会社設立の失敗事例10選!失敗する人の共通点や失敗をしないためのポイントも解説

創業手帳

会社設立前に失敗事例から失敗しないためのコツを学ぼう


起業は誰にでもできるため、思い立ったらすぐに会社設立することは可能です。
会社を立ち上げれば、自分がやりたい仕事や思い描くビジネスを展開できます。ただし、会社設立に失敗する人も多いことを理解しておく必要があります。
会社設立の前によくある失敗を把握し、回避できるように準備をすることが大切です。

そこで今回は、会社設立にまつわる失敗事例から失敗しないためのポイントまで解説します。起業を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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会社設立で見られる失敗事例10選


会社設立に成功している人がいる一方、失敗している人もいます。具体的にどのような理由で失敗しているのか、事例をご紹介します。

事例1:株式を持たせすぎて経営に介入された

株式会社の場合、自社株式を発行して資金調達をすることが可能です。
外部からの資金調達の手段としては有効である一方、株式を持たせすぎたことで第三者が経営に介入してくる失敗事例があります。

株主には、保有株数に応じて株式総会の議決に参加して票を入れられる議決権が与えられます。
議決権の保有数が多いと、会社経営における重要な事項を決める特別決議の拒否や経営権の取得などが可能となり、株主は経営に介入できるようになるのです。
資金調達をすることを重視して外部者に多くの株式を与えた結果、経営に介入されてしまい、自分が思い描いていた会社経営ができなくなる可能性があります。
最悪の場合は経営者の立場を失う恐れもあります。

事例2:共同経営者と意見が対立してしまった

一緒に会社設立や経営をしてくれる共同経営者は心強いパートナーです。
しかし、共同経営者と経営方針や利益の分配などのことで意見が合わず、対立してしまうケースがあります。

関係が修復されなかった場合、片方が勝手に退職したり、現金を持ち逃げされて倒産としたりするなどのトラブルが起きてしまうことがあります。
親しい友人や家族であっても考え方や理想に違いがあるため、確実に共同経営がうまくいくわけではありません。
パートナーとのコミュニケーションを怠り、ビジネスにおける信頼構築ができていない人ほど、このような失敗を起こしやすいです。

事例3:資本金1円で会社設立しようと思ったが融資を断られた

2006年に新会社法が施行されたことで、最低資本金額の規定が廃止され、資本金1円からでも会社設立が可能となりました。そのため、ますます起業しやすくなっています。

資本金は、事業を円滑に進めるための元手となる資金です。資本金1円の設立だと運転資金が足りないため、金融機関から借入れが必要になります。
しかし、創業間もない会社は、事業計画と資本金額から返済能力を判断されます。
資本金1円だと自己資金をほとんど用意していない状態なので、「返済能力がない」「本気で事業を行う気がない」と判断されて、審査落ちする可能性が高まるのです。

事例4:資金が不足してから融資を頼んだが断られた

運転資金が不足した時、資金繰りの悪化を防ぐために金融機関に融資を申し込むことがあります。
しかし、融資を断られてしまい、資金繰りの悪化を回避できないことがあるかもしれません。
融資を断られる原因として、以下のようなことが挙げられます。

  • 経営者の信用情報に傷がある(返済の滞納や自己破産・債務整理など)
  • 税金や公共料金が未払い
  • 過去に返済のリスケジュールを行った
  • 事業計画が曖昧
  • 自己資金が足りない
  • 決算書の数字が悪い
  • 担当者との面接で信用を得られなかった

上記のような場合は、返済能力がない、経営者・会社としての信頼性が低いと評価されて融資が認められない可能性があります。
融資を受けられない場合、ファクタリングやクラウドファンディングの利用をはじめ、身近な人にお金を借りるなどの方法で資金調達が必要になります。

事例5:初期費用にお金をかけすぎた

会社設立にあたって、定款の作成や法人登記など手続きに費用がかかります。
ほかにも、テナントの賃貸や内装工事、設備・備品の購入なども生じるため、それなりの初期費用が必要です。
初期費用がかかりすぎた結果、資金不足や赤字経営となってしまうケースがあります。

設立時点は、事業が軌道に乗らず得られる利益が少ないことが多いです。初期費用が無駄に高いと使える運転資金が減り、支出が収入を上回れば赤字となってしまいます。
また、黒字経営でも損益や資金繰りの予測をせずに設備投資などを行った結果、売掛金が入るまでの運転資金が不足するという事態を招きやすいです。

事例6:間接人員のコストが増えすぎた

会社経営では、経費処理・人材の採用・備品管理・カスタマーサポートなど売上げが発生しない業務が発生します。そのような業務を担当する間接人員を雇うケースがあります。
その結果、人員コストが増えてしまい、無駄に経費がかかってしまう可能性があるため注意が必要です。

