投資家から出資を受けるには?ポイントは企業価値と自社アピール
新しい事業展開には欠かせない資金調達
事業をより大規模に展開する計画がある場合、創業時期を乗り越えた後には、次の事業展開のための資金調達を計画する必要があります。
資金調達といってもどのような手段で行えばいいのか、そもそも投資してくれる投資家がいるのか、今後の事業運営と合わせて不安に思う方もおられると思います。
この記事では、創業時期の会社が投資家から出資を受けるには?というテーマで記事にしています。資金調達方法を模索している方は、ぜひ内容をご確認ください。
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この記事の目次
自分の会社に投資してほしい!取るべき行動は2つ
投資家から出資を募りたい場合に考えるべきことは2つです。
以下に解説します。
企業価値を高める
投資家に企業価値を認めてもらうには、公の場や、個人的な会合で自らアピールし認めてもらうしかありません。
しかし、企業価値が低ければ自信を持って投資家にアタックすることはできません。
企業価値とはどのようなものか、高め方など解説します。
企業価値の決まり方
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- 成長が期待できる企業か
- 整合性、かつ実効性のある事業計画
- 内部留保がある程度確保できている
- 収益情報
企業の価値とは、収益がどの程度だせるか?ということに尽きますので、ポイントは以上の4点となります。
内部留保の項はベンチャー企業には当てはまりませんが、重要な点は、市場の成長性と破綻のない事業計画、経営者のカリスマ性です。
経営者の行動力、カリスマ性は大事な項目で、市場の成長性の判断がつきにくい場合でもこの経営者ならなんとかなるかも、と思ってもらえる可能性があります。
事業計画では、自社の理念をもとにどの程度行動しているのか、現在達成している成果と、これからの展開のための課題が明確にされていると、成長性を含めて企業価値が高いと観てもらえます。
創業間もない会社が企業価値を高めるには
創業間もない会社の企業価値を高める重要項目を3点ピックアップしました。
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- 理念に基づいた破綻のない事業計画と実効性
- 成果と課題の整理と確認
- 創業メンバーの情熱
ベンチャー企業に大きな投資を行うベンチャーキャピタルは、市場の成長性やターゲット層など、数字で分かる部分もしっかりと見て判断しますが、判断材料として重きをおいている点は現状把握の精度と経営者の人格と言われています。
数字上万全でも、実行能力がなければ絵に描いた餅に終わってしまうためです。
揺るぎない自信をつけて投資家へ情熱をアタックできなければ、出資をうけることが難しくなります。
したがって、創業間もない会社が企業価値を高めるためにできることは、以下の4点となります。
※前提条件として、市場の成長性がそれなりに見込めること。
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- 学生サークルの延長のようなノリに陥らず、現状の分析をしっかりと行う
- 課題を見つけ、そのための行動を明示できるようにする
- 勝負可能な市場への積極的な挑戦
- 創業メンバーが会社の理念をしっかりとシェアし、行動する
ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家と接触する
出資を募るには、投資家との接触機会を作らなければなにも始まりません。
まずは、ベンチャーキャピタルとエンジェル投資家の特徴について説明します。
ベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタル(VC)は、成長性が見込まれる若い企業に対して先行投資を行う投資ファンドの一種です。
ベンチャー企業は、先行利益としてベンチャーキャピタルへ新株予約権付社債を優先的に発行しているケースが見られます。
会社規模での投資を行うため、出資額は数千万円~数億円となりますが、その分審査は厳しくなります。
エンジェル投資家
エンジェル投資家とは、有望な若者を応援したい個人投資家のことを指します。
