クラウドファンディングとはどんなもの?特徴や形態、おすすめサービスを解説
近年注目を集めるクラウドファンディング。その特徴や形態、実際のサービスについて解説します。
クラウドファンディングは、近年起業者からも注目を集めている資金調達方法のひとつです。
従来のように、金融機関などからの借入れや融資ではなく、一般の支援者から資金を募ることができます。
クラウドファンディングのサービスも、多様なものが登場しておりその特徴もそれぞれに異なります。そのため、自分の事業に合ったものを利用することが大切です。
今回は、クラウドファンディングの仕組みやおすすめサービスについて解説します。
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この記事の目次
クラウドファンディングとはどのようなものか
こちらでは、クラウドファンディングとはどのようなものかを説明します。
クラウドファンディングの概要
クラウドファンディングは、起業間もなくの会社や個人事業主などが、自身の事業や商品・サービスの提供にかかる資金をインターネット上で募る仕組みです。
語源は、英語でCrowd=群衆、Funding=資金調達の2つの単語を組み合わせたものです。
このとき、資金を提供してくれるのは一般の支援者であり、金融機関からの融資や株主からの出資などとは形態が異なります。
一般支援者は、起案された事業に対して共感を持って支援したいと考えた時に、少額から支援金を投じることができます。
2014年の金融商品取引法改正までは、クラウドファンディングを利用するには様々な制限があり、実際の利用対象は個人単位の小規模な商品・サービスでの利用のみでした。
しかし、法改正以降はクラウドファンディングの利用促進として、法人の参加条件が緩和され多くの会社が利用に参入できるようになってきました。
クラウドファンディングの利点には、主に以下のようなものがあげられます。
・気軽に資金調達ができる
クラウドファンディングは、融資でも一般的な投資でもないため、事業成績に縛られることなく、気軽に資金を募ることができます。
・インターネット上で多くの人からの支援を募れる
インターネット上で支援者を募集できるクラウドファンディングは、幅広く事業内容を発信でき、SNSでの拡散も見込めるため、多くの人から支援を得ることが可能です。
・一般ユーザーの反応を事前に把握できる
クラウドファンディングの仕組みは、事業に共感した一般ユーザーからの支援を募るものです。そのため、支援金の収集状況で市場のニーズを事前に知るメリットもあります。
クラウドファンディングはどのようにして生まれたか
クラウドファンディングのような概念は、国内外で古くからあり、建物の建設や書籍出版などにおいて寄付を募り、支援者の名前を記載するような仕組みは存在していました。
そして、上記の仕組みを多くの事業に適用するべく現代に適した形となり、欧米では2000年代からクラウドファンディングが浸透しています。
クラウドファンディングには種類がある
クラウドファンディングには、主に下記のような5種類の形態に分けられ、それぞれの事業におすすめの形があります。
購入型は商品やサービスを購入する
購入型とは、事業で創出される商品やサービスを支援し、目標金額を達成した時に支援金に応じた商品やサービスをリターンとして受け取れるものです。
この一連の流れを客観的に見ると、商品やサービスの購入と同様であるため、購入型と呼ばれています。
寄付型は共感するプロジェクトに寄附する
寄付型は、起案された事業やプロジェクトに対して支援金を寄付し、目標金額を達成しプロジェクトを完遂した際に、活動報告や礼状などを受取る形態です。
主に、リターンがない社会貢献事業に行われることが多く、税法上でも寄付金と扱われるため、支援者が投じた金額に応じ所得から控除することができます。
リターンが得られる金融型は細分化される
金融型とは、支援の見返りとして金額のリターンを受取れるものであり、その種類はいくつかに細分化されます。
融資型
融資型とは、起案された事業に対し、不特定多数の個人から資産運用目的で少額の出資を募り、目標金額を達成した時点で起案者に融資される。というものです。
出資者は、従来の投資よりも低額で参加でき、元金が保証された状態で毎月一定の金利によりリターンを得られます。
ファンド投資型
ファンド投資型は、事業をファンドとして支援を募り、事業が成功すれば、支援者は利益に応じた分配金を受取ることができる仕組みです。
また、事業成績が思わしくなければ元本割れの可能性がある点についても、ファンド投資と性質が似ています。
株式投資型
起案者である非上場会社が株式を発行して支援者が購入する形であり、起業したての会社でも株式による資金調達が見込めます。
この形態では、支援者は非上場会社の株主となり、その会社が成長し上場するまで支えて大きなリターンを得られることも期待できるでしょう。
クラウドファンディングを行うまでの流れ
以下では、会社や個人事業主がクラウドファンディングを始めるまでの流れを紹介します。
プロジェクトの目的を決める
