住民税は節税できる!個人事業主におすすめの節税方法を解説

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住民税の仕組みを理解して節税につなげよう


住民税は自治体が計算するもので、節税できないと考える方もいるかもしれません。
そこで今回は、住民税の節税方法についてご紹介します。どうすれば節税が可能になるのか詳しく解説していくので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。

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住民税はどうすれば節税できる?


住民税の節税について考える時、何を基準に納める金額が決まっているのか理解することが大切です。住民税の課税方法は以下の2種類があります。

  • 所得割
  • 均等割

所得割は前年の所得金額から所得控除額を引き、そこに税率(一律10%)をかけ、さらに税額控除を引きます。
一方、均等割は所得の違いは関係なく、全員に一律で課税されるものです。均等割は道府県民税額と市町村民税額を足したものになります。
所得割で算出した金額と均等割の金額を足すことで、納める住民税額が決まります。

均等割は一律で課税され節税が難しいものですが、所得割は前年の所得金額を減らしたり、控除額を増やしたりすることで税額を抑えることが可能です。
つまり、住民税を節税するためには、いかに所得金額を減らして住民税の控除額を増やせるかがポイントになってきます。

住民税を節税するためのポイント


住民税を節税するための具体的な方法がわからない方も多いかもしれません。ここからは、個人事業主が住民税を節税するために押さえておきたいポイントを解説します。

青色申告の特別控除を使う

個人事業主の税負担を軽減させる方法として、青色申告の特別控除を活用する方法があります。
個人事業主は確定申告をする際、白色申告または青色申告の2つから選んで申告しなければなりません。
白色申告は複式簿記を行わずに済むため、簡単に経理処理を行えるメリットがあります。

一方、青色申告では複式簿記による帳簿を作成しなくてはならず、帳簿作成や書類の保存に関する要件が決められています。
その分、青色申告には特別控除が設けられており、税額の負担を抑えることが可能です。
青色申告を適用しても問題ない場合は、事前に税務署へ青色申告承認申請書を提出してください。

特別控除額は最大で65万円分の控除を受けられます。
ただし、e-Taxによる申告または電子帳簿保存法が定める「優良な電子帳簿」で保存されていない場合、最大55万円の控除になります。
また、単式簿記で記帳している場合や確定申告の期限を守れなかった場合には、10万円の控除額になるので注意してください。

必要経費を正しく計上する

住民税を節税するためには、必要経費を正しく計上することが大切です。
必要経費を適当に算出すると、本来の所得金額よりも多くなってしまい、多額の税負担が発生する可能性もあります。
特に忘れてしまいがちな経費は以下のとおりです。

  • 家事関連費(家賃、電気代、通信費、インターネット代、火災保険料、減価償却費(事業分のみ))
  • 交通費(領収書が出なかったもの)
  • 事業税や消費税

自販機など領収書が出ないものでも、支払内容が明確で、出金伝票に日付・支払先・金額・内容を具体的に記入しておけば問題ありません。

ただし、所得金額をできるだけ少なくしようと、本来経費にしてはいけないものを必要経費として計上するのはNGです。
必要経費を過大に計上してしまうと、のちに修正を求められ、なおかつペナルティとして追徴税額を納めなくてはいけない場合もあります。

少額減価償却資産の特例を受ける

少額減価償却資産の特例とは、取得価額10万円以上30万円未満の減価償却資産を取得した場合、費用をまとめて経費にできる制度を指します。
1年間で300万円までなら取得した年の経費として計上することが可能です。この制度を活用すれば設備を購入した年の利益を圧縮でき、次年度の住民税を節税できます。

少額減価償却資産の特例を受けられるのは、青色申告をしている個人事業主または中小事業者などです。具体的な要件は以下になります。

【個人事業主の要件】
  • 青色申告を行っている
  • 常時使用する従業員が1,000人以下
【中小事業者の要件】
  • 常時使用する従業員数が500人以下
  • 通算法人ではない
  • 特例を受けたい事業年度の平均所得が年15億円以下
  • 資本金・出資金が1億円以下
  • 資本金・主資金が1億円を超える法人や100%子会社から、2分の1以上の出資を受けていない
  • 資本金5億円以上などの要件を満たす大規模法人から、3分の2以上の出資を受けていない

