【2025年最新】法人税率の計算方法は?中小企業の軽減税率で節税対策

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税金で損しないために!正しい法人税率と計算式を知ろう

適切な法人税率を適用して正しく計算を行い、納税することは法人の義務です。一方で計算方法が複雑だったり、軽減税率の適用区分で迷ったりすることもあります。

中小企業が知っておきたい軽減税率や優遇措置について理解を深め、損をしないよう法人税を納税しましょう。

この記事では法人税と法人税率を中心に、具体的な計算式や実効税率までを中小企業向けに解説します。2025年の税制改正大綱にある法人税関連の変更点もまとめたので、法人税率が変わる可能性も踏まえ今後の動向に注目しておきましょう。

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法人税とは法人の所得にかかる税金

法人税とは法人の事業活動によって得られる所得に対して課される国税です。

売り上げなどの益金から、材料費や人件費といった損金を差し引いた課税所得額に法人税がかかります。

赤字の場合は課税所得がないので、法人税はかかりません。

法人税の種類

法人税には以下のような種類があります。

  • 各事業年度の所得に対する法人税
  • 退職年金等積立金に対する法人税

一般的に法人税と呼ばれるのは、各事業年度の所得に対する税金です。

退職年金等積立金に対する法人税とは、確定給付企業年金や厚生年金基金のような企業年金の年金積立金に対して課され、特別法人税とも呼ばれます。令和8年3月31日までは、特別法人税の課税は凍結されています。

法人税が課される法人

法人には株式会社や医療法人のような普通法人のほか、非営利目的の法人もあります。法人の種類による法人税の納税義務や課税範囲の違いは以下のとおりです。

法人の種類 該当する法人 課税される所得の範囲
普通法人 株式会社・有限会社・合同会社・医療法人など すべての所得
協同組合等 農業協同組合・漁業協同組合・信用金庫など すべての所得
公益法人等 公益社団法人・公益財団法人・非営利型法人・学校法人など 収益事業による所得
人格のない社団等 マンション管理組合・PTA・同窓会など 収益事業による所得
公共法人 地方公共団体・国立大学法人・日本年金機構など 納税義務なし

普通法人の法人税率は資本金額によって異なります。公益法人等と人格のない社団等には法人税がかかりませんが、物品販売のような収益事業で生じた所得は課税対象です。

2025年度(令和7年)税制改正大綱による法人税率の変更点

2025年度(令和7年)の税制改正大綱では、近年の法人税改革における成果が芳しくないことから、メリハリのある法人税体系の必要性が説かれています。

中小企業等に対する既存制度の延長、税率の引き上げとなる新たな税の導入など、法人税に関する主な変更点をまとめました。

【2年延長】中小企業者向け法人税率の軽減特例

中小企業者等における法人税の軽減税率の特例は、2024年度分まで適用されてきました。年間800万円以下の所得に対し法人税率が15%になる措置で、2025年度以降も2年間にわたり延長されます。

反面、所得10億円を超える事業年度については、800万円以下にかかる税率を17%まで引き上げるほか、通算法人は対象から外れます。

【2年延長】中小企業投資促進税制

対象設備等の取得や製作に対し、特別償却や税額控除が適用できる中小企業投資促進税制があります。現行は2024年度分まででしたが、2年延長されることになりました。

取得価額に変更が加わり、関係法令の改正も反映された上で延長されるため、更新内容は随時チェックが必要です。活用で所得を抑え、法人税の節税に役立てましょう。

【2年延長】中小企業経営強化税制

経営強化税制も中小企業の設備投資等を支援する制度で、2024年度分までだった現行から2年延長する見通しです。法人税はもちろん、所得税や法人住民税の緩和にも貢献します。

