コンテンツマーケティングとは?成功事例や始め方などを徹底解説

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コンテンツマーケティングで中長期的な売上アップを目指せる


近年、多くの企業が注目しているのが「コンテンツマーケティング」です。
商品やサービスを単に宣伝するのではなく、ユーザーにとって役立つ情報や価値あるコンテンツを提供し、信頼関係を築きながら購買につなげていく手法を指します。
広告のように一時的な効果を狙うのではなく、中長期的に顧客との接点を増やし、ファンを育てていくことが大きな特徴です。

この記事では、コンテンツマーケティングの概要やメリット、始め方などについてわかりやすく解説していきます。
これからコンテンツマーケティングを導入したいと検討されている人は、ぜひ参考にしてください。

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コンテンツマーケティングとは?


コンテンツマーケティングとは、顧客に対して有益な情報(コンテンツ)を提供することで信頼関係を構築し、自社の商品・サービスを認知してもらうための手法です。
いくら自社の商品・サービスが魅力的だったとしても、顧客と信頼関係が構築できていなかったり、顧客のニーズに関係なく一方的に情報を発信していたりすると、商品・サービスを認知してもらえず購入に至らないケースもあるでしょう。
コンテンツマーケティングでは、自社の商品・サービスを直接的にアピールするわけではありません。
しかし、関連性の高い有益な情報を発信することで、最終的に購入へとつなげていきます。

コンテンツの種類

コンテンツマーケティングで活用されているコンテンツの種類は多岐にわたります。それぞれのコンテンツで主な配信先や目的・効果も異なります。

コンテンツの種類 主な配信先 目的・効果
テキストコンテンツ(読み物・ホワイトペーパー) 自社サイト(オウンドメディア)、外部メディア、メールマガジン、雑誌など SEO流入、専門性の訴求、リード獲得
写真・画像 各SNS、自社サイト 視覚的訴求、ブランドの認知向上
動画 YouTube、各SNS、オウンドメディア 理解促進、拡散効果、商品の認知
オンラインセミナー(ウェビナー) コーポレートサイト、セミナーポータル 見込み客の育成、信頼獲得
オフラインセミナー・イベント 展示会、リアルイベント 顧客接点、商談化
インフォグラフィック ブログ記事、SNS 情報の可視化、拡散
ポッドキャスト Spotify、Apple Podcast、Google Podcastなど ファン層の形成、深いエンゲージメント

コンテンツSEOとの違い

コンテンツマーケティングとコンテンツSEOは一見似た言葉ですが、意味が異なります。
コンテンツSEOとは、作成したコンテンツが検索結果の上位に表示されるように実施する手法です。

検索エンジンで気になるキーワードを調べた際に、結果の上位に表示されることで、より多くのユーザーが自社サイトやコンテンツを閲覧するようになります。
コンテンツSEOはその他の手法も含めて、コンテンツマーケティングに一括りすることが可能です。

コンテンツマーケティングを行うメリットとデメリット


企業がコンテンツマーケティングを取り入れるとどのようなメリットが得られるのでしょうか。また、逆にデメリットとなる部分はあるのか、詳しく解説していきます。

メリット1:中長期視点で費用対効果が高い

コンテンツマーケティングを行う最大のメリットとして、中長期視点で見ると費用対効果が高い点が挙げられます。
Web広告を活用して商品・サービスをアピールした場合、出稿するたびにコストが発生します。
短期間で成果は出るものの、想定以上にコストがかかってしまい、継続して出稿するのは難しいという企業も少なくありません。

一方、コンテンツマーケティングはコンテンツの制作時にコストがかかってしまうものの、公開後はそこまで多くのコストはかかりません。
コンテンツを徐々に増やしていけば徐々にPV数も増え、その後は更新頻度を落としても一定以上の効果が期待できます。
そのため、コンテンツマーケティングは中長期的に見て費用対効果が高い手法といえます。

メリット2:初期費用を安く抑えられる

コンテンツマーケティングは他の手法と比べて、初期費用を安く抑えられるという点もメリットになります。
例えば自社のオウンドメディアに投稿する記事コンテンツを制作する場合、Webライターなどに外注してコンスタントに記事を作成してもらったとします。

この場合、Webライターに外注した際に費用は発生しているものの、あとはオウンドメディアの運営に必要な費用(CMS利用料、サーバーの保守にかかる費用など)程度です。
また、外注をせずにコンテンツ制作もすべて社内で担うことができれば、さらに初期費用を安く抑えられます。

メリット3:コンテンツは資産として蓄積できる

オウンドメディアや自社ブログなどに投稿する記事コンテンツや、InstagramなどのSNSに投稿した画像、自社のYouTubeチャンネルで公開した動画などは、すべて「ストック型コンテンツ」です。
ストック型は時間が経っても価値が下がりにくく、すべて会社の資産になります。
しかも、ストック型コンテンツは公開中であれば、常に集客効果や顧客の育成効果などが期待できます。

