pluszero 小代義行|第4世代AIの開発で日本を元気に!GDP世界No.1を目指すための取り組みに迫る
次世代AI開発とそれに向けた小代流の人材育成とは?
現代社会に浸透してきたAI技術。最近ではスマホの音声機能で検索ができたり、文章も入力できたりなどAI技術は瞬く間に進化してきました。
またチャットボット開発の実現で人間がいなくてもコミュニケーションを取れるような技術も生まれており、今後はさらなるAI技術の進化が見込まれます。
このようなAI技術にさらなる革新をもたらし、日本が抱える深刻な人手不足の解消や、低下しているGDPの回復を目指しているのがpluszeroの小代義行さんです。
今回はpluszeroが独自に進める次世代AIの開発や小代さんが掲げる人材育成方針などを創業手帳の大久保が聞きました。
株式会社 pluszero 代表取締役 会長 兼 CEO
東京大学工学部を卒業後、NTTDATA、Microsoftなどの日米のITトップ企業と企業再生ファンド、Venture Capitalなどを展開するINSPiREでの業務を経験。自ら起業したユニークでは17年間に亘り、IT、AI、遺伝子医療、次世代教育、システムトレードなど、先端技術を活かした事業立上に従事。次世代リーダー養成をライフワークとし、これまで30人以上の社長を輩出。2020年6月にpluszeroの代表取締役に就任。
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら
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この記事の目次
東京大学工学部からNTTDATA、Microsoft、INSPiREを経て起業へ!
大久保:まずはご経歴についてお聞かせください。
小代:幼少期はサッカー選手を夢見て過ごしていました。ですがサッカーは才能が必要で、簡単に叶うものではないと感じ、切り替えて東京大学工学部に進学しました。
学生時代、就職活動のときにいろいろ悩みましたが、今後10年は伸びると言われる領域がITだと言われていたこともあり、大学卒業後はNTTDATAという会社に入社しました。
入社後、業務をしていく中で「ITだけにこだわり過ぎてもダメだな」と感じることがあったんです。
例えば、あるお客さんからITシステムの開発を頼まれたときに「ITのシステムを開発するよりも新商品の開発を進めた方がいいのではないか」と思ったことがあり、1つの専門性に縛られずさまざまな専門知識を持つことでより良い提案ができるのではないかと思ったんです。
そこで入社3、4年目くらいに一度人生設計を見直し、世界一の会社であるMicrosoftやINSPiREで経験を経て、31歳で起業をしました。
大久保:1つの専門領域だけに縛られず、視野を広く持つことが経営には大事であると気づかれたんですね。小代さんが起業するまでの背景を詳しく教えてください。
小代:自分が笑って死ねる人生はどういうものかを考えたときに「日本の1人あたりのGDPを世界No.1に戻すくらい日本を元気にする」ことが頭に浮かびました。
そしてこの壮大な目標を達成するためにはまず何をするべきかを考えたのです。そこで、スピード感を持ってやるために「期限付きの中間目標」を設けました。
更に、中間目標には、定量的な目標として「お金」に関するものを含めました。これは、「お金」を創出すべき価値や次の目標達成のための軍資金として理解していたからです。
具体的には、
- 27歳までに世界一のMicrosoftに転職して専門性を高める
- 35歳までに起業して1億円を集める
- 40歳までに10億円企業を作り、他社からも経営の依頼がくるような経験する
- 50歳までに1兆円企業を作る
- 60歳で日本の一人当たりのGDPを世界No.1に戻す。
といった感じです。
ぶっ飛んだ目標であるものの、目の前の中間目標がある分、それなりのスピード感で動き出せたんですよね。
当時時価総額No.1だったMicrosoftから28歳になる手前で内定をもらい、31歳で起業して33歳の時には累計1億円の売上を達成しました。
10億円はちょっと遅れて40歳半ばで達成して、1兆円企業までは道半ばですが、50歳の時にpluszeroが株式上場しました。これまでを振り返ると、中間目標のすべてが今につながっているんですよね。
60歳の目標である「日本の一人当たりのGDPを世界No.1に戻す」を達成するには、1兆円企業と言うくらいのインパクトがなければいけませんし、内容的にも一人当たりのGDPに寄与するものでなければいけないと思っています。
大久保:年齢でそれぞれ小刻みに目標を立てていたんですね。私自身も35歳で起業することを目標としてきましたが、小代さんも35歳での起業を目標にされていたんですね。
小代:35歳でその会社の役員になれるかどうか決まる「サラリーマン35歳限界説」というのがあります。
これに基づけば、35歳までに専門性を身につけ、機が熟した35歳で起業するのが当時の計画ではありました。
私は起業したのが4年早かったですが、起業したときに昔のお客さんのつながりもあり初日から黒字でした。
そういった意味では自分のイケイケな青臭さと世間が市場価値として、対価を支払ってくれるところのバランスがちゃんと取れたタイミングとして35歳は一つの目安になるかなと思っています。
日本のGDPを世界No.1にするには次世代リーダーの育成が不可欠!経営を学ばせる為には?
