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メーカーとサプライヤーの違いは?

メーカーとサプライヤーの定義、違いや使い方について説明します。
メーカー(maker)とは、製品を製造する業者を意味しており、サプライヤー(supplier)とは、製品の部品を製造し供給、納入する業者を意味します。
なお、英語の表現では広義の作り手を示すメーカー(maker)と、狭義の製造業者を示すマニュファクチュア(manufacturer)があり、日本語で使うメーカーは製造業者を指すことからマニュファクチュアに近いと言えます。

両者は混同しやすいですが、製品とそれを構成する部品との関係、業者間の取引きの関係性に違いがあります。
メーカーは製品そのものを製造する業者であり、製造とは完成されたものを指します。たとえば、身近なスマートフォンやパソコンのメーカーは、基本的に1製品につき1業者となります。一方で、これらのデバイスはたくさんの部品から構成されていますので、サプライヤーである多数の業者がそれぞれの部品を製造してメーカーに供給します。
つまり、多数のサプライヤーが部品を供給する側で、1つのメーカーが部品を供給されて製品を製造する側、という関係になります。ただし、サプライヤーには供給元や納入業者といった意味もありますので、製品をメーカーから仕入れて販売する業者としては、メーカーもサプライヤーと見られます。そのため、メーカーはサプライヤーという立場も併せ持つことになりますが、製品そのもののメーカーは製造業者1社のみと言えます。
このように、メーカーとサプライヤーの説明をまとめると、次の通りとなります。
・メーカーは製品そのものを製造する業者を意味する。
・サプライヤーは製品の部品を製造し供給、納入する業者を意味する。
・一般的に、製品は多数のサプライヤーによる部品から、1つのメーカーによって製造、完成される。ただし、供給する側と供給される側の立場によって役割を併せ持つこともあり、販売業者から見るとメーカーは製品を供給するサプライヤーとも言える。

それでは、メーカーとサプライヤーの使い方は具体的にどのようになるのでしょうか?スマートフォンの例で考えてみましょう。
ご存知のようにスマートフォンは、タッチパネル、CPU、メモリなどの部品から構成されています。そして、関連する主な業者には部品の「サプライヤー」、製品の「メーカー」、製品の「販売業者」があります。
まず、「サプライヤー」が部品を製造します。スマートフォンの場合は、大半の部品が日本国内の業者によって製造されます。
次に、これらの部品は「メーカー」に供給、納入されます。実際には、「メーカー」はスマートフォンのデザイン、設計をする日本やアメリカ、中国などの業者ですが、組み立てて製品化されるのは主にアジア圏の工場となります。これらの工場をOEM(オーイーエム、original equipment manufacturer)と呼び、メーカーである工場が委託先のメーカーの製品を製造することを意味します。この形態は現在、スマートフォンをはじめ、PCや車、家電など幅広い業界で導入されています。
製品化されたスマートフォンは「メーカー」が直接、自社の店舗やオンラインサイトで販売したり、納入先の「販売業者」によって販売されます。「販売業者」にとって「メーカー」は「サプライヤー」であるとも言えます。

ここで、「販売業者」には複数の名称、形態がありますので補足します。
主な名称として、買い手への販売が中心の販売業者「ベンダー(vendor)」、集荷や物流機能が中心の卸販売業者「ディストリビューター(distributor)」、メーカーと特約店契約を結んだ販売業者「ディーラー(dealer)」があります。これらはどちらも「サプライヤー」から製品やサービスを仕入れて販売する業者であり、供給と対になる立場ですが、対象とする製品やサービス、中心となる機能で形態が変わりますので注意が必要です。
ちなみにスマートフォンの場合、「ベンダー」は「メーカー」が直営の店舗やオンラインで販売する形式となり、SIMフリー端末などの流通販売を担う業者が「ディストリビューター」、通信キャリアや量販店は自動車販売にも近い代理店販売の「ディーラー」形式と分けられます。これまでの説明でスマートフォンの部品供給、製造、販売に関わる業者をまとめると、次の通りとなります。
・部品供給業者=サプライヤー
・製造業者=メーカー(OEMによりメーカーが工場に製品製造を委託)
・販売業者=ベンダー(メーカーが直接販売)、ディストリビューター(SIMフリー端末などの流通販売)、ディーラー(メーカーの代理店販売)

最後に、企業における会計上でのメーカーとサプライヤーの違いについて説明します。
会計の面で両者は厳密に分かれており、材料費、労務費、経費など製品を製造するために必要となったコストを示す、製造原価によって判断することができます。
サプライヤーは、材料などによる製造原価をもって部品を製造します。一方のメーカーは、サプライヤーから供給された部品などによる製造原価をもって製品を製造します。そして、販売業者が仕入れるのは部品ではなく製品ですので、原価は製造原価ではなく仕入原価となり、販売業者から見た供給元は製造業者、つまりメーカーとなります。
このように、取引をする相手の仕入れが製造原価になるかどうかが、メーカーとサプライヤーの会計上での違いと言えます。

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