【2026年】外国人材の採用に役立つ補助金・助成金制度まとめ│利用時の注意点も解説

創業手帳

外国人材の補助金・助成金は「採用・教育・定着」で選ぶ


人手不足が深刻化する中、即戦力として期待される外国人材の活用に注目する企業が増えています。
一方で、「採用コストが高い」「制度が複雑でよくわからない」といった理由から、なかなか導入に踏み切れないケースも少なくありません。
そのようなな企業にとって心強いのが、国や自治体が提供する外国人材向けの補助金・助成金制度です。

外国人材向けの補助金・助成金制度は、種類によって目的や対象となる人材が異なります。
自社に合わない制度を選ばないようにするためにも、「採用・教育・定着」という3つの観点から選ぶことが大切です。
この記事では外国人材の採用に役立つ補助金・助成金制度を紹介しつつ、選び方や受給までの流れについて詳しく解説します。

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この記事の目次

【一覧】外国人材の採用に使える補助金・助成金制度


外国人材の採用に使える助成金制度は、以下の5種類です。

主な制度 在留資格 目的 支給額の目安
トライアル雇用助成金 在留資格共通 採用前の試行雇用 月4万円×最長3カ月
人材確保等支援助成金 特定技能・在留資格共通 就労環境整備 20~80万円
人材開発支援助成金 技能実習・特定技能 教育訓練 経費の45~75%
キャリアアップ助成金 在留資格共通 正社員化・処遇改善 20~80万円
業務改善助成金 在留資格共通 賃上げ・設備投資 最大600万円

在留資格ごとに活用しやすい制度は異なります。特定技能では職場環境の整備が重視され、人材確保等支援助成金が中心です。
技能実習や高度人材では教育訓練や正社員化の支援が利用しやすく、賃金改善をともなう場合は業務改善助成金との併用も検討できます。
まずは「自社の外国人材がどの在留資格か」を起点に制度を絞り込んでください。下記で各助成金について詳しく説明します。

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

トライアル雇用助成金は、職歴が浅いことで就職が困難な状況にある求職者を一定期間試用雇用するための助成制度です。対象となる求職者には外国人労働者も含まれます。
トライアル雇用の希望者を雇い入れる条件として、以下の条件を満たしてください。

  • ハローワークなどの紹介によって雇い入れること
  • 原則3カ月のトライアル雇用をすること
  • 1週間の所定労働時間が、通常の労働者の1週間の所定労働時間(30時間以上)と同じ

支給対象期間は雇い入れの日から1カ月単位で最長3カ月間助成を行います。ただし、実際に支給されるのは1回で、月額の合計額がまとめて支払われます。
支給額は対象者ひとりにつき月額4万円です。なお、対象労働者が母子家庭の母・父子家庭の父だった場合、ひとりあたり月額5万円が支給されます。

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

人材確保等支援助成金の外国人労働者就労環境整備助成コースは、日本の労働条件や解雇などに関して外国人労働者とトラブルが起きやすい傾向を改善するために、外国人特有の事情にも配慮した就労環境の整備を目的とする助成金です。
この助成金を利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 外国人労働者を雇用している事業主
  • 認定を受けた就労環境整備計画に基づき、いずれかの措置を新たに導入して、外国人労働者に対して実施する(1・2の措置に加え、3~5のいずれかを選択)
  •  1.雇用労務責任者の選任
     2.就業規則等の多言語化
     3.苦情・相談体制の整備
     4.一時帰国のための休暇制度の整備
     5.社内マニュアル・標識類等の多言語化

  • 就労環境整備計画期間終了後、一定期間経過後における外国人労働者の離職率が15%以下

受給要件をすべて満たすと、1制度導入につき20万円(上限80万円)まで支給されます。

人材開発支援助成金(人材育成支援コース)

人材開発支援助成金の人材育成支援コースは、労働者に職務と関連した専門的な知識・技能を習得させるための訓練を実施した場合に、その経費や訓練期間中の賃金の一部を助成するという制度です。
支給対象となる訓練は、以下の3つが該当します。

  • 人材育成訓練:10時間以上のOFF-JTによる訓練
  • 認定実習併用職業訓練:新卒者などのために実施するOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練
  • 有期実習型訓練:有期契約労働者などの正社員転換などを目的に、OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練

