新型コロナウイルスが流行。自社への影響は何がある!?今すぐできる対応策まとめ

創業手帳

起業家・経営者なら知っておきたい経営へのリスクとは。弊社の経験をもとにした対応策をご紹介

(2020/03/06更新)

中国の武漢を発生地とする新型コロナウイルス。感染拡大は収まる気配が見えず、国をまたがり日本経済へのダメージが深刻化しつつあります。感染抑制の観点から出張やイベントなど自粛が広がる中、今後、企業経営への影響が懸念されるでしょう。
今回は、新型コロナウイルスの拡大に経営者・起業家はどのように向き合うべきか、弊社の体験も交えてご紹介します。このようなパンデミック・災害リスクにおいてはトップのリーダーシップが重要であり、どのような対応を取るのか資質が問われるタイミングでもあります。ぜひ、参考にしてほしいです。

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この記事の解説者 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計100万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。無料創業相談も受付中。

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新型コロナウイルスがもたらす経営への影響

自社において発現する可能性のあるリスクについて解説します。また、これらのリスクに対する弊社の施策についても紹介します。なお、この対応策について医師からコメントをいただきました。

1.社内で感染者が出る

最大のダメージは社内で感染者が出ることです。新型コロナウイルスの致死率は2%といわれており、過去のSARSなどの重大な感染症と比べ低いものの、それでも重症化すれば肺炎などで致命的になることもあります。社員、メンバーの生命の安全がまず優先される事項です。感染症予防の対策として下記を創業手帳では徹底しました。

1.マスクを全員着用

スタートアップ、起業したてのタイミングではビジネスが停滞することはのぞましくありません。社員の活動を妨げずに、かつ、感染を広げないようにしないといけません。そのために、マスクの全員着用は必須でしょう。弊社は、朝に全員に確認しています。感染予防と自身が広げないという両面で重要です。

2.アルコール消毒・手洗いの励行

次に、こまめなアルコール消毒を行っています。移動時の電車の吊り革などからウイルスが付着するケースがあるためです。
手洗いやアルコール消毒は基本的な対応です。

3.検温の実施

出社前に検温も実施しています。37.5C以上は出社せず自宅勤務、また体調の異変を感じた場合も同様の措置をとるようにしています。

4.席の密着を避ける

社員同士の密着を避けるようにしています。2メートル以上席を離す、というのは難しいケースが多いのですが、なるべく離れて座るのも飛沫感染を防ぐためには必要です。弊社では通常使っていないスペースを使って対応しています。なるべく広めに距離をとるのは有効な手だと考えています

5.通勤にも注意する

最も難しいのが通勤の満員電車です。不特定多数の人が密着して乗車する車内は感染リスクが高いです。もし吊り革を触った場合は手洗いする、なるべく他の人と距離を取る、時差通勤で空いている時間を狙うなど、意識的に感染リスクを抑えるよう自己管理に注意を促しています。

6.決めた対策を周知徹底する

これら決めた対策は、口頭のみで社内で共有するだけでなく、紙にも書いて目に付く位置に張っています。常に目に触れるようにしておくのが有効でしょう。

弊社の取り組みについて医師のコメント
Q.新型コロナウイルスの社内の蔓延を防ぐのに上記対策はどう思われますか?また、スタートアップでもできるおすすめの対策はありますか?
回答者:創業手帳・読者(医療系スタートアップに関与)で国立大学病院の循環器専門の医師
 
 
A.中国の報告例では、感染者の8割が軽症なので、健康な人はパニックにならないことが大事です。
 
ただし新型コロナウイルスの難しいところは、感染力が非常に高く、潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)も比較的長く不顕性感染(感染しているのに症状が出ない状態)が多く見られる点です。
 
個人としては、自分は潜伏感染(不顕性感染)の状態にあるかもしれないと考えて、他人に移さないようマスク・手洗い・咳エチケットを心掛け、また人混みを避けるように努めることが肝要です。
 
新型コロナウイルスは、主に咳・くしゃみ・鼻水・唾などを介した「飛沫感染」と、ドアノブなどを介した「接触感染」で伝播します。
 
飛沫感染では、ウイルス感染の可能性は、(ウイルス固有の感染力)X(ウイルス排菌量)X(接触時間)/(接触距離) により決まります。
 
新型コロナウイルスは感染力が非常に高く、一般的に症状がある時はウイルス排菌量が多いため、月並みですが、風邪のような症状がある時は、積極的に休むことが大事です。
 
また、なかなか難しいことではありますが、周りに感染者がいるのではないかビクビクするのではなく、自分は不顕性感染状態(ウイルスに感染しているが症状が出ていない状態)かもしれないという他者の配慮に基づいて、他人との接触距離に気を配ったり、接触時間の短縮を図ることで感染を広げない(パンデミックを予防する)ことが大事です。  
 
