勘定科目は自由に作れる?ルールと注意点をわかりやすく解説

資金調達手帳

初心者でも迷わない勘定科目の決め方


勘定科目は、経理を行う際に取引内容を整理するために用いられます。
会計処理を行う際に「どの勘定科目に振り分けるべきか」「どちらに入れるのが正しいのか」など迷うケースも少なくありません。
勘定科目は、一定のルールを守っていれば新たに作ることができますが、何でも自由に作れるという意味ではないのです。

この記事では、勘定科目が何かに加えて作れる範囲や税務上の注意点なども含めて解説します。勘定科目について詳しく知りたい人はぜひ参考にしてください。

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勘定科目は一定のルール内で自由に作れる


勘定科目は、事業者の経理などで用いられるものであり、取引された内容をわかりやすく整理したり分類したりするためのものです。
事業者が仕入れ、販売、経費の支払いなどの取引をした際に、適切な勘定科目に分類することで入金や出金額や内容、財務状況などを把握できます。

しかし、勘定科目そのものが自由に設定できることを知らない人も多くいるのです。
勘定科目は、法律などで名称が厳密に決まっているものではないため、事業者の実態などに合わせて自由に設定できる仕組みとなっています。
実務でも、多くの事業者が内容に合わせて独自の勘定科目を用いていて、税務上でも勘定科目そのものが問題になることもありません。

ただし、注意したいのが勘定科目を無制限で変更できるものではなく、実態、継続性などが欠けている場合は税務上で容認リスクが生じます。
特に固定資産に計上されるものを消耗品として処理してしまう場合は、損益などが変わってしまうため間違った勘定科目となります。
このような理由から、勘定科目は社内の管理上自由に設定できますが、最終的に税務署へ「収支内訳書」や「青色申告決算書」として提出する際には、あらかじめ決められた「5つの分類」で表示されるということです。

そもそも勘定科目とは何か


そもそも勘定科目は、経理上の収支をわかりやすく記録するための項目です。
勘定科目で分類することにより、何にどれくらい使ったのかが把握しやすくなるので、企業では運営するために必要なものとなります。
ここでは、勘定科目が何かに加えて役割や代表的な勘定科目は何かについて解説します。

勘定科目の役割

勘定科目は、日々行われる取引内容を分類して帳簿に正しく記録するための名称です。勘定科目ごとに記録することで、現金の性質を理解して帳簿へ正確に記録できます。
ただ「お金が入ってきた」、「支払った」というだけでは、後から見直した時に何がどうなっているのか理解できませんが、勘定科目によって分類されていると経営判断の材料になるだけでなく、事業の方向性などを決める際にも役立ちます。

勘定科目は、賃借対照表や損益計算書など決済書の作成時にも必要です。
これらの理由から勘定科目を適切に設定することで、現状の収支状況や経営構造などを客観的に把握できるようになります。

よく使われる代表的な勘定科目

よく使われている勘定科目は、「消耗品費」「通信費」「旅費交通費」「広告宣伝費」「雑費」です。
様々な業種で共通して使用されている勘定科目であり、これらの勘定科目は国税庁の確定申告書や決算書様式にも用いられています。

ただし、これらは代表的な勘定科目という一般的な例なので、全ての事業者が用いるとは限りませんし、必ず使わなくてはならないという決まりもありません。
例えば、「費用」は事業運営の際に発生したコストであり、収益を得る目的で使用された出費を意味します。
商品やサービスを提供するために仕入れを行った場合、支払い代金や収益を得るために使った経費が「費用」に該当し、損益計算書上では「営業外費用」「売上原価」「販売費及び一般管理費」「特別損失」の4つに分類される仕組みです。

他にも、店舗で営業している事業者なら店舗修理に用いた費用を「修繕費」、取引先との接待に使った費用は「接待交際費」になりますが、これらを行わない事業者なら使わない勘定科目となります。

