法人化の準備は何から?必要書類と手続きの流れを徹底解説

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法人化するためには様々な準備が必要


個人事業主としての活動が軌道に乗ってくると、「そろそろ法人化を検討しよう」と考える人もいるでしょう。
法人化には、事業の信用力向上や節税などのメリットがある一方で、手続きや書類の準備など、やるべきことが数多くあります。
特に、法人設立の手続きには通常2~3週間ほどの期間がかかるため、スケジュールに余裕を持って進めることが大切です。

この記事では、法人化に向けた準備と手順、必要書類などを詳しく解説していきます。法人化を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

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法人化する際の準備と手順


個人事業主から法人化に向けて準備を進めようとした時、具体的にどのような準備が必要になってくるか知っておく必要があります。
ここで、法人化する際の準備と手順について解説します。

1.会社の基本事項を決める

まずは会社の基本事項を決めていくことから始めていきます。会社の基本事項とは、主に以下の項目を指します。

  • 法人の目的
  • 会社名(商号)
  • 本店の所在地
  • 資本金
  • 株主・役員の構成と報酬
  • 決算日

基本事項は経営の根幹となる部分になるため、慎重に検討することが大切です。また、取り扱うビジネスによっては許認可を得る必要もあります。
例えば飲食店の経営を考えているなら飲食店営業許可、中古品の売買を扱うビジネスの場合は古物商許可証が必要です。
飲食店営業許可の申請は保健所、古物商許可証の申請は各都道府県の公安委員会から取得できます。

2.会社用の印鑑を準備する

次に会社用の印鑑を準備します。会社用の印鑑はこの後に行う登記申請に必要です。
また、法人口座を作成したい場合も会社用の印鑑が必要になってくることから、先に準備しておくと良いでしょう。

会社用の印鑑には主に4つの種類があります。

  • 代表者印(実印)
  • 銀行印
  • 角印
  • ゴム印

このうち、法人化で特に必要となるのが代表者印(実印)です。
代表者印のサイズには規定があり、直径が10mm以上30mm以内の正方形に収まるものにする必要があります。
形状は丸でも四角でもどちらでも問題ありませんが、直径18~20mm程度の丸印が選ばれる傾向にあります。

3.定款を作成して認証を受ける

会社用の印鑑を作成できたら、次に定款を作成します。
定款とは、会社経営における基本ルールをまとめた書類で、会社法によって会社設立時に定款を作成することが義務付けられています。
定款に決められた様式はないものの、記載する事項は3つに分類され、その中でも「絶対的記載事項」は必ず明記しておかなくてはなりません。
絶対的記載事項は以下のとおりです。

  • 商号
  • 事業目的
  • 本店所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 発起人の氏名・住所

定款が完成したら、公証役場で公証人からの認証を受ける必要があります。
定款の認証を受けるためには、以下の書類と費用が必要になるため、あらかじめ準備してください。

  • 定款3部
  • 発起人全員の印鑑登録証明書(1部ずつ、3カ月以内のもの)
  • 発起人全員の実印
  • 認証手数料(1.5万円~5万円)
  • 収入印紙4万円分(電子定款の場合は印紙代不要)
  • 委任状(代理人が申請する場合)

なお、合同会社や合資会社、合名会社などは定款を作成する必要はあるものの、公証人からの認証は不要です。

4.資本金を払込む

発起人の口座にあらかじめ基本事項で定めていた資本金を払込みます。
法人口座ではなく、発起人の個人口座に払込むのは、この時点だとまだ法人口座が開設できないからです。
もし発起人が複数いた場合は、発起人総代の銀行口座に資本金を払込みます。
法人を設立する際に資本金の払込が確認できないと、登記申請ができなくなるので注意してください。

5.登記申請を行う

資本金の準備まで完了したら、法務局で登記申請を行います。
登記申請の手続きには、以下の書類が必要となるため事前に準備しておきましょう。

  • 登記申請書
  • 登録免許税納付用台紙
  • 定款
  • 発起人の決定書
  • 取締役、代表取締役の就任承諾書
  • 取締役の印鑑証明書
  • 資本金の払込があったことを証明する書面
  • 印鑑(改印)届出書
  • 登記すべき事項を記載した書面またはCD-R