小規模企業共済に加入する

小規模企業共済は、小規模企業の経営者や役員、個人事業主が積み立てで退職金を受け取れるようにするための制度です。
毎月の掛金は1,000円~7万円までを500円単位で設定でき、加入後に増額または減額することも可能です。
確定申告を行う際、小規模企業共済の掛金は課税対象所得から全額控除できるため、高い節税効果が期待できます。
例えば、1年で毎月の掛金を7万円に設定していた場合、7万円×12カ月=84万円の所得控除を受けることが可能です。

小規模企業共済は節税以外にもメリットがあります。共済金は退職金や廃業時に受け取りができ、満期・満額などはありません。
共済金は一括で退職金扱いにして受け取りができ、分割払いであれば公的年金などの雑所得扱いとして受け取れるため、いずれにしても税制メリットが得られます。
さらに、加入している人は掛金の範囲内で低金利の貸付制度を利用することも可能です。

iDeCoに加入する

iDeCo(個人型確定拠出年金)も、小規模企業共済と同様で掛金が全額所得控除になる制度です。
基本的に国民年金被保険者であり、以下の項目に該当しない方であれば誰でも加入できます。

  • 国民年金の保険料納付免除(一部免除を含む)を受けている人
  • 国民年金の納付猶予を受けている人(障害基礎年金の受給者は除く)
  • 農業者年金に加入している人

毎月5,000円から1,000円単位で掛金を設定でき、好きな商品を運用できるのが特徴的です。
受け取りは原則60歳からで、一時金として一括受取にするか、年金として分割受取にするかは選択できます。

なお、iDeCoの場合は掛金が全額所得控除になるだけでなく、運用時に得た分配金などの運用利益も非課税になります。
受取時も一定額までなら非課税となるため、税負担を軽減させながら自身の老後資金を貯めておきたい場合におすすめです。

ただし、運用結果によっては、受取額が掛金の総額を下回ってしまう可能性や、口座開設や口座管理などの別途手数料が掛金や年金資産から差し引かれる可能性があります。
その点に注意しつつ、iDeCoを活用してみてください。

医療費控除/セルフメディケーション税制を受ける

医療費が年間で10万円以上になった場合、医療費控除が受けられ住民税を抑えられます。
所得200万円未満だと所得の5%を超えた場合に医療費控除が受けられます。同じ生計にある家族の分も合算することが可能です。
医療費控除は病院での治療にかかった費用だけでなく、通院するための交通費や入院時に発生した食事代、鍼灸費用なども対象に含まれます。
通院する機会が多い場合は医療費控除の申請を忘れずに行ってください。

医療費控除との選択でセルフメディケーション税制もあり、OTC医薬品の購入費用が年間12,000円を超えた場合に適用される制度です。
医療費控除を受けるためには医療費が10万円を超えていなければなりませんが、セルフメディケーション税制なら、医薬品の購入費用が12,000円を超えていれば利用できます。
医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらのほうがお得になるのか試算した上で、適用を受けるようにしてください。

生命保険料控除を受ける

生命保険料控除とは、生命保険・医療保険・個人年金保険などに加入していた場合、1年間に支払った保険料に応じて受けられる控除です。
住民税を少しでも安くするなら、これらの保険に加入して控除を受けるのもひとつの手です。

生命保険料控除は旧制度と新制度に分かれており、2012年1月1日以降からの新制度では主に3つの種類があります。

  • 一般生命保険料控除
  • 介護医療保険料控除
  • 個人年金保険料控除

それぞれ控除できる限度額は以下のとおりです。

各控除 3種類の合計(適用限度額)
所得税 4万円 12万円
住民税 2.8万円 7万円

住民税だけでも7万円の適用限度額まで控除が受けられるため、生命保険や医療保険、個人年金保険などに加入している人は活用したい控除です。

ただし、以下の保険は控除の対象外となってしまうので注意してください。

  • 財形保険
  • 団体信用生命保険
  • 保険期間5年未満の貯蓄保険

住宅ローン控除を受ける

住宅ローン控除は、自宅の購入やリフォームのために住宅ローンを借入れた人が活用できる控除です。
住宅ローン控除は毎年ローン残高の0.7%にあたる金額を、最大13年間控除できる制度です。
新築住宅を2,000万円で購入した場合、2,000万円の0.7%にあたる年14万円を最大13年間税金から差し引けます。
ただし、控除額は毎年計算するため、住宅ローン残高が減れば控除額もその分減少していきます。