まずは、支援を募りたい事業・プロジェクトによって何をやりたいのかを具現化します。曖昧なイメージだけでは、支援者を納得させることができないためです。
そのため、新しいアイデアや将来的な目標をきちんと形にして公開することで、その手段としての資金調達を受けやすくなります。
プロジェクトのメンバーを集める
事業やプロジェクトの目標が決まれば、これをどのようなメンバーと、何人で達成するかを考え、メンバーを集めます。
事業運営にあたり複数のポジションが必要であれば、ポジションを具体的にあげていき、適任である人材を募集しなくてはいけません。
プロジェクトに見合った金額を決定する
目標があり人材を集めたら、その事業・プロジェクトの完遂にあたりどれくらいの資金が必要であるかを算出します。
金額決定の際、事業に見合わない高額では支援者へのハードルを高くしてしまいますし、低額すぎると事業運営に障害が発生します。
そして、適切なラインの目標金額を設定しますが、この目標金額を超えた部分は、手数料を除いて全額資金として利用可能です。
そのため、事業が魅力的であれば、目標金額を低く見積もっても資金に余裕を持てる可能性があります。
クラウドファンディングサイトに登録する
準備ができたら、クラウドファンディングサービスを提供しているサイトに登録申請を行います。
登録時には、事業内容や目標金額などについて簡単な審査があり、事業公開をサービスサイトにアピールするための具体的な計画が必要です。
募集期間の決定やアピールを行う
事業を公開するにあたり、支援金の募集期間を決定します。この時、短期間では目標金額に達成しづらいですし、逆に長期間では事業計画に影響を与える可能性があります。
一般的には、募集期間を1ヵ月~1ヵ月半程度で切り上げるケースが多いです。
資金を受取る
クラウドファンディングの募集期間が終了すれば、資金の受取りに進めますが、受取り方法には下記の2種類があります。
・目標金額達成時のみ資金調達ができる
これは、All or Nothing方式と呼ばれるもので、支援金が目標金額を達成すれば金額を受取れますが、達成できなかった場合には全く金額を得られないシステムです。
この場合、支援金募集に失敗すれば資金繰りが危ぶまれますが、支援者のリターンを準備する必要もなくなり、比較的リスクは低いといえます。
・目標を達成せずとも資金を受けられる
このシステムはAll in方式と呼ばれ、支援金が目標金額に達していない場合でもその金額を受取ることが可能です。
資金の足しに少しでも金額を受取りたいという場合には安心できる仕組みですが、資金繰りが苦しくなっても支援者へのリターンは必ず行わなければなりません。
終了したら支援者にリターンする
クラウドファンディングで得た資金を使って事業を進め、終了すれば支援者に何らかの形でリターンを返します。
リターンの形や金額は、金融型以外では自由に設定できることが多いです。事業内容に見合ったもので、無理のない範囲で設定すると良いです。
クラウドファンディングサイトの選び方
数あるクラウドファンディングサービスの中からどれを選択するかは、事業ごとのおすすめの方法を見極めることが大切です。
以下では、おすすめのサービス選択方法を5つ紹介します。
1.目的に合わせた形態を選ぶ
事業の目的に合わせて、購入型・寄付型・金融型から選びます。例えば、以下のように考えます。
・商品やサービスを提供するなら購入型
新しい商品やサービスを提供するなら、購入型がおすすめです。これらのリターン形式により、資金調達に加えて事業の宣伝効果も期待できるためです。
さらに、支援者に対して割引のような優待サービスなどを付加すれば、根強いファンを付けることも期待できます。
・社会貢献に寄与したいなら寄付型
被災者支援や子どもの成長に関する支援といった社会的に役に立つ事業を展開する場合は、リターンのない寄付型がおすすめです。
この場合、リターンをしない分支援者からの強い共感や事業の透明性が求められますが、事業目的と同じ思いを持った支援者を集められれば、有益な資金調達が行えます。
・事業の成長や大きな成功を収める見込みがあるなら金融型
金融型は、起案者である会社の事業が成功すれば、その分支援者は多大なリターンを得ることができます。
そのため、自身の事業を支援によって成長させたい、成功して大きな利益を得ることを見込んでいるなどの場合には、金融型で支援を募り目標に邁進するのがおすすめです。
2.PRページを作成できるものがおすすめ
クラウドファンディングで支援者を募るために、アピールのためのサポートを行ってくれるサービスサイトをおすすめします。
例えば、PRページの作成が簡単にできる、SNSでの情報拡散方法のような内容をアドバイスしてくれるサイトがおすすめです。
また、公開中のみならず起案から募集終了までの過程を細やかにバックアップしてくれるサイトもあるため、サービス内容についてはよく確認しておきましょう。
3.内容に対する手数料をチェックする
クラウドファンディングサイトを利用するには、手数料を支払う必要があります。一般的に、利用手数料は募集金額の1割~2割強が相場とされています。
