これは便利!意外と時間がかかる社内外とのアポイント調整を自動化できるアプリ-Cu-hacker-でサラリーマンの30分を増やす
株式会社ジェネストリーム代表取締役 秋貞雄大氏 インタビュー
今やビジネスマンに無くてはならないツール、スマートフォン。情報収集・メール・日程管理・健康管理・地図検索・乗り換え案内…と多種多彩なアプリが日々登場しているが、その中でもスケジュール管理に関するアプリの占める割合は多い。
顧客とのアポ、社内でのアポと日程を調整するシーンがビジネスの場には多数発生する。これらの日程調整を自動化して、ビジネスマンの生産性を高められるアプリ「Cu-hacker」を企画・運営する株式会社ジェネストリーム代表取締役 秋貞雄大氏から、お話を伺った。
株式会社ジェネストリーム代表取締役。2008年~2011年まで株式会社サイバーエージェント子会社のサイバー・バズへ出向。広告企画営業を担当する中でiPhoneとFacebookとTwitterに出会い、『自分も彼らに負けないくらいのプラットフォームを創りたい』と考え独立。企業ビジョンは『未来の当たり前が始まる会社を創ること』。Cu-hackerという「アポイント調整を10倍速くするツール」を企画・運営。企業ビジョンは『未来の当たり前が始まる会社を創ること』。
「世界一を目指す」を目標に起業
秋貞:インキュベーターファンドが主催するインキュベイトキャンプ(自分の事業をプレゼンする大会。上位3者は起業の権利を得ることができる。)がきっかけでした。『サラリーマンの30分を増やす』ということに集中してストーリーを作り、勝負しました。この時のプレゼンがCu-hackerの原型ともいえます。
何でも一番じゃないと嫌なので『世界一を目指す』ことを目標にしています。実現するには起業がベストな方法だと思ったからです。
秋貞:投資家の方は、「社会的意義があるか」「どれだけの面が取れるか」、という二点を重要視するので、100件以上の案を出しては練り直してビジネスマンにフォーカスしたものを商品化することになりました。笑い話ですけれど、未だに理解してもらえないような案もあります。(笑)
『サラリーマンの30分を増やす』
秋貞:営業職時代は、面倒くさいな…と思いながらも、ひたすら日程の調整を行っていました。ある時に日程調整には三つのパターンがあることに気が付き、そのうちの一つに対応すると連鎖的に別のことにも応用できることが見えてきたのです。
シンプルだからこそ、真似されにくいのだと思います。
秋貞:ソフトを作りFacebookでリリースしました。Facebookの広告に掲載したり、知り合いに使ってもらったり、シェアすれば伝わるような記事を作ったり…
100人のユーザーが出来たら、次はそこからフィードバックをもらい、修正→フィードバック→修正と繰り返しました。地味なところからですが、これをどこまでやりきれるかが大切です。
秋貞:エンジニアとの共同作業です。自分の周りの身近な人々からのフィードバックなので、感覚も近く受け入れやすかったので柔軟に対応できました。スタッフは皆昼間は仕事を持っているので、夜にミーティングを行い、フィードバック→仮説→検証と順を追うごとにコアユーザーを増やして行きました。
仮説 → 検証 → 修正を素早く対応
秋貞:僕らの場合、知恵に頼るしかないのです。考えの深さを瞬発的に出せたり、バリエーションを多く出せるところが、強みだと思います。
- リーンスタートアップとは
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事業の立ち上げに関する方法論のうち、仮説構築、製品実装、軌道修正、という過程を迅速に繰り返すことによって、無駄・無価値な要素を最小限に抑えつつ素早く改良を続け、成功に近づくというビジネス開発手法
秋貞:『バイラルの仕組み』の検証をしています。『バイラル係数』といって、人が、どのように使ったら、一週間のうちに何人、人を呼び戻してくれるのか。例えば一人が使って、一人呼んでくれれば、バイラル係数1なのですが、“1”になるかどうかを、検証しようとしています。
秋貞:その通りです。これを活用することで広告費がかからなくなりますし、何もしなくても、人が人を呼んでくれる夢のような仕組みを検証しています。経営というのはそのような仕組みを作るということなのです。何もしなくても、ヒト・モノ・カネが入ってくる状況にするのが、経営者なのです。
何もしなくてもヒト・モノ・カネが入ってくる仕組み作りこそが経営
秋貞:世の中の仕事には、仕組みを作る人間と、仕組みの中で動く人間の二パターンしかないと思います。経営者は、仕組みを作る側、労働者は、仕組みに動かされる側なのです。
仕組みを作る人間は、「どうしたら勝手にヒトが入ってくるのか」「ヒトが回るのか」組織に対しても、「成長する仕組みはどのようにしたら出来るのか」常に仕組みしか考えてないのです。つまり仕組みに対する仮説を持っているというのが経営者なのです。
