確定申告に間に合わない!期限後に発生するペナルティや猶予制度を解説
延滞税・無申告加算税の計算方法、猶予制度の活用法まで徹底解説
確定申告まで残り僅かとなりました。確定申告の期限を過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税などのペナルティが発生する可能性があります。
しかし、期限後申告や猶予制度を活用すれば、負担を軽減できる場合もあります。
この記事では、期限を過ぎた場合のリスクと対処法、猶予制度の申請方法まで分かりやすく解説します。確定申告の遅れに気づいたら、すぐに対応することが重要です。
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この記事の目次
確定申告とは
確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得と税金について税務署に申告する手続きです。
確定申告では、収入から必要経費や控除額を差し引いた金額をもとに所得税額を計算し、納税や還付を行うものであり、特に自営業者やフリーランスなどにとって重要な義務となっています。
所得税とは個人の所得に対して課される税金で、所得の金額に応じて段階的に増加します。所得税の負担を軽減するために、所得控除が設けられており、基礎控除、配偶者控除、扶養控除、医療費控除などがその代表的なものとなります。
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告は複式簿記による帳簿作成と損益計算書の提出が必要ですが、最大65万円の控除など税制上の大きなメリットがあります。一方、白色申告は簡易な帳簿作成で済む反面、青色申告のような特典はありません。
申告期限が過ぎてしまった場合はどうなる?
確定申告の期限は、原則として毎年3月15日です。ただし、申告期限が土日祝日の場合は、翌営業日が期限となります。
2025年においては3月15日が土曜日となるため、3月17日の月曜日までに確定申告を終わらせておく必要があります。
もし確定申告の期限内に申告や納税を行わなかった場合、延滞税や無申告加算税の申告加算税が課せられます。
これらのペナルティは、場合によっては高額になる可能性があるため、期限内の申告が重要です。
無申告加算税とは
無申告課税とは、納税者が法定期限内に確定申告書を提出しない場合に課される税金です。無申告課税の税率については、条件により計算が異なってきます。
状況 | 適用条件・詳細 |
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税務署の調査通知前に自主的に期限後申告や修正をした場合 | 一律5% |
税務署の調査の事前通知後に期限後申告(調査による決定を予知する前) | 50万円まで:10% 50万円超~300万円まで:15% 300万円超の部分:25% |
税務署の調査後に期限後申告(調査による決定を予知した期限後申告) | 50万円まで:15% 50万円超~300万円まで:20% 300万円超の部分:30% |
延滞税とは
延滞税とは、納付期限までに税金を納めなかった場合に発生するペナルティ(利息)のことです。納付が遅れた日数に応じて税金が加算されます。延滞税の税率は、遅れた日数によって変わります。
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●納期限の翌日から2か月以内
→年7.3%または特例基準割合 + 1%(どちらか低い方)
●納期限の翌日から2か月超
→年14.6%または特例基準割合 + 7.3%(どちらか低い方)加算税の計算方法
2025年の延滞税特例基準割合は、納付期限の翌日から2か月を経過する日までは年2.4%、納付期限の翌日から2か月を経過した日以後は年8.7%となっています。
確定申告が間に合わない場合の猶予制度とは
確定申告が間に合わない場合、特定の事情がある場合のみ、税務署に申請することで原則として1年以内の期間に限り、納税が猶予される制度があります。
猶予制度には、「換価の猶予」と「納税の猶予」があります。
換価の猶予
換価の猶予とは、税金を一括で支払えない場合に、財産の差押えや換価(売却処分)を猶予してもらう制度です。
換価の猶予が受けられるのは、以下のすべての要件に当てはまる場合となります。
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- 一時に納付することにより、事業の継続・生活維持が困難となるおそれがあること
- 納税について誠実な意思があること
- 納期限から6か月以内に申請があること
- 猶予を受けようとする国税以外に滞納がないこと(猶予中のものを除く)
- 原則として、担保の提供があること※
※ただし、猶予を受ける金額が「100万円以下の場合」「猶予を受ける期間が3か月以内である場合」「提供できる担保がない場合」は不要
納税の猶予
納税の猶予とは、申告期限内に特定の条件(災害、病気、事業の休廃業など)によって国税を一括で納付することができないと認められる場合は、納税が猶予される制度です。
納税の猶予が受けられるのは、以下のすべての要件に当てはまる場合となります。
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●下記いずれかのケースに該当すること
①ご本人がその財産について、災害等を受け、又は盗難に遭った。
②ご本人又は生計を同じにするご家族が病気にかかった。
③ご本人が営む事業について、やむを得ず休廃業をした。
④ご本人が営む事業について、利益の減少等により、著しい損失を受けた。
⑤上記と似たような事実があった
⑥本来の納期限から1年以上経過後に、修正申告などによって納税すべき金額が確定した
●上記①~⑥があることにより、一時に納付することができないこと
●申請があること
●原則として、担保の提供があること※
※ただし、猶予を受ける金額が「100万円以下の場合」「猶予を受ける期間が3か月以内である場合」「提供できる担保がない場合」は不要
まとめ
確定申告に間に合わない場合でも、諦めずに速やかに対応することが大切です。まずは、税務署に連絡し、期限後申告の手続きについて相談しましょう。また、延滞税や加算税が発生する可能性があることを理解し、納付の準備も進めておきましょう。
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