今話題のDeepSeek（ディープシーク）。　その性能は如何に。シリコンバレーの起業家たちの反響は？

DeepSeek（ディープシーク）の開発コストが安い理由は？日本語でも使えるのか、実際に使ってみた。

中国発の生成AI「DeepSeek（ディープシーク）」が世界中で話題です。その登場が「DeepSeekショック」を引き起こし、1月27日にはAI関連銘柄の株価急落をもたらしたことも大きなニュースになっています。

では、「DeepSeek」の何がすごいのでしょうか。本記事でご紹介します。

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DeepSeek（ディープシーク）とは何？性能は？日本語でも使える？

「DeepSeek（ディープシーク）」は、ChatGPTやGeminiと並ぶ対話型AIサービスとして、革新的な特徴と高い利便性で注目を集めています。

特に、OpenAIのo1に匹敵する性能を持ちながら、無料で利用できる点が大きな特徴となっています。

従来の大規模言語モデル（LLM）が文章生成や基本的な対話に特化していたのに対し、「DeepSeek」は複雑な推論問題やプログラミングコードの処理において優れた能力を発揮します。

また、オープンソースの「DeepSeek-R1」は、その高い性能で業界に新たな基準を示しています。

「DeepSeek」は、様々なパラメータ規模のモデルを公開しており、ユーザーは使用するデバイスの性能に応じて最適なモデルを選択できます。

さらに、無料で利用できるブラウザ版に加え、スマートフォンアプリも提供開始したことで、より手軽にAI技術を活用できるようになりました。

この使いやすさと高性能を兼ね備えた「DeepSeek」は、AI技術の大衆化を加速させる存在として、今後さらなるユーザー層の拡大が期待されています。

「DeepSeek」はもちろん、日本語でも利用できます。

DeepSeek（ディープシーク）がAI業界で注目を集める理由・背景

中国のAI開発企業「DeepSeek」が、革新的な製品ラインナップと競争力のある価格設定で業界の注目を集めています。

2025年1月27日、同社は最新のマルチモーダルモデル「Janus-Pro-7B」をMITライセンスでHugging Faceに公開しました。

企業の成長は目覚ましく、2025年1月には次々と新サービスを展開。

モバイル向け生成AIチャットアプリの提供や、高性能な大規模言語モデル「DeepSeek-R1」のリリースなど、積極的な展開を見せています。

日本市場でも反響を呼び、サイバーエージェントは2025年1月28日、「DeepSeek」のモデルをベースに日本語で追加学習を施したLLMをHugging Faceで公開しました。

「DeepSeek」が注目を集める最大の理由は、高性能でありながら驚異的な低コストを実現している点です。

特に「DeepSeek-R1」は、OpenAIのo1に匹敵する性能を持ちながら、無料で利用できることがSNSで話題となっています。

性能面では、数学テスト「AIME 2024」において「DeepSeek-R1」が79.8%、「OpenAI-o1-1217」が79.2%とほぼ同等の正答率を示し、特に推論・数学・コーディング分野で優れた能力を発揮しています。

コスト面での優位性も顕著です。APIを利用する場合、100万トークンの入力に対して「DeepSeek-R1」は0.55ドル、「o1」は15ドルとなっています。

出力においては、「DeepSeek-R1」が2.19ドル、「o1」が60ドルと約30倍もの価格差があります。

一方、OpenAIの「o1」を利用するには、「ChatGPT Plus」の月額20ドルの支払いが必要です。

このように、DeepSeekは高性能なAIモデルを驚異的な低コストで提供することで、AI市場に新たな競争軸をもたらしています。

しかし、ChatGPTを開発したOpenAIは、DeepSeekの機械学習にOpenAIのデータが利用された可能性があるという考えを示していることを米ブルームバーグ通信が28日に報じました。

またイタリアやアイルランドでは、個人情報の取り扱いなどについて同社に説明を求めており、DeepSeekのアプリがダウンロードできない状態になっています。

DeepSeek（ディープシーク）の開発コストが安いのはなぜ？その理由

「DeepSeek」のコスト効率の高い開発手法が、AI業界に新たなパラダイムシフトをもたらす可能性が出てきています。

同社が2024年12月に発表したV3モデルの開発費用はわずか560万ドルとされており、ChatGPTなど従来の大規模AIモデルの数十億ドル規模の開発費用と比較すると、驚異的な低コストを実現しています。

