フランチャイズ加盟における競合避止義務の内容とその注意点について

創業手帳

フランチャイズ加盟前に、必ずチェックしておこう

(2016/06/08更新)

フランチャイズ加盟における競業避止義務の内容とその注意点について、お伝えしたいと思います。
独立をする上で、ある程度、標準化されたフランチャイズを活用することは事業の失敗確率を下げる上で、有効な手段です。ただし、フランチャイズを活用する際、ある種の制約が存在することも理解しなければ、長期的にデメリットを被る可能性があります。

具体的には「競業避止義務」に関してはよくよく注意が必要です。そこで、今回は競業避止義務に関して解説したいと思います。

フランチャイズにおける「競業避止義務」とは

フランチャイズにおける「競業避止義務」とは、FC加盟店に加盟するFC本部と同種または類似の事業を行ってはならないことを一定期間において制限させる義務を負わせることを言います。

その期間は加盟契約中においてのみならず、加盟契約終了後も制限される場合があります。

競業避止義務を考える上で理解すべきこと

それでは、競業避止義務を考える上で理解すべきことは何でしょうか。

まず、前提として、「競業避止義務はチェーンの発展、そして加盟店の為にも必要なことである」一方で、「競業避止義務は自社の将来を制限する可能性がある」側面を持つことを理解すべきです。

加盟者にとって競業避止義務は、どちらかというとネガティブな意味合いで理解されている方が多いと思われます。

根本的にはチェーン発展の為に必要なことであり、それ自体は自分にとっても有効なことであるという事実です。

なぜ競業避止義務は設けられているのか

それでは、なぜチェーンは競業避止義務を設けるのでしょうか?

それは加盟店の事業を守るためです。

なぜなら、競業避止義務がなく、加盟店からノウハウが流出したり、容易に真似される状況にあった場合、当然、チェーンは衰退していく可能性が高まります。

ですから、自社のビジネスを守る上で、競業避止義務は欠かせない要素であると言えます。

私の知っている限り、成功しているFC本部はあらゆる企業のベンチマークの対象とされます。

加盟店を装い加盟したのち、マニュアルだけを入手して脱退する企業や、すでに加盟している加盟店から、ノウハウを購入し、マニュアルなどのノウハウを入手するなど、そうした事例は枚挙に暇がないのです。

そうした企業、行為からチェーンを守るためにも、競業避止義務は重要な要素です。

競業避止義務は自社の将来を制限する可能性もある

一方、競業避止義務は自社の将来を制限する可能性があることも念頭に置いて、フランチャイズに加盟しなければなりません。

なぜ競業避止義務は自社の将来を制限するのか?に関して、皆さんと考えてみたいと思います。

独立当初、情報もなく、ノウハウや人材もない。そのような状況で、フランチャイズを活用することは本当に有効な手段です。

しかし、FC事業に取り組み、ある程度、資金力や人材体制も整い、次なる成長を望んだ際にフランチャイズと言う仕組みが足かせになるケースがあるのです。

例えば、あなたが何らかの飲食FCに加盟し、独立したとします。順調に業績を伸ばし、多店舗展開を実現しました。創業当初とは比べものにならないほど、資金や人材は潤沢となり、経営者として次なる展開を考えたとします。

具体的には自社業態の展開です。

その際に、大きく制約となる可能性が、競業避止義務にはあるのです。

FC加盟した当初に思い描いていた以上に成功し、もっと経営者としてやりたいこと、ビジョンが広がった為、思い切った展開をしたいと考えても、フランチャイズに加盟している場合、その枠組みの中で成長しなければならないのです。

フランチャイズで自社の成長を実現するには

ではフランチャイズを活用しながら、うまく自社の成長を実現するためには何が必要でしょうか? それは、競業避止義務の範囲と競業避止義務によるペナルティーの内容を加盟前から具体的に理解しておくことです。

ポイント①競業避止義務の範囲を理解する

競業避止義務の範囲とは、例えば、あなたが低価格の焼き肉屋のFCに加盟した場合、将来に渡り、焼き肉業態全般を取り組んではいけないのか? それとも高級業態の焼き肉屋ならば、独自に展開しても良いのか、さらには外食事業全般が競業避止義務の範囲なのか、その定義により、将来の自社の戦略は大きく変わります。

この競業避止義務の範囲を加盟時にしっかりと本部と話し合いの上、理解しておくことは重要なことです。

ポイント②ペナルティーの内容を理解する

次に、確認すべきは競業避止義務によるペナルティーの内容です。

具体的には金額、いわゆる違約金です。各FC本部は競業避止義務のペナルティーとして、違約金を設けているケースが殆どです。

よって、範囲とともに重要なことは違約金の金額です。

法外に高いケースもあれば、意外に安いケースも存在します。正直、安いケースの場合、将来的に違約金を払い、脱退することも一つの選択肢となります。

戦略的に判断する上で、このペナルティーの内容もしっかりと理解しておく必要があります。

まとめ

将来も可能な限り見越して、事業に取り組むことが必要です。

分からなければ、経験者や専門家に相談することも、当然必要な活動です。

知識経験不足は補うことが可能ですので、その努力を怠らず、可能性のある未来を作り上げていただきたいと思います。

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(監修:AT カンパニー株式会社 代表取締役 浅野 忍土(あさの しのただ)
(編集:創業手帳編集部)

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