2025年以降は、対象設備に建物が追加される、雇用者の給与アップに伴い償却率や控除率が上がるなど、特定の条件下における税制の見直しが図られました。

【3年延長】地域未来投資促進税制

地域未来投資促進税制は2024年度末までが適用期間でしたが、税制改正に3年間の延長が盛り込まれました。

2025年度からは、10億円以上の設備投資について特別償却50%または税額控除5%が追加され、地域経済の活性化と同時に企業の税負担を軽減します。

【3年延長】企業版ふるさと納税

企業版ふるさと納税と呼ばれる寄附活用事業については、2024年度分から3年間延長されます。

10万円を下限として寄附ができ、金額によって法人税や法人住民税、法人事業税が控除される仕組みです。

企業版ふるさと納税においても、関係法令等の改正を前提とした措置が講じられた上で期間が延長されます。

【新設】防衛特別法人税

法人税額に対する新たな付加税となるのが「防衛特別法人税(仮称)」です。2026年度(令和8年)4月1日以後の事業年度から適用になり、法人税額に対して税率4%が課されます。

中小法人への配慮として、課税標準となる法人税額から500万円が控除される予定です。

【廃止】DX投資促進税制

デジタル関連投資に対する特別償却または税額控除の措置であったDX投資促進税制は、適用期限の2024年度分をもって廃止となります。

中小企業の法人税率はいくら?

納める法人税の金額を決める要素が「法人税率」です。法人税率は中小企業と大企業とで異なり、中小企業は規模が小さい分優遇されています。

法人税率の一覧

各区分における普通法人の法人税率は以下のとおりです。

区分 対象事業年度の所得金額 適用関係(開始事業年度)
令和6年4月1日~令和7年3月31日 令和7年4月1日~令和9年3月31日 令和9年4月1日~(予定)
普通法人 資本金1億円以下の法人など(中小企業など) 年800万円以下の部分 下記以外の法人 年10億円以下 15% 15% 19%
年10億円超 17%
適用除外事業者 19%
年800万円超の部分 23.20%
上記以外の普通法人 23.20%

※過去3年平均で所得15億円超の中小企業が本措置の対象外となる基準(所得基準)は引き続き維持。
※適用対象法人の範囲から、通算法人を除外する。

※出典:令和7年度(2025年度)経済産業関係 税制改正について 中小企業者等の法人税率の特例の延長等(法人税・法人住民税)
令和7年度税制改正の大綱

資本金1億円以下の中小企業法人は、所得額に応じて法人税率が優遇されます。
事業開始年度が令和7年3月31日までは、年800万円以下の部分には15%の軽減税率、800万円超の部分には23.20%がかかりますが、令和7年4月~令和9年3月末までは、所得金額が年10億円以下:15%(軽減税率)、所得金額が年10億円超:17% (軽減税率)となることが税制改正大綱で発表されています。
中小企業向けの800万以下の所得に対する法人税率の軽減特例は2年延長されますが、所得10億円を超える場合は17%に引き上げられます。
所得が10億円以上と高い中小企業のみの見直しになりますので、一部の企業に限定されますが、注意が必要です。

資本金が1億円を超える大手企業などは所得金額による区分はなく、一律で23.20%の法人税率がかかります。

軽減税率の条件と期間

軽減税率が適用されるのは、資本金1億円以下の法人などです。

このうち「過去3年度分の所得金額の平均が15億円を超える法人」に当てはまる企業は、15%の軽減税率が適用されない適用除外事業者となります。適用除外事業者の場合、800万円以下の所得に対する法人税率は19%です。

法人税の軽減税率は2025(令和7)年3月31日までの予定でしたが、同年度の税制改正大綱で延長の方針が固まり、2027(令和9)年3月31日までが次回の期限と見込まれます。

