す流れが続く見通しです。
各社がオフィス戦略を模索中
各社のオフィスの見直し、アフターコロナ、ウィズコロナのオフィス戦略は始まっています。企業がアフターコロナ、ウィズコロナのオフィス作りで重視しているのは、主に感染対策と安全性です。
感染予防対策のためには、レイアウトの見直しや予防ツールの導入などを行い、これまでとは異なるオフィス環境の整備に各社追われています。
また、オフィスの見直しはもとより、オフィスで働く人たちの働き方の変革による「三つの密」を減らすことも進められている対策の一つです。
ローテーション制やフレックス導入によって一度に来社する人員を減らし、密集を避ける企業もあります。ローテーションやフレックスの導入は、オフィスに集まる人員の抑制だけでなく通勤時の密を避けるためにも効果的です。
ウィズコロナで変わるオフィスの在り方とは
ウィズコロナでオフィスの在り方は変わってきています。
今後は、新型コロナウイルスの感染対策という観点からもオフィスの利用方法やレイアウトを見直し、さらには働き方も合わせて変えていくことが大切です。
ウィズコロナ時代を迎えるにあたり、オフィスのあるべき姿、新しい活用方法を知っておきましょう。
これまでオフィスの目的や価値を考えてこなかった企業も多いかもしれません。
しかし、この機にオフィスをきちんと見直すことで、オフィスの価値を最大に生かし、以前よりも効率アップや生産性アップが叶う可能性もあります。
「とりあえず出社する場所」からの脱出
ウィズコロナ、アフターコロナの働き方では、今一度オフィスの価値を見直し、「とりあえず出社する場所」との認識からの脱却が必要です。
世界的にオフィスへの認識の見直しが始まっており、「とりあえず出社」からコミュニケーションの促進や信頼関係の構築を目指した効率的な利用を目指す動きが広がっています。
また、実務的な面では、仕事に集中して取り組める場所としての役割も大きいです。在宅リモートワークでは不足しがちなファシリティの面で、オフィスは優位性を持っています。
オフィスへ出社することによって、仕事モードへのスイッチが入り、退社することでスイッチを切るオンオフのメリハリをつけられるといったメンタル面のメリットも大きいです。
企業への帰属意識を高める場所として、理念や価値観を共有する場所としてのあり方も大切にしたい点です。
ビジョンのないオフィス縮小は避ける
オフィスの見直しをするには、明確な目的や必要性、方向性を持つことも大切です。
ウィズコロナのオフィス変革やオフィス縮小の世界的な動きを受け、見直しを始める企業も増えますが、流れに便乗するだけの安易な変革や縮小にはリスクもあります。
ビジョンのない場当たり的、その場しのぎのコスト削減を考えたオフィス縮小は、最終的にメリットよりデメリットが上回る原因となりかねません。
一時的にはコストカットが叶いますが、新オフィスの機能が改善されていなければ、従業員の働きやすさややる気を低下させ、生産性を低下させる恐れもあります。
そのため、オフィス見直しは目的や必要性に応じ、コンセントやビジョンを追求したものとしなければいけません。短期的なメリットではなく、総合的、長期的な生産性の維持、もしくは向上が可能か考えることが重要です。
ウィズコロナのためのオフィスづくりのポイントとは
ウィズコロナのための具体的なオフィスづくりのポイントについて解説します。
ウィズコロナ、アフターコロナのオフィスを考える上で重要となるのは、感染予防対策、安心して快適に働けることです。
ウィズコロナで大切になるオフィスづくりのポイントを確認しましょう。
2メートル以上の身体的距離を保つ
ウィズコロナ、アフターコロナの時代には、オフィスに関わらず人と人の距離を十分に保つことが大切です。
十分に距離を開けた状態で過ごせる環境、密にならない空間、人と人とが距離を守って動ける動線を作ることが安心して働けるためのポイントとなります。
コロナウイルスの感染予防対策として欲しいのは、2メートル以上の身体的距離を保てるゆとりです。
オフィスでは、デスクとチェアによって2メートル以上の距離を意識的に確保します。また、2メートル以上の距離を保つことができない場合には、パーテーションで対応することが可能です。
1室あたりの人員を減らすことで距離を取りつつ、これまで会議室などで使用していた部屋もオフィスとして活用することで収容人数を確保できます。
さらにその上ですべての人がマスク着用で勤務し、通行はできる限り一方通行になるよう、動線を作ることも大切です。安心して働ける環境づくりは、座る場所だけでなく通路の確保も考える必要があります。
レイアウトに柔軟性を持たせる
ウィズコロナ、アフターコロナのオフィスのニューノーマルとしては、レイアウトの柔軟性も押さえたいポイントです。今後のオフィスは、感染状況に応じて様々な形に変容できることが大切です。
コロナウイルスコロナ感染状況の悪化とともに、一時は縮小していたリモートワーク、在宅勤務が再び増加する可能性もありますし、オフィスに求められる機能も変化していく可能性もあります。
そのため、社会の変化に応じて変えられ、さらに適したレイアウトを作ることができる柔軟性が必要です。
ウィズコロナのための新たなツール導入も検討する
ウィズコロナのオフィスでは、安全と健康を守って働ける環境づくりとして、新しいツールの導入も検討したいところです。
電子機器の導入によって、人と人の接触、人と物の接触を減らし、安全に働ける環境を目指します。
照明や空調、スピーカー、プロジェクターなどの共用設備は、複数名が触れないで使えるAV制御システムを導入すると感染予防に効果的です。
