業種別に見る利益率改善のポイント|物販・飲食・クリエイティブ・代行業を徹底解説
利益が残る経営に変える業種別アプローチ

多くの事業者が利益率アップを目指しているものの、そう簡単ではありません。
利益率が上がらないのは努力不足と思われてしまうこともありますが、実際には、業種ごとの特性に大きく左右されます。
利益率を上げようと試行錯誤することは大切ですが、まずは売上を伸ばしても手元に残らない理由を明らかにしてください。
利益率改善は経営に直結する重要なテーマです。本記事では業種別の具体策と共通テクニックを整理し、自社で使える改善ヒントを紹介しています。
【完全無料】シリーズ累計250万部「みんなが使ってる起業ガイドの決定版」『創業手帳』
※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください
この記事の目次
利益率はなぜ業種によって大きく差が出るのか

| 観点 | 内容の要点 | 利益率への影響 |
|---|---|---|
| 原価構造の違い | 原材料費や仕入原価の有無・比率が業種ごとに異なり、売上に対する原価のかかり方が大きく変わる | 原価率が高い業種ほど粗利が残りにくく、改善余地も限定されやすい |
| 労働集約性の違い | 売上を増やすために人の稼働がどの程度必要かは業種によって大きく異なる | 人手依存が強いほど人件費が利益を圧迫し、拡大しても利益率が上がりにくい |
| 固定費構造の違い | 店舗家賃や設備費など、売上に関係なく発生する固定費の大きさに差がある | 固定費が高い業種は損益分岐点が高く、一定規模まで利益が出にくい |
| 商習慣の違い | 広告出稿の前提や在庫保有の必要性など、業界特有の慣行やリスクが存在する | 広告費や在庫リスクが恒常的に発生する業種は利益率が低くなりやすい |
利益率は業種ごとにまったく違います。どうして利益率に差が出るのか、上記の表でまとめました。
業種ごとの利益率の差は偶然ではなく、原価や人件費、固定費といった事業構造の違いによって必然的に生じています。
売上の伸び方が同じでも、費用が比例して増える業種と増えにくい業種では、最終的に残る利益に大きな差が生まれます。
利益率を改善するには、努力や工夫の前に自社が属する業種構造を正しく理解しなければいけません。
構造要因を把握せずに施策を実行すると、売上は増えても利益が残らない事態に陥りるリスクもあります。
それぞれの業種特性を理解して、改善余地の大きいポイントを見極めてください。
【完全無料】シリーズ累計250万部「みんなが使ってる起業ガイドの決定版」『創業手帳』
【物販・EC】利益率を上げるための改善ポイント

物販やECといった小売業は、原価率と在庫リスクが利益率を大きく左右します。そのため利益率を挙げるためには、数値管理と仕組み化の改善がポイントです。
どういった点から見直せばいいのかまとめました。
原価率を下げる
仕入条件の見直しは原価率を直接引き下げる手段であり、利益率改善に最も即効性がある施策です。
もちろん、いきなり仕入単価を下げてくれと取引先に頼んでも成功は難しいかもしれません。
しかし、最小発注数量や取引条件から交渉を続けることで、同一売価でも粗利を安定的に確保しやすくなります。
中間マージンの割合が大きい場合には、自社ブランド化で排除できないか検討します。初期費用が発生するとしても長期的に見て高い利益率を実現可能です。
広告費の最適化
広告費は売上増加に寄与する一方で、管理を誤ると利益を圧迫する主要コストとなります。
ROASを基準に広告施策を評価することで、利益に貢献しない広告を早期に停止可能です。
ROAS (Return On Advertising Spend)を日本語に直すと広告費用対効果となります。広告費に対してどれだけ売上を生み出したかを表す指標です。
広告経由の売上を広告費で割って100を乗じて算出します。数値が高いほど費用対効果が高いと判断されます。
広告は実態を把握せずに、なんとなく続けているケースも少なくありません。数値に基づく広告運用は、感覚的な判断を排除して合理的にコストを削減する手段です。
在庫回転率の改善とキャッシュフロー管理
在庫回転率の向上は、保管コストや値下げリスクを抑え、利益率改善に直結します。在庫管理は、適切な在庫量を把握して需要を予測するのが基本です。
売れ筋と滞留在庫を明確に分けて管理するほか、利益貢献度をベースに分類して優先順位を決めてください。
在庫回転率の向上は、資金繰り悪化を防ぎ、収益性を高めるための重要な対策です。
キャッシュフローを意識した在庫管理は、資金の流動性を高めて黒字倒産リスクの低減にもつながります。
リピーター経由の高利益販売の強化
利益率を高めるためには、リピーターを生み出す施策が有効です。既存顧客への販売は新規獲得よりもコストが低いため、利益率アップに貢献します。
リピーターを生み出す施策には、キャンペーンや会員制度があります。また、購入履歴を活用した再購入促進は、広告費をかけずに売上を積み上げる手法です。
リピーター施策はLTV向上を通じて、長期的な利益率改善に寄与します。
【完全無料】シリーズ累計250万部「みんなが使ってる起業ガイドの決定版」『創業手帳』
【飲食業】利益率改善のポイント

