東京都での障がい者雇用継続には助成金の活用を!

創業手帳

金額が増額した東京都中小企業障害者雇用支援助成金を活用して、障がい者雇用を継続していこう

障害者雇用促進法により、企業には障がい者雇用が義務付けられています。しかし、中小企業の中には、職場環境の整備ができないなどの理由で十分に対応できない企業も多いでしょう。

企業の障がい者雇用を支援するために国の助成金制度がありますが、独自の助成金を設ける地方公共団体もあります。

本記事では、東京都が実施する「中小企業障害者雇用支援助成金」について解説します。助成要件や申請方法も紹介するので、条件に該当する企業の担当者は活用を検討してみましょう。

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東京都の障がい者雇用状況について

最初に、東京都の障がい者雇用状況について確認しましょう。

東京労働局の令和2年「障害者雇用状況」集計結果によると、令和2年6月1日現在の民間企業の障がい者雇用率は2.04%で、前年より0.04%上昇し増加傾向にあります。

障がい者雇用率の推移(各年度6月1日現在)

年度 平成28年 平成29年 平成30年 令和元年 令和2年
雇用率 1.84% 1.88% 1.94% 2.00% 2.04%

※各年度、6月1日現在の雇用率
※対象は東京都内の従業員45.5人以上の企業(障がい者雇用義務のある企業)

出典:東京労働局「令和2年の障害者雇用状況の集計結果」

しかし、企業規模別に障がい者雇用率をみると、従業員「1000人以上」の企業が2.33%であるのに対し、「45.5人以上100人未満」は0.83%、「100人以上300人未満」は1.35%と大きな格差があります。

企業規模別の障がい者雇用率

従業員数 45.5人以上
100人未満
100人以上
300人未満
300人以上
500人未満
500人以上
1000人未満
1000人以上
雇用率 0.83% 1.35% 1.70% 1.96% 2.33%

中小企業では、障がい者の職場環境や管理体制を整備する負担が大きいなどの理由で障がい者の雇用が不十分であるのが現状です。

東京都中小企業障害者雇用支援助成金とは

東京都中小企業障害者雇用支援助成金(以下、障害者雇用助成金)は、国の特定求職者雇用開発助成金(以下、特開金)が終了した後も、引き続き障がい者を雇用する中小企業を対象とした東京都独自の助成金です。

助成金の概要や助成金を受けるための要件について説明します。
 

概要(目的)

障害者雇用助成金は、大企業と比べて障がい者の雇用が進んでいない中小企業の「障がい者雇用の拡大」と「職場定着の促進」を目的に設けられました。

国の特開金の支給は1年から3年で終わってしまうため、その後も障がい者を雇用する中小企業には一定の負担が残ります。助成金を受けると一定期間の雇用義務が発生しますが、その期間が終わると解雇されるケースも考えられます。

国の助成金終了後も東京都の支援が受けられることで、中小企業が障がい者雇用を継続しやすくなります。
 

助成要件

障害者雇用助成金の助成要件は次の通りです。

  • 障がい者を雇用し国の特開金の支給を受け助成期間満了後も、引き続き雇用を継続する事業主
  • 中小企業であること(特例子会社を除く)
      ※特開金の支給決定通知書の企業規模欄に「中小企業」と記載されている事業主
  • 障がい者が東京都内の事業所に勤務していること
  • 相談員の巡回訪問・相談を受けること
  • 雇用している障がい者が就労継続支援A型事業所の利用者でないこと
  • 過去5年間に労働関係法令、障害者虐待防止法、その他重大な法令違反等がないこと

障害者雇用助成金の前提となる特開金は、特定就職困難者コースまたは発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースに限定されているので注意しましょう。

助成要件を満たした事業主に対し、障害者雇用助成金が支給されます。
 

助成内容

障害者雇用助成金は令和4年4月1日に増額され、障がい者を雇用する中小企業に対する東京都の支援が強化されました。助成金額は雇用する障がい者の障がいの程度や人数に応じて次の通りです。