間接部門は直接収益につながらず、コストがかかる一方です。
事業が軌道に乗っていない状態で間接人員を採用すると、なかなか利益を上げられない状態になってしまう可能性があります。
無理に間接人員を雇うのではなく、一部業務だけを外注するなどしてコストを抑えつつ、経営の負担を抑えられる工夫をしてください。

事例7:高利でお金を借りて返済が難しくなった

一般的に高金利とは10~20%の年利を指します。決算書の数字が悪いなどの理由で低金利の融資審査が通らず、高金利で融資を受けようと考える経営者は少なくありません。
しかし、金利が高いゆえに返済の負担が大きくなり、返せない状態になってしまう恐れがあります。

  • クレジットカードのキャッシング
  • 個人向け消費者金融
  • 個人向け銀行カードローン
  • 企業向けノンバンク

上記の金融機関は高金利な傾向があります。さらに返済期間も短く設定されていることが多く、借入額によっては返済が滞ってしまう可能性が高いです。

事例8:見通しの甘さから売上げが悪化してしまった

売上げの見通しが甘く、資金不足に陥ってしまう失敗事例は多いです。
会社経営では、事務所の維持や人件費、原材料や商品の仕入れなど様々な部分に経費が発生します。
売上げが下がっている状態では支出のほうが大きくなるため、赤字経営や倒産の危機に直面してしまいます。
売上げを出すためには、宣伝して顧客を集めたり、競合の動きに注意して差別化や集客の対策を講じたりしなければなりません。

また、根拠がないのに「売れる」と思い込んで相場よりも高い価格設定や過剰な量の商品を仕入れると、なかなか売れないという事態を招きやすいです。

事例9:主要取引先が倒産してしまった

倒産したのが業界で影響力の高い企業や自社のビジネスで重要な役割を担っている企業だった場合、その影響が自社にも出てしまう可能性があります。
場合によっては、連鎖倒産する可能性もあるので注意が必要です。
例えば、自社商品・サービスを利用している主要取引先が倒産すると、売掛金を回収できなくなることがあります。
単純に売上げが減るだけではなく、資金繰りにも影響が出て黒字倒産するリスクが高まってしまうのです。

主要取引先の倒産を回避することは難しいので、万が一の時に備えてリスク管理に徹底していくことが大切です。
また、売掛金や債権の回収が見込めない場合は、損金処理や債権放棄などの対応策も考えておく必要があります。

事例10:人材の確保・定着ができなかった

事業内容や規模によっては、従業員を雇う必要があります。しかし、人材を集められなかったり、定着せずすぐに離職されたりする失敗事例は多いです。
経営者によるワンマン経営やマネジメント力が不足している場合、従業員が一度に離職してしまう傾向にあります。
採用に関するノウハウが乏しく、採用上でミスマッチが生じたり、優秀な人材に自社の採用情報が行き渡っていなかったりして、人材を確保するチャンスを逃している場合もあります。

会社設立で失敗しないためのポイントは?


上記の事例のような失敗を回避して会社設立をするためには、しっかり計画を立てて、準備をすることが大切です。
ここで、会社設立で失敗しないためのポイントをご紹介します。

事業は小規模から始める

リスクを抑えて会社設立をするなら、事業は小規模で始めるのが得策です。会社を設立した時点では、大きな利益は見込めません。
そのため、いきなり大規模な事業を始めると損害のほうが大きくなる可能性が高いです。
小規模の事業であれば、大きな利益は生み出せなくても、支出を抑えられる可能性があります。

トラブルが起きた際も、軌道修正がしやすいこともスモールビジネスのメリットです。
事業が軌道に乗れば利益が大きくなっていくので、それに合わせて予想や計画を立てていき、少しずつ規模を広げていくほうが失敗のリスクは下がります。
また、最近は副業から事業を始めて、失敗した時のリスクを抑えるというケースも増えています。
副業がうまくいったら起業という形にすれば、ゼロからのスタートよりは失敗する可能性は低いかもしれません。

知識や経験がある業界で始める

知識や経験がある業界で起業することも、失敗を回避するポイントです。
まったく知識や経験がない業界の場合、付加価値の高い商品・サービスを提供できなかったり、顧客の市場やニーズを正確に読み取れなかったりする可能性があります。

また、ビジネスを展開するためには業界や専門知識を身につける必要があり、会社設立まで時間がかかることがあります。
すでに知識・経験のある分野であれば、自分のスキルを活かしてビジネスを展開していくことが可能です。
専門知識に基づいて売上げの見通しを正確に予測しながら、新商品・サービスの開発や仕入れ・販売ができれば、売上げの低迷・資金繰りの悪化という事態を回避できます。