スマートフォンやパソコンからも操作可能なシステムにすることで、紙の資料を減らし、感染ルートを絶つことができます。テレビ会議用ツールといった、リモートワーク中の社員との連携ツールも大切です。
また、社員の健康管理のためにも、効率的な体温計測ツールも検討すると良いかもしれません。
サテライトオフィスでリスク分散を検討する
地方の研修所や保養所として使用していた建物や旅館を、サテライトオフィスにリノベーションするなど、社員の働く場所自体を柔軟に変更することも、ウィズコロナのオフィス対策としては有効です。
使用頻度の少なかった建物を有効活用しつつ、感染リスクを分散することができます。たとえ一つの拠点で感染が起こっても、他の拠点で事業を継続できるリスク対策です。
首都圏一極化に傾いていたオフィス事情も、リモートワーク、在宅勤務の浸透により変わってきています。この機会に、オフィスの地方への分散を検討してみる価値はあるでしょう。
社員にとっても、効率的な就労環境と感染対策、通勤の利便性も確保でき、働きやすさとモチベーションの向上にもつながる可能性があります。
サテライトオフィスとして使用する場合には、建物とネットワークネットシステムに、本社と同等のセキュリティが必要です。
感染予防と健康対策はもちろんのこと、安全で安定したネットワーク環境など機能面も充実させ、快適な就労環境を整えます。サテライトオフィスもリモートワークの一種ですが、セキュリティの安全性を個々の自宅の状況に頼りがちな在宅よりも安心です。
また、社員のメンタル面でも、オンオフの切り替えもできます。
リモートワーク・ワーケーションとの共存を目指す
ウィズコロナのオフィス対策としては、オフィスをコミュニケーションの場や意思統一の場として活用するとともに、リモートワークとの共存も欠かせません。
オフィスを安全で快適にしつつ、リモートワークで働く人との連携を取りやすくし、共存しやすい環境を目指します。
また、リモートワークのほかにも、ワーケーションの導入も検討することが大切です。コロナ対策だけでなく、社員一人ひとりが働き方を柔軟に選べる環境を作ることで、より働きやすくプライベートとの両立をしやすくします。
リモートワークやワーケーションは、コロナ感染対策だけでないメリットも多いです。今後は離れた場所にいても成果や人事評価ができる、コミュニケーションを取れる仕組みを作る必要となります。
ウィズコロナのオフィス対策を良い機会として、社員の働きやすい仕組みを作るのも良いでしょう。
オフィス内での密を避ける工夫の具体例
ウィズコロナ、アフターコロナのニューノーマルなオフィスづくりとして、おすすめの具体例を紹介します。オフィス内での「3つの密」を避けて、健康で安全に働けて効率的な働き方ができるオフィス事例をチェックしてみましょう。
これからオフィス環境を整える企業は自社のオフィス設計の参考にしてみてください。
オフィスで密を避けるレイアウト例
オフィスのレイアウトでは、密と対面を避けたレイアウト例が注目されています。デスクの配列で増えているのが、島型から同向型(並列型)へ変更するケースです。
同向型では、お互いが近い位置で対面しないため、感染予防間瀬対策として有効とされています。
また、身体距離は2メートル以上とされていますが、2メートル確保できない場合には列を開けることで対応することが可能です。
各種テレワークが増えるなら、デスクワークのための業務スペースを減らし、コミュニケーションスペースを拡大する方向も検討できます。
オフィスでの過ごし方、活用の仕方を変えることで、オフィスの省スペースが叶います。
オフィス内での密を避けるツール
オフィス内での密を避けるためには、パーテーションやビニールカーテン、アクリル板での仕切りを活用しましょう。
隣のデスクとの距離を2メートル確保できない場合には、デスク用パネルの活用もおすすめです。
また、密を避けるためには、仕切るレイアウトだけでなく、柔軟に移動できるデスクへの変更も検討しましょう。固定デスクでは、柔軟な対応も出来ず、リモートワークの増減や今後の社会情勢を素早く反映できません。
移動できるデスクの導入で、今後のあらゆるケースに対応できるでしょう。
ウィズコロナ時代に使えるテクノロジー
ウィズコロナのオフィス対策としては、社員の健康を管理するためにテクノロジーを取り入れることも大切です。
発熱した人を検知し、ゲートでブロックできる「AI(人工知能)温度検知ソリューション」は、社内に感染した可能性のある人を入れないようにして、社内の従業員を守ります。
たくさんの人が往来するオフィスの入口に設置すると安心です。
個々に感染対策や健康管理は行いますが、企業として社員の健康管理を行うことで、より強固な感染対策になります。
企業として慎重に感染対策を行うことで、対外的にも安全性を伝えられます。
まとめ
オフィスの在り方にも、ウィズコロナ、アフターコロナのためのニューノーマルが求められています。リモートワークが盛んになったとはいえ、オフィスをなくすのではなく、こうした時代だからこそのオフィスの価値や必要性を重視したいものです。
必要に応じてオフィスの有用性、価値を活用できるように、目的に応じて縮小や形態を変えながら維持していくことが望ましいでしょう。
いくつかのポイントを押さえ、感染症対策を行いながらも、より働きやすく、快適な環境を作っていくことが大切です。レイアウトの変更やツール導入、新テクノロジーの導入など、具体例を参考に模索してみましょう。
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(編集:創業手帳編集部)