事業再構築補助金 第6回の公募が発表!気になる変更点や新設枠、今後のスケジュールなど解説します
事業再構築補助金第6回の申請開始は6/8から6/30まで。詳細を確認し準備を!
事業再構築補助金 第6回の公募が2022年3月28日に発表となりました。
第6回公募要領では、売上高要件の緩和や、補助上限額の見直しなどとともに、新設枠の詳細についても公表され、注目が集まっています。
そこで今回は、新設枠についての説明を中心に、第6回の概要をみていきたいと思います。
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この記事の目次
事業再構築補助金とは
事業再構築補助金とは、新型コロナウイルス感染症の影響で現在の事業が多大なる影響を受けている企業が、新たな時代のニーズに対応するために思い切った事業の再構築をおこなうことを支援するために設けられた補助金です。
対象者は、中小企業、中堅企業、個人事業主、企業組合等が対象となります。
予算額として、令和2年度第3次補正予算で1兆1,485億円、令和3年度補正予算で6,123億円が計上され、注目度の高い補助金となっています。
また事業再構築補助金の申請要件として、事業再構築に係る事業計画を認定経営革新等支援機関と策定することが必須となっているのも特徴のひとつです。
第6回での変更点
事業再構築補助金は今までもいくつかの点で変更が加わってきましたが、第6回の公募においても以下の点にて変更があります。
- 第6回主な変更点
-
- 事業類型の廃止、新設
- 売上高10%減少要件の緩和
- 通常枠(事業類型の1つ)の補助上限額の見直し
- 補助対象経費の、更なる見直し
- 事前着手の対象期間見直し
第6回で大きく変更となる「事業類型の廃止、新設」については以下の一覧表にわかりやすくまとめていますのでご確認ください。
第5回公募まで | 変更内容 | 第6回公募から |
---|---|---|
通常枠 | 継続 | 通常枠 |
緊急事態宣言特別枠 | 廃止 →新設 |
回復・再生応援枠 |
卒業枠・グローバルV字回復枠 | 廃止 →新設 |
グリーン成長枠 |
最低賃金枠 | 継続 | 最低賃金枠 |
大規模賃金引上枠 | 継続 | 大規模賃金引上枠 |
次項において、新設された枠においての申請要件などは説明していきます。
また「売上高10%減少要件の緩和」についても、大きな変更点となります。どのような変更になっているのか気になる人は、以下の記事もあわせてご覧ください。
事業再構築補助金第6回で設置された5つの枠について
事業再構築補助金第6回では、「通常枠」「回復・再生応援枠」「最低賃金枠」「大規模賃金引上枠」「グリーン枠」と全部で5つの枠が設定されています。
それぞれ詳細を確認していきます。
通常枠
通常枠は、事業再構築補助金の主になる枠組みで、本補助金の目的と合致する事業の再構築を検討している企業は、以下の申請要件に満たしていれば申請が可能となります。
申請要件
- 申請要件
-
-
①売上の減少
2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。
売上高に代えて、付加価値額(※1)を用いることも可能。②事業再構築に取り組む
事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行う。③認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
事業再構築に係る事業計画を認定経営革新等支援機関と策定する。補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)も参加して策定する(※2)。
補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(グリーン成長枠は5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0%)以上増加の達成を見込む事業計画を策定する。
※1…付加価値額とは、営業利益・人件費・減価償却費を足したものになります。
※2…金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみで構いません。
補助額と補助率
補助額については、従業員数により異なり、補助率については、企業の規模により異なります。
従業員の人数 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|
20人以下 | 100〜2,000万円 | ・中小企業2/3 (6,000万円超は1/2) ・中堅企業1/2 (4,000万円超は1/3) |
21〜50人 | 100〜4,000万円 | |
51人〜100人 | 100〜6,000万円 | |
101人以上 | 100〜8,000万円 |
回復・再生応援枠
回復・再生応援枠とは、新型コロナウイルス感染症による影響により、通常枠よりも更に売上が減少してしまっている企業が対象となる新設枠となります。
また回復・再生応援枠に申請されて、不採択となった事業者については、通常枠で再審査が行われます。
回復・再生応援枠では、主要な設備の変更は求められません。
申請要件
通常枠の申請要件を満たし、かつ以下の①または②のどちらかの要件に該当する企業が対象となります。
- プラス申請要件
-
-
① 2021年10月以降のいずれかの月の売上高が対2020年又は2019年同月比で30%以上減少していること
または
② 中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)等から支援を受け再生計画等を策定していること
補助額と補助率
従業員の人数 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|
5人以下 | 100〜500万円 | ・中小企業3/4 ・中堅企業2/3 |
6〜20人 | 100〜1,000万円 | |
21人以上 | 100〜1,500万円 |
最低賃金枠
最低賃金枠とは、昨今の最低賃金引上げの影響を受け、その原資を確保することが特に困難な業況が厳しい中小企業等を対象とした枠となります。
最低賃金枠は、加点措置が行われるため回復・再生応援枠よりも採択率において優遇されます。
また、最低賃金枠で不採択の場合は、通常枠で再審査が行われます。
申請要件
通常枠の申請要件を満たし、かつ以下の①と②のどちらの要件にも該当する企業が対象となります。
- プラス申請要件
-
-
① 2020年10月から2021年6月までの間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること
かつ
② 2020年4月以降のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で30%以上減少していること
補助額と補助率
従業員の人数 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|
5人以下 | 100〜500万円 | ・中小企業3/4 ・中堅企業2/3 |
6〜20人 | 100〜1,000万円 | |
21人以上 | 100〜1,500万円 |
大規模賃金引上枠
大規模賃金引上枠とは、多くの従業員を雇用し、かつ継続的な賃金引上げの取り組みを行い、従業員を増員し生産性を向上させる中小企業を対象とした枠になります。
大規模賃金引上枠で不採択の場合は、通常枠で再審査が行われます。
申請要件