勘定科目を自由に作っても問題ない理由


経理上の取引に欠かせない勘定科目は、事業者の取引を記録するための項目であり、経営を把握しやすくするためには必要不可欠です。
しかし、勘定科目は自由に作っても問題ないとされていますが、自由に作れるからこそ混乱しないのでしょうか。
そこで、勘定科目を自由に作っても問題ない理由について解説します。

税法で勘定科目名は細かく決められていない

勘定科目については、法律などで決められたものしか使用できないなどの定義がされていないため、事業者の分かりやすいように作ることができます。
簡単に言ってしまえば、行った取引が収益、費用、資産、負債のどれに該当するのかという点さえ間違えていなければ問題ありません。
法人税法や所得税法上でも、勘定科目については具体的な名称の規定は行われておらず、取引の実態が重視される傾向です。

また、税務調査でも勘定科目というより支出内容が事業と関連しているかという点が判断の基準となります。
これらの内容から、実態に即した勘定科目であれば名称の違いなどは税務上で大きな問題になりにくいです。
ただし、自由に勘定科目が設定できるからといって細かな内容で分類しすぎると、仕訳時に分かりにくくなるので注意してください。

会計ソフトでも追加・編集が可能

勘定科目が自由に作れたとしても、会計ソフトでは勘定科目が反映できないのではないかと考えるかもしれませんが、主要な会計ソフトでは勘定科目の名称変更が自由に行えます。
事業内容に応じて自由に会計ソフトの勘定科目が変更できるので経費の内訳が正確に管理しやすくなるというメリットも得られます。
もちろん、会計ソフトで独自の勘定科目を設定しても電子申告や決算書の作成に問題が起こることもありません。

勘定科目を自由に作るときのルール・注意点


勘定科目は自由に設定できますが、作る時には一定のルールを設けるとより仕訳がしやすくなります。ここでは、勘定科目を新規作成時に注意したい点について解説します。

内容が分かる名称にする

勘定科目を新たに設定する際には、帳簿を第三者が見た場合でも具体的にどのような支出があったのか理解できる名称にする必要があります。
同じ系統の費用であっても、細分化しすぎたことで似たような費用が出た際に新たな勘定科目を作ってしまったり、分かりにくい用語を使ったりしたことで確認や説明に時間がかかる可能性も考えられます。

勘定科目を新たに設ける際には、最初に決めたルールを変更せずに使いつづけられるような名称を意識することがポイントです。
また、「その他費用」など内容が不明確な名称の場合、税務署から詳細の確認や説明を求められる可能性が高くなるので、支出の性質が分かりやすい名称を意識して帳簿の透明性を高める必要があります。

毎年同じ勘定科目を使う

勘定科目を新たに作った場合、同じ内容の支出があれば継続して使うことを意識してください。
理由は、毎年同じ勘定科目を使うことで財務の流れが把握しやすくなるからです。

同じ内容の支出があっても、新たな勘定科目で処理してしまうと継続性がないと判断されて問題視される可能性もあります。
特に会計処理に関しては、税務上一貫性を保つことが重視されていて、継続性に関しては国税庁も重視している部分です。

帳簿への記載は税金の計算という目的だけでなく、自社の経営状況を分析する意味でも重要になるので、できるだけ同じルールで処理を続けることが大切です。
ただし、やむを得ない理由により科目を変更する場合は明確な理由を説明できるようにする必要があります。

税務署に誤解されやすい科目に注意

勘定科目では、税務署に誤解されやすい科目になっていないかも注意すべき点です。
特に、交際費や雑費は内容が幅広くなりやすい傾向があり、税務署からも特に確認されやすい勘定科目になります。

また、役員や従業員がプライベートな費用として計上している費用が混ざりやすいという点も理由の一つです。
売上に対して交際費が高くないか、業務時間外となる休日や深夜の支出が頻繁になっていないかという部分は、税務調査官も注目しています。
実態と異なった内容を同じ科目でまとめてしまうと、経費容認や修正申告などにつながる可能性が高くなるので、仕訳をしやすい項目に集約することなく、正しい勘定科目に分類することが重要です。

