社長が手放すべき業務とは? 事業を最速で伸ばす“業務仕分け”ガイド

創業手帳

社長が業務を手放すことで得られる効果とは


中小企業の社長は、営業、現場対応、採用、経理、意思決定まで、多くの業務を一手に抱えがちです。
しかし、日々の細かな業務に追われている状態では、将来を見据えた戦略に十分な時間を割くことができません。
そこで重要になるのが、「社長が手放すべき業務」を見極めることです。
すべてを自分でやる経営から業務仕分けを実践することで、事業の成長に直結する時間を確保でき、社長は戦略や意思決定など本質的な業務に集中することが可能です。

本記事では、社長が手放すべき非コア業務の具体例や、逆に手放してはいけない業務、さらに業務を段階的に手放していくための実践的なステップについて解説します。
社員や外注の力を最大限に活用し、組織全体の生産性を向上させたいと考える人は、ぜひ参考にしてください。

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社長が「手放すべき業務」とは何か?


そもそも社長が手放すべき業務とは具体的にどういったものが挙げられるのでしょうか。
まずは手放すべき業務を考える際の判断軸や、社長が業務を手放しにくい心理的な理由について解説します。

社長の時間価値を高める“3つの判断軸”

社長が手放すべき業務か、それとも行ったほうが良いかを判断する際には、以下の3つの軸を基準に考えることが大切です。

①売上・価値創出に直結するか

まず考えたいのは、業務が売上や価値の創出に直結するかです。もし直結するような業務であれば社長が対応したほうが成果を収めやすくなります。
売上や価値創出に関わらない業務ばかりに時間を割いてしまうと、本来やるべき業務が圧迫されてしまうので注意が必要です。
そのような事業は社長が行わず、外注や自動化などで対応したほうが業務効率や生産性のアップにつながります。

②代替可能か・再現性があるか

次に判断軸となるのが、「代替可能な業務か、また再現性が可能な業務か」です。別の人に任せられる仕事は基本的に社長が手放しても良い業務といえます。
また、作業の手順ややり方が明確に定まっている再現性の高い業務も、マニュアル化やシステム・ツールなどの導入により代替が可能です。
こうした業務を手放し、社員に任せることで社長は戦略的な経営判断に時間を使うことができます。

③社長の意思決定が本当に必要か

業務における最終判断や意思決定に社長が関わらなくても問題ない場合、社長の関与は不要です。
例えば、社長が現場の細かい箇所まで関与してしまうと、現場での判断が最優先されてしまい、本来重要な経営判断が後回しになってしまいます。

現場の意思決定をすべて社長が行ってしまうとその分業務も滞り、組織全体の効率が下がってしまう可能性もあります。
社長の意思決定が必要な場面には当然関与すべきですが、わざわざ社長が意思決定を下す必要がない場合はほかの従業員や外注に任せたほうが、社長の時間価値を高められるでしょう。

社長が業務を抱え込みやすい心理的な理由

社長が業務を抱え込みやすい理由として、完璧主義な傾向にあることが挙げられます。
完璧主義な傾向がある人は「他人に仕事を任せるよりも自分でやったほうが早い」と考えてしまい、業務を抱え込むようになります。
また、業務を自分の思うようにコントロールしたいという思いが強く、従業員であっても任せることに不安を抱くことから、業務を手放せない人も多いです。

さらに、社長は従業員の生活を支える役割を持っており、その強い責任感からかえって業務を任せられなくなるケースもあるかもしれません。
このような心理的理由から、社長は業務を手放せなくなり抱え込んでしまうのです。

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社長が真っ先に手放すべき「非コア業務」一覧


社長が重要な経営判断などに時間を割くためにも、ほかの従業員や外注に任せたり自動化を取り入れたりして、社長がやらなくても良い業務を手放すことが大切です。
ここで、社長が真っ先に手放すべき非コア業務を紹介します。

事務・ルーティンワーク

まず手放すべきなのが、事務やルーティンワークです。
例えば、領収書の整理や経理システムへの入力作業、請求書の作成業務などはすべてルーティン化が可能であり、外注やクラウドサービスに任せられます。

また、契約書のファイリングや押印、郵送業務も従業員に委任すれば効率化を図ることも可能です。
日々の伝票整理や在庫チェックも社長が行う必要はなく、システムや従業員に任せてしまえば社長はその分時間を確保できます。

バックオフィス業務(専門性の高い分野)