  • 重度障がい者等(※1):1人当たり月額5万5,000円
  • 重度障がい者等以外(※2):1人当たり月額3万3,000円

※1:精神障がい者・重度身体障がい者・重度知的障がい者、または雇用日現在45歳以上の身体障がい者・知的障がい者が該当。
※2:重度障がい者等を除く障がい者。ただし、重度障がい者等に該当する短時間労働者を含む。

参考までに令和4年3月31日までの雇用期間に対しての助成金額は以下の通りです。

  • 重度障がい者等:1人当たり月額5万円
  • 重度障がい者等以外:1人当たり月額3万円

助成を受けられる期間は、最長3年間です。「重度障がい者等」に該当する障がい者を雇用した場合、1人当たり最大198万円(3年間)の助成金を受けられます。

助成金は申請によって6か月ごとにまとめて支給されます。助成要件を満たした場合に支給されるので、障がい者が離職していれば助成金はもらえません。
 

申請方法

障害者雇用助成金の申請(第1期分)は、次の3段階に分かれます。申請先は東京都産業労働局(雇用就業部 就業推進課 障害者雇用促進担当)です。

  • 継続雇用計画書の提出(特開金の終了後4か月以内)
  • 支給申請書の提出(特開金終了後の6か月目)
  • 実績報告書の提出(支給申請月の翌月)

「継続雇用計画書」(※)の提出は、特開金の終了後4か月以内です。特開金の「第1期支給決定通知書(写)」を添付して、東京都産業労働局に提出します。

※計画書など助成金関係の書類は「TOKYOはたらくネット」のホームページからダウンロードできます。

継続雇用計画書を提出すれば、「支給申請書・実績報告書等ご案内」が送付されます。特開金終了後の6か月目に、支給対象者の状況等を記載して「支給申請書」を提出します。

東京都産業労働局の相談員が巡回訪問し、助成要件を満たしていると判断されれば「支給決定通知書」が送付されます。

支給決定通知書を受け取った後、支給対象者の勤務実績等を記載して「実績報告書」を提出すれば申請は完了です。翌月以降に助成金が支払われます。

第2期分以降の申請は、各期ごとに「支給申請書の提出」と「実績報告書の提出」を繰り返し行います。

他にもある!障がい者雇用で使える助成金

障がい者雇用で使える助成金は、東京都の障害者雇用助成金の他にもあります。主な助成金を2つ紹介します。
 

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

障がい者等の就職困難者をハローワーク等の紹介により雇用する事業主に対して支給されるのが、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)です。

助成金額は雇用する障がい者の障がいの程度や人数に応じて次の通りです。

  • 重度障がい者等:1人当たり40万円(1期6か月分)
  • 重度障がい者等以外:1人当たり30万円(1期6か月分)

重度障がい者等は最長3年(最大240万円)、重度障がい者等以外は最長2年(最大120万円)の助成が受けられます。助成金額は異なりますが、中小企業以外も対象です。

参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」
 

トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)

トライアル雇用助成金の障害者トライアルコースは、就職困難な障がい者を一定期間雇用して適性や業務遂行可能性を見極め、早期就職の実現を図ることを目的に設けられました。

助成金の対象者は、就労経験のない障がい者や離職期間が6か月を超えている障がい者などです。また、雇用期間は原則3か月、1週間の所定労働時間は20時間以上、などの条件があります。助成金額は次の通りです。

  • 精神障がい者:1人あたり月額8万円(原則3か月)
  • 精神以外の障がい者:1人あたり月額最大4万円(原則3か月)

※就労日数が予定より少ない場合、助成金は減額されることもあります。

参考:厚生労働省「障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース」

まとめ

障がい者雇用は、法律上の義務であるとともに社会的責任でもあります。中小企業にとっては、障がい者の職場環境や管理体制の整備など大きな負担が生じるケースもありますが、助成金の活用により負担の軽減が可能です。

東京都内の企業は、国の特開金の助成終了後も障害者雇用助成金で最大3年間の支給を受けられます。助成金を有効活用した障がい者の雇用を検討してみましょう。

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