飲食業は原価率と人件費の影響が大きい業界です。そのため、日々のオペレーションをどのように改善するかが利益率に直結します。
どういった所を改善するのか、ポイントをまとめました。
原価率の見直し
飲食業の原価率は食材価格や仕入れロスの影響を強く受けます。そのため、メニュー設計を見直すことが利益率改善の起点です。
原価率の高いメニューが売れ筋になっている場合には、売上が増えても必ずしも利益増加につながらないことがあります。
メニューの中には高利益率のものも加えて、売れ筋商品と一緒に注文してもらえるように工夫してください。
また、食材ロスが多ければ原価率も悪化します。適切な量とタイミングで発注できるように、日々の発注量や在庫管理の精度を高めるように意識しましょう。
人件費の最適化とシフト設計
人件費は飲食業において売上に対して固定的に発生しやすく、利益率を大きく左右する主要コストです。
売上が多いと予測して人材を配置しても実際には過剰である可能性もあります。
売上予測に基づかない過剰な人員配置は、忙しくても利益が残らない原因のひとつです。シフト設計は時間帯別の来店数を把握した上で実施するようにします。
混みあう時間帯や来店客数の把握が人件費率を安定させるための第一歩です。
回転率の向上
客席回転率は限られた席数で売上を最大化するための重要な指標であり、利益率に直結する要素です。
調理や配膳の動線が非効率な店舗では、回転率が下がるため、せっかくの売上機会を逃しやすくなってしまいます。
オペレーション改善によって回転率が上がれば、追加投資なしで利益率向上が期待できます。
具体的には、来店客が団体なのか少人数、リピーターなのかといった属性によってレイアウトやテーブルを変更してください。
さらに来店が少ない時間帯に、タイムセールや時間限定のサービスを提供して集客するといった方法も有効です。
高利益メニューの導入
原価率が低く満足度の高いメニューを設計することは、飲食業における利益率改善の基本戦略です。
特に、看板メニューやお得なセットメニューは、高利益商品を自然に選ばせる導線として機能します。
高利益メニューの比率を高めることで、売上構成全体の利益率を底上げ可能です。
原価やオペレーションの効率化で高利益を目指す方法もありますが、地元の食材を使った特別メニューのように付加価値が高い体験を提供して利益率を上げる方法もあります。
【完全無料】シリーズ累計250万部「みんなが使ってる起業ガイドの決定版」『創業手帳』
【クリエイティブ・制作業】利益率改善のポイント