また、新築住宅の購入なら最大13年間、中古住宅なら最大10年間の控除が受けられますが、必ずしも13年または10年が適用されるわけではありません。
住宅ローンの返済期間を13年までに設定していたとしても、繰り上げ返済を利用し12年以下で住宅ローンが完済されれば、住宅ローン控除も12年以下になる可能性があります。

住宅ローン控除を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 床面積50㎡以上
  • 合計所得2,000万円以下
  • 引き渡しまたは工事が完了してから6カ月以内に居住している
  • ローンの返済期間が10年以上
  • 中古住宅の場合、1982年1月1日以後に建築されている、または地震に対する安全性の基準に適合している
  • 買取再販の場合、新築後10年以上経過しており、宅地建物取引業者が取得やリフォーム、再販するまでの期間が2年以内

ふるさと納税を行う

ふるさと納税は、寄付した金額から自己負担分2,000円を差し引いた金額が、翌年の住民税・所得税から控除される制度です。
ふるさと納税は税額控除額が大きく、さらに寄付をしたい自治体からは返礼品を受け取れるため、実質2,000円で高級食材や日用品などをゲットできる仕組みとなっています。

ふるさと納税を行うには、まず自身の控除上限額を知っておく必要があります。
もし控除上限額を超えてしまうと自己負担分が2,000円以上になってしまい、お得にならないためです。
まずは自分の給与収入や家族構成から自身の控除上限額がどれくらいか確認しておいてください。

なお、個人事業主の場合は確定申告なしで受けられる「ワンストップ特例制度」は利用できません。
寄付をする自治体が5つ以内であっても、確定申告で税額控除の手続きを行ってください。

親や子を扶養に入れる

扶養の対象になる親族がいる場合、扶養に入れることで所得税・住民税の控除が受けられます。
扶養の対象になる親族になる要件は以下のとおりです。

  • 年齢が16歳以上
  • 6親等内の血族または3親等内の姻族
  • 同一生計にある
  • 合計所得金額が48万円以下
  • 青色申告の事業専従者給与を受け取っていない、または白色申告者の事業専従者ではない

一緒に住んでいなくても、同一生計にある場合は扶養控除が適用されます。
例えば、16歳以上の子どもが寮に入っていたり、下宿していたりする場合は同一生計となり、扶養控除が受けられるのです。
要件にもあるとおり、扶養に入れる親族が青色申告者の事業専従者給与を受け取っている場合は控除が受けられません。

また、親族というと配偶者も含まれるイメージかもしれませんが、配偶者には配偶者控除(配偶者特別控除)と別枠の控除が用意されており、扶養控除には入りません。

住民税決定通知書を必ずチェック


住民税決定通知書は、前年の収入をもとに算出された住民税額がどれくらいあるのかを知らせるための書類です。毎年地方自治体が発行・送付を行い、6月頃に届きます。
住民税決定通知書には主に以下の項目が書かれています。

  • 前年1月1日~12月31日までの収入総額と控除額
  • 税額の詳細
  • 納税期日
  • 納付額

なお、2024年6月から定額減税で1人あたり所得税3万円、住民税1万円の計4万円が減税されます。
住民税決定通知書にも記されており、住民税の納付額が確実に減っているか確認することが大切です。
チェックする際は、納付額の6月の欄が「0円」または空欄や「―」などになっているかどうかや、7月以降の納税額に定額減税分が反映されているかを確認してください。

住民税を少しでも節税できるよう控除をうまく活用しよう

住民税を節税する方法はいくつかあります。負担を軽減させるためには、所得を減らすために控除を増やしていくことが重要です。
注意点もしっかり把握し、用意された控除を利用して最大限活用できるようにしてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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