大久保:小代さんの掲げる「日本のGDPを世界No.1にする」目標はとても大きいものだと思います。この目標を達成するための人材育成に関する取り組みについてお話を伺いたいです。
小代:日本の一人当たりのGDPを世界No.1にしていくには、それを担う次世代のリーダーが必要です。
日本は資源もなく人もそんなに多いわけではないので、価値を創出していかないと世界で埋もれてしまうと思っています。
そう考えた時に「死ぬまでに次世代リーダーを100人育てたい」という目標も生まれました。人材育成にも力を入れていこうと、東大生を6人雇って次世代リーダー養成塾「志塾」を設立。
そこを出発点として今まで数百人の学生に経営者であったり技術者であったりなどいろんな形でチャレンジさせており、世界で通用する人材育成プロジェクトを進めています。
ビル・ゲイツさんやスティーブ・ジョブズさん、マーク・ザッカーバーグさん、日本だと堀江さんとか孫さんもそうですけど、素晴らしい結果を出されている起業家の方が何歳の時に何をやったのか、ある程度その方々の経歴を調べたんです。
その時に「その人たちよりも若い年齢で経営に触れさせることですごい人材が産み出されるんじゃないか」と感じましたね。
飛び級をさせる形でどんどん優秀な人を引上げていけば、日本からもっと素晴らしい起業家や経営者が輩出されるんじゃないかと思っています。
大久保:早い段階で経営に触れさせるのはとても画期的なプロジェクトですね!具体的にはどのような形で経営を経験させているんですか?
小代:具体的には18歳の子に2,000万円のプロジェクトのマネージャーをやらせたり、19歳の子にM&Aを年に3回やらせてみたりなど、大きな責任が問われる仕事を任せていました。
実際、学生に数千万円規模のプロジェクトを任せるのってかなり勇気がいることなんですよね(笑)。そう考えたら僕自身かなり勇気があると思っています(笑)。
お客さんには迷惑をかけられないのでギリギリまで我慢して、無理そうだったらプロがフォローする形でやってました。
スポーツでもそうですが、サッカーなら試合にたくさん出ないと上手くなりません。経営者は会社の役職の延長線上ではなく、完全に専門職であると思っていて、できるだけ若いうちに経営という打席に立つことが重要です。
若い人に無茶ぶりをさせて世界的なリーダーを超えるような人材育成を続けた結果、現在では40人以上の経営者を輩出しました。フルスタックエンジニア(※1)でいうと数百人レベルにはなってきています。
なので、私たちの会社を出た卒業生の中にはサイバーエージェントでMVPを獲得した人もいたり、社会に出てすぐに活躍しているメンバーが多いです。現在6期目の会社ですが、若者に投資をし続けても伸びている会社になってきています。
(※1)フルスタックエンジニア:企業のシステム開発や運用における複数のスキルを持つITエンジニアのこと
大久保:pluszeroの人材を採用する際に設けている基準はありますか?