イラストレーターや動画制作といったクリエイティブな制作業は時間と工数が利益を左右します。単価戦略と業務効率化を意識しながら利益改善を目指してください。
単価を上げる
制作業の多くは、成果物の納品によって報酬を受け取る仕組みです。そのため、制作業の利益率は作業時間に強く依存します。
仕入れなどの費用も発生しないので、時間単価を上げることが利益率の直接的な改善策です。
しかし、成果や価値を言語化できない場合は単価交渉は難しくなります。価格競争に巻き込まれると単価を下げることになり、利益率が低下しやすくなってしまいます。
高単価案件に移行するには、売上よりも時間単価を重視する意識転換が重要です。
まずは現状の時間単価を把握してから単価を上げるためにできることをピックアップしてください。
低利益案件の切り捨てと選別
利益率を上げるためには、低利益案件は切り捨てるようにおすすめします。すべての案件を受注する姿勢は、結果的に利益率を押し下げる原因になってしまいます。
工数の割に単価が低い案件を把握し、取引継続のぜひを判断するようにしてください。案件を選別することで、限られた時間を高利益案件に集中でき利益率が高まります。
テンプレ化・作業標準化で時間単価を上げる
業務効率を上げるためには、制作工程をテンプレ化して案件ごとの作業時間を短縮する方法も有効です。
属人化した作業は品質のばらつきや工数増大を招き、利益率低下につながることがあります。
作業を標準化できれば、品質維持と利益率改善を同時に実現可能です。また、事業が拡大した時にもテンプレ化してあれば、人材を雇用して事業拡大しやすくなります。
継続契約・顧問契約で利益率を安定化
利益率を安定させるためには、継続的な契約を結ぶように意識してみてください。単発案件中心のビジネスは、営業工数が増えやすく利益率が不安定になってしまいます。
継続契約であれば、売上予測が立てやすく利益率の安定化にも貢献します。長期の顧問契約は時間単価を維持しながら、稼働の平準化を実現する有効な手段です。
【完全無料】シリーズ累計250万部「みんなが使ってる起業ガイドの決定版」『創業手帳』
【コンサル・士業・講師業】利益率改善のポイント

コンサルや士業のように知識や経験を提供する業種は、時間当たりの価格ではなくどのように顧客に利益を与えるかが重要です。
専門知識を活かした形に残る商品化と提供方法の工夫が利益率を左右します。
高利益な「知識商品」の作成
知識商品の作成は一度作成すれば追加原価がほぼ発生しないので、利益率をアップしやすい方法です。
コンサルや講師は対面のイメージがありますが、対面サービスだけに注力していると稼働時間が上限となり、利益率の伸びに限界が生じます。
知識は一度だけでなく何度も活用できるようにスキーム化する手段を探します。これは、労働集約型からの脱却手段として有効です。
継続課金モデルで利益率を安定化
単発報酬型は売上が不安定になりやすく、利益率の管理が困難です。オンラインサロンや顧問といった月額課金モデルは売上予測が立てやすく、経営判断の精度を高めます。
継続課金は顧客との関係性を長期化させるため、LTV向上にもつながる施策です。自動化ツールや効率的なワークフローを導入すれば、運営効率が向上します。
オンライン化による固定費削減
オンライン対応は会場費や移動時間といった固定費を削減できる手法です。対面を前提にしたサービスは提供回数に限界があるため、利益率改善が難しくなってしまいます。
オンライン化は利益率と拡張性を同時に高める施策です。オンライン化によって、世界中の顧客を相手にできます。
工数の削減とスケール化
個別対応が多い業務は工数が増えやすく、利益率が低下しやすい点が課題です。非効率な業務をピックアップして、仕組み化できないか考えてみてください。
自動化ツールやワークフローも活用し、同じ時間で提供できる価値をどのように増やすかを意識してください。スケール可能な設計は、長期的な利益率向上に不可欠です。
【完全無料】シリーズ累計250万部「みんなが使ってる起業ガイドの決定版」『創業手帳』
【代行業(事務・SNS・清掃など)】利益率改善のポイント

