【インサイドセールスの基本】メリットから導入方法まで徹底解説します
アフターコロナに対応する営業手法「インサイドセールス」の基本を解説します
(2020/06/15更新)
新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の影響により、多くの企業でリモートワーク(在宅勤務やテレワーク)が推奨されています。
営業活動においては、従来のような対面でのフィールドセールス(外勤営業)が困難になりました。このような状況下では、非対面で営業活動を行うインサイドセールス(内勤営業)の導入が求められていますが、立ち上げにはノウハウが必要です。
インサイドセールスの基礎的な部分から、導入するメリットや方法をご紹介します。インサイドセールスを導入する際の参考にしてみてください。
また、創業手帳の冊子版では、資金調達の方法だけではなく、社内に導入すると良いツールなどもご紹介しています。業務の効率化を図るのにも役立つので、ぜひ活用してみてください。
この記事の目次
インサイドセールスとは?
インサイドセールス(内勤営業)は、オンライン商談ツール「Zoom」などを利用して、営業提案からクロージングまで、非対面で顧客と商談を行なう営業手法です。
これまでの営業担当者が、電話でアポイントをとってスケジュール調整を行い、訪問してクロージングするフィールドセールス(外勤営業)とは、直接対面するかしないかという点で異なります。
インサイドセールスを導入するメリットとは?
インサイドセールスの強みは、「効率の良い営業活動ができること」です。新規商談などの機会創出がしやすく、電話をかけて担当者に余裕があれば「今から10分ほど時間を取れますか」と提案もできます。
従来のフィールドセールスの場合、新規商談の際には、提案先の担当者の「都合の良い日時」に合わせて訪問するという流れなので、日程があわずに商談が不成立になってしまったという経験のある営業マンもいると思います。
しかし、オンライン商談ツールを利用すれば、テレワークで自宅からでも商談が可能です。フィールドセールスと比較すると、移動時間や費用を削減して営業活動ができるというメリットがあります。
インサイドセールスの立ち上げ人材を確保するには?
インサイドセールスの導入を成功させるには、成功経験者の確保がもっとも重要です。とくに経験者がいない企業では、社長自らが営業活動でインサイドセールスの導入を念頭に入れ、インサイドセールス経験者の確保をするという動きが大切です。
採用方法も、公募や人材紹介経由よりも、自らや経営陣、社員の紹介による「リファラル採用」が望ましいです。日本の転職市場では、フィールドセールスの経験者が多く、インサイドセールスの組織を立ち上げて成果を出した経験者は少数派となっています。
さらに、ポストコロナ下においては、現状普及しているIT業界だけではなく、幅広い業界でインサイドセールスの普及が予測されます。
人材紹介を経由した場合、高額なオファーを出す必要があります。また、人材紹介事業者と候補者間で、スキルのヒアリングがきちんと行われていない場合、ミスマッチを起こしてしまい、短期離職につながるリスクもあります。
インサイドセールスの立ち上げ期には、自らの人脈リソースを活用して、インサイドセールスの成功経験者を確保することが大切でしょう。
インサイドセールス経験者を確保できない場合の対応
インサイドセールスの成功経験者を確保できない場合は、思い切って外注してしまうのもありです。インサイドセールスに強いセールスアウトソーシング会社に営業活動を業務委託するのもよいでしょう。
費用がない場合は、社長や経営陣自らがインサイドセールスの研修を受講して、業務内容を理解することも1つの選択肢です。
インサイドセールスの導入研修で注意するべきこと
経験者採用後には、講師としてインサイドセールスの導入研修を主催してもらうのがよいでしょう。研修後は、受講者に自ら営業トークを考えさせて、オンライン商談ツールを利用し、ロール・プレイングを実施して習熟度を高めていきます。
近年、普及しているZoomやベルフェイスといったオンライン商談ツールは、電話の声だけで営業活動を行うのではなく、ビデオカメラや資料のオンライン共有機能もあるので、研修に活用するのが望ましいです。
インサイドセールスの研修で注意するべきポイントがあります。ロール・プレイングの際に講師側が高度な質問をして、終了後にオンラインツールのフィードバックで厳しく指摘してしまうことです。
受講者側のモチベーションを下げるだけではなく、研修講師の知らぬ間に、オンライン商談ツールの録音機能を利用して他のメンバーにもフィードバックの様子が共有されてしまい、組織崩壊につながるリスクがあります。
日本国内の動きとして、2020年6月にはパワーハラスメントによる精神疾患が労災認定される可能性もあり、録音が証拠になることも考えられます。
フィードバックも、メンバー全体に共有されてしまうことを負担に感じる受講者もいるため、「1on1」のほうがいいか、事前に確認しておいたほうがよいでしょう。
導入研修は、適切なフィードバックを行い、習熟度に沿った研修を行う事が大切です。また、研修を繰り返すよりも、受講者がインサイドセールスの要点を抑えた段階で現場に立たせた方がよいでしょう。
そうすることで、経験を積み、モチベーションが向上して早期戦力化につながります。
インサイドセールスを運用してリードを獲得する方法
研修終了後は、いよいよ運用フェーズに入ります。インサイドセールスの営業手法は、提案先の感触や受注状況によって、すぐに改善行動をとるなどの柔軟性をもった営業活動をするのがよいでしょう。
インサイドセールスの運用を成功させるには、提案側が「商品を体験させること」を営業プロセスのなかで取り入れ、他社との差別化を図るために各企業の営業担当者が「オリジナリティ」をもって伝えることです。
例としては、近年、スタートアップ企業でサブスクリプションモデル(SaaS)のサービスを展開する企業が増えてきています。初期費用無料、月額数万円などの料金体系でサービス展開しており、インサイドセールスでリードを獲得する動きがあります。
リードを獲得するには、営業担当者がZoomなどのオンライン商談ツールを利用して、商品の利用方法を見せるなどの工夫をしましょう。他社との差別化を図るためには、導入を検討する企業に、一定期間無料でトライアル利用させることも1つの方法です。
電話やメールだけでは商品の良さが伝わらず、担当者が見ないことも多いので、オンライン上で商品を「伝えて体験させる」動きを取り入れましょう。
インサイドセールスで獲得したリードをクロージングするには?