秋貞:馬車馬的にやっていてもしょうがないので、スケールする必要がありますね。『世界取りに行くんだ』という目標があるのなら、一人の力では絶対に及びませんので、ヒトの力を使って、レバレッジを使ってということになるのです。
ビジョンに共感してくれる支援者とスタッフ
秋貞:エンジニアまでできるビジョンを考えられる人こそがコアメンバーにふさわしい人材です。採用に際しても同じことが言えるので、ビジョンに対して集まる人が優先で、能力は二の次です。これからのITビジネスはエンジニアリングの力が全てといっても過言ではありませんので、「マーケティング」「制作(プログラミング)」「マネジメン」「販売」をすべてを行えるような人材の確保が重要だと考えます。言われたことをやれる人間というよりは、やることを言える人間が大切なのです。
ターゲットを絞り込んだ作りこみが醍醐味
秋貞:パーソナルアシスタントのような方向性になるのではないかと思います。僕たちが持ってる仮説は、ビジネスマンは基本的にスマホの中でどう動いているかというと、「カレンダー」「メール」「乗り換え案内」「地図」この四つの中で動いてると考えています。それらを上手く連動させることで、より粘着性の高いサービスが出来るのではないでしょうか。
秋貞:そして『30分増やす』というところに対してどういうオプションがあるかを常に考えるのです。『30分増やす』からブレてしまってはダメなのです。機械はルーティンワークなら強いので、ルーティンを探すのが、今の僕たちの仕事ですね。見えてきたのは、四つのアプリを行き来してること。それらを上手くまとめられたら、いいんじゃないか。ただまとめるだけではなくて、先を読むというところに、僕たちのアセットが貯まってくるのです。
秋貞:今のサービスは、何でもやろうとしすぎなのです。だから結局どこに向かっているのかが分からなくなってしまうことがあります。Cu-hackerは、調整しか出来ないと捉えるのか、調整だけはすごく便利になると考えるのか、この違いなのです。今使ってくれている人は、調整だけでも便利になってありがたい…そういう人たちだけをターゲットにしたサービスなのです。そこに限定することに醍醐味があるのだと思います。だから、受託ビジネスはやらないと決めています。
徹底的に磨き上げる
秋貞:僕自身が、ビジョンを言葉に出来なかったですね。『ビジネスマンの一日を30分増やす』ということが言葉に出来ない間は辛かったですね。こういう構想があって、こういうのやりたいんです、と説明して、ようやく納得してもらえる感じでした。
今は、『ビジネスマンの一日を30分増やすツールを徹底的に提供していきます。そのために、調整に特化したCu-hackerがありまして…』と言えば、『なるほど。ビジネスマンの一日って確かにこれ以上増えないよね。で、どうやって増やすの?』と言われたら、『無駄を徹底的に、パターン化されたものを徹底的に、僕たちのサービスでシンプルにしていきたい。そして、Cu-hackerにはこういうサービスがあって…』というように見せればもう、『あ、なるほどね。確かに。こういう感じね。』となるのです。で、それが作れるのであれば、他の物も作れると支援者に期待してもらえるのです。
秋貞:言葉と、コンセプトそして、それを表現する言葉を作り、方向性や戦略を立てていきました。だから最初はお金はかからなかったです。きちっと固まった時点で一番小さいプロダクトを作るのです。クリックすると日程が出るというシンプルなものでした。一面で良いから、徹底的にやりきることです。
秋貞:だから起業時に、投資家は人を見るのです。プロダクトとか、コンセプト以上に、起業家自身が、どういうことが出来るか、やりきれるか、そこがすごく大事になってくるのです。そしてそれが身につくまで我慢できる覚悟があるかどうかが勝負ですね。
根気強くチャレンジし続ける覚悟が必要
秋貞:世の中の9割以上は失敗なので、うまくいくと考えずに、うまくいかない可能性をどうしたら超えられるのか?という思想が起業家としての底力の見せ所だと思います。
仕組み作りを行う人になりたいのか、それとも仕組みの中で効率的に動きたい人になりたいのかを良く考えて、仕組みを作る側になりたいのであれば、その力は、必ず身につくので、根気強くチャレンジし続ける覚悟が必要です。
その上で、顧客が何を問題としているのかという顧客定義を考えて、Who/What/Howの考え方で、自分たちの提供するサービスは、誰の、何を、どう解決するかを常にシンプルに、ブレずにチームの中で共有することが大切です。それを徹底的に磨き上げることが、起業家の最初にやるべきことだと思います。
秋貞:答えのないものを作るということは、とても苦しい作業になると思いますが、そのコアな部分を徹底的に考え抜けば、あとは実現に向けて実行するだけです。安易に売り上げの立つことを考えてはいけないということです。
実行の段階で、見込み通りだったり、予想していた数字通りだったりするととても楽しくなるので、そこまでは我慢ですね(笑)
(インタビュー・編集:創業手帳編集部)
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