専門性の高い分野のバックオフィス業務も、基本的には社長が行う必要はありません。
なぜなら、専門性の高い分野はまず知識をつける必要があり、時間と手間がかかってしまうためです。
しかも、書類に不備などがあった場合、再提出などでさらに時間を取られてしまうことになります。

例えば、税務申告や年末調整、社会保険関連の手続きなどは社長が行うべきと考える人もいますが、逆に専門家へ委託したほうが法的リスクを回避しやすくなります。
就業規則の作成や契約書レビューといった法務関係の仕事も、社長は最低限目を通すべきですが、ほとんどは専門家に任せるべきでしょう。
また、給与計算や勤怠管理などもすべてクラウドシステムを活用すれば、業務の効率化にもつながります。

日程調整・問い合わせ対応などの窓口業務

顧客や取引先との日程調整や問い合わせ対応といった窓口業務も、社長自らが行う必要はありません。
メールやチャットなどの一次対応はすべて従業員または外注などに任せ、社長は経営の意思決定に時間を費やせます。

近年は様々な機能を持つ自動化ツールも登場しており、日程調整からリマインド送信まで自動で行ってくれる場合もあります。
また、問い合わせの一次回答や情報提供などは、マニュアル化やチャットボットの導入、WebサイトにFAQページを整備することによって、社長の関与を最小化させることが可能です。

SNS運用やデザイン制作などの時間のかかるクリエイティブ業務

SNSで企業アカウントを作成して運用したりデザイン制作などを社長自らが行ったりするケースもありますが、これらのクリエイティブな業務はある程度の時間がかかってしまうものです。
また、外注や自動投稿ツールを活用すれば効率化を図ることが可能となるため、社長が手放しても問題ありません。

クリエイティブ業務は外注に依頼することで、短期間でもクオリティの高いアウトプットを確保できます。
さらに、SNS分析や投稿スケジュールの管理も従業員に任せることで、社長の業務負担を軽減できます。

移動・梱包・発送などの雑務

移動や梱包、発送など繰り返し起きるオペレーション業務(手順・フローに沿って進める業務)も、社長が手放しても問題ない業務です。
例えば、資料や製品の印刷、封入、発送業務などは外注への業務委託や配送サービスを活用することで、時間を確保できるようになります。

イベントを開催する際にも、準備や片付けなどは従業員などに任せ、社長は戦略業務に集中することが可能です。
物品管理や配送手配などもツールを活用して自動化することもでき、社長の手作業を減らせます。

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絶対に社長が手放してはいけない業務


社長が手放すべき非コア業務について紹介しましたが、逆に絶対に社長が手放してはいけない業務もあります。
具体的にどのような業務は社長自らが行うべきなのか、解説します。

事業戦略・ビジョンの設計

社長が手放してはいけない業務は、基本的に「社長にしかできない仕事」です。例えば、事業戦略や会社のビジョン策定は、社長が行うことで組織の一貫性を維持できます。
会社の方向性を決める長期的な計画の立案は、ほかの従業員が実施するよりも社長自らが判断すべき仕事です。

また、企業が今後成長していく上でまずどのようなものから優先的に投資していくか、リソース配分はどのように割くかといった最終決定も、社長が責任をもって行うことが大切です。
社長が主体的に会社や従業員のことを考えて計画を立てれば、会社を1つにまとめ上げられるでしょう。

商品・サービスの方向性や優先順位の判断

新商品・サービスの企画や方向性、優先順位を判断するのも社長が行うべき業務です。これらの判断は顧客価値を最大化させるためにも重要な要素となります。
社長自らが判断することにより、市場のニーズに合わせつつ自社の商品・サービスの方向性を維持でき、チームが迷走するのを防げます。

また、商品のラインナップやサービスの改良などの意思決定も社長が実施することで、組織全体の戦略と整合性が保たれるようになり、自社の強みを伸ばしていくことも可能です。
他社の真似をしたところで競合に勝つことはできないため、持っている強み・資源を活用し、自社ならではの独自性を伸ばすことで事業の成長につながります。

キーパーソン採用・組織づくりの最終判断

役員や部署の責任者など、重要な役割を担うポジションの採用決定は、社長が最終判断を下す必要があります。
社長が最終判断を下すことで、会社の文化や戦略と採用の整合性を取りやすくなります。

また、事業を担う組織の設計や従業員の評価制度を策定するのも、社長自身が関与すべきです。組織設計や評価制度の策定に関わることでそれぞれの方向性を統一できます。
さらに、人材の育成・配置に関する最終決定も社長が責任をもって行うことで、企業をより強固な組織に育てることが可能です。