受講者ひとり・1訓練あたりの経費助成限度額は、中小企業と大企業によって異なります。

10時間以上100時間未満 100時間以上200時間未満 200時間以上
中小企業 大企業 中小企業 大企業 中小企業 大企業
15万円 10万円 30万円 20万円 50万円 30万円

なお、1事業所1年度あたりの助成限度額は、企業の規模を問わず1,000万円までです。

キャリアアップ助成金(正社員化コース・社会保険適用時処遇改善コース)

キャリアアップ助成金は、非正規雇用の労働者の企業内キャリアアップを促進させるために、正社員化や処遇改善の取組みを実施した事業主に向けて助成する制度です。

正社員化コースの支給額は、重点支援対象者とそれ以外に分かれ、さらに中小企業と大企業、有期雇用労働者か無期雇用労働者かによっても違ってきます。

有期雇用労働者 無期雇用労働者
重点支援対象者 中小企業 80万円(40万円×2期) 40万円(20万円×2期)
大企業 60万円(30万円×2期) 30万円(15万円×2期)
上記以外 中小企業 40万円(40万円×1期) 20万円(20万円×1期)
大企業 30万円(30万円×1期) 15万円(15万円×1期)

なお、正社員コースの場合、外国人労働者は対象範囲内ですが、外国人技能実習生は対象外となるので注意してください。

社会保険適用時処遇改善コースは1年目・2年目に対象の被保険者に対して賃金総額を増加させる取組みを実施し、3年目から恒常的な所得の増額となる取組みを行った場合で、それぞれ助成額が異なります。

企業規模 1年目の取組み 2年目の取組み 3年目の取組み
中小企業 40万円(10万円×4期)※1期:6カ月 10万円
大企業 30万円(7.5万円×4期)※1期:6カ月 7.5万円

業務改善助成金

業務改善助成金は、生産性向上に資する設備投資や人材育成、教育訓練を行い、さらに事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた際に、設備投資などにかかった費用の一部を助成する制度です。
例えば外国人労働者に向けた多言語マニュアルの作成やコミュニケーションツールの導入、作業工程の可視化ツールなどが含まれます。
中小企業・小規模事業者で、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内、さらに解雇や賃金引き下げなどの不交付事由がない場合が対象です。

助成上限額はコース区分や最低賃金の引き上げ額、労働者数、事業場規模によって異なります。
事業場規模30人以上の事業者なら30万円~600万円、30人未満の事業者なら60万円~600万円までが助成上限額です。

各自治体の外国人材向け補助金制度もチェックしよう


国だけでなく、各自治体でも外国人材の雇用を支援するための補助金制度を設けている場合があります。ここで3都市の外国人材向け補助金制度を紹介します。

兵庫県尼崎市「尼崎市外国人材雇用促進支援補助金」

尼崎市外国人材雇用促進支援補助金は、市内で働く外国人労働者の日本語能力向上と、就業に必要な技能習得、資格取得に資する取組みにかかった経費の一部を助成する制度です。
補助率は、対象経費合計額の3分の2以内で、補助限度額は20万円になります。もともと限度額は10万円でしたが、2025年度から20万円に引き上げられています。

静岡県焼津市「焼津市多様な人財確保事業費補助金」

焼津市多様な人財確保事業費補助金は、外国人を含め高齢者や障害者、女性などの多様な人財を雇用するために取り組む新たな事業を対象に、経費の一部を助成する制度です。
補助率は補助対象経費の2分の1以内で、上限は20万円までとなります。

山口県宇部市「宇部市介護人材確保紹介手数料等補助金」

宇部市介護人材確保紹介手数料等補助金は、介護サービス事業所・施設などが人材紹介会社から紹介を受けた際に支払う経費や、外国人介護人材の雇用で生じる経費を支援する補助金です。
2025年12月23日以降に直接雇用し、かつ市内で3カ月以上業務に従事させた介護職員などにかかるものが対象経費です。
雇用者ひとりにつき、補助上限額は100万円までで、1会計年度につき1法人3人まで利用できます。

