法人カードはどれがいい?比較しても決められないなら、2枚持ちがおすすめ
法人カードの効果を最大限に得る使い方とは?
(2020/04/02更新)
出張や接待など経費の支払いのために法人カードは重要で便利なツールです。
ところが、いざ作ろうと調べるとカードの種類が多く、どれがよいかで頭を悩ましている方は多いのではないでしょうか。また、法人カードは一般カードと比べて審査が厳しいという印象があるため、作るとしても1枚でよいと考えがちです。
しかし、法人カードこそ複数持つメリットが大きいのです。性質の違うカードを検討し、自社に適したものを見つけてみるとよいでしょう。
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この記事の目次
2枚の法人カードを保有するメリット
まず最初に、「2枚持ち」について説明します。一般的に法人カードは追加で複数枚発行できます。追加発行の枚数はカードにより決まっていますが、社員一人ひとりの名義でカードを作ることが可能です。今回紹介する「2枚持ち」とは、同じブランドカードを2枚持つということではなく、異なるブランドのクレジットカードを2種類持つことを意味しています。
では、法人カードを2枚持ちするメリットについて見ていきましょう。
経理部門においての業務効率化
1つ目のメリットとしては、経費の項目別にカードを使い分けることで、経理部門の経費処理の手間が省けるようになるというものです。カードが1枚しかない場合、経理部門ではカードの明細をチェックし、使用目的ごとにどの勘定科目に割り当てるかを決めていかなければなりません。これは件数が増えると労力を要します。
例えば2枚のカードを作れば、1枚目はガソリン代を支払う、2枚目は飲食代を支払うカードというように使用目的を定めておけます。カードの明細に記載されている支払いをそのまま勘定科目に割り当てればよいのです。
2枚の法人カードを持つことで、経理部門の生産性向上が期待できます。さらに従業員のワークライフバランスを改善させたり、余った労力を他の業務に割り当てて事業拡大につなげるといった試みにつながる可能性も。
カードごとに付帯されているサービスの違い
2つ目のメリットは、カードごとに付帯されているサービスが異なる点に着目して、その恩恵を最大限に活用できることです。
例えば、海外出張時の支払い用に海外旅行の傷害保険機能が充実しているカードを使えば、社員が安心して海外に出かけられるようになります。他には、特定のガソリンスタンドと提携したカードを、社用車のガソリン代の支払いに用いるようにすれば、還元されたポイントを使って経費節約を図ることができます。
このように各カードの強みを最大限に発揮させる使い方ができるというのも、カードを2枚持ちする利点です。
クレジット限度額の上限増加
3つ目のメリットは、実質的にクレジットの限度額を増やせるという点です。
法人カードも一般カードと同じく無制限に使用できるというわけではなく、所有する法人の信用力に応じて上限が設けられるのが通常です。上限額はカードごとに設定されています。そのため、カードを2種類持ってそれぞれの上限まで使えば、単純計算で上限が2倍になるということになるのです。もっとも、カードごとの上限額は必ずしも同じとは限らないため、厳密に2倍になるわけではありません。
2枚持ちする場合に考えられる組み合わせ例
法人カードを2枚持ちする場合には、どのようなカードを組み合わせるかを考える必要があります。同じような特徴のカードを2種類持つよりも、異なる特徴のカードを持った方が、それぞれの強みを活かしたより効果的な使用方法が可能です。
ここからは、考えられるいくつかのカードの組み合わせ方と、そのメリットなどについて見ていくことにします。
法人カード組み合わせ例1:国内と海外、強い地域で選ぶ
まず1つ目の組み合わせは、国内に強いカードと海外で強いカードを組み合わせる方法です。
1種類目は海外旅行中の傷害保険機能が充実しているカード。2種類目は国内旅行中の傷害保険機能が充実しているカードを取得します。海外出張時と国内出張時で使い分ければ、それぞれの機能によって万が一の際にもしっかりとした補償を受けられるようになります。
法人カード組み合わせ例2:国際ブランドで選ぶ
2つ目の組み合わせとして、国際ブランドの異なるカードを持つという方法もおすすめです。国際ブランドとは、VISA、JCB、American Expressなど、クレジットカードに記載されているカードの決済ブランドのことです。
それぞれの国際ブランドで強味が異なります。例えば、アメリカン・エキスプレス®は、アメリカの多くのショップで使用することができます。また、ステータス性が高いので、このカードを持つことで、自社の企業としての信用力が高いことを示す効果があります。
一方、ヨーロッパ方面に行く機会が多いのであれば、同方面で強みを有するVISAカードを持っているとたいていの場面でカードでの支払いができるようになるでしょう。
この2種類のカードを組み合わせれば、アメリカやヨーロッパを幅広くカバーできるようになるため、あまり現金を持たずに出張することが可能になるというわけです。
法人カード組み合わせ例3:ポイントと利用限度額で選ぶ
さらに3つ目の組み合わせとして、ポイント還元率が高いカードとクレジットの上限額が高いカードを組み合わせるというのもよい考えです。普段の支払いはなるべくポイント還元率が高いカードで行うことで、最大限までポイント還元を受けるようにしましょう。万が一それ以上の支払いをしなければならなくなった場合には、後者のカードを使用するなど使い分けることで、ポイントを効率的に貯めつつ、上限を気にせずにカード決済を行えるようになります。
カードを複数持つ場合に注意すべきポイント
法人カードを複数持つことにはメリットだけでなく、注意すべきいくつかのポイントがあります。
まず、管理しなければいけないカードが増えれば増えるほど、紛失したり、盗難に遭うリスクが高まるということです。カードが1枚であれば、会社を起業したオーナーだけが使用できるようにしておけば、しっかりとした管理ができます。しかし、カードが複数あればその分管理が難しくなることは想像に難くないでしょう。
カードには不正使用のリスクもあるため、枚数が増えればそれに応じてリスクが高まるという点は要注意です。
次に、法人カードが増えれば、当然ながらそれを使用する社内の人間も増えるでしょう。自由にカードを使えるようにしておくと、各人がついつい使いすぎてしまうという恐れがあります。
それぞれの人間はそれほど多く使っているという認識がなかったとしても、2か所から送られてきた明細を合算したら大きな出費になっていたというケースもあり得ます。そのようなことが起きないようにカードの利用方法については厳格な社内ルールを設けておいた方がよいでしょう。
3点目の注意点は、法人カードの引き落とし期日についてです。期日が同じでない場合には、注意深く法人口座の出納を管理しておかないと、引き落とし日に十分な資金が口座にないといった事態に陥りかねません。万が一、カードの引き落としが滞ってしまうと、会社の信用を大きく落としかねないため、そのような事態にならないように、カードの引き落とし日は財務部門が中心になって厳格に管理しておくようにしましょう。
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2種類の法人カードを使いこなして起業を成功に導こう
法人カードを2枚持つということについては、いくつかの注意点はあるものの、それさえクリアすれば数多くのメリットが得られるのがわかりました。
メリットには、ポイント還元で会社の経費を節約できたり、海外出張中に被った損失を補償してもらえるといったものもあります。それらを最大限享受することで、起業した会社を成長軌道に乗せやすくなります。賢い経営者になるためには、複数の法人カードを使いこなせる必要があるのです。
(編集:創業手帳編集部)