注目の起業エリア・宮崎市を取材してきました! -九州縦断 起業を学ぶ自転車旅①-
創業手帳インターン青野の、自転車九州縦断レポート<宮崎市編>
(2015/05/14更新)
皆さんこんにちは!明治大学4年の青野宏紀です。地域活性化に興味があり、「創業手帳」でインターンをしています。そんなある日、創業手帳webの『都道府県別の起業家数を調べてみた』という記事を読み、ふとこんなことを思いました。
「人口当たりの起業家数が多い都道府県は、1位宮崎、4位鹿児島、9位熊本…。トップ10に九州が3つも入っているじゃないか!」
総務省の「就業構造基本調査」によると、人口一万人当たりの起業家数は、東京都493人に対し、宮崎県515人、鹿児島県493人、熊本県448人となっています。九州は注目の「起業のアツい」エリアなのです!これは何かあるに違いない。いてもたってもいられなくなった私は、相棒のロードバイク「ADDICT30」を従え、一路九州へ旅立ったのでした。
旅の発端になった「ある記事」:『都道府県別の起業家数を調べてみた』はこちら!
東京から約2時間の宮崎県
直線距離でおよそ900km離れた宮崎も、羽田空港から宮崎空港まで飛行機で約90分、つまり大学の講義一コマ分の時間で到着します。そう考えると、宮崎は決して遠いところではないのです。更に、宮崎空港から鉄道を利用すれば、宮崎市街までは最短10分。つまり2時間もあれば、東京から楽々宮崎まで行けます。ちなみに、東京から奥多摩までが電車でおよそ2時間。奥多摩に観光に行くのと、宮崎に行くのは時間的に変わりないのです!
しかし、3月が明けたばかりなのに、この日の気温は最高25℃!4月にして早くも夏の匂いを感じながら、取材地までの道のりをひた走るのでした。
宮崎の起業支援のヘッドクオーター:宮崎県庁
意外なことですが、宮崎県には最近まで、スタートアップ起業家に特化した専門的なプログラムがなかったそうです。一方で、県内には「日本や世界を変えてやるぞ!」と意気込む尖った人々がたくさんいる。そんな状況を背景に、平成25年度に誕生したのが「宮崎スタートアップセンター」です。
「宮崎スタートアップセンター」では、起業支援を「①ビジネススクール」「②ビジネスプランコンテスト」「③販路開拓支援」の3つのステージに分けて実施しています。宮崎スタートアップセンターの詳細を、宮崎商工会議所の杉田さん、宮崎県庁商工観光労働部の丸野さんに伺いました。
「①ビジネススクール」では、レベル別のセミナーを通じて、マーケティングやファイナンス、ITなど、起業に必要なノウハウを体系的に習得できます。その後、参加者は10月頃に開催される「②ビジネスプランコンテスト『Demo Day』」に参加。商工会議所やコンサルタント、ベンチャーキャピタリストらに向け、自らのプランをプレゼンテーションします。そして、コンテストで見事一定の評価を得た起業家は、「③商工会議所のネットワークを活用した商品・サービスのブラッシュアップや販路開拓などの様々な支援」が受けられます。
起業アイデアのブラッシュアップから事業化まで、手厚い支援を包括的に受けられる、すばらしい取り組みですよね。また、これまで参加した方は、「Demo Day」参加により、商談が次々と進んだり、テレビ取材の問い合わせが入ったりと、成功のチャンスがどんどん舞い込んできたそうです。
宮崎に限らず、全国の商工会議所では様々な起業プログラムが実施されています。ぜひ一度、商工会議所に問い合わせてみましょう!
また、宮崎県ではインキュベーション施設「みやざき新ビジネス応援プラザ」の運営も行っているそうです。宮崎市の中心部に低価格でオフィスを持つことが出来るだけでなく、専門家によるアドバイスなど、充実した支援も魅力的です。また、厳正な審査をクリアしたという県の「お墨付き」は、銀行や取引先にとって安心のブランドになり、ビジネスがやりやすくなる、というメリットもあります。
自社でオフィスを持つのもいいですが、県のインキュベーション施設でビジネスの原石を磨き上げるのも選択肢の一つとして良いのではないでしょうか?