法人税額の計算方法!中小企業向けの計算例

ここでは中小企業の例を中心に、法人税額の計算方法を紹介します。基本の計算式のほか、具体的な課税所得の求め方も知っておきましょう。

法人税額の計算式

法人税の計算式は以下のとおりです。

法人税額 = 課税所得 × 法人税率 - 税額控除額

益金-損金で課税所得額を求め、法人税率をかけてから控除額を差し引くと法人税額を導き出せます。

【資本金1億円以下、年間所得1,000万円の中小企業の場合】

①800万円以下の所得に対する法人税を計算する
800万円 × 15% = 120万円

②800万円超の所得に対する法人税を計算する
(1,000万円 - 800万円) × 23.2% = 46万4,000円

③①と②を足して法人税額の合計を求める
120万円 + 46万4,000円 = 166万4,000円

算出した法人税額の合計から控除額を差し引くと、納めるべき金額が計算できます。

課税所得の計算式

法人税が課せられる所得額は、会計上の利益である益金から、費用である損金を差し引いて求めます。

課税所得 = (益金-損金) + 加算調整項目 - 減算調整項目

法人税をざっくりと求める際は、企業利益に対して法人税率をかければ計算できます。一方正確に算出するには、加算調整項目減算調整項目を適用しなくてはなりません。

会計上と税務上では、どの項目を収益とみなすか、費用とみなすかが異なります。そのため調整項目による加算・減算を行い、税務上で正しい納税額が出るよう調整が必要なのです。

調整項目には次のようなものがあります。

調整項目 概要 具体的な項目内容
加算調整項目 益金算入項目:

税務上は益金となり、会計上は益金とならない項目

無償による資産譲渡で得た利益など
損金不算入項目:

税務上は損金とならず、会計上は損金となる項目

法人税、住民税、交際費の損金算入限度超過額など
減算調整項目 益金不算入項目:

税務上は益金とならず、会計上は益金となる項目

受取配当金、有価証券等の評価益など
損金算入項目:

税務上は損金となり、会計上は損金にならない項目

欠損金の繰越控除など

法人税から差し引く税額控除

法人税は、課税所得に税率をかけた金額から税額控除分を差し引きます

税額控除には、法人が受け取る利子・配当などについて源泉徴収された所得税の控除や、外国税額控除などがあります。

中小企業においては、中小企業投資促進税制や中小企業経営強化税制などの適用による控除も可能です。

法人税における端数処理

法人税の計算では、課税所得のうち1,000円未満の端数を切り捨ててから計算します。

たとえば課税所得が102万1,165円であれば、102万1,000円となるのです。

法人税率をかける前に、所得額の端数を切り捨て処理しておきましょう。

法人税だけじゃない!中小企業が知っておくべき税金と優遇措置


中小企業にとって、納めるべき税金と使える優遇措置の把握は必須です。

ここでは法人税以外に納めなくてはならない法人の税金と、税負担を軽減する中小企業向けの優遇措置について解説します。

法人が支払う税金

法人税以外に法人が支払う税金は、主に「法人事業税」と「法人住民税」です。

名称 概要 計算式
法人事業税 法人の事業に対して課される、各都道府県に納める税金 所得額 × 法人事業税率
法人住民税 法人が所在地を置く各都道府県や市町村に納める税金 法人税割額 + 均等割額