呼び名は違いますが、エンジェル投資家は古代から存在していました。
三国時代に魏の礎を築いた曹操は、親戚や幼馴染のならず者を集めて挙兵しましたが、軍資金は今でいうエンジェル投資家を回って現代でいうピッチを行い、出資を募るのに成功したとされています。
最近ではクラウドファンディングに投資する一般の方も、広義の意味ではエンジェル投資家と見ることもできますね。
エンジェル投資家は、未来ある若者へ投資することは、社会活動の一環であるという考え方をもっています。
投資家と接触するための方法
投資家と接触する方法を2つ紹介します。
公的機関のビジネスコンペに応募する
商工会議所や中小企業基盤整備機構などの公的機関は、定期的に事業計画をもとにしたプレゼンのコンペを行っています。
最近では、DX化を推進して事業展開を目指す企業をテーマとしたものが多く見られます。
商工会議所のサイトでは、コンペの詳細や内容の動画が収められているケースもありますので、確認してみましょう。
ベンチャーキャピタルだけでなく、銀行や信用金庫の金融機関も注目していますので、接触機会としてとても有効です。
接触機会の創出のために、まずは公的なビジネスコンペに挑戦してみてはいかがでしょうか。
他の経営者から紹介をうける
知人に経営者がいる場合、相談してみると投資家の紹介を受けることができるかもしれません。
ベンチャーキャピタルの紹介はもとより、エンジェル投資家の場合は紹介による接触のほうが多いでしょう。
経営者を介しての紹介の場合、最初からある程度の信用を得ることができる点がメリットです。
紹介を受けたらアピールできる場所を設定しましょう。
自分の会社を最大限に売り込むためのピッチ
出資を受けるための最後のひと押しはピッチです。
魅力的なピッチで投資家を引き込みましょう。
以下、ピッチのためのプレゼン資料作成について解説します。
自社の現状を把握する
自社の現状を正確に把握し、課題の明示ができないと全うなピッチを行うことはできません。
投資家から厳しく指摘されたり、質問を受けたときにどう対応し、今後の対応を明示できるかがポイントとなります。
市場の状況から見た自社の立場など、現状を深く分析しておきましょう。
なぜ投資してほしいのか目的から考える
ピッチの目的は出資を募ることですが、なぜ出資してほしいのか?なぜ、その出資金額が必要なのか?深堀りして考えておきましょう。
よく考えてみると今、出資は必要ないかもしれませんし、必要なら成し遂げたい事業のビジョンをより明確に描くことができるでしょう。
一つの行動に対して、なぜ?を積み重ね、解消していくと理念を再確認でき、思考を深めることができます。
時間と構成
何分の割当があるのかによって内容構成が代わってきますが、共通して言えることは、30秒で確実に伝わる名刺代わりのフレーズや、理念の紹介文をあらかじめ用意しておくことです。
最初の30秒で投資家の聞く体勢を作らないと、熱心に効いてもらうことができません。
ピッチに与えられる時間は様々ですが、ビジネスモデル、なぜ今このビジネスなのか、創業メンバーの紹介、今後のロードマップなどをメインに構成します。
継続率と顧客満足度を明確にアピールできるか
事業計画を絵に描いた餅に終わらせないために、事業に対するユーザーの評価を明示します。
ユーザーが提供するサービスを継続して利用しているか?サービスに対して満足しているか?CSをアピールできればより実効性のある事業として、高く評価してもらうことができます。
CSを深く分析できていないと、いくら立派な事業計画をアピールしても、いまいち信頼性に欠ける内容となるでしょう。
まとめ 事業規模拡大に欠かせない出資による資金調達
創業時の事業規模拡大には、投資家による出資が欠かせません。
実現したい事業や、そのためになぜ出資が必要なのか?市場と自社について、深い分析を行うことは必須条件です。
公的なビジネスコンペや知人の経営者からの紹介により、投資家との接触を図ります。
魅力的なピッチを行うための要素は様々ですが、もっともベースとなるものは、現状分析と課題の洗い出し、課題に対する対応を明らかにできているか?という点です。
判断に迷うときの最後の押しに、経営者の人格やカリスマ性が加味されます。
出資を募る場合、まずは自社ととりまく状況について深い分析を進めましょう。
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