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2022年3月14日株式会社MagicPod 伊藤 望|AIテスト自動化プラットフォームの事業展開が注目の企業
ノーコードでソフトウェアテストを自動化する事業開発で注目なのが、伊藤望さんが2012年に創業した株式会社MagicPodです。
普段、私たちがよく活用しているWEBサイトやアプリケーションは数多く存在します。
今の時代において、これらは社会や生活や仕事のインフラと言っても過言ではないほど、私たちの行動に大きく関与しています。
そしてソフトウェアは日進月歩しており、今この瞬間にも、よりユーザビリティ・付加価値の高い内容にアップデートされ続けています。そのおかげで私たちは常に使い勝手の良い便利なサービスを享受し続けられるのです。
ソフトウェアがスムーズに何の問題もなく利便性高く使えているのは、その開発の際に様々なテストが何度も行われ、想定される不具合等を徹底的に排除するという作業工程があるからです。
実はこのテスト作業はほぼ手作業で行われており、開発にかかる労力のおおよそ30%程度の工数がかかるといわれています。
テスト内容は、例えばセキュリティや互換性、使用性など、様々な場面を想定して実施されており、そのテストごとにプログラムをわざわざ組んでチェックをし、万一不具合があった場合には再構築して再びテストをする、ということが繰り返されます。
不具合のない良質なソフトウェアをリリースするために必要な作業とはいえ、開発のたびにこれだけの労力がかかってしまっては、エンジニアの負担・疲弊が大きくなってしまいますし、リリースまでにそれなりの時間もかかってしまいます。
このテスト部分をAIで自動化して作業効率を高める取り組みに、今注目が集まっています。
株式会社MagicPodのソフトウェアテスト自動化事業の特徴は、AIがテストを自動生成してくれ、開発コストやメンテナンスコストを大幅に軽減できる、という点です。
株式会社MagicPodの伊藤望さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。
・このプロダクトの特徴は何ですか?
「MagicPod」は、モバイルアプリテスト、ブラウザ(ウェブアプリ)テストの両方に対応したAIテスト自動化プラットフォームです。ノーコード・ローコードで自動テストを実現させるサービスで、アプリケーションの画面画像をスキャンして入力項目の種類やラベルを自動検出、テストスクリプトを自動生成します。開発者だけでなく非エンジニアでも簡単に利用できるのが特徴で、IT業界のリーディングカンパニーを含む700社以上の企業が導入しています。
開発には500人を超える自動テストコミュニティのリーダーを務めるCEO伊藤望や、自動テスト書籍の著者・翻訳者である玉川紘子・戸田広など、自動テスト分野の著名なエキスパートが参画し、他社にはない高いレベルのソリューションを開発しています。
・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?
手動テストをしていて単純な作業の効率化をしたい方、人の手で行うテストの精度に限界を感じている方にお使いいただきたいです。
・このサービスの解決する社会課題はなんですか?
ソフトウェアテストが手動で行われている現場では毎回のように同じような作業が発生し、その時間やコストが大きな課題となり開発サイクルを遅らせる原因の一つとなっています。「MagicPod」を通じてテストを自動化することで、サービスの開発サイクルの高速化が実現できます。
また、単調な作業を自動化することでエンジニアのモチベーション低下を防ぐ効果もあります。
・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?
創業したのは10年前で、まず大変だったのはそもそもテスト自動化の市場が日本でほとんど立ち上がっていなかったこと、そして開発ツールに対してお金を払って使う習慣があまりなかったことです。
市場については、自動化のテクノロジーは絶対に多くの人が必要とするものだという確信があったため、啓蒙活動により市場を作っていくことを行いました。
テスト自動化のコミュニティーの設立、書籍の出版、勉強会の開催、国際カンファレンスの誘致・開催などを通じ、何年もかけて日本にテスト自動化の習慣を普及させていきました。
そのような努力や、アジャイル開発というテスト自動化が重要になるスタイルの普及もあり、市場が立ち上がっていきました。
お金を払う習慣については、AWSを始めとするクラウドサービスが開発ツールの世界にも普及したことで、そういった習慣が生まれるようになりました。
「MagicPod」はそうした時代の変化にもうまく乗れたと思います。
・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?
GitHubやSlackのように世界中のエンジニアが使う製品を提供する企業を目指しています。テスト自動化はそれができるくらい需要のある領域だと思います。
10年後も「MagicPod」だけを提供している可能性はありますが、テスト自動化と言っても画面操作以外にセキュリティーのテストや速度テスト、負荷テスト、プログラムの解析とかいろいろな分野があります。
それらの品質管理を総合的にサポートするツールにしていきたいと思います。
・今の課題はなんですか?
採用活動(特にエンジニア):採用認知をもっと高め、より多くの人材に興味を持ってもらう必要があると感じます。
社内体制:メンバーが増えるにしたがい、人数が増えてもうまくスケールするような組織・マネジメント体制を考える必要がでてきています。
グローバル市場への展開:ヘルプページが日本語しかない、英語での営業体制が整っていない、グローバルで認知されていない、などの課題がありますが、1つずつ改善していく予定です。
・読者にメッセージをお願いします。
ソフトウェアテストの自動化は古くて新しい課題で、システム開発業界は何十年も非効率な手動テストの問題に悩まされてきました。「テスト」はシステム開発の3割を占める重要な工程にも関わらず、グローバルで見ても、未だにその多くが手作業で実施されているのです。
「MagicPod」はこの課題に「ノーコード」「クラウド」「AI」といった新しい技術で挑んでいます。
世界中の全ての人々のソフトウェアテストの課題を解決すること、そして「MagicPod」をGitHubやSlackのような世界中のエンジニア/テスト担当者に広く利用されるサービスにすることが私たちの目標です。
会社名 | 株式会社MagicPod(旧株式会社TRIDENT) |
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代表者名 | 伊藤 望 |
創業年 | 2012年 |
資本金 | 369,000,000円 |
社員数 | 10名 |
事業内容 | AI技術を活用したテスト自動化クラウドサービス「MagicPod」の開発・運営 |
サービス名 | MagicPod |
所在地 | 〒104-0061 東京都中央区銀座7-13-6 サガミビル2F |
代表者プロフィール | 京都大学大学院情報学研究科を修了後、株式会社ワークスアプリケーションズ入社、自動テストツール開発で社長賞を受賞するなど活躍。その後独立し株式会社TRIDENT(現MagicPod)を設立。「日本Seleniumユーザーコミュニティ」設立、「Selenium実践入門」執筆、国際カンファレンス講演、「SeleniumConf」日本初開催など、テスト自動化の普及に努める。最近は「MagicPod」の開発に注力中。 |
カテゴリ | 有望企業 |
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関連タグ | MagicPod TRIDENT 伊藤望 |
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