提出した書類に不備がなければ、約1週間~10日で手続きは完了します。

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法人化のために準備する必要書類


法人化に向けて、手続きなどに必要な書類を前もって準備しておくことが大切です。ここで、必要書類とそれぞれの役割などを紹介していきます。

登記申請書

登記申請書は、会社の登記申請を行うために必要な書類です。登記申請書で記載する項目は、以下になります。

  • 会社名(商号)
  • 本店所在地
  • 登記の事由
  • 登記すべき事項
  • 課税標準金額(資本金の額)
  • 登録免許税額
  • 添付書類

登録免許税額は基本的に資本金額の1,000分の7の金額となりますが、株式会社の場合はその金額が15万円を下回っていた場合、15万円になります。(合同会社の場合は資本金が6万円に満たない場合は6万円)
登記申請書の様式は、法務局のホームページからダウンロードすることも可能です。
株式会社と持分会社(合同会社など)で様式が異なるため、間違えないように注意してください。

登録免許税納付用台紙

登録免許税納付用台紙とは、登記申請の際に登録免許税を納めるために必要な台紙です。
登録免許税を納めるには現金ではなく、金額に応じた収入印紙を購入して納付用台紙に貼り付けて提出することになります。

登録免許税納付用台紙に決められた様式はありません。A4サイズの用紙を準備して収入印紙をそのまま貼り付けるだけでも良いです。
ただし、提出先の法務局が登録免許税納付用台紙だとひと目でわかるようにしておきましょう。

なお、収入印紙を台紙に貼り付ける際に、収入印紙に誤って消印をしないように気を付けてください。
消印をしてしまうと収入印紙は無効となり、再度収入印紙を準備する必要があります。

定款

定款は上記でも紹介したように、法人化する際には作成が義務付けられている書類です。
法人化する場合、登記申請で1部(電子定款で作成した場合はCD-R)を提出することになります。
登記申請の際に提出する定款は原本ではなく、原本証明付きのコピーを準備する必要があります。

原本証明とは、定款のコピーと原本が同じ内容であることを証明するためのものです。
コピーした定款の余白部分に、原本と相違ないことと証明した日付、本店所在地、社名、代表者名などを明記して代表者印を押します。
なお、原本証明が求められない場合もあるため、事前に提出先へ確認しておくと安心です。

印鑑届出書

印鑑届出書とは、会社の実印を法務局に登録する際に必要な書類です。会社の実印を作成したとしても、法務局に登録されていなければ実印として使用できません。
印鑑届出書は法務局のホームページから様式をダウンロードできます。

なお、オンラインで登記申請を行う場合、印鑑届出書の提出は任意となります。
ただし、実際に会社を経営している中で実印が必要な場面は多いことから、オンラインで登記申請を行った場合でも、印鑑届出書を提出して実印登録を行っておくことが大切です。

払込証明書

払込証明書は、登記申請の際に資本金がきちんと払込されているかどうかを証明するのに必要な書類です。
法務局は添付された払込証明書を元に資本金の払込状況を確認し、登記手続きを進めます。

払込証明書には払込情報を正確に記載する必要があります。

  • 設立時発行株式数(株式会社の場合)
  • 払込を受けた金額(資本金額)
  • 払込日
  • 会社名(商号)

証明書には預金通帳の写し(または取引明細書や払込金受取書、ネットバンキングなどの取引状況がわかる画面をプリントしたものなど)と合わせて綴じる必要があります。
写しには払込先金融機関名と口座名義人名、振込日および振込金額が記載されているか確認してください。

取締役の就任承諾書

就任承諾書とは、会社役員が選任された際、役員本人が承諾したことを証明するための書類です。
役員が就任する場合、会社側が勝手に決めて就任させることはできず、必ず本人から承諾を得る必要があります。
法人化で登記申請書を提出する際に役員の情報も載せることになり、確認するための書類として取締役の就任承諾書を添付します。

就任承諾書に決まった様式はないものの、以下5つの項目はすべて記載しなくてはなりません。

  • 取締役に選任された日付
  • 選任された取締役の住所
  • 選任された取締役の氏名
  • 定款に記載されている会社名
  • 選任された取締役の押印

印鑑証明書

印鑑証明書は、市区町村の役所に登録した印鑑(実印)が本人のものであることを公的に証明できる書類です。
定款認証を受ける時と法務局で登記申請を行う時に、発起人と取締役の印鑑証明書が必要になります。