ここで注意したいのは、安易に安い手数料のサイトを選んだ時に、適切なサービスやサポートを受けれらない可能性があることです。
必要な資金と手数料を鑑み、多少高い手数料を支払っても、募集のバックアップに適したものと判断すれば、そちらを選ぶのが得策です。
4.収集した金額の入金スピードが早いかどうか
クラウドファンディングサイトによって、収集した支援金を現金化するまでの期間について、1週間~数ヵ月のように異なります。
サイトによっては有料オプションとしてスピーディな入金スパンが選べることもあるため、入金のシステムは事前によく確認しておきましょう。
5.サイトが得意とするジャンルから合うものを探す
数あるクラウドファンディングサイトの中でも、それぞれにどのジャンルを得意とするかが異なっています。
特定のジャンルに特化しているサイトなら、同様にそのジャンルに精通している支援者を得るチャンスにもなりえます。
そのため、自分の事業ジャンルに適したサイトを選ぶのもひとつの方法です。
おすすめクラウドファンディングサイト
こちらからは、クラウドファンディングサイトの中でもおすすめのものをいくつかピックアップします。
購入型のおすすめ
主に社会活動に寄与する
事業ジャンルの中でも、医療や福祉、地域活性のような社会貢献に寄与する事業を中心に取扱っているサイトがあります。
上記の特性から寄付型の案件も公開されていますが、町おこしの一環として地元の特産品をリターンとする、購入型のふるさと納税のような形態のものも多いです。
クリエイターへの支援が中心
大手クラウドファンディングサイトの中で、特にアーティスト作品やものづくりなどクリエイティブ系の事業を中心に展開しているところが存在します。
そのため、募集している案件は購入型が大半で、興味深さをそそられる真新しい事業が多く公開されていることから、好奇心旺盛な支援者を募ることも期待できます。
寄付型のおすすめ
非営利団体などへの支援が受けられる
クラウドファンディングサイトの中で、寄付型に特化した案件を公開しているところは、国内の福祉や災害支援、人権保護のような内容が多いです。
さらに、海外に目を向けて困窮する国や地域への各種支援を募るものも見受けられ、支援者は少額で様々な社会貢献に参加することができます。
ふるさと納税に寄与できる
近年では一般的に広がっているふるさと納税も、クラウドファンディングのひとつに数えられます。
任意の自治体に寄付を行い、特産品などのリターンを受けられるものです。
形態としては購入型と似ていますが、法律上でも寄付であるとされており、納税額に応じて所得税を圧縮することも可能です。
融資型のおすすめ
大手金融メディアが運営
融資型の中には、国内大手の金融メディアが運営を担っている場合もあり、金融の知識に長けているサイトだけに、投資家へのサービスを数々用意しています。
また、大規模な案件をファンドとして公開することも見込まれ、投資家にとっては今後大きなリターンを期待できるサービスに成長する見込みがあります。
不動産案件中心に融資可能
不動産案件を中心に公開しているサイトは、不動産投資を少額から始められるメリットがあります。
主に都市部の案件を公開していることもあり、安定した利回りを得られる可能性が高く投資家にも注目されています。
ファンド投資型のおすすめ
被災地復興などへ投資できる
被災地復興支援ファンドを公開しているサイトで、ファンド投資で分配金を受取れる案件が多く紹介されています。
上記の特性上、元本割れを起こすリスクもありますが、寄付型と融資型の両方の性質を持っており、社会貢献に寄与しながらリターンを得られるシステムです。
各種デザイン業界への投資
建築から雑貨、オーディオ機器に至るまで、多種多様な各種デザイン業界に特化したファンドに投資するものです。
気に入ったデザインのプロダクトに投資することができ、アートやデザインなどクリエイティブに精通した人、製品の機能性を追求したい人には興味深いサイトとなっています。
株式投資型のおすすめ
ベンチャーキャピタル出資会社の株式投資
こちらは、すでにベンチャーキャピタルなどが出資している会社に投資でき、成長が見込める会社を支援できます。
さらに、通常の株式投資と異なる形の新株予約権を打ち出しているのが特徴で、普通株式と並行することで起案者の要望に応えることが可能です。
発展途上の会社を株式で支援する
これからの大きな成長が期待される発展途上の会社に対して、株式投資により支援ができるサービスです。
このサイトでは、リターンのみならず、純粋に会社の成長を期待する投資家が多く、社会や経済に大きく寄与する会社のバックアップができるという特徴があります。
まとめ
クラウドファンディングは、起業したてで実績がない会社や個人事業主、また法人に至るまで資金を集めやすいおすすめの方法です。
ただし、事業内容や商品・サービスについて、魅力的なものでなければ支援者を集めることができません。
また、事業の公開にかかるアピール方法もポイントのひとつです。
クラウドファンディングの各種形態も良く理解した上で、自分に合ったサイトを選びましょう。
(編集:創業手帳編集部)