独自の勘定科目を作るメリット・デメリット


事業者によって独自の勘定科目を作るケースは珍しくありませんが、あえて新たな勘定科目にした際にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

メリット

勘定科目を新たに設定するメリットは適した勘定科目に分類できるため、経費の内容が分かりやすくなるだけでなく、資金の使途が把握しやすくなります。
勘定科目を売掛金、預金などに設定している場合、合計残高は把握できますが、預金口座ごとの残高や取引先別の売掛金残高などを把握しにくいです。
勘定科目の細分化によって、事業者ごとの残高確認なども管理しやすいだけでなく、コスト構造や利益率の分析もしやすくなります。

これらを把握しやすくなると、経営判断や予算管理に活用できるという点も独自の勘定科目を設ける大きなメリットです。
新たに勘定科目を設ける際には、実務での利便性を意識した設定でシンプルなものにするとよりメリットが感じやすくなります。

デメリット

勘定科目を設けることはメリットになりますが、勘定科目をいくつも増やしてしまうと帳簿管理がしにくくなり、入力や集計時にミスが起こりやすくなります。
細分化されすぎた勘定科目は管理が大変になる恐れがあるので、最初は「補助項目」を活用するのがコツです。

例えば、「通信費」の中に「インターネット料金」「切手代」「携帯代」などの補助項目を設けることで、何にどれだけ使っているかが分かります。
決算書上で科目数が多くなりすぎてしまうと、全体像がはっきりしにくくなるので、管理の負担と情報価値のバランスを考慮した内容を意識するとデメリットを感じにくくなります。

独自勘定科目の具体例


決算書には記載されていませんが、振込、売上時の手数料、税理士への報酬などを行った際は「支払い手数料」に分類されます。
「○○サービス利用料」は、外部サービスの提供を受けた際に支払った金額を把握しやすいように用いられる項目です。

クラウドサービスや業務ツールなどの費用は、「オンラインツール利用料」となり、明確な管理を理由として設定されます。
他にも「ECサイト手数料」は、モールや決済サービスごとの手数料把握の目的に有効な科目となります。

勘定科目を自由に作るときに迷いやすいケース


勘定科目は分かりやすくしたり、事業者が使いやすくしたりする目的で自由に設定できますが、中には迷いやすいケースもあります。
どのような場合に迷いやすくなるのかを解説します。

「消耗品費か備品か」などの境界線のあるケース

会計処理の際に「消耗品費か備品か」といった点で悩む場合があります。
消耗品は文房具、コピー用紙などをイメージすることが多くなりますが、これらには明確な境界線が存在しているのです。

「備品」の定義は少額の物品購入に用いられる勘定科目で、取得価格が10万円以上30万円未満の物品に対しての資産計上となります。
「消耗品」は、文房具、コピー用紙、包装紙などの消耗品購入やガソリンなど使用可能期間1年未満、もしくは取得額が10万円未満の購入費に該当します。
勘定科目の名称は自由に設定できますが、税法上のルールとなる金額基準が科目ごとにあるため、実態を踏まえて判断しなければなりません。

独自の勘定科目の設定で管理しやすさがありますが、実態の説明ができることが前提となります。
なお、10万円以上であっても一括償却資産の特例や青色申告の場合は少額減価償却資産の特例が使えるので、法人の場合は仕訳方法によって「10万円以上でも消耗品費とするケース」もあります。

「雑費」にまとめるべきか、独自科目を作るべきか

勘定科目の「雑費」には、他の科目に当てはまらない仕訳がある時に使います。一時的で少額な支出に対して使用し、該当がない経費発生時には雑費での処理ができます。

しかし、注意しなければならないのが「一時的で少額な支出」という点です。該当の勘定科目がなくても高額な費用となる場合は、新たに適した勘定科目の設定が必要です。
金額が大きくなると内容確認の対象になりやすく、税務上でのリスクも高くなってしまうため、継続的に起こる支出となる場合は独自科目を作るほうが適しています。

