IT導入補助金2024の採択率は?採択されない理由や申請を成功させるための方法

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IT導入補助金の採択に向けて概要を理解しよう


IT導入補助金は、経営課題の解決に向けてITツールの導入をサポートするための補助金制度です。IT導入補助金には主に5つの枠組みがあり、それぞれ交付申請期間が異なります。
IT導入補助金2024の採択率が気になる方も多いかもしれません。

そこで今回は、IT導入補助金2024の採択率や採択率をアップさせる方法、採択されない場合の主な理由を紹介します。
これからIT導入補助金の申請を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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IT導入補助金2024の採択率


IT導入補助金2024の採択率は枠組みごとに異なります。ここでは、5つの枠組みごとに2024年10月時点の採択率を紹介します。

通常枠

申請数 交付決定数 採択率
1次締切分 1,576 1,189 75.4
2次締切分 2,335 1,760 75.4
3次締切分 2,912 2,206 75.8
4次締切分 3,286 2,521 76.7
5次締切分 3,577 2,762 77.2
6次締切分 5,881 4,648 79

通常枠の採択率は平均で約76.6%でした。いずれも75%以上と高い数値となっています。
通常枠はIT導入補助金の枠組みの中でも幅広い業種・事業で活用できるITツールを対象としていることもあり、申請数が比較的多い枠組みです。
それでも常に75%以上の高い採択率を誇っていることから、採択される可能性は高いといえます。

インボイス枠(インボイス対応類型)

申請数 交付決定数 採択率
1次締切分 1,607 1,531 95.3
2次締切分 1,548 1,457 94.1
3次締切分 2,061 1,944 94.3
4次締切分 2,061 1,957 95
5次締切分 2,830 2,666 94.2
6次締切分 2,196 2,076 94.5
7次締切分 3,151 2,924 92.8
8次締切分 2,408 2,269 94.2
9次締切分 2,978 2,766 92.9
10次締切分 3,797 3,567 93.9
11次締切分 10,043 9,036 90

インボイス対応類型の採択率は、平均で約93.7%でした。
インボイス対応類型は、インボイス制度に対応するために、会計・受発注・決済のいずれかの機能を持つITツール導入に特化した申請枠です。
また、補助限度額に下限がなく、安価なITツールを導入する際にも活用できます。

1次締切から申請数は増え続け、11次締切分では1万件以上もの申請がありました。採択率は90%を維持しており、申請を出したほとんどの人が採択されたことになります。

インボイス枠(電子取引類型)

申請数 交付決定数 採択率
1次締切分 0 0
2次締切分 1 1 100
3次締切分 0 0
4次締切分 0 0
5次締切分 0 0
6次締切分 0 0

インボイス対応類型と同じインボイス枠になる電子取引類型では、2次締切以外の申請はありませんでしたが、1件の申請が採択されたため100%の採択率といえます。
電子取引類型はインボイス対応の受発注システムを、商流単位で導入するための申請枠です。
インボイス対応類型に比べて業種・ITツールなどが限られていることから、他の枠組みよりも申請数が少なくなっています。

セキュリティ対策推進枠

申請数 交付決定数 採択率
1次締切分 18 14 77.8
2次締切分 24 23 95.8
3次締切分 33 30 90.9
4次締切分 20 20 100
5次締切分 35 32 91.4
6次締切分 46 44 95.7

セキュリティ対策推進枠の採択率は、平均で約91.9%でした。
セキュリティ対策推進枠は、サイバー攻撃のリスクに対応できる「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の導入支援に役立つ申請枠です。
採択率は変動しているものの、概ね90%以上となっていることがわかります。特に4次締切の申請数20件がすべて採択されたため、採択率は100%です。

複数社連携IT導入枠

申請数 交付決定数 採択率
1次締切分 2 1 50
2次締切分 0 0
3次締切分 3 2 66.7

複数社連携IT導入枠の採択率は、平均で約58.4%でした。複数社連携IT導入枠は、複数の中小企業や小規模事業者が連携してITツールを導入する際に活用できる申請枠です。
複数の企業が連携を取る必要があるため申請数は少ないですが、約半数は採択されていることがわかります。