依然、新型コロナウイルスがインフルエンザウイルスのように熱に弱い性質があるかは分かっておらず、春になれば収束するかは不明です。
カナリア諸島やタイなどの温暖な地域でも感染が起こっている状況では、春になれば治ると考えるのは楽観的過ぎるかもしれません。
 
ただし、ウイルスは極小さな粒子なので、湿度が高いと空気中の水分にぶつかって物理的に飛散しにくくなります。
なお、鼻粘膜が乾燥すると鼻粘膜上皮が剥き出しになるため、ウイルスが上皮に結合しやすくなり感染しやすくなると考えられています。
なので、室内の湿度を湿潤(50%くらいか)に保つ事は有効だと思われます。

(コメントは2020年2月28日時点のものです)

2.出勤が難しくなる

次に想定されるリスクは、ウイルスの流行により、出勤ができなくなることです。そうなった時の状況を視野に入れ、リモートワークを検討してみるとよいでしょう。

リモートワークをせざるえない状況に追い込まれてから実施する前に、余裕のある段階で1日だけでも実施してみることをおすすめします。リモートワーク環境が揃っていないことに気付くことがあります。いざ本番で全面リモートワークに切り替える前に一度テスト日を設けてみましょう。

下記は、弊社でリモートワークを準備し始めた際に気づいた点です。

【リモートワーク準備で気づいた点】
・社内デスクトップ
ノートに買い換えるという方法と、遠隔で操作するリモートデスクトップという方法どちらかを提供する必要がある。
 
・個人情報の保護
情報が漏洩しないような周辺環境の整備が必要。離席の時にPCの画面を必ず閉じるなど他者に見らないような取り組みを徹底する必要がある。
 
・通信環境
自宅に無線LANなどが充実していない場合、モバイルwifiなどの準備がいる。
 
・業務の標準化
リモートになると密なコミュニケーション難しく、業務の標準化など合理化が必要。
 
・社内のコミュニケーションツールの整備
チャットやメールなど遠隔での承認の仕組みなどの整備が必要。
 
・ペーパーレス化
紙でのコミュニケーションは限界があるのでペーパーレスでの作業に慣れる必要がある。

3.取引先への影響

対外的なリスクとして考えられるのが取引先とのコミュニケーションです。今後、感染拡大を抑えるため対面での営業がしにくくなるなどが考えられます。
この機会に遠隔での営業体制(例:ビデオ会議を通じての営業活動など)を整備してみるのもよいでしょう。

4.イベントへの影響

イベントはできるだけ自粛の方向ですが、中にはいろいろな事情でどうしても実施しないといけないケースもあるかもしれません。
弊社ではイベントを多数開催しています。その中でいろいろなパターンを経験しました。それぞれの対応方針は次のとおりです。

【イベント主催者の対応方針】
1.中止する
状況が良くない場合、勇気を持って中止する判断もある。
 
2.規模を縮小する
人数が多いとそれだけ感染リスクが高まる。参加人数を制限し、小規模に縮小して対策をして実施した場合もある。
 
3.実施する場合は、マスク着用、手の消毒を徹底
弊社で実施せざるえなかったイベントはマスク着用、手の消毒など対策を徹底して実施した。
 
4.体調不良者の参加者を認めない
体調不良者の参加者を認めないことは大原則。途中退場を求める場合、納得してもらえるようにあらかじめ、マスク着用、体調不良者は参加を認めないなどの方針を事前に通知した。
 
5.飲食は極力避ける
飲食付きのイベントの場合、滞在時間が増え、マスクを外すため極力避けたほうが懸命だろう。

5.経済への影響

新型コロナウイルスの影響が長引くと経済活動が停滞し、売上の減少なども考えられます。こうした懸念を受けて政府の融資制度などがあります。詳しい融資制度については「新型コロナウイルスで業績悪化が見込まれる企業への公的な融資制度を解説します」にて解説しています。経営が悪化する前に融資やその他の資金調達について計画を検討しておくとよいでしょう。 

まとめ

新型コロナウイルスは大きなリスクですが、単に怖がるのではなく、経営者として万全な対策をして臨みましょう。
また、今回の対応は、他にも自然災害など大きなリスクや危機が発生した時にも応用できます。会社の危機対応力を鍛える機会にもなるでしょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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