外国人材の補助金・助成金の選び方


外国人材向けの補助金・助成金は種類が多く、制度ごとに目的や支援内容、対象条件が異なります。
そのため、「使えそうだから」という理由だけで選ぶのではなく、自社の採用フェーズや受け入れる人材の在留資格、解決したい課題に合っているかを軸に検討することが重要です。
ここでは、制度選びで押さえておきたい3つのポイントを解説します。

採用前に活用できる制度・採用後に活用できる制度

外国人材関連の補助金・助成金は、活用できるタイミングによって大きく「採用前」と「採用後」に分けられます。

採用前に活用できる制度には、求人活動やマッチング支援、紹介手数料の一部補助など、採用コストの負担を軽減するものがあります。
例えば、トライアル雇用助成金は採用活動前に利用できる制度です。
初めて外国人材を採用する企業にとっては、リスクを抑えながら検討を進められる点がメリットです。

一方、採用後に活用できる制度は、賃金の一部補助や日本語教育、業務研修、生活支援体制の整備などが中心となります。
人材確保等支援助成金やキャリアアップ助成金などは、就労環境の整備や待遇改善を支援する助成金です。
定着率向上や早期戦力化を目的とした制度が多いため、長期的に外国人材を活用したい企業ほど重視すべきポイントになります。

特定技能・技能実習・高度人材での対象の違い

補助金・助成金を検討する際は、外国人材の在留資格による対象の違いも確認が欠かせません。
例えば、特定技能や技能実習を対象とした制度は、人手不足が深刻な業種での受け入れや育成を目的とするものが多く、教育訓練や生活支援、受け入れ体制の整備に関する支援が中心です。
現場人材の確保や定着を目指す企業に向いています。

一方で、高度人材(技術・人文知識・国際業務など)を対象とする制度では、専門スキルを活かした雇用促進や、賃金・待遇改善、定着支援などに重点が置かれる傾向にあります。
自社がどの在留資格の人材を採用するのかを明確にした上で、対象制度を絞り込むことが重要です。

賃金支援・教育訓練・就労環境整備の3つの活用軸

外国人材向けの補助金・助成金は、支援内容から「賃金支援」「教育訓練」「就労環境の整備」という3つの活用軸で整理できます。

賃金支援は、人件費の一部を補助することで、採用・雇用にかかる負担を直接的に軽減できる点が特徴です。
採用人数を増やしたい企業や、待遇面での不安を解消したい場合に有効です。

教育訓練支援は、日本語教育や業務スキル研修などを通じて、外国人材の早期戦力化を後押しします。教育コストがネックになっている企業にとって、活用価値の高い支援です。

就労環境整備は、多言語マニュアルの整備や相談窓口の設置、社内体制の見直しなどを支援する制度です。
外国人材が安心して働ける環境を整えることで、離職防止や長期定着につながります。自社の課題がどこにあるのかを整理した上で、最適な活用軸を選ぶことが大切です。

外国人材向け「補助金」と「助成金」の違い


外国人材の採用や定着を進める際、「補助金」と「助成金」という言葉を目にする機会は多いものの、その違いがわかりにくいと感じる人も少なくありません。
どちらも返済不要の公的支援制度ですが、仕組みや申請の考え方には明確な違いがあります。制度の特性を理解しておくことで、自社に合った支援を選びやすくなります。

審査型の補助金・要件型の助成金の違い

補助金は、主に国や自治体が設定した政策目的に沿って支給される「審査型」の制度です。
事業計画書の提出が求められ、内容の妥当性や将来性、社会的意義などをもとに採択・不採択が決まります。
そのため、要件を満たしていても必ず受給できるとは限らず、募集期間や予算枠にも注意が必要です。

一方、助成金は雇用や人材育成を促進する目的で設けられることが多く、一定の条件を満たせば原則として受給できる「要件型」の制度です。
外国人雇用に関する助成金では、適切な雇用契約の締結や就業規則の整備、賃金の支払い実績などが重視されます。計画的に条件を整えれば活用しやすい点が特徴です。

外国人雇用で対象になりやすい経費の例

外国人向けの補助金・助成金では、採用から定着までの各段階で発生する様々な経費が対象となるケースがあります。
例えば、採用活動にかかる求人費用や人材紹介手数料、日本語研修や業務研修などの教育訓練費は、比較的対象になりやすい代表的な経費です。