小代:教育機関の経営を15年間やってましたけどその中でも採用面接の質問がほぼ変わっていませんでした。内容的には人生で一番頑張ったことを5分間で話してもらったり、文部科学大臣だったら日本の教育をどうやって改革するかも聞いていました。
物事を理解する上で単純なガリ勉だけだと、ある一定のレベルで成長が止まってしまいます。でも本当の意味で学力が全国トップクラスの人はPDCAをガンガン回せて物事を高いレベルで理解できるのでコミュニケーション能力も高いんです。私の質問っていうのはそういう人を識別できるものだと自負しております。学力全国1位の人を6人雇ったことあるんですが、共通点としてPDCAサイクルの改善力に長けています。
pluszeroでも当時と変わらず、コミュニケーション能力が高く、問題発見解決能力があってITリテラシーがある。そんな人材を積極的に採用しています。
第4世代AIに注力!pluszeroが進める革新的なAI開発
大久保:pluszeroの事業内容について教えてください。
小代:pluszeroでは、文理融合型人材を120名規模で担保し、高難易度のAI開発に取り組んでいます。
具体的には「自然言語処理領域」をメインとして、高度なコミュニケーションレベルを持ったチャットボットの開発に取り組んでいます。
このチャットボット開発はただ定型文を返すのではなく、自分の言葉で表現できるような人間とのコミュニケーションに近いレベルを目指しているものです。
私たちがやろうとしている第4世代AIの開発は、文部科学省がここ数年で発表した定義であり、文理融合型の知識や経験を必要とします。
pluszeroのメンバーは、過去・現在含めて、情報オリンピック金メダリストや、国内最大の機械学習コンペプラットフォームである「SIGNATE」で総合1位を獲得したメンバーなど実力のある人材が多く所属しており、彼らと共に日々開発に取り組んでいます。
大久保:人間と話しているかのようなチャットボットは革命的な開発となりそうですね。今までのAI技術も十分素晴らしいものではありましたが、反対に今のAI技術では網羅できない課題が浮彫りになった形でしょうか。
小代:2007年頃に「機械学習」と呼ばれる膨大なデータをもとに、AI自身で知識を獲得する技術をベースとした第3世代AIの運用が始まりました。
中でも「機械学習」の実装手法の一つである「ディープラーニング(深層学習)」は、昨今のAIブームの火付け役となり、世間にAIを浸透させたキッカケにもなりました。
この「機械学習」や「ディープラーニング」の進化が進んでいく一方、課題も浮彫りになってきて第3世代AIの限界が見え始めてきたんですよね。
具体的には、
- 学習した結果としてのAIの中身が見えずにブラックボックスになり、信頼性が低い
- 学習のベースとなるデータの用意が困難
といった課題が顕著になり、これらを解決するにはどうしたら良いのか、どんなAI技術が必要なのかを考えながら、次世代AIの開発に取り組んでいます。
pluszeroが提唱する技術コンセプト「AEI」で仮想人材派遣を実現
大久保:先ほどの課題を解決するための技術開発に取り組まれているとのことで、pluszeroでは具体的にどのような技術を用いて開発を進めているのでしょうか。
小代:具体的なアプローチ法としては、ディープラーニングやナレッジグラフ(※2)とは異なる「AEI(Artifitial Elastic Intelligence)」という技術コンセプトを独自に掲げ、現実的最適解としての自然言語処理領域のAI開発に取り組んでいます。
「AEI」は解釈性の高い状態から推論効率を向上させたり、知識の動的更新をしたり、機械学習を部分適用することで精度を一気に向上させています。そのため、「ディープラーニング」や「ナレッジグラフ」に比べて精度を高めることに成功しています。
pluszeroでは2021年9月に「AEI」の具体実現サービスとして、世界初の新技術である「仮想人材派遣」の特許を取得しました。現在は業務提携パートナーとして様々な領域の企業とコラボレーションし、研究開発を進めています。
仮想人材が普及することで将来的に増加するとされる「人手不足」の解消に大きく役立つと見ています。例えばコールセンターで人材不足が起きてもすべてAIで補完できるようになり、人材不足を解消出来るわけです。
(※2)ナレッジグラフ:さまざまな知識を体系的に連結し、知識のネットワークをグラフ構造で表したもの
大久保:人材不足の解決に大きくつながるのは、現代日本においてはとてつもない救世主になりますね。このほかに役立てるニーズはどのようなものがありますか?
小代:近年教育業界では、新型コロナウイルス感染症の影響等もあり個別最適な学習ニーズが高まっています。
そういった状況を受け、pluszeroと新興出版社啓林館で「AIチューター・ゼロ」を共同開発しました。
「AIチューター・ゼロ」は、教科書を用いた学習を効率化するアプリで、問題集で間違えたところをピックアップ。
生徒がどこでつまずいているかを分析し、単元をさかのぼって生徒に合った問題を提案する機能が備えられています。
間違えた問題をただレコメンドするのではなく、間違いの原因の要素を特定し、関連した問題をレコメンドすることで、生徒の本質的な学習理解の促進が期待できます。
目標達成で重要となるのは「大きい目標」と「中間目標」をバランスよく立てること
大久保:最後にこれから起業する方に向けてメッセージをお願いします。
小代:とにかく何か大きい目標を掲げてください。大きな目標を掲げたら、その中で小刻みに中間目標を決めて一つ一つ積み上げつつ、実現の可能性も見極めていくことが大事です。
ゴールから逆算して中間目標をバランスよく組み立てられるようになれば、最終的に起業した方の会社は成長していくと思っています。
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(取材協力:
株式会社 pluszero 代表取締役 会長 兼 CEO 小代義行)
(編集: 創業手帳編集部)