法人事業税は、事業活動を行う法人が行政サービスを受けることに対して経費を支払う意味合いがあります。

法人住民税は法人版の住民税のイメージです。事業所を置く市町村などに、当該地域の一員として税金を納める必要があります。

法人事業税率や法人税割額、均等割額は納める地域により違うため、該当エリアのホームページから確認しましょう。

法人の税金の種類や違いについて、詳しくはこちらの記事を>>
法人税・法人住民税・法人事業税の違い?知っておきたい法人税の基本構造

中小企業が受けられる税金関連の優遇措置

法人税の軽減税率以外にも、中小企業が受けられる優遇措置があります。次の制度が一例です。

優遇措置 概要
赤字の繰り越し 税務上の赤字を翌年度から10年間繰り越し、将来的な課税所得と相殺することで税負担が軽減される。
交際費課税の特例 年間800万円までの交際費等の全額、または接待飲食費の50%のいずれかを損金算入できる。
固定資産税の特例 対象となる設備投資について、固定資産税が3年間に限り2分の1に軽減される(特定の条件下で最長5年、3分の1まで軽減)。
少額減価償却資産の特例 30万円未満の減価償却資産の取得について、合計300万円までは即時償却ができる。
中小企業投資促進税制 対象設備の製作・取得において、取得価格の30%を特別償却、または7%の税額控除のいずれかを選択適用できる。
中小企業経営強化税制 認定済みの経営力向上計画に基づいて対象設備の製作・取得をした場合、即時償却または10%(一部法人は7%)の税額控除のいずれかを選択適用できる。
中小企業技術基盤強化税制 試験研究費額に12〜17%の税額控除割合を乗じた金額を法人税額から控除できる(法人税額の25%が限度)。
事業者免税点制度 前々年度の課税売上高が1,000万円以下の場合、その課税期間の消費税が免除される。
簡易課税制度 課税売上高が5,000万円以下かつ届出書を提出している場合、仕入額控除に際する請求書等の保存が不要になる。

費用計上や控除によって課税所得を減らし、税金の負担を軽くする制度が多く用意されています。

簡易課税制度は直接税金を減らす措置ではありませんが、消費税に関する事務作業の負担を軽減可能です。

中小企業の経営維持において、こうした優遇措置を最大限活用しない手はありません。自社で使える制度は積極的に取り入れていきましょう。

法人税の実効税率とは

法人税の実効税率とは、法人が負担する実質的な税率のことです。法人税のほか、法人住民税や法人事業税など法人が支払うべき各税金の割合から求められます。

会社の利益が1,000万円で300万円の税金を支払う場合、実効税率は30%です。

実効税率を把握すると何に役立つのか、把握するための計算方法を紹介します。

実効税率を把握するメリット

実効税率を把握すると、実際に納める法人税に近い金額がわかるため、金銭管理の正確性が向上します。

実効税率と似た言葉に表面税率がありますが、表面税率でわかるのは単純計算された税法上の合計値です。実効税率よりやや高くなる傾向にあり、実際の納税額を正確に示す金額ではありません。

実効税率の計算で納税額に近い金額を把握しておけば、納税に必要な資金計画が立てやすくなります。

実効税率の計算方法

実効税率は以下の計算式で求められます。

実効税率 = (法人税率 × (1+ 地方法人税率 + 法人住民税率)+ 事業税率+特別法人事業税率) ÷ (1+ 事業税率+特別法人事業税率)

多くの中小企業の場合は、法人税率には軽減税率15%が適用されます。

地方法人税と法人住民税は、事業地域で定められている税率を適用しましょう。特別法人事業税は法人事業税とともに納付する税金で、中小企業は所得割額37%、収入割額30%となるケースが多くなります。

実効税率は企業規模の変化や税金の改定で変わるため、事業年度ごとに計算するのがポイントです。

法人税率の推移

法人税率は年度ごとに見直されます。グローバル化や景気低迷の影響を受けてここ30年ほど減少傾向にあり、平成末期から令和にかけて過去最小の税率を維持しています。

平成21年からは「中小企業の軽減税率の特例」が定められました。延長を重ねて令和6年度分においても適用されましたが、今後の継続について注視する必要があります。

中小企業の優遇措置も含め、法人税率の計算は複雑です。正しく効率的に求めるために、中小企業のための制度や経営資料をまとめた冊子版の創業手帳を活用しましょう。法人税をはじめ税金関連の情報も網羅しており、事務処理の軽減に役立ちます。

法人税率は複雑。困ったら税理士に相談しよう。


法人税や法人税率の基本を押さえて、正しい納税につなげましょう。企業としての信頼性を保つためにも、税金の計算をおろそかにするのは避けてください。

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(執筆:創業手帳編集部)

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