また、外国人材が働きやすい環境を整えるための費用も支援対象となることがあります。
具体的には、多言語対応のマニュアル作成費、相談窓口の設置費用、社内研修の実施費用などです。
制度によっては、一定期間の賃金や手当の一部が助成対象となる場合もあります。

ただし、対象経費や補助率、上限額は制度ごとに異なるため、事前に要件を確認することが欠かせません。
自社が負担しているコストの中で、どの経費が支援対象になり得るのかを把握しておくことが、補助金・助成金を無駄なく活用するポイントです。

外国人材向け補助金・助成金の受給までの流れ


外国人材向けの助成金・補助金は、一般的に①計画の作成・事前申請、②取組の実施、③実績報告・支給申請、④審査、⑤受給という流れで進みます。
多くの制度は後払いで、賃金台帳や就労記録、研修実施の証明などの書類提出が求められます。

申請から入金まではおおむね3~6カ月程度かかることが多く、年度末は審査が混み合いやすい点にも注意が必要です。
計画段階で社労士や支援機関に相談し、要件を満たす運用になっているかを事前に確認するとスムーズになります。

1.事前計画の作成・申請
2.研修・環境整備などの取組実施
3.支給申請(証拠書類の提出)
4.審査
5.受給(原則後払い)

外国人材向けの補助金・助成金制度に関するQ&A


外国人材の補助金・助成金は、制度の仕組みや運用ルールがわかりづらく、「自社は対象になるのか」「資金繰りは大丈夫か」といった不安を感じやすい分野です。
ここでは、企業や事業主から特に多い質問をQ&A形式で解説します。

個人事業主でも外国人材の補助金・助成金は申請できる?

制度によって異なりますが、個人事業主でも申請可能な外国人材向け補助金・助成金は存在します。
特に雇用関係助成金の中には、法人だけでなく、雇用保険の適用事業所であれば個人事業主も対象となるものがあります。

ただし、従業員数や雇用形態、就業規則の整備状況などが要件になるケースが多く、法人に比べて利用できる制度が限られることもあります。
申請を検討する際は、「法人限定」なのか「事業主全般が対象」なのかを事前に確認することが重要です。

複数の補助金・助成金制度は併用できる?

複数の補助金・助成金を併用できるかどうかは、制度ごとのルールによって異なります。
原則として、同一の経費に対して複数の制度から重複して支援を受けることはできません。

一方で、対象となる経費や目的が異なれば、併用が認められるケースもあります。
例えば、採用費用に関する助成金と、教育訓練に関する補助金を組み合わせるなど、フェーズごとに制度を使い分けることは可能です。
併用を検討する場合は、申請前に制度の併用可否を必ず確認してください。

補助金・助成金は後払いが多い?資金計画の注意点

外国人材向けの補助金・助成金の多くは、原則として「後払い」です。
一旦企業側が対象経費を立替え、要件を満たしたことが確認された後に支給される仕組みとなっています。
そのため、申請前には資金繰りへの影響を十分に考慮する必要があります。
補助金・助成金を前提に無理な投資計画を立ててしまうと、支給までの期間に資金不足に陥るリスクもあるため、注意が必要です。

制度によっては、支給までに数カ月以上かかる場合もあるため、自己資金で対応できる範囲かどうかを確認した上で活用することが大切です。
補助金・助成金はあくまで「補助」であることを意識し、無理のない資金計画を立ててください。

まとめ・補助金・助成金を活用して外国人材の雇用コストを軽減しよう

外国人材の採用・定着を進める上で、補助金・助成金は雇用コストや教育負担を軽減できる心強い制度です。
ただし、制度ごとに対象となる人材の定義や活用できるタイミング、支援内容は大きく異なります。
自社の採用フェーズや在留資格、解決したい課題を整理した上で、適切な制度を選ぶことが重要です。
外国人材の活用は、人手不足解消だけでなく、組織の多様性や競争力強化にも寄与します。
補助金・助成金を上手に取り入れながら、無理のない形で外国人材の雇用を進めてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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