また、記事や資料のフォーマットが完成していれば、別のテーマに当てはまることで横展開をすることも可能です。

メリット4:顧客ロイヤルティを高められる

自社のオリジナル性が高いコンテンツを発信することで、顧客ロイヤルティを高められる可能性があります。
例えば顧客にとって有益なコンテンツを提供し続けることで、情報を受け取っている顧客は「役立つ情報を届けてくれる企業」という良いイメージを持ってもらえます。
企業に対する印象が良くなれば、自社の商品・サービスに興味を持ってもらったり、実際に購入してもらったりすることも期待できます。

メリット5:SNSの拡散効果も期待できる

有益な情報はブログやオウンドメディアだけでなく、各種SNSでも発信することができます。
SNSはブログやオウンドメディアに比べて拡散効果が高いです。
有益性が高かったり新たな視点で内容が面白かったりすると、「他の人にも共有したい」という思いから拡散されやすい傾向にあります。
拡散されればより多くの人に情報を届けることができ、企業やブランドの認知度向上にもつながるでしょう。

デメリット:効果が出るまで時間がかかってしまう

中長期的な視点で見ると高い効果が期待できるものの、施策に取り組んでから実際に効果が出てくるまでは時間がかかってしまいます。
施策内容などによっても異なりますが、最低でも6カ月~1年間は取り組まないといけないかもしれません。
そのため、短期的な成果を出したい場合は、Web広告など他の施策に取り組んだほうが結果も出やすくなります。

そもそもコンテンツ制作自体に時間がかかってしまうことから、自社で制作する場合は継続的に制作時間を確保することも大切です。

コンテンツマーケティングの始め方


コンテンツマーケティングは単純に有益な情報を発信すれば良いというものではありません。ここで、コンテンツマーケティングの始め方と大まかな流れを解説します。

1.目的・ペルソナ・コンセプトを決める

まずはコンテンツマーケティングを始める目的を明確にすることが大切です。
「自社の認知度を高めたい」「顧客との信頼関係を強化したい」など、目的が明確になることで戦略やコンテンツの方向性がブレにくくなります。

次にペルソナを設定して、どんな人に向けて情報を発信するのかを決めます。
ペルソナを設定する際には、年齢や性別、職業などの他に、その人が抱えている悩みや課題、よく利用するメディア・検索行動などもまとめておきましょう。

さらに、コンテンツマーケティングのコンセプトも決めておきます。コンセプトを決めるときは、以下の要素を設定していきます。

  • コンテンツを発信する人・企業・キャラクター
  • ターゲット層
  • 具体的なコンテンツのテーマ・メッセージ
  • コンテンツの形式

2.カスタマージャーニーマップを設計する

コンテンツマーケティングを成功させるためには、顧客が自社の商品やサービスを認知して比較・検討し、購入に至るまでのプロセスを整理することも大切です。
これを「カスタマージャーニーマップ」と呼び、顧客の行動・心理を段階ごとに可視化することが可能です。
例えば認知段階にいるなら「基礎知識の解説」、検討段階にいるなら「比較記事や導入事例」、購入段階にいるなら「具体的な導入手順やサポート体制」を提供します。
これにより、各フェーズに合わせて最適なコンテンツを設計できるようになります。

3.コンテンツ・キーワードを設計する

カスタマージャーニーマップを設計したら、次にコンテンツのテーマやキーワードを設計します。
特に検索エンジン経由で流入を狙う際には、ユーザーがどのような言葉で検索をするのか調査し、そのテーマ・キーワードに基づいてコンテンツを制作していきます。

SEOを意識した主要キーワードと関連キーワードを整理することで、ユーザーのニーズに沿ったコンテンツの制作も可能です。
また、短期的に注目を集めやすいトレンドワードや、長期的な集客効果が期待できるロングテールキーワードなどもバランス良くコンテンツ内に取り入れてください。

4.コンテンツ制作のリソースを確保する

有益かつ質の高いコンテンツを継続して発信していくには、制作のリソースを十分に確保することが大切です。
社内にライターやデザイナーを配置することもできますが、外部の専門家や制作会社に依頼することもできます。

ここでポイントとなるのが、無理なく継続できるかどうかです。
例えば社内にチームを発足し、ライターやデザイナーを配置したものの、コア事業も担っている社員は仕事が追い付かなくなり、更新が停滞するリスクがあります。
一方で、外部の専門家や制作会社に依頼するとスムーズにコンテンツ制作が可能となりますが、毎月の外注費が重くのしかかり、結局頓挫する可能性もあります。
リソース不足によって更新がストップすると十分な効果が得られない可能性も高いため、計画的に体制を整えるようにしてください。