重要顧客・パートナーとの関係構築

社長は会社のトップとして、重要顧客や協力会社などのパートナーと信頼関係を構築していくことも重要な仕事の1つといえます。
重要顧客やパートナーなども社長が直接対応してくれることに対して、信頼を抱きやすいです。

最初は従業員がやり取りをしていた契約条件や提携方針の最終交渉も、社長が判断することにより事業リスクの最小化を図れることが期待できます。
会社の信用と価値を守るためにも、重要な関係維持・問題解決には積極的に社長が関与していくべきです。

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社長が「業務を手放す」ための5ステップ


ここまで手放すべき業務と手放してはいけない業務について解説してきましたが、それでもなかなか業務を手放すことができないと悩む社長も多いかもしれません。
そこで、社長が業務を手放して従業員や外注、自動化などに任せるための流れやステップを紹介します。

ステップ1:社長の全業務を棚卸しする

まずは社長が今抱えている業務をすべて洗い出していきます。具体的には、1週間単位で社長が行った業務をすべて書き出してください。
すべての業務を書き出したら、それぞれの業務にかかった所要時間や頻度も記録します。
この作業によって業務の全体像を図ることができ、客観的に社長がどのように時間を使ってきたか評価することが可能です。

業務の棚卸しが完了したら、次に上記で紹介した3つの判断軸を活用して手放す優先度を明確にしていきます。

ステップ2:コア業務/非コア業務に仕分けする

次に、棚卸しした業務をコア業務・非コア業務に仕分けをしていきます。
コア業務と非コア業務を仕分けることで、社長が集中すべき業務と委任できる業務が具体的に可視化されます。
売上や事業価値に直接関わるような業務はコア業務、そうでない業務は非コア業務として分類し、さらに優先順位を明確にしていってください。

非コア業務に分類できてもなかなか手放せない業務がある場合は、分類した非コア業務をリスト化し、それぞれ外注や自動化できないか調べてみてください。
意外と多くの業務で外注や自動化ができることを知ると、手放す判断もしやすくなります。

ステップ3:外注・採用・自動化の候補を洗い出す

分類・リスト化した非コア業務をさらに外注するのか、アルバイト・パートを採用して対応するか、自動化ツールを導入するかなどを決めてください。
業務ごとに外注や採用、自動化の候補を洗い出しておくことで、社長が手放しやすくなるだけでなく、効率的に委任できるようになります。

候補を洗い出し、リストなどでまとめておけば、より具体的に業務移管計画を立てやすくなります。
外注や採用、自動化ツールの導入などはそれぞれコストもかかりますが、コストの高さだけでなく業務効率性や生産性のアップなど、費用対効果を見て判断することが大切です。

ステップ4:マニュアル・チェックリストを作る

これまで社長が行ってきた業務を従業員や外注に任せる場合、そのまま手放すのではなく手順書などのマニュアルやチェックリストを作成することが大切です。
マニュアルやチェックリストを作成しておくと業務の品質が一定になり、社長も心理的に「自分がやらなくては」と考えずに済みます。

また、全体的に業務のマニュアルを整備することで、社長の不在時でも業務を滞りなく進められる環境を作りやすくなります。
マニュアルには更新頻度や注意点なども記載し、業務効率と再現性を高めていきましょう。

ステップ5:任せた後のモニタリングと改善

社長がこれまで抱えていた仕事を手放し、従業員や外注、自動化ツールなどに任せた後も、定期的に進捗や成果を確認することが重要です。
業務の委任直後はどうしても問題が発生し、スムーズにいかない場合もありますが、早期に修正を図ることによってリスクを最小限に抑えられます。

また、改善点やさらなる効率化の提案を受け入れれば、委任した業務の質や効率はさらに向上することも期待できます。
フィードバックループを設けると委任業務の継続性を保てるだけでなく、あらゆるデータの収集・蓄積によって経営判断や戦略立案などに活用することも可能です。

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まとめ|「手放す勇気」が、社長の仕事の質を高める

社長が本来業務に割く時間は、会社にとって最も高いリソースであり、価値の創出に集中することで企業の成長にもつながります。
完璧主義や自分の思う通りにコントロールしたいという思いから、「自分でやったほうが良い」と考えてしまうかもしれません。
しかし、ある程度の業務を手放すことによって、社長は戦略設計や商品・サービスの方向性、ステークホルダーとの信頼関係構築、資金調達などに注力できます。
まずは1週間単位で業務の棚卸しを行い、手放しても問題ない業務はないか探してみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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