注目のスタートアップ

尿によるがんの早期発見技術を開発する「Craif」が資金調達

company

2021年11月2日、Craif株式会社は、資金調達を実施したことを発表しました。

尿を利用したがんの早期発見技術の確立のための研究開発を行う名古屋大学発ベンチャー企業です。

酸化亜鉛ナノ構造体とマイクロ流路を組み合わせたCraifの独自のデバイス「ナノワイヤデバイス」は、エクソソームを高効率に回収することができるため、がんなど多くの疾患に関わる細胞間のクロストーク(やりとり)を読み取ることができます。

今回の資金は、このがんを早期発見する検査の社会実装や、研究開発・臨床研究の強化に充当されます。

エクソソームとは、ほぼすべての細胞が分泌する小型の顆粒状の物質で、血液、尿、髄液などの体液にも存在しています。

内部にはマイクロRNA、メッセンジャーRNA、DNAなどが含まれており、これを他細胞に受け渡すことでやりとりを行っていることが判明しています。

がん細胞と正常細胞では分泌されるマイクロRNAの種類や量が異なるため、これを分析することでがんの早期診断を実現できると期待されています。

マイクロRNAは血液にも含まれているため、大手電機メーカーは血液中のマイクロRNAを取りだし分析するがん検査機を開発しています。たとえば東芝は1滴の血液から13種類のがんを2時間以内に検知できる技術の研究開発を行っており、すでに99%の精度で識別できるまで開発が進んでいるといいます。

まずは大手電機メーカーによる血液検査のほうが実用化は早いでしょうが、尿による検査も実用化段階にあるため、近い将来には簡便ながん検査が社会実装されるでしょう。

血液検査は血液を採取する必要があるため、尿のような非侵襲性の検査のほうが普及されると考えられます。

尿を利用したマイクロRNAの分析は、Craifの開発する「ナノワイヤデバイス」によるものと、尿に含まれるがんの匂いに反応する線虫を用いる線虫検査があります。

線虫がん検査はすでに一般発売されており、精度は86%となっています。

Craifは、初期段階の肺がん・脳腫瘍でも高い精度で検出することに成功(感度・特異度共に97%以上)しているため、精度の面でどれだけシェアを獲得できるかが争点となってきそうです。

研究開発を主体としたビジネスでは、ビジネスとして軌道に乗るまでの研究開発費用が必要となります。起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど、資金調達に関する情報を提供しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ Craif エクソソーム がん デバイス マイクロRNA 医療 早期発見 株式会社 検査 研究 診断 資金調達 開発
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

香りと薬理効果で企業のブランディングを支援する「リーモ・トロージェン」が1,240万円調達
2019年10月6日、株式会社リーモ・トロージェンは、総額1,240万円の資金調達を実施したことを発表しました。 香りと薬理効果で企業のブランディングを支援するサービス「AUSCENT CLAN(オウ…
社会人向けキャリアプログラム「ミートキャリア」を運営する「fruor」が1.2億円調達
2024年6月17日、株式会社fruorは、総額1億2,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 fruorは、社会人向けキャリアプログラム「ミートキャリア」を運営しています。 自分の「強み…
食産業向けロボットサービスを手掛ける「コネクテッドロボティクス」とフードサービス機器メーカーの「ホシザキ」が資本業務提携
2022年10月7日、ホシザキ株式会社は、コネクテッドロボティクス株式会社と、資本業務提携することに合意したことを発表しました。 ホシザキは、フードサービス機器の研究開発・製造・販売・保守サービスを展…
完全AI制御型の防犯・監視カメラ・ソリューション「JUSTICEYE」提供の「千里眼」が1.3億円調達
千里眼株式会社は、約1億3,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 完全AI制御型の防犯・監視カメラ・ソリューション「JUSTICEYE(ジャスティスアイ)」を提供しています。 プライバシ…
CO2排出量可視化・削減・報告クラウドサービス「ASUENE」を提供する「アスエネ」が資金調達
2024年6月14日、アスエネ株式会社は、シリーズCラウンドの1stクローズとして、42億円の資金調達を実行することを発表しました。 今後の2ndクローズを合わせて50億円の調達を予定しています。シリ…

大久保の視点

国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
「JX Live! 2024」JX Awards大賞はNYでイチゴが大ヒットの古賀大貴さん(Oishii Farm 代表)
2024年10月9日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、「JX Live! 2024」が新経済連盟主催で行われました。 「JX Live!」は、「JX(Japan…
(2024/10/9)
「スタートアップワールドカップ2024」世界決勝を現地速報!優勝はEarthgrid(米代表・プラズマでトンネル掘削)
2024年10月4日、世界最大級のビジネスピッチコンテスト「スタートアップワールドカップ(SWC)2024」の世界決勝戦が、米国・シリコンバレーで開催されま…
(2024/10/5)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集