融資が通る!飲食店創業計画書の書き方のポイント ~事業経験編~
融資担当者にあなたの意志が伝わる創業計画書の書き方
(2015/06/25更新)
日本政策金融公庫の借り入れ申し込みのもうひとつのポイントが「事業経験」です。経営者の略歴等の項目にあたります。
前回の創業動機が、あなたが始めようとしている飲食店のコンセプトのプレゼンであるならば、今回の事業経験は、あなた自身のプレゼンということになります。
飲食店に限らずビジネスを行う上で、事業計画やビジネスの着眼点というのも重要ですが、トップのキャラクターというのも重要です。そのどちらかが欠けていると、ビジネスというのは成り立ちません。特に飲食店は客商売である以上、あなたのキャラクターによって成否は大きく左右されることは容易に分かります。
融資担当者が、事業経験からどのようにあなたのキャラクターを見ているのかを解説していきましょう。
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この記事の目次
いっぱい書きたいのに枠が小さい
創業動機も事業経験の枠もそうなのですが、いろいろと考えて書こうとすると、枠が小さいのです。だから枠に収まる程度の分量で適当に書けば良いかというと違います。やる気のある人、本気で飲食店経営を成功しようとしている人は、しっかりと書き込んでいます。
その方法は、所定の小さい枠のところに、「※別紙参照」と記載することです。そして、枠の中に書ききれない内容を別紙にしっかりと記載します。その際、別紙と創業計画書が分かれてしまっても問題ないように、あなたの氏名や提出日などは別紙にも入れておきましょう。
また、別紙は審査担当者にとってはイレギュラーなことなので、書いている内容が審査担当者に読みやすいように題や目次などもしっかりと入れておきましょう。そして、提出時には、別紙に記載した項目を一言伝えておきましょう。
ここで説明した「※別紙参照」については、あくまで日本政策金融公庫の方法論なので、保証協会付創業融資では所定の用紙でないとダメという事もおおいにあり得ますのでご注意ください。
事業経験のポイントは2つ
別紙参照の書き方が分かったところで、本題の「事業経験」です。創業動機と同じく日本政策金融公庫の「新たに飲食業を始めるみなさまへ 創業の手引き+」に載っているチェックポイントを確認しましょう。
(1)経験年数より何を経験してきたかが重要
経験を測るのに、一番簡単なのは経験年数です。しかし、経験年数については、何年以上あれば融資に問題ないといった具体的な数値はありません。例えば、同じ高級フランスレストランに働いていたとしても、10年間ホールと洗い場しか経験していない人と、3年間メインの料理を作っていた人では、3年間の人の方が経験はあります。
こういったとき、他の人はどのくらい経験があるかというのは気になるところです。日本政策金融公庫の「2012年度新規開業実態調査」の抜粋には飲食店を始めた人の平均経験年数は13年となっています。これよりも短い人は、経験の欄はより詳細に書いておいた方が良いでしょう。
審査担当者が経験から知りたい内容は、あなたの技術力や店舗運営ノウハウです。そのため、事業経験には、今まで働いていたお店で、どのような担当業務をしていたのか、それから得られたノウハウは何か、今後のビジネスの中で強みとなることを書いていきましょう。年数は、そのなかの一つの目安でしかありません。
実は、この内容は、サラリーマンが転職の際に書く、職務経歴書と同じなのです。サラリーマンも転職の際に、自分を売り込まないといけません。それを飲食店の経営者になる人は、融資担当者に行うことになるのです。コンビニなどに売られている履歴書や職務経歴書を参考にすると、きれいにまとめることができるでしょう。
(2)ネガティブな経歴・情報は隠さずに
過去に事業を経営していたが、廃業している経験がある場合も、隠さずに書きましょう。その理由も記載してください。廃業した事実を隠していて、融資審査のときに廃業したことが分かると、間違いなく融資は通りません。そんな人は信用されないのが、理由です。
もちろん、過去に事業を失敗などをしていると、融資の審査上ダメージが大きいです。そのダメージを少しでも小さくするために、過去の失敗から得られた経験をかたり、次の新しいお店では同じ過ちをしないような施策をきっちりと書きましょう。
まとめ
飲食店の創業動機編でも書きましたが、勤務時代に凄いキャリアがあったとしても日本政策金融公庫の担当者等に伝わらなければ意味がありません。
雑誌、取材などのメディアに紹介された実績などはスクラップしておき、事業経験に別紙で付けましょう。フェイスブックの友達の数、持ち出しが可能な顧客リストなども事業経験の欄に入れておくと良いと思います。よりあなたの経験を融資担当者が信用します。
「創業動機」「事業経験」ともに、融資審査上重要な項目なので、焦らずに時間をかけてしっかり書きましょう。創業計画書を提出した後には、飲食店開業融資面談があり、奥深くまでヒアリングされます。
慣れないプレゼンで緊張するかもしれませんが、滔々と話す必要はありません。事実をしっかりと話をして、融資担当者の信頼を勝ち得るようにしましょう。このとき、創業計画書で嘘を書いていると、確実に見破られます。
最後に、「事業経験」欄に取得資格とあります。飲食店の場合、大半の人は調理師免許やソムリエなどの資格が該当します。資格を証明する資料が必要になりますが、大抵の人は、資格を取得した際に家に置いたままになってしまっています。直前になって慌てないように、早めに探しておきましょう。
(監修:ITA大野税理士事務所 大野晃 飲食店開業融資専門税理士)
(編集:創業手帳編集部)