代行業は、誰かの代わりに特定のタスクや業務を行うサービス業で、人件費が経費の多くを占めます。
代行業は工数管理が利益率を左右するため、仕組みと価格設計が重要。利益率改善のポイントをまとめました。
工数を削る仕組みづくり
代行業は工数比例型になりやすく、仕事が増えれば工数も増えるという利益率が上がりにくい構造です。工数を削るには、作業手順を見直し自動化を目指します。
自動化できれば同じ売上でも利益を残しやすくなります。
この仕組み化は人材依存リスクの軽減にもつながる施策です。再現性を高めるためには、マニュアルやツールを活用してください。
高単価オプションの追加
代行業は価格競争に陥りやすく、基本料金のみでは利益率が伸びにくい性質があります。
付加価値の高いオプションを設けることで、客単価と利益率を同時に引き上げる施策が重要です。
具体的には、小動物や健康管理といった専門性を高めたペットシッターなどが挙げられます。
オプション設計は業務負荷と価格のバランスが重要です。ニッチな分野でどういったニーズがあるかマーケティングしてください。
外注との分担比率の最適化
代行業は、すべてを内製化すると人件費が増えて利益率を圧迫してしまうことがあります。外注を活用することで、繁閑差に対応しやすく利益率向上にも寄与します。
ただし、外注比率を増やしすぎて競争力が弱まるリスクは無視できません。コア業務とノンコア業務に分けて内製と外注の適切な分担をするようにおすすめします。
継続契約で時間単価の安定化
利益率を上げるには、継続契約を増やしていくことを意識してください。単発契約中心では営業工数が増え、実質的な時間単価が下がりやすくなります。
一方で、継続契約は稼働の見通しが立ち、利益率管理しやすい点がメリットです。長期契約は顧客満足度と収益安定を両立するために有効です。
【完全無料】シリーズ累計250万部「みんなが使ってる起業ガイドの決定版」『創業手帳』
共通して使える“業種横断型”の利益率改善テクニック

業種別に利益率を向上するテクニックを紹介してきましたが、業種を問わず活用できる考え方も存在しています。
自社の改善余地を多角的に見つけるために以下のテクニックを活用してみてください。
-
- 単価アップ
- LTV最大化
- 非効率業務の廃止
- サブスク化・継続化
- 自動化ツール活用
- 人件費・外注費の最適化
利益率は売上規模よりも構造によって左右されます。そのため、価格や業務効率に関する施策は多くの業種で共通して効果を発揮します。
また、顧客との継続関係や業務の効率化は、原価構造や提供形態が異なっても利益改善につながりやすい普遍的な施策です。
自社業種の常識にとらわれず、他業種の利益構造を参考にすることが、実行可能な改善策発見の近道となります。
【完全無料】シリーズ累計250万部「みんなが使ってる起業ガイドの決定版」『創業手帳』
利益率改善によってどれくらい手残りが変わるか(シミュレーション)

| 売上 | 利益率30% | 利益率40% |
|---|---|---|
| 1,000万円 | 300万円 | 400万円 |
売上が1,000万円の事業で計算すると、利益率が10ポイント改善するだけで年間の手残りが大きく増加可能です。
利益率30%の場合と40%の場合では、同じ売上でも残る資金に明確な差が生じます。
これは単純に利益が増えているだけではなく、設備の充実や投資でビジネスを拡大するチャンスも大きくなることを意味しています。
この10ポイントの違いを長期間積み重ねるかどうかで会社の将来は変わるでしょう。
利益率改善はすぐ取り組める内容も多くあります。売上拡大よりも再現性が高く、経営安定に直結する施策です。
【完全無料】シリーズ累計250万部「みんなが使ってる起業ガイドの決定版」『創業手帳』
まとめ:業種ごとの強みを活かし、利益率改善は着実に実行できる
業種ごとに利益構造や原価率など違いがあります。利益率を改善するには業種特性を理解した上で行うようにしてください。
一度にすべてを変えるのではなく、実行可能な施策から着手するのが基本です。
いきなり大きな利益率アップは難しくても、継続的な数値確認と改善が、安定した手残り増加につながります。
創業手帳(冊子版)は、これから開業する人の役に立つ記事を多数掲載しています。頼れるビジネスパートナーとして創業手帳を活用してください。
(編集:創業手帳編集部)