この画期的なコスト削減を可能にしたのは、「Mixture of Experts（専門家の混合）」と呼ばれる革新的なアプローチです。この手法では、複雑なタスクの処理時に、モデル全体ではなく、必要な専門サブモデル（エキスパート）のみを選択的に活用することで、処理効率を大幅に向上させています。

これまでのAI開発では、巨額の資金力が不可欠とされてきました。アメリカの大手テクノロジー企業は、AI開発への多額の投資に加え、莫大な電力を消費するデータセンターの運営のため、原子力発電への投資まで行ってきました。

しかし、「DeepSeek」が先進的なAIモデルを従来の数分の1のコストで開発できたことは、AI開発の未来に大きな示唆を与えています。特に、R1モデルがオープンソースとして公開されていることで、他企業による改良やカスタマイズが可能となり、AI技術の民主化と社会実装の加速が期待されます。

この革新的なアプローチは、AI開発の経済性を根本から見直す契機となり、より広範な企業や組織がAI技術を活用できる可能性を開くものといえるでしょう。

DeepSeek（ディープシーク）を作った人、創業者は誰？

MITテクノロジーレビューの報道によると、「DeepSeek」を創設した梁文鋒（Liang Wenfeng）氏は、1985年生まれの起業家です。

浙江大学で電気通信工学を修めた後、2015年にヘッジファンド「ハイフライヤー」を設立。このヘッジファンドで得た資産を、DeepSeekの開発資金として投じました。

同社の低価格戦略が業界の注目を集めていることについて、梁氏は2024年のチャイナアカデミーのインタビューで謙虚な姿勢を示しています。

「価格設定がここまで大きな反響を呼ぶとは予想していませんでした」と述べ、「私たちはただ自分たちのペースで進み、実際のコストを計算し、それに基づいて価格を決定しただけです」と説明しています。

また、同氏は事業運営における重要な二つの原則として、「赤字販売を避けること」と「過度な利益追求をしないこと」を挙げており、持続可能なビジネスモデルの構築を目指していることがうかがえます。

この実務的かつバランスの取れたアプローチは、AI技術の民主化と持続可能な発展を両立させる新しいモデルとして、業界に大きな影響を与えています。

さらに、開発チームの羅富麗（Luo Fuli）氏にも注目が集まっています。

29歳という若さで世界最高峰のAIモデル開発を牽引する卓越したエンジニアです。

名門北京大学を卒業後、アリババでのキャリアを経て、現在は「DeepSeek」の中核エンジニアとして活躍しています。

その才能は早くから業界の重鎮たちの目に留まり、シャオミの創業者からは年俸2億円相当という破格のオファーを受けました。

しかし彼女は、より大きな可能性を見出した「DeepSeek」への参画を選択。特に「DeepSeek-V2」の開発では主導的な役割を果たし、同社の急成長に大きく貢献しています。

学術面でも目覚ましい成果を上げており、自然言語処理分野で最も権威ある国際会議ACLでは、すでに8本の論文を発表。

その研究業績は、次世代のAI開発における重要な指針となっています。

技術力と研究実績を兼ね備えた羅富麗は、中国のAI産業を世界の最前線へと押し上げる立役者として、今後さらなる活躍が期待されています。

DeepSeek（ディープシーク）ショックとは？NVIDIA（エヌビディア）との関係は？

2025年1月27日、中国のAI企業「DeepSeek」による革新的な低コスト高性能AIモデルの発表が、米国市場に激震を走らせました。

この発表は特にNVIDIA依存のAI半導体産業に大きな影響を与え、関連企業の株価が急落する事態となりました。

この急落について、SNSユーザーや市場関係者たちは「DeepSeekショック」と呼びました。

この日、NVIDIAの株価は一時17%下落し、時価総額で約91兆円（5900億ドル）が消失。

ブルームバーグによれば、これは個別企業の単日での時価総額下落額として史上最大を記録しました。

その影響は半導体業界全体に波及し、Broadcomも17%、Arm Holdingsは10%の下落を記録。さらに、AlphabetやMicrosoftといったクラウドAIインフラ提供企業にも下落の波が及びました。