これまでのIT導入補助金の採択率の推移


続いて、2023年後期の採択率の推移を紹介します。

【通常枠(A類型)】

申請数 交付決定数 採択率
5次締切分 1,186 911 76.8
6次締切分 2,188 1,691 77.3
7次締切分 2,802 2,154 76.9
8次締切分 2,001 1,546 77.3
9次締切分 2,324 1,754 75.5
10次締切分 3,330 2,531 76

【通常枠(B類型)】

申請数 交付決定数 採択率
5次締切分 23 14 60.9
6次締切分 56 34 60.7
7次締切分 51 31 60.8
8次締切分 44 25 56.8
9次締切分 53 36 67.9
10次締切分 71 42 59.2

【セキュリティ対策推進枠】

申請数 交付決定数 採択率
5次締切分 15 11 73.3
6次締切分 30 27 90
7次締切分 34 30 88.2
8次締切分 22 18 81.8
9次締切分 36 33 91.7
10次締切分 30 20 66.7

【デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)】

申請数 交付決定数 採択率
7次締切分 3,337 2,727 81.7
8次締切分 2,557 2,059 80.5
9次締切分 3,911 2,923 74.7
10次締切分 3,487 2,844 81.6
11次締切分 3,363 2,642 78.6
12次締切分 3,257 2,464 75.7
13次締切分 3,034 2,287 75.4
14次締切分 2,989 2,324 77.8
15次締切分 3,771 3,006 79.7
16次締切分 3,580 2,716 75.9
17次締切分 8,878 6,314 71.1

【デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)】

申請数 交付決定数 採択率
3次締切分 0 0
4次締切分 0 0
5次締切分 0 0
6次締切分 0 0
7次締切分 0 0

【デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)】

申請数 交付決定数 採択率
3次締切分 1 1 100
4次締切分 2 2 100
5次締切分 1 1 100

2023年度後期と2024年度では枠組みが異なりますが、2024年はデジタル化基盤導入枠がよりインボイス対応に特化した形となります。
採択率をみてみると、ITツールを導入する事業に適用される通常枠(A類型)は、2024年度の通常枠と同等の採択率になっていることがわかります。
通常枠(B類型)はITツールの導入による新規事業の展開や、経営革新に向けた具体的な計画が求められるため、A類型よりも申請数が少なく、採択率も60%前後を推移していました。
セキュリティ対策推進枠は2023年後期に平均で約82%となることから、2024年度は10%近く採択率が上昇しています。

IT導入補助金の採択率をアップさせる方法


IT導入補助金の採択率をアップさせるためには、以下3つのポイントを押さえておくことが大切です。

加点項目を意識する

IT導入補助金2024では、枠組みごとに加点項目が設けられています。加点項目に意識的に取り組むことで、採択率を上げることが可能です。
加点対象となっている取組みや関連事業は以下のとおりです。

  • 地域未来投資促進法における地域経済牽引事業計画が都道府県から承認されている
  • 地域未来牽引企業に選定されている
  • クラウドを利用したITツールの導入を検討している
  • インボイス対応のITツール導入を検討している
  • 賃上げの事業計画策定や従業員への表明を行い、事業計画を達成している
  • SECURITY ACTIONの「二つ星」の宣言を実施している
  • 「みらデジ経営チェック」を実施している
  • 国が推進するセキュリティサービスを選定している
  • 健康経営優良法人2024に認定されている
  • 地域DX促進活動支援事業の支援コミュニティ・コンソーシアムから事業支援を受けている
  • 事業継続力強化計画または連携事業継続力強化計画の認定を取得している
  • 介護職員等特定処遇改善加算を取得し、職場環境要件の区分ごとに1以上の取組みを実施している
  • くるみん・えるぼし認定のいずれかに該当している

枠組みによって加算される取組み・関連事業が異なるため、IT導入補助金2024の「関連施策一覧」を確認しておいてください。

整合性を持たせる

IT導入補助金を申請する際、審査を通過するためには整合性を持たせることが重要です。
例えば、タイムカードに打刻する従来の勤怠管理では、従業員の長時間労働や生産性の低下につながります。
このような問題を解決するために、補助金を使ってスマートフォン・タブレットからも利用できるクラウド勤怠管理システムを導入する場合、補助金を使用できます。
一方で、自社の経営課題とは一切関係なく新しいITツールを導入するのに補助金を使いたいという場合には、審査に通らないことがあるかもしれません。
まずは自社の課題を振返り、導入するITツールが課題解決につながるか考えてみてください。