オフィスは全8室、施設概要や募集案内はこちら(http://www.pref.miyazaki.lg.jp/shokoseisaku/shigoto/chushokigyo/index-03.html)でご確認ください。
新しい起業支援に燃えるまち:宮崎市役所
ビジネスでの利便性は高いけれど、生活に不便な市街地、大自然でゆったり生活ができる一方で、ビジネスに不便な田舎。皆さんなら、どちらでの起業を選びますか?宮崎市では今、「市街地と田舎のいいとこ取り」を目指した新しい取り組みが始まろうとしています。
青野なりに宮崎市を表せば、「適度に田舎的な市街地」です。街を歩けば、オフィスや商店街など、ビジネスと生活に必要な一通りの施設があります。一方、ヤシの並木や花畑が至る所にあるので、南国風のおだやかな空気をいつでも満喫できます。更に、生活の必需品・自動車を使えば、朝の通勤ラッシュに悩まされることもなく、海や山など、近くの観光スポットに簡単にアクセスできます。ビジネスと豊かな生活の両立という理想の暮らしを、都市圏ではあり得ない低価で手に入れられるのです。
宮崎市観光商工部の高井さんによると、そんな「宮崎スタイル」を全国の起業家に提案すべく、宮崎市では様々な構想が練られているそうです。第一弾として、中心市街地に「一年間無料で入居できるインキュベーション施設」がまもなくお披露目されるそうです。また、もともと大企業誘致の一貫で行われていた補助金制度を個人事業主や起業家にあてはめ、中心市街地にオフィスを構えた起業家に家賃の一部を一年間補助する制度も始まるそうです。他にも、子育て、医療、教育などの総合的な見直しにより、起業家が理想的なライフ・ワーク・バランスの中で事業を行える環境を目指していくとのこと。
スタートアップ企業では、「家賃」は支出の大きな割合を占めると思います。それが無料になったり、補助がもらえたりというのは、起業家としては嬉しいですよね。宮崎市がすすめる「Iターン・Uターン起業家」施策、今後も目が離せませんね!
宮崎市内の民間コワーキングスペース:みんなのテーブル
意外に思われるかもしれませんが、地方都市には定期営業のコワーキングスペースはまだまだ浸透していなく、コワーキングスペースがない都市も多いです。その中で、宮崎市内の数少ない民間コワーキングとして起業家に親しまれているのが「みんなのテーブル」です。
「みんなのテーブル」は、市内の人材育成会社「株式会社インタークロス」のオフィスの一角に設けられています。もともと、職業訓練校の「宮崎キャリア・デザインスクール」の受講生が、修了後も気軽に情報交換を楽しめる場として開設されただけあり、営業日の毎週水曜日には市内外から多くのクリエイターが集まります。
ただし、ここはただの「クリエイターの情報交換の場」ではありません。開放的でフラットな空気感は、気ままに立ち寄っておしゃべりを楽しむ、第二の仕事場として定期的に顔を出すなど、誰もが自由に出入りし、各々が気の赴くままに活動を楽しむ場所としても魅力的です。もちろん、フリーwi-fiや書籍などの設備も充実していて、どんな利用シーンでも充実した時間を過ごせる、起業家にはうってつけの居場所なのです。
また、ブログ作成ソフト「Wordpress」ユーザーによる勉強会「Word Bench」が2カ月に一度開催されるなど、定期的なイベントも開催されています。吹き抜けのお洒落な空間は、大勢で話したり、クリエイティブな活動をしたりするにはうってつけの場所といえます。
利用料金は良心価格の一日500円!宮崎駅からも近いので、近くに用がある時など、気まぐれに立ち寄ってみてもいいかもしれません。
おまけ:「チキン南蛮」のはなし
ご存知でしょうか。宮崎県は食卓でおなじみ「チキン南蛮」発祥の地として有名です。チキン南蛮の代名詞として県下に名をとどろかす「おぐら本店」をはじめ、宮崎市にはたくさんの「チキン南蛮屋さん」があります。
ということで、私もとあるチキン南蛮屋さんに突入。「店:いらっしゃいませ~、何になさいますか?」「私:チキン南蛮で!」
男の一人暮らしにもかかわらず、夕食は自炊にこだわるという「料理大好き人間」の私。チキン南蛮はレパートリーのひとつで、そう滅多なことでは感動しないはずですが…。
「う、美味いー!」一口目にしてやられました。鶏肉にかかった甘辛タレの味わいが絶妙で、思わずレシピを聞いてしまいましたが、残念ながら社外秘でした(笑)。
鶏肉には、オリーブオイルでお馴染みオレイン酸などの不飽和脂肪酸や、その他多数の注目成分が含まれ、滋養強壮や疲労回復に効くそうです。ビジネスや観光の疲れを取り、翌日に備える意味で、宮崎に行ったら「チキン南蛮」をおすすめします。
(創業手帳編集部:青野)
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