1店舗目の飲食店開業で融資を受けるための4つの最低条件
あなたの自己管理能力が見られている
飲食店を始めるのに、もちろんすべての資金を自分で用意することができれば良い。しかし、家賃、内装の改装費用、冷蔵庫やシンク、オーブンなどの什器の購入費用など、飲食店を始めるのに、お金はかかるもの。そのため、融資を考えるのは決して珍しくはない。
2店舗目、3店舗目であれば、実績をもとに融資の判断をされるが、1店舗目となるとそうはいかない。事業計画書のほかにも融資の審査でチェックされる点はある。
今回はそんな、初めて飲食店を始める経営者が融資を受けるのに、事業計画書以外で確認される点を見ていく。この条件に合わないと、融資の審査に確実に不合格となるというものではないが、確実に融資が難しくなる。少なくとも、この程度のことはクリアしておきたい。
1.破産などの債務整理
破産など過去にしている方は、審査が厳しくなると考えてよい。
経験上、一つの目安は「5年以内」だ。5年以内に破産などの債務整理をした経験がある人が、融資をうけようとするのは得策ではない。
2 .消費者金融の利用、特に支払の遅延は厳禁
融資を審査する金融機関は、あなたが思っている以上に消費者金融の利用について確認をする。特に支払いの遅延があれば、審査は厳しくなる。
お金を貸す側としては、貸す相手が過去に支払いの遅延があるだけで、自己の資金繰り管理ができない人だなとみなす。そして、今回の融資にも同じリスクが付きまとうと考えるので、当たり前と言えば当たり前だ。
飲食店開業時は、「経営」という実績がないため、勤務時代の行動も確認される。支払の遅延について補足すると、家賃、税金、水道光熱費の支払いの遅延も同じ要因該当する。こういった細かいお金の管理ができない人が、経営のお金の管理ができるとは思わないでしょう。
水道光熱費については、口座引き落としに切り替えるとよい。そうやって、独立する1、2年前には身綺麗な状態にし、規則正しい支払いを心がけると良いでしょう。
3.自己資金を100万円以上用意する
次の親族支援金の金額次第で、融資の審査が通る自己資金の金額も変わる。
ただし、基本的には飲食店経営・開業をしたいと言う夢を達成したいのであれば、100万円くらい(もちろん、この100万円と言う金額に細かい根拠はありません)はコツコツ貯金できなければならない。
貯蓄できるということは経営が開始してもしっかり利益を留保できるという印象を与えることができる。これは、2で話した「支払いの遅延をした人」とは全く逆の印象を融資担当者に与えることができるということだ。
4.親族などからもらった支援金と自分の貯金が合せて300万円以上あり、不動産取得費を賄える
親族などの支援金も見方によって、自己資金扱いされる。
300万円以上というのは経験上のもので、少額投資で飲食店を開業する際の不動産取得費を、ある程度まかなえる金額だ。このくらいの自己資金(親族支援金含む)がないと、1店舗目の飲食店経営を成功させるのは難しくなる。
また、不動産取得費とは造作譲渡代金以外の保証金・仲介手数料・礼金・前家賃などとなる。これを自己資金(親族支援金含む)で賄うことは成功の一つのボーダーともいえる。
まとめ
冒頭にも書いたが、今回の話は融資審査の一端だ。
勤務経験・投資額等によって条件は異なるので、この要件を満たせば融資は絶対的に大丈夫という指針はない。私が考える、飲食店を始めるなら最低限このくらいのことを準備しておかないと経営はうまくいかないということを融資という視点を通して解説した。
上記の4項目を全てクリアしているなら、融資を検討する価値はある。ただし、詳細の条件によって異なってくるので、専門家に相談してみるとよいだろう。
(監修:ITA大野税理士事務所 大野晃 飲食店開業融資専門税理士)
(編集:創業手帳編集部)