市場動揺の核心は、「DeepSeek」が2024年12月に公開したV3モデルと、2025年1月公開のR1モデルの驚異的なコストパフォーマンスにあります。

特にV3モデルは、OpenAIの「GPT-4o」と同等の性能を持ちながら、開発コストはわずか560万ドルでした。これは、Anthropicが次世代モデル開発に10億ドルを要すると予測していることと比較すると、驚異的な効率性を示しています。

さらに注目すべきは、「DeepSeek」がNVIDIAの主力GPU「H100」ではなく、性能を抑えた中国向け「H800」を使用してこの成果を達成した点です。

これまでAI開発では、データ量、計算量、パラメーター数の規模が大きいほど性能が向上するという「スケーリング則」が定説とされてきました。

William Blairのアナリスト、セバスチャン・ナジ氏は、「DeepSeek」の成果について「米国のハイパースケーラー企業による巨額投資の現状を揺るがし、AIエコシステム全体に波及効果をもたらす可能性がある」と指摘しています。

「DeepSeek」の成功は、AIモデル開発における従来の「規模の競争」に再考を促す転換点となる可能性を示唆しています。この新しいアプローチは、AI開発の効率性と経済性に関する既存の常識を覆す可能性を秘めています。

DeepSeek（ディープシーク）の使い方。実際に使ってみた

「DeepSeek」はPC・アプリの両方で使えます。

筆者はPCで「DeepSeek」を利用してみました。Googleのアカウントにログインしていれば、その情報でログインできるので簡単です。

以下がトップ画面で、メッセージを入力すればすぐに利用できます。

みんなが知りたい、禁断のぶっちゃけ質問をDeepSeekに聞いてみました。

質問：「deepseekへ質問した内容は中国政府に知られる可能性はありますか？」

回答：「DeepSeekは中国の法律や規制に従って運営されており、ユーザーのプライバシーとデータ保護を重視しています。しかし、中国の法律に基づき、国家安全や社会の安定に関連する情報が要求された場合、適切な法的プロセスを通じて情報が提供される可能性があります。したがって、質問内容によっては中国政府に知られる可能性があることを理解しておく必要があります。ユーザーは、自身のプライバシーとデータ保護に関するリスクを認識し、適切な判断を行うことが重要です。」

なるほど。一定の手続きはあるものの、リスクを認識することが必要なようです。

DeepSeek（ディープシーク）に対するシリコンバレー起業家たちの反応

創業手帳の代表・大久保がシリコンバレー滞在中なので、シリコンバレーの起業家たちにDeepSeekについて聞いてみました。

早速、サンフランシスコ市内でDeepSeekについてのテックイベントが開催され、起業家やプログラマーが100人以上参加しており、そこで反応を聞きました。

参加者の声

• 「オープンソースなのがいいね。OpenAIが独占しているAIの民主という面がある。でも公開しているのは古いモデルじゃないかな？オープンソースというのは額面通りに受け取れないね」
• 「ファーウェイと同じく中国政府に情報が流れるのは脅威だね」

ーーアメリカだけでなく、中国の女性起業家も
イベントに参加していたのでお話を聞きました。ーー

• 「中国のAIだからって偏見を持ちすぎじゃない？女性起業家も偏見を持たれているけどAIも同じよ！私は女性で中国人だから二重に偏見を持たれている。AIも起業家もバイアスを持たずに評価するべきだわ！」

サンフランシスコ、シリコンバレーにはアメリカ、中国も含めて様々な声が集まります。中国と米国AIの次の展開がどうなるか気になりますね。

DeepSeek（ディープシーク）の活用アイデア・方法

「DeepSeek」の活用アイデア・方法をご紹介します。

データ分析

「DeepSeek」の高度な分析能力は、ビジネスの意思決定プロセスを革新的に変革する可能性を秘めています。

顧客の購買履歴やウェブサイトの閲覧データを詳細に分析することで、消費者の嗜好やトレンドをより正確に把握することが可能となります。

この深い洞察は、新製品開発やマーケティング戦略の最適化に直接的な価値をもたらします。

さらに、「DeepSeek」は過去の販売データと外部要因を包括的に分析することで、精度の高い需要予測を実現します。

天候変動、イベント開催、経済動向などの多様な要素を考慮に入れた予測により、在庫管理の効率化や生産計画の最適化が可能となります。

また、競合他社の動向や市場シェアの分析においても、「DeepSeek」は重要な役割を果たします。市場環境の変化を迅速に捉え、それに応じて自社の戦略を柔軟に調整することで、競争優位性の維持・向上を図ることができます。

