リクルートから学ぶ、SNSから始める「共創マーケティング」とは
成功企業に学ぶ「共感」から「共創」への広げ方
(2016/05/20更新)
SNSの出現は個人と個人のつながりを広げただけではなく、企業と個人の距離を縮めるきっかけにもなりました。SNS上で個人に対してきめ細かな対応を行うことでファンを獲得していく「ミニマムコミュニケーション」を多くの企業が実践して成功しています。
さらに、獲得したファンを巻き込んで本音の意見を取り入れ、ファンと一緒にモノづくりをすることでヒット商品を生み出し、ブランド価値を向上させる「共創マーケティング」が注目されています。
企業とファンが交流することにより社内では生まれなかった新しいアイディアが生まれるきっかけ作りとなります。また、企業とファンの交流だけでなく、ファン同士の交流が活発になり、アンケートやインタビューなど従来のリサーチ手法では拾いづらかったユーザーの本音をリアルタイムに獲得することができるのです。
そこで、SNSを活用して「共感」から「共創」へ発展させることに成功した企業の事例を専門家の解説を交えてご紹介します。
共創マーケティングとは
「共創マーケティング」はSNSなどのコミュニティを活用し、企業と個人の距離を縮めることでファンを獲得する「ミニマムコミュニケーション」をさらに発展させた手法です。
SNS上で継続的にコミュニケーションすることでファンとの関係を深め、ファンの本音を引き出して一緒に商品を作っていきます。
こうした取り組みを継続的に行うと、単に「価格が安い」「便利」という理由だけではなく、商品のブランドに愛着を持ち、本当の価値を認めて購入してくれるファンを獲得することができます。
【事例1】ママ隊の声を反映して商品を改良〜リクルート〜
この「共創マーケティング」という手法は大手企業も取り入れています。
リクルートでは、関連会社のリクルートテクノロジーが独自のコミュニティを立ち上げ、マタニティ・ベビー用品の通販雑誌「赤すぐ」の読者から200人を超える「ママ隊」を結成しました。
SNSに寄せられたママ隊の意見大幅に取り入れて「おしりふき」を改良し、パッケージデザインもママ隊が選びました。
こうして完成した「おしりふき」は、販売数が前年比40%アップしたのです。
SNSを使えばコストを抑えることができるので、企業の規模に関係なくユーザーの共感を広げ、声を拾うことができます。
ユーザーの声を反映したモノづくりをすることでユーザーが商品へ愛着を持ち、売上につなげることもできるのです。
【事例2】企業が個人として商品の感想を投稿〜井田両国堂〜
企業担当者が「個人」として商品を紹介することも重要なポイントです。
化粧品・化粧雑貨の卸商社・輸入総代理店の株式会社井田両国堂は、2012年2月にコスメ通販ECサイト「チョモットボーテ(Chomotto Beaute)」の公式Facebookページを開設しました。
井田両国堂では化粧品・化粧雑貨の卸だけでなく、オリジナル商品も販売しています。
メイクブラシもそのひとつで、品質には絶対の自信がありましたが、その価値を十分に訴求できていないという課題がありました。
そこで担当者がFacebookで自分の顔の写真を掲載し、個人としてメイクブラシを使った感想を投稿していきました。
同社では他社の商品も扱っているため、他社の商品についても広く紹介して使った感想を投稿していきました。
また、寄せられたコメントに個別に返事を返すなどきめ細かな対応を行っています。
このような取り組みでファンとの距離を縮めていき、Facebook開設から4か月後に商品開発アンケートと題して記事を投稿しました。
その記事でファンの声を拾い、ファンを巻き込みながら商品開発を進め、メイクブラシスタンドが出来上がりました。
メイクブラシスタンドは高額商品にも関わらず、初回製造分はすべて即完売となりました。
まとめ
ファンとの距離を縮めるためのツールはSNSで充分です。
担当者が継続して地道に発信し、ファンとの交流を深めていくことが重要です。
担当者のモラルを保ち炎上を防ぐためのガイドラインを作り、難しく考えず、まず活用に踏み出してみては如何でしょうか。
(監修:株式会社 BOKURA 代表 宍戸崇裕(ししどたかひろ) )
(編集:創業手帳編集部)