自分ひとりで始めてみる

小規模の事業であれば自分ひとりで会社経営できます。複数人で事業を始めるのではなく、まずは自分ひとりで始める方向で会社設立を検討してみてください。
自分ひとりでの起業であれば、共同経営者と対立してしまうリスクがなくなります。
従業員を雇うことを前提に起業すると、人材採用の手間やコストを検討しなければなりません。

創業間もない会社だと知名度や社会的信用度が低いので、なかなか人材を確保できないことが多いです。

また、教育体制が整っていないことも多いため、即戦力となる優秀な人材が必要となり採用の難易度が上がります。
雇う従業員が間接人員の場合、創業期は経費が圧迫する原因になる可能性も高いです。
無理に雇用を考えず、雑務は外注を検討しながら自分ひとりでできる事業で会社設立を目指すほうがリスクは軽減できます。

自己資金をなるべく多く準備する

会社設立では、お金にまつわる失敗事例が多いです。そのため、自己資金はなるべく多く準備することをおすすめします。
失敗事例で紹介したように資本金1円でも会社設立は可能ですが、金融機関の融資で不利になってしまいます。
資金繰りの改善や事業拡大のために融資が必要になった場合、資金調達ができない可能性が高いです。

十分な自己資金があれば、運転資金の不足を回避できるので、創業期も円滑な会社経営を実現できます。
どうしても資金が足りない時も政府系金融機関の創業支援融資制度などで資金調達できる可能性が高まります。

綿密な事業計画・資金計画を立てる

しっかり事業計画や資金計画を立てることも会社設立を成功させるポイントです。
事業計画で決定する項目例は以下のとおりです。

  • 事業概要(ビジネスモデルや販売する商品・サービスなど)
  • 事業の理念・強み
  • 資金調達(運転資金額と調達方法)
  • 市場環境の分析
  • マーケティング戦略
  • 仕入先や価格、生産方法
  • 売上げの予測や販売計画

事業計画は見直しも必要になりますが、事業計画に基づいて経営を行えば、方向性がズレる心配はありません。将来性と実現性のある事業計画であれば、融資の審査でも評価が高まります。

また、会社経営では売上げと支払いを把握し、資金が不足する事態を避けることも大切です。
資金繰り表を作成してお金の流れを把握し、手元にお金が残せる状態にすることで、資金がショートするリスクを下げられます。
資金調達においても入念に計画を立てて実行してください。融資は返済、株式の発行は経営に介入されるというリスクがあります。
これらのリスクを抑えるためには、計画的に資金調達を行うことが求められます。

常に社会情勢やトレンドを把握する

社会情勢や市場のトレンドの変化によって商品・サービスのニーズが減れば、売上げを上げることが難しくなります。
そのため、社会情勢やトレンドはいち早くキャッチし、対応していくことが大切です。

儲からない市場や商品・サービスでビジネスを展開しても、利益にはつながりません。
常に社会情勢や市場のトレンドを把握し、自社の強みを活かした戦略を打ち出したり、変化に合わせて軌道修正したりすることで成功に近づけます。

繋がりを多く作っておく

会社設立をする前から人との繋がりを多く作っておくことも大切です。
創業期から人脈があれば、顧客が増えたり、取引先やビジネスパートナーになってもらえたりする可能性が高まります。

また、優秀な人材との繋がりがあれば、即戦力となる人材を確保できる可能性があります。
起業家や経営者との繋がりがあれば、協力関係を築けるだけではなく、良き相談相手となってくれるでしょう。
情報交換や自分にはない価値観や考え方に触れることで、事業や会社経営に活かすヒントを得られるかもしれません。
交流会やイベント、セミナーに積極的に参加して人脈を広げておいてください。

会社設立の失敗事例を参考に成功のための手順を踏もう!

会社を設立すれば、自分の力で稼いでいくことになるので大変な反面、仕事のやりがいを強く感じられます。
しかし、会社設立は簡単なものではなく、失敗が多いことも理解しておかなければなりません。
会社設立の失敗事例を見ることで、起業する上でどのようなことに気をつければよいのかイメージが掴みやすくなります。
そのイメージをもとに、失敗を回避するための対策の策定や準備をしっかり行い、会社設立を目指してみてください。

創業手帳は会社設立や起業のためのガイドブックです。会社設立を設立する際に最低限身につけておくべき内容や実際の手続き方法、他にも経営に役立つ情報をお届けしています。無料でお配りしていますので、創業期のサポートにぜひ活用してください。

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(編集:創業手帳編集部)

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