発起人や取締役の印鑑証明書は、市区町村の役所で取得します。(法人設立後の会社の印鑑証明書は法務局で発行されます)

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法人化した後に必要な手続き


ここまでは法人化する前の準備や手続きについて紹介してきましたが、登記申請が完了してからも様々な手続きが必要となってきます。
ここで、法人化した後に必要な手続きについて紹介します。

会社の銀行口座を作る

登記申請の段階ではまだ法人口座を開設できない状態でしたが、完了後は法人口座を開設できるようになります。
売上げの入金や仕入れに使ったお金の支払いなどで口座は必要となるため、早めに準備しておくと安心です。

法人口座を開設しなかったとしても、開設はあくまで任意であり義務付けられているものではありません。
そのため、間に合わない場合は個人名義の口座で取引しても問題ないです。
ただし、個人名義の口座で取引し続けると取引先から信頼を得られず、ビジネスのシーンで不利になる可能性もあるので、なるべく法人口座は開設したほうが良いでしょう。

登記事項証明書・印鑑証明書を発行する

法人を設立した際に、法人設立から2カ月以内に法人設立の届出をする必要があります。
この届出に登記事項証明書(登記簿謄本)と印鑑証明書が必要になってくることから、それぞれ取得しておいてください。

登記事項証明書と印鑑証明書はどちらもオンラインでの請求が可能です。わざわざ法務局まで足を運ぶ必要がないため、忙しい時に便利な方法と言えます。
ただし、登記・供託オンライン申請システムを活用するには、事前に申請者情報登録が必要です。
また、印鑑証明書を請求する際には、電子署名に係る電子証明書を取得して送信することになります。

法人設立届出書を各機関に提出する

法人設立後に法人設立届出書を各機関へ提出する必要があります。機関ごとに提出する書類や提出期限などが若干異なるので注意してください。

機関 必要書類 提出期限
税務署 法人設立届出書 法人設立日から2カ月以内
青色申告の承認承諾書 法人設立日から3カ月以内
給与支払事務所などの開設届出書 1回目の給与支払い日まで
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 特例を受ける月の前月最終日まで
都道府県税事務所 法人設立届出書 都道府県によって異なる
市区町村役場 法人設立届出書 市区町村によって異なる

社会保険・労働保険への加入手続きを実施する

法人化した場合、社会保険・労働保険への加入手続きも必要となります。各保険の加入手続きで必要な書類が異なるので、事前に確認してください。

【社会保険の手続き(年金事務所)】
  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
  • 健康保険被扶養者(異動)届書
【労働保険の手続き(労働基準監督署)
  • 保険関係成立届
  • 概算保険料申告書
【雇用保険(ハローワーク)】
  • 適用事業所設置届
  • 被保険者資格取得届

個人事業主の廃業手続きを行う

個人事業主から法人成りをして新たに会社を設立した場合、個人事業主の廃業手続きを行います。
個人事業の廃業届出書は、廃業してから1カ月以内に税務署への提出が必要です。
また、青色申告を利用していた場合は所得税の青色申告の取りやめ届出書、従業員を雇用していた際には給与支払事務所等の廃止届出書を提出しなくてはなりません。

なお、個人事業主として事業を残した状態で法人化をすることも可能です。
また、個人事業主を廃業したら、その時に所有していた資産・債務をすべて法人に移行することになるため、その手続きも必要となります。

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まとめ・事前準備を万端にしてスムーズな法人化を目指そう

法人化は、事業の成長を次のステージへと進める大きなステップです。
しかし、登記や書類作成、必要書類の収集など、事前準備を怠るとスケジュールが遅れたり手続きが複雑化したりすることもあります。
法人設立には2~3週間ほどの期間が必要となるため、余裕を持って計画的に進めることが重要です。しっかりと準備を整え、スムーズな法人化を実現しましょう。

創業手帳(冊子版)は、これから会社設立を考えている人はもちろん、すでに会社を経営している人や個人事業主・フリーランスの人にも役立つ情報を掲載しています。経営・ビジネスに関する様々な情報を得たい人は、ぜひ創業手帳をお役立てください。

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(編集:創業手帳編集部)

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