「交際費」と「会議費」の線引き

「会議費」は、社内での会議や取引先との打ち合わせなどで発生した費用であり、一般的には会議室の使用料、書類の作成費、会議で出したお弁当屋やお茶の費用などが含まれます。
交際費は、社外との取引先やお得意先など社外の関係者に対しての接待で使う費用となります。

事業を営む上で、必要な外部の関係者との懇親を図るなどの目的で使う費用ですが、税務調査では交際費が注目されやすいため適切な処理を行うことが重要です。
特にプライベートな食事会やプレゼント、1回の飲食代を複数に分けて計上するなどの行為は否認される可能性が高くなります。
独自科目を作る場合には、交際費を明確に説明できることが必要です。

独自勘定科目を作るべきケース・作らなくてよいケース


勘定科目の中には、独自の勘定科目を作らなくてもよいケースもあります。ここでは、どのような場合が該当するのか説明します。

作った方が良いケース

独自勘定科目を作ったほうが良いケースは、専門的なクリエイター業、EC事業、サブスク事業などの業種です。
これらの事業者は、特定のシステム、ソフト、グループウェアなどを利用することが多く、一般的な通信費などに分類してしまうと分かりにくくなる可能性があるからです。
システム利用料として計上できた場合、高額な費用(10万円以上)のシステムであっても無形固定資産として資産計上できます。

また、経費内訳を詳細に把握して利益分析や原価管理を行いたい場合も独自科目の選択が適しています。
他にも、スタートアップ企業などで補助金や助成金の申請を行う場合も、支出内容を明確にする必要があるので独自科目が役立ちます。

作らなくてよいケース

一方で、新たな独自科目を作らなくてよいケースもあります。
独自科目の特性として、同じ勘定科目を継続して使う必要がありますが、年に1回もしくは数回しか発生しない支出に関しては既存の勘定科目を使っても問題ありません。

また、既存の勘定科目のどれに該当するのかわからないという場合でも、無理に独自科目を作る必要はありません。
いくつも独自科目を作ったことで管理が難しくなったり、ややこしくなったりするケースもあるので、作らないという選択や判断も重要です。

独自勘定科目を作る際のNG例


独自勘定科目を新たに作る場合は、いくつかの注意点があります。ここでは、独自勘定科目を作る際のNG例を紹介します。

名称が抽象的すぎる・客観性に欠ける

第三者が見た時に、業務上の経費であることが即座に判断できない名称は適していません。
また、「諸経費」や「その他費用」など抽象的な名称に関しても税務調査で中身を確認されるリスクがあります。

「お土産代」や「ランチ代」など、主婦の家計簿のような日常的な名称は、私的な支出を疑われやすいので、内容や詳細に合わせて「交際費」「会議費」などの名称への変更が適しています。
いくら自由に設定できるといっても、ビジネスにおいて説明できない名称にすることは適していません。
内容が把握しやすく適した名称にすることを強く意識する必要があります。

似た科目を増やしすぎる

勘定科目を細かく増やしすぎた結果、似たようなジャンルの科目が増えることにも注意しなければなりません。
例えば「広告費」「広告宣伝費」「マーケティング費」など同じような科目で似た内容が増えてしまうと適した管理ができないかもしれません。
これによって不明確となることから、集計や分析の精度を下げる恐れもあります。
実務上で正しい使い分けの基準がない場合は一括統合できる科目に変更する必要があります。

まとめ|勘定科目は「自由だが勝手ではない」

勘定科目を自由に作ることは可能ですが、一定のルールを守ることが大切です。
重要なのは実態・継続性・分かりやすさであり、これらを満たした内容や名称と第三者に説明できることがポイントとなります。
勘定科目において分類などの判断に迷う場合、無理に独自科目を作ることなく既存科目を活用することで間違いも起こりにくいでしょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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