専門家に相談する

IT導入補助金の申請には提出書類がいくつか必要ですが、不備なく作成できるか不安に感じる方もいるでしょう。
そのような場合におすすめしたいのが、補助金の専門家への相談です。専門家に依頼することで、採択されるためのアドバイスを受けたり、申請代行を依頼できたりします。

専門家に相談する際には、まず認定支援機関かどうかを確認してください。認定支援機関は国から指定された機関で、経営革新・業務改革を支援してくれます。
なお、ITツールの導入や計画を実行に移すためのオペレーションをサポートしてもらうためには、補助金だけでなくWebやITジャンルにも強い専門家に依頼することが重要です。

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IT導入補助金が採択されない主な理由


IT導入補助金の採択率は枠組みによっては比較的高いものの、採択されない場合もあります。採択されない場合の主な理由を探っていきます。

対象外の経費・事業者である

そもそも申請対象外の経費や事業者であれば、採択されません。申請の対象外となる経費と事業者は以下のとおりです。

【対象外の経費】
  • 単一の処理しか行えないITツールやソフトウェア
  • 購入済みのソフトウェアを増台させるための費用や追加購入分のライセンス費用、既存ソフトウェアをリビジョンアップするための費用
  • ホームページと同様の仕組みのツール(情報入力や保存、検索など簡易的な機能しかない)
  • ホームページ制作やWebアプリ政策、コンテンツ制作、単なるコンテンツ配信管理システム
  • 業務効率を図るものではなく、販売する商品・サービスに付加価値を加えることが目的のもの
  • リース・レンタル契約のソフトウェア
  • 公租公課(消費税) など
【対象外の事業者】
  • 発行済み株式の総数または出資価格の総額2分の1以上を同一の大企業が所有する中小企業・小規模事業者
  • 発行済み株式の総数または出資価格の総額3分の2以上を大企業が所有する中小企業・小規模事業者
  • 大企業の役員または職員を兼任する人が、役員総数2分の1以上を占める中小企業・小規模事業者
  • 発行済み株式の総数または出資価格の総額を、上記に該当する中小企業・小規模事業者が所有する中小企業・小規模事業者
  • 上記1~3に該当する中小企業・小規模事業者の役員または職員を兼任する人が役員総数のすべてを占める中小企業・小規模事業者
  • 確定申告済み直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得に対する年平均額が15億円を超えている中小企業・小規模事業者

申請内容に不備がある

IT導入補助金の不採択によくある理由として、申請内容の不備が挙げられます。例えば、申請情報の入力ミスをしていたり、必要書類が不足していたりすることなどです。
また、法人であれば履歴事項全部証明書、個人事業主は運転経歴証明書または住民票が必要となりますが、発行から3カ月以内のものでなければ提出できません。
書類に不備が出ると、申請内容に問題がなくても不採択になります。
初歩的なミスを減らすためにも、第三者に依頼して確認してもらうなど、チェック体制を見直してみてください。

申請内容に効果が認められない

IT導入補助金で採択されるためには、ITツールの導入によって効果が認められることも大切です。
例えば、従業員の数や企業の規模に見合わない高額なITツールを申請に出す場合、費用対効果が合っていないことから不採択になる可能性があります。
また、自社の課題とITツールの関係性が薄く、導入による改善が見込まれなければ不採択になるかもしれません。自社の環境や課題に最適なITツールを選定することが重要です。

減点項目に該当している

IT導入補助金には加点項目だけでなく、減点項目も設けられています。
減点項目に該当している場合、必ずしも不採択となるわけではありませんが、減点されると不採択の可能性が高まるかもしれません。
IT導入補助金の減点対象として、以下の項目が挙げられます。

  • 前年に補助金を使って導入したITツールと機能が重複している
  • 複数の枠組みに対して同時に申請を出している

なお、IT導入補助金は不採択になっても再び申請できますが、1回目の申請よりも採択率が低くなってしまうことに注意してください。

まとめ・IT導入補助金2024の審査項目や要件を見直して採択率をアップしよう

IT導入補助金2024の採択率は枠組みによって異なるものの、75~90%前後が平均値となっていたため、不備なく申請ができれば採択される可能性があります。
ただし、必ず採択されるわけではありません。審査項目や要件などを見直した上で、この記事で紹介した採択率を上げる方法を取り入れて採択を目指してください。

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(編集:創業手帳編集部)

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