インサイドセールスで獲得したリードをクロージングするには、各企業の顧客状況に合わせ、柔軟性をもった対応が求められます。
インサイドセールスで、魅力やサービスの利用特典などを伝えてクロージングに移行させるのもありですが、商品の差別化が難しい場合には、フィールドセールスで、営業マンや社長自らがプッシュするという手法も考えられます。
最後は、営業担当者の人間性や企業への信頼など、日本企業特有の「おもてなし」の部分がクロージングにつながるケースもあります。顧客状況に応じて、インサイドおよびフィールドどちらでクローズするのか、柔軟性をもった対応が求められます。
インサイドセールスの運用を成功させるためのコツ
インサイドセールスの運用を成功させるためには、提案からフォロー、受注につながるまで、すべてをインサイドセールスで行うのか、状況に応じてフィールドセールスを導入するのかなど、自社の営業活動事例の分析やプロセス分けを行い、SFA(※1)やCRM(※2)を利用して管理する事が大切です。
新規開拓ができていない企業などは、1回目のリードの獲得のみセールスアウトソーシング会社に任せて、2回目の提案は自社社員のインサイドセールスでオンライン商談し、3回目はフィールドセールスでクロージングするなど、組み合わせる営業手法をおすすめします。
一方で、営業プロセスの分業制を進める上で注意するべき点もあります。インサイドセールスのKPIをアポイントメントに設定することで、「量より質」が重視され、無駄な提案活動が増えてしまうケースです。
対策としては、アポイントからクロージングにつながったかどうかも含めて、KPIを設定するのがよいでしょう。
※1 SFA・・・営業支援システムのこと。
※2 CRM・・・売上の拡大と収益性の向上を目指す経営戦略のこと。
インサイドセールス運用を成功させたあとにすること
インサイドセールスの運用が成功したあとは、さらなる人材が必要となります。
人材確保するには、リファラルや人材紹介による採用のほか、クラウドソーシングサービスを使って、平日はインサイドセールス経験者の主婦(主夫)、土日であれば副業希望の営業担当者を確保するという方法もあります。
サービスを企業に継続的に利用してもらうためにも、カスタマーサクセスやコンサルティングなどの付加価値を提供するサービスをつくることも考えられます。
まとめ
非接触の動きが広まると、展示会でのリード獲得機会の縮小、リスト作成から電話によるアポイント獲得が難しくなることも予測されます。そのため、企業はWeb広告やメディア、またはオンライン商談ツールを利用したセミナーからリードを獲得する動きが拡大することが考えられます。
ポストコロナ下では、これまで普及してきたIT業界だけではなく、様々な業界でインサイドセールスの活用が進むことも予測され、フィールドセールス経験者が多数派のなか、少数派のインサイドセールス経験者の確保が難しくなる可能性もあります。
会社設立期のスタートアップ企業などでは、短期間で成果を出す必要があります。
なので、人材紹介だけではなく、リファラル採用やセールスアウトソーシング会社への業務委託、クラウドソーシングサイトの活用など、幅広い手法を利用してスピード感をもち、人材を確保することが求められます。
各企業の経営者は、早めにインサイドセールスに対応する人員を確保し、電話やメールだけではなく、オンライン商談ツールを取り入れて運用を成功させる事が、事業拡大につながるでしょう。
創業手帳の冊子版では、人材採用の具体的な方法についても掲載しています。アウトソーシングの活用についてもご紹介しており、無料で読むことができるので、ぜひご活用ください。
(編集:創業手帳編集部)