取引業者はパートナー【美容室・サロンの開業手帳 ~4.取引業者を決める~】
単なる商材の購入先、広告出稿先ではなく、取引業者は上手に利用する
(2015/12/07更新)
「キレイになって喜んでもらいたい」「美しくなって夢を叶えたい人をサポートしたい」という想いだけでは生き残れないのが、美容業界。
業界規模は、約2兆円ですが、美容室の数はコンビニの約4倍と言われ、非常に競争の激しい業界です。
また、近年増えているサロンですが、廃業率は1年以内が6割、3年以内が9割と言われています。
美容室・サロンは、店舗の固定費がかかるため、開業前に廃業するかしないかが決まっていると言っても過言ではありません。
開業前に情報を集め、きちんと準備をして、必ず成功させましょう!
美容室・サロンの開業前から開業後までを、ゼロから解説する、開業手帳シリーズ。今回は、「4.取引業者を決める」です。
はじめに
サロンを開業するにあたって、パートナーといってもいいほど重要な存在となるのが「取引業者」です。
美容器具や美容材料を始めとして広告代理店や制作会社などもサロンの売り上げアップのための重要なキーパーソンとして登場します。
今回は、美容器具や美容材料、広告宣伝等にフォーカスして見積もり依頼や発注の際の注意点などをまとめました。
美容材料の購入だけでなく、業界の様々な情報を引き出すこと
美容商材は、日々進化しています。
トリートメント一つとっても、近年ではアウトバストリートメントと呼ばれる、ドライヤー前に軽く使用するタイプのトリートメントなどが登場し、その使いやすさやボトルのコンパクト感、デザイン性などから幅広い世代の人気を集めています。
こういった人気商品を生むため各メーカーはしのぎを削りクオリティと革新性を併せ持った美容材料を開発し続けているのです。
とうぜん、こういった最新商品がダイレクトに流れてくる美容系商事会社などは、まさにサロンに関する最新情報の宝庫といってよい状態です。
近年の美容系商事会社は、各サロンのターゲットやメニュー構成にも精通しており、どんなターゲットにも強く訴え得る多くの商材を保有しています。
パーマ施術で使われる薬液の販売と、そのパーマをかけたお客様が帰宅後にホームケアするケア商品を抱き合わせてサロンへ提案し、サロンの店販売り上げアップに貢献するなど、店の売り上げアップのための商品提案も得意です。
つまり美容器具や美容材料を仕入れる際には、あなたが求めるアイテム単体について見積もりを出してもらうのではなく、あなたのサロンの客層や年代、提供しているサービスなどをざっくりと先方に伝え、商品をふくめた様々な提案を出してくれるように頼みましょう。
技術やコンセプトに自信のあるサロンオーナーほど、自分で見つけてきた美容器具や美容材料にこだわり、業者はじめとした他者の意見や提案をあまり聞かない人が多いのですが、これは大きなステージでサロン経営を捉えたときに、決して利益にはなりません。
オーナーの嗜好を反映しすぎてクリエイティブだけれども狭いサロンになってしまうのは、もったいないことです。
現在は、商品の紹介にとどまらず、サロン開業や経営そのものについても有益なアドバイスやお手伝いまでしてくれる業者も存在しています。
単に商品を仕入れるだけでなく、彼らの持っている情報を最大限引き出し、その情報をフル活用することこそ、総合的な意味でのサロン経営の成功につながります。
このことは、美容材料の仕入れだけでなく、広告宣伝や広報戦略にも当てはまります。
過去実績をある程度ファイリングしている宣伝業者を探そう
美容業界のクライアントを多く持つ広告代理店や広告制作プロダクションなどには、膨大な過去実績から抽出したノウハウや経験値がデータ化されています。
例えばあなたが店舗情報を掲載したいと思っているクーポン誌ならその雑誌を発行している会社に、A4フルカラーチラシならそのチラシを制作しポスティングする業者に、どんなエリアでどのくらい配布すれば、ざっくりとどのくらいの効果が見込めるのかを事前に確認しましょう。
数字を使ったデータをきちんと保有しているような業者は少ないのですが、数字を揃えてプレゼンできるような業者に出会えれば確立の高い広告宣伝を打つことができるのです。
業者を選定する際には、営業マンへ「過去の具体的な数字サンプルなどはありますか?」と尋ねることを忘れてはいけません。
この時に曖昧な受け答えをする営業マンや「社に戻って確認します」と言ったきりその件に触れようとはしない営業マンなどには注意してください。
といっても仮に過去10年に渡ってのしっかりとしたデータを保有しているような業者へ発注したとしても、あなたの新しいビジネスの集客数を保証することは誰にもできません。
とりわけ新規開業サロンに対して正確な予測は本来とても難しいものです。収集したデータはあくまでも参考数値だと思って進めましょう。
当然のことですが、すべてにおいて、かかる費用は事前にしっかりと計算しましょう。
クーポン誌なら掲載料がいくらなのか、チラシなら制作費用はいくらなのか、各業者から正確な見積もりを出してもらい確認するのです。
この費用の合計が事業計画書で作成した収支シミュレーション内の費用を超えていた場合は、予算を上げるのか施策変更するのか再考しましょう。
(監修:「理・美容室の創業融資・開業支援に強い税理士事務所」
ライズサポート税理士事務所
武渕将弘 税理士)
(編集:創業手帳編集部)