顧客サポートの自動化

「DeepSeek」を活用した顧客サポートの自動化は、企業の顧客対応を効率化し、サービス品質を大幅に向上させる可能性を秘めています。

その中核となるのが、24時間体制で顧客からの問い合わせに対応できるAIチャットボットシステムです。

このシステムにより、顧客は待ち時間なく必要な情報やサポートを受けることができ、顧客満足度の向上に直接的に貢献します。

また、「DeepSeek」によって構築される高度なFAQ自動応答システムは、日常的な問い合わせを効率的に処理することで、サポートスタッフの業務負担を大幅に軽減します。これにより、スタッフはより複雑で専門的な対応が必要なケースに集中することができ、サービス全体の質の向上につながります。

さらに、「DeepSeek」の感情分析機能は、顧客とのコミュニケーションにおける感情や不満を正確に検出し、適切なタイミングでの介入を可能にします。

メールやチャットの内容から顧客の感情状態を分析することで、潜在的な問題を早期に発見し、迅速な対応を実現することができます。

事務業務などの定型業務の効率化

「DeepSeek」の活用は、企業の日常業務を大きく効率化し、生産性の向上をもたらします。

特に定型的なデータ入力業務において、AIによる自動化は従業員の作業負担を大幅に軽減し、より創造的な業務に時間を振り向けることを可能にします。

また、定期的なレポート作成業務においても、「DeepSeek」は革新的な自動化を実現します。データの収集から分析、レポートの作成まで一貫して自動化することで、これまで多くの時間と労力を要していた業務プロセスが効率化され、より価値の高い業務に注力できる環境が整います。

さらに、プロジェクト管理において「DeepSeek」は、進捗状況の分析や予測を通じて、より効果的なリソース配分とスケジュール管理を支援します。

プロジェクトの遅延リスクを早期に特定し、適切な対応策を提案することで、プロジェクト全体の成功率を高めることができます。

この包括的なプロジェクト管理支援により、組織全体の業務効率が向上し、競争力の強化につながります。

人事・採用業務の効率化

「DeepSeek」は、人事・採用業務を革新的に効率化し、より戦略的な人材マネジメントを実現します。

採用プロセスにおいては、応募者の履歴書や面接データを包括的に分析することで、各職位に最適な候補者を客観的な基準で選別することが可能となります。

これにより、採用の精度が向上し、組織とのフィット感の高い人材の獲得につながります。

また、従業員のエンゲージメント分析において、「DeepSeek」は満足度調査や勤怠データを統合的に分析し、職場環境における潜在的な課題や離職リスクの早期発見を支援します。

このプロアクティブなアプローチにより、問題が深刻化する前に適切な対策を講じることができ、健全な組織文化の維持に貢献します。

さらに、「DeepSeek」は個々の従業員のスキルセットやキャリア目標を詳細に分析し、それぞれに最適化された研修プログラムを提案します。

このパーソナライズされた学習機会の提供により、従業員の成長を効果的に支援し、組織全体の競争力向上にもつながります。

リスク管理

「DeepSeek」の高度な分析能力は、企業のリスク管理とコンプライアンス体制を強化する強力なツールとなります。

取引データや従業員の行動パターンを継続的に監視・分析することで、異常な活動や潜在的な不正行為を早期に検出し、適切な対応を可能にします。

この予防的なアプローチにより、企業の健全性を維持し、重大な問題の発生を未然に防ぐことができます。

また、法規制や社内ルールに基づくコンプライアンスチェックの自動化において、「DeepSeek」は重要な役割を果たします。

複雑化する規制環境において、AIによる自動チェックシステムは、人的ミスを最小限に抑え、より確実なコンプライアンス体制の構築を支援します。

これにより、企業は法的リスクを効果的に管理し、持続可能な事業運営を実現することができます。

さらに、「DeepSeek」は様々なリスク要因を包括的に分析し、危機管理計画の策定を支援します。

市場動向、自然災害、サイバーセキュリティなど、多岐にわたるリスク要因を考慮した緊急時対応計画を立案することで、企業の危機対応能力を強化します。

大久保の感想

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