通常枠の申請要件を満たし、かつ以下の①と②のどちらの要件にも該当する企業が対象となります。
- プラス申請要件
-
-
① 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
かつ
② 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員させること。
補助額と補助率
従業員の人数 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|
従業員数101人以上の中小企業・中堅企業 | 8,000万円超~1億円 | ・中小企業2/3 (6,000万円超は1/2) ・中堅企業1/2 (4,000万円超は1/3) |
グリーン成長枠
グリーン成長枠とは、グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す事業者が対象となる新設枠です。
補助上限金額も最大1.5億円が上限額と引き上げています。
グリーン成長枠は、他の枠とは異なる点が多く、売上高10%減少要件は必要ではありません。
他にも、本来であれば一度事業再構築補助金の採択を受けて支援を受けた事業者においては再度の申請は不可ですが、グリーン成長枠については特例的に、過去支援を受けたことがある事業者も再度申請することを可能としています。
ただし、支援を受けることができる回数は2回が上限となり、既に事業再構築補助金で取り組んでいる事業再構築とは異なる事業再構築であることの資料などが必要となります。
また、グリーン成長枠で不採択の場合は、通常枠で再審査が行われます。
その際は、売上高等減少要件を満たすことを示す書類を提出する必要があります。
申請要件
他の申請要件とは異なり、グリーン成長枠の申請要件は以下となります。
-
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①事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること
(補助額3,000万円超は金融機関も必須)②補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定すること
(※通常はそれぞれ年率平均3.0%以上増加)③グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、その取組に該当する2年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成(※)をあわせて行うこと
※…従業員の10%以上が年間20時間以上の外部研修又は専門家を招いたOJT研修を受けることが必要となります。
補助額と補助率
規模 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|
中小企業 | 100万円~1億円 | 1/2 |
中堅企業 | 100万円~1.5億円 | 1/3 |
中小企業と中堅企業の範囲について
ご自身の企業が中小企業・中堅企業どちらに該当するのか把握しておくことは、補助率が異なってくるため重要です。
事業再構築補助金における中小企業とは、中小企業基本法と同様であり以下が該当となります。
業種分類 | 中小企業基本法の定義 |
---|---|
製造業その他 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人 |
卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人 |
サービス業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
【注1】 大企業の子会社等の、いわゆる「みなし大企業」は支援の対象外です。
【注2】 確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える場合は、中小企業ではなく、中堅企業として支援の対象となります。
【注3】 企業組合、協業組合、事業協同組合を含む「中小企業等経営強化法」第2条第1項が規定する「中小企業者」や、収益事業を行う一般社団法人、一般財団法人、NPO法人等も支援の対象です。
また中堅企業については、中小企業の範囲に入らない会社のうち、資本金10億円未満の会社と定義されています。
対象となる経費
補助対象となる経費については、
- 事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応の規模の投資を含むもの
- 本事業の対象として明確に区分できるもの
ということが条件になります。
例としは以下のようなものが対象となります。あくまでも一例となるため、詳細は公募要領をご確認ください。
●建物費
・建物の撤去
・賃貸物件等の原状回復
・貸し工場・貸店舗等の一時移転
【注1】建物の新築については必要性が認められた場合に限ります
【注2】 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)における「建物」、「建物附属設備」に係る経費が対象です。「構築物」に係る経費は対象になりませんのでご注意ください。
【注3】建物の単なる購入や賃貸は対象外です。
【注4】入札・相見積もりが必要です。
●機械装置・システム構築費
・設備、専用ソフトのリース
【注1】減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)における「機械及び装置」、「器具及び備品」、「工具」に係る経費が対象です。「構築物」、「船舶」、「航空機」、「車両及び運搬具」に係る経費は対象になりませんのでご注意ください。
●技術導入費
●専門家経費
・専門家へ支払うための旅費
【注1】応募申請時の事業計画の作成に要する経費は対象になりませんのでご注意ください。
なお、採択されたからといって応募時に計上している経費がすべて補助対象として認められる訳ではありません。
交付審査時に経費区分に該当しないと判断される経費を計上されている場合は補助対象外となりますので、予めよくご確認の上申請を行うようにしましょう。
また、事前着手申請を提出し承認された場合は、2021年12月20日以降の設備の購入契約等が補助対象となります。
今後のスケジュールについて
第6回公募については、以下のようなスケジュールを予定されています。
-
- 公募開始:2022年3月28日(月)
- 申請受付:2022年6月8日(木)18:00
- 応募締切:2022年6月30日(木)18:00
事業再構築補助金の申請については、電子申請システムでのみの受付となります。
申請には、原則GビズIDプライムアカウントの取得が必要となります。
アカウントの取得には、数週間要することもあるため、事業再構築補助金の申請を検討されている方はアカウントの取得だけでも先に進めておくことをおすすめします。
まとめ
事業再構築補助金第6回では、今まで同様、新型コロナウイルス感染症による影響を大きく受けてしまっている事業者に対しての事業再構築の部分での支援とともに、グリーン枠など環境に関する新たな事業に対しても多大な支援が発表されています。
新型コロナウイルス感染症による影響はなかなか収束をせず、多くの事業者が様々な取り組みを強いられている状況かと思われます。
事業のさらなる発展のためにも、事業再構築補助金のような補助金を有効活用していくことをおすすめします。
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