5.コンテンツを制作する

リソースを確保できたら、いよいよコンテンツ制作に入ります。コンテンツを制作する際に意識したいのが、CVの向上や売上アップにつながるコンテンツにすることです。

例えばオウンドメディアに取り組み、SEO対策によって多くの記事が上位表示されたとします。
しかし、コンバージョンにつながらない記事ばかり上位表示されてしまい、実際の売上や問い合わせ件数の増加にはつながらないこともあります。
そのため、コンテンツを制作する際には、意識的にCVや認知率、受注率アップにつながる構成にすることが大切です。

CV率を向上させるならまずは自社製品・サービスの特徴や料金、導入までの流れなどをまとめたページを準備し、そのページにつなげるための内容にしてCTAを設置するのがおすすめです。

コンテンツマーケティングの成果の測り方


コンテンツマーケティングは成果が出るまで時間がかかってしまうものの、定期的に成果を測ることが大切です。ここでは、成果の測り方を解説します。

KPIを設定する重要性

コンテンツマーケティングの成果が出るまでは一定の時間がかかってしまうものの、事前にKPI(重要業績評価指標)を設定します。
PV数や検索順位などの表面的な指標を見るだけでなく、資料請求や問い合わせ件数など、ビジネスの成果につながる指標をチェックすることも大切です。
明確なKPIを設定しておけば、成果の可視化や改善施策の優先順位づけもしやすくなるでしょう。

主なKPI指標(認知・リード獲得・売上)

コンテンツマーケティングの成果を測る際には、段階ごとに以下のKPI指標を設定し、分析してください。

段階 KPI指標
認知 PV数、UU(ユニークユーザー)数、検索結果の表示回数など
興味・関心 コンテンツの滞在時間、直帰率、CTAのクリック率など
比較・検討 資料のダウンロード数、詳細ページへのクリック数など
リード獲得・購入 受注件数、メルマガ登録数、お問い合わせ件数、カート投入数、LTV(顧客生涯価値)など

分析に活用できる主なツール

成果を測る際に、分析ツールを活用します。KPI指標の分析に役立つツールとして代表的なのは、「Googleアナリティクス(GA4)」です。
Googleから提供されている無料のアクセス解析ツールで、コンテンツ全体またはページごと・ユーザーごとに閲覧数を調べたり、滞在時間やコンバージョンを追跡できたりします。
HubSpotやBowNowといったMAツールを活用すれば、資料請求から商談化までのリード管理もしやすいです。

また、Ptenpineなどのヒートマップツールも組み合わせると、ユーザーがどこまでコンテンツを読んだのか、どこをクリックしたかなどの行動を追跡し、可視化することもできます。

成果測定を成功させるコツ

成果測定を成功させるためには、主に短期的と中長期的、両方の視点を持つことが大切です。
短期的な視点だけだとアクセス数やCTRについて確認できますが、ブランドの認知向上率や長期顧客獲得率、売上やLTVへの貢献までは見えてきません。
そのため、中長期的な視野も持つことで、バランスが取りやすくなります。

また、定量的な数値も重要ですが、アンケートや口コミを調査するなど、定性的な情報も考慮した上で成果測定を行うと、精度の向上が期待できます。

コンテンツマーケティングの導入で成功した事例


実際にコンテンツマーケティングを導入したことで、成功した企業も存在します。ここで、成功事例を紹介します。

【株式会社リクルート】SUUMOタウン

株式会社リクルートが運営するSUUMOタウンは、「街」に特化したオウンドメディアです。
住み替えを検討している人に向けて、実際にその街に住むライターが、主観的な視点から街の魅力を語る記事や、著名人にこれまで住んだことのある街の思い出や楽しみ方を紹介してもらうインタビュー記事などを投稿しています。
実際の体験談を元に記事が作成されているため共感性があり、リアルな街の雰囲気が感じられるため、大きな集客効果をもたらしました。

【株式会社カカクコム】キナリノ

株式会社カカクコムが運営するキナリノは、女性をターゲットに暮らしに関する情報コンテンツを更新しているオウンドメディアです。
キナリノは、会員登録をするとお気に入りの記事をいつでも読み返せるブックマーク機能を活用でき、雑誌感覚で自分が欲しい情報を見られるというメリットがあります。

また、コンテンツの中で紹介されている商品は、そのまま「キナリノモール」というECサイトで購入することも可能です。
キナリノとECサイトを連動させた結果、売上規模は開始当初と比較して4倍以上成長したという実績もあります。

まとめ・コンテンツマーケティングで継続的な信頼と成果を築こう

コンテンツマーケティングは、単なる情報発信ではなく、顧客に役立つ価値を提供し続けることで信頼関係を育み、中長期的な成果につなげる取り組みです。
戦略的にコンテンツを発信することで、顧客の行動に寄り添った効果的なアプローチが可能になります。
コンテンツマーケティングを計画的に実践し、継続的な信頼と成果を築いていきましょう。

創業手帳(冊子版)では、事業運営に役立つマーケティング戦略などを紹介しています。コンテンツマーケティング以外にもさまざまな取り組みを掲載しているので、ぜひお役立